COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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元々連載していた方が行き詰まったので息抜きに書いたらすぐできてしまったので投稿しました。
いや虹アニメ最高ですね。ウルトラマンZと併せて今後楽しみです。


Ⅲ 真の勇者

満月の夜、突然起こった月食。

 

そしてそれは、月によく似た三日月上の飛行物体によって月が遮られた事によってできたものだった。更に、テレビ回線をジャックして、昼間の宇宙人が声明をテレビに流していた。

 

『我々ハ、バルタン星カラヤッテ来タ宇宙生命体デアル。』

 

そう宇宙人は、セミのような口を震わせながらそう告げる。日本語に翻訳して流しているのだろうが、昼間の防衛軍の戦闘機を殲滅した宇宙人の顔がテレビに映り、人々はそれだけで不安を感じた。

 

『我々ハ、地球ト君達ガ呼ブ惑星カラノ招待デ、コノ星ヘヤッテ来タ。』

 

現在、世界各国で宇宙の未知なる生命体とコンタクトを取るべく様々な活動をしていた。きっとそれをバルタン星人は招待されたと解釈したのだろう。

 

『君達ガ始メタ、テレビ放送ハ我々ノ星ヘト届イテイル。コレニヨレバ、地球ハ我々ガ辿ッタ破滅ヘノ道ヲ全ク同ジヨウニ進ンデイル』

 

『破滅』つまりバルタン星人は故郷の星を失い、宇宙を彷徨っていたという事になる。そして本物の月を遮った物体は、バルタン星人が自分たちの星の一部を切り取って作った。ノアの箱舟だと言う事が語られた。

 

あの飛行船の中には、沢山のバルタン星人が暮らしていると言う事だ。

 

『僅カコノ30年ノ間ニ、コノ自然ノ粗方ヲ地球人達ノ手デ破壊シテシマウ。地球人ヨリ遥ニ進ンダ科学力ヲ持ツ、我々バルタン星人ハ、地球ニ移住シタイト思ッテイル。コノ美シイ緑ト水ノ地球ヲ我々ノ侵シタ失敗ト破滅カラ救ウ為ニ…』

 

そう宣言すると、元々放送していたテレビ番組に切り替わった。菜生は自分が好きなバラエティー番組を観ていた最中だったが、その続きを見る気にはなれずそのままテレビの電源を切った。

 

「あの宇宙人が、この街に来るのかしら…」

 

テレビを切った菜生に、母親がそう不安げに呟く。

 

「大丈夫だよ、お母さん。きっとお互いが理解し合えれば…」

 

菜生はそう返すが、その顔はやはり不安げだった。公園で怪獣を呼び覚まし、戦闘機を蹂躙したバルタン星人が本当に、共生できるか自信は無かったから。

 

そしてきっとウルトラマンは、バルタン星人と戦っていたと想像していたから。

 

 

 

 

 

そして次の日の学校は、その話題で持ち切りだった。

 

共存は無理だと、他の星の生物とも一緒に暮らしていけるとは誰も思っていないのだ。

 

「菜生ちゃんはどう思う?」

 

「できるんじゃない?人間だって火星に住もうとしてるし、火星に生き物が居れば人間のやってる事もバルタン星人と変わんないでしょ?」

 

クラスメイトにそう聞かれて菜生は、こう答えた。

 

「それとこれとは違うだろ」

 

「無理だよ絶対」

 

クラスメイトにそう口々に反発された菜生は、顔を伏せてしまうが決してこの意見を曲げることはしなかった。

 

「無理だって決めつけてたら、何にもできないじゃん…」

 

そのつぶやきは、他の人間の耳には入らなかった。

 

 

「菜生ちゃんは、バルタン星人と一緒に住めると思う?」

 

その日の帰り、不意に歩夢にそう問いかけられる。

 

「お互いを尊重できれば、できるんじゃないかな?」

 

どうしてウルトラマンと戦っていたのかは見当もつかないが、ウルトラマンと心を通わせることが出来たのだから、バルタン星人ともきっと分かり合えるのではないか?菜生はそう考えた。

 

「じゃあ菜生ちゃん、菜生ちゃんはウルトラマンを呼んで、人間の代わりにバルタン星人と戦ってもらおうと思った?」

 

「え?」

 

「だってきっと、ウルトラマンはバルタン星人と戦ってあの場所に落ちてきたと思ったから…」

 

そう告げる歩夢に、菜生は少し考える仕草を見せるがすぐに首を横に振る。

 

「そんなんじゃない、確かに街を守ってほしいとは思ったけど、倒してほしい訳じゃない。なんでそうなったかを、わたしは知りたいかな?」

 

「じゃあ…じゃあもしもだよ?もし私が…」

 

歩夢のその言葉は、爆音によって遮られた。

 

「なに…?」

 

「ダメ…ダメェ!!」

 

防衛軍の戦闘機が、バルタン星人の箱舟に攻撃を開始した。そしてその結果、バルタン星人が街へ飛来し戦闘機を撃ち落とし始めた。

 

『警報!警報!Warning!Warning!』

 

「ゴンちゃん!?」

 

そうしていると、頭上をバルタン星人が通過した時、ゴンが目の前に飛んできた。そしてその胸のパネルが開くと、モニターにはバルタン星人が映っていた。

 

『我々ハ、最早地球人ト交渉スルツモリハ無イ。我々ハ直チニ、地球ヲ占領スル』

 

バルタン星人はそう告げた、人類からの先制攻撃によって完全に彼らは力で地球を手に入れることを決意したのだ。

 

「そんな…」

 

「ダメ!それじゃ何にもならない、どうして大人たちは…」

 

そう言うと歩夢は周囲を見渡すと突然走り出す。

 

『マテ!』

 

「ちょ、ちょっと…」

 

ゴンはそんな歩夢を追いかけ始めると、状況の呑み込めない菜生もひとまず後を追いかける。だが歩夢のその走る速度は異常で、引き離される一方で菜生は追いつくことが出来ない。

 

だがロボットでかつ浮遊能力をもつクレバーゴンはその限りではなく、やがて人気のない公園へとたどり着いたところで、歩夢を追い越すと足を延ばして彼女の前に立ちはだかると、右腕のアームで歩夢の肩を掴む。

 

「ゴンちゃん、何するの!?」

 

歩夢は腕を振って拘束から抜けようとするが、ゴンの力は強くアームを引き剥がすことが出来ない。

 

「私をあの舟に連れて行って!でないと大変な事に……」

 

「何言ってるの?意味が解らないよ…」

 

そう言って箱舟を指さす歩夢に、菜生は困ったような顔を浮かべる。

 

『警戒!警戒!警戒!――』

 

そう連呼するゴンは、アームを離すと赤い目を激しく明滅させて歩夢を警戒する。

 

「わたしは…『ワタシハ…』

 

そんなゴンの様子に、歩夢はそう繰り返しながら後ずさるが、途中から別の声が重なっているように聞こえ始める。

 

「え?」

 

菜生は自身が置いて行かれている状況に困惑したままだったが、そこでゴンの目から黄色い光が放たれ。歩夢の身体に直撃する。

 

「うぅ…」

 

歩夢は苦し気な声を上げると、歩夢の身体から二等身のバルタン星人のような生き物が浮かび上がる。だがゴンはエネルギーが尽き、後ろに倒れ込む。

 

そして、歩夢の身体が倒れ込むと菜生は咄嗟にその身体を支える。

 

「歩夢ちゃん大丈夫!?…この子、バルタン星人!」

 

「やめて菜生ちゃん!」

 

目の前の子供のバルタン星人に、敵意を剥き出しにして立ち上がろうとする菜生を、そう言って歩夢が腕を引いて引き留める。

 

「どうして?歩夢ちゃんはだって…」

 

そう反論しようとする菜生の手に、歩夢はあるものを手渡す。

 

「これを奪うために、バルタン星人は私に…」

 

菜生は今手渡されたものに視線を落とす。それは、ウルトラマンから貰った輝石だった。

 

「石を奪って、傷ついたウルトラマンが回復しないうちに呼べって言われて…でも、この子にはそれができなかった」

 

そう言って、歩夢はバルタンの子供を見つめる。バルタン星人の子供は、まるで鈴の鳴るような声で鳴くが、菜生には何と言っているかは解らない。でも、疑問に思う事はあった。

 

「どうして…わたしにこれを……?」

 

ウルトラマンを倒すために奪ったのなら、これを菜生に渡す理由は無い筈。そう思って菜生はバルタンにそう問いかける。そして異星の友人の言葉を、歩夢は翻訳する。一体化していたからか、彼女にはこの子の言葉を理解できていた。

 

「菜生ちゃんは、バルタン星人と住んでもいいって…ウルトラマンを人間の代わりに戦わせるわけじゃないって言った。バルタン星の子供達も、地球占領なんて望んでないって」

 

このバルタン星人の子供は、地球を侵略しようとする大人と違い、地球を占領する事など全く望んでいないのだ。そしてこの子の言葉を、歩夢は菜生に翻訳し続ける。

 

「ウルトラマンはもう回復してる、ウルトラマンを呼んで大人たちを止めてってそう言ってるの」

 

「でもわたしはそんな…」

 

「『君には素晴らしい力がある』って。わたしもそう思うな、菜生ちゃんは優しいから」

 

そう不安げに俯く菜生に、バルタンの子はそう告げると歩夢はそう伝えるとこの子の言葉に同意する。菜生の優しい心で、バルタンと人間の両方を救ってほしいと。

 

そしてその子は、また何かを歩夢に伝えると箱舟へと飛び立っていく。きっと自身の気持ちを大人たちに伝えるために。

 

『警戒!警戒!ケイカ……』

 

そうゴンは立ち上がって喚くが、すぐにまた倒れこんでしまった。すると、2人の頭上をバルタン星人が不気味な笑い声を上げながら通過していく。

 

「キャアッ!」

 

その風圧に2人は思わず転倒してしまうが、歩夢を庇うように菜生はすぐ起き上がる。

 

そして飛び去ったバルタン星人は、戦闘機たちと空中戦の最中でもう残り少なかった戦闘機はすぐに全滅してしまった。

 

「…歩夢ちゃん、わたしやってみるよ!」

 

そう言って菜生は駆け出すと、視界の開けた広場に出ると先程受け取った輝石を見つめる。

 

「『真の勇者』それは、本当に勇気のある人…!」

 

今度こそウルトラマンコスモスを呼んで、みんなを救う。そう決意した菜生は、輝石を両手ですり合わせながら、ウルトラマンコスモスの名前を何度も心の中で呼びかける。

 

すると輝石は輝き始め、菜生が手を広げると彼女の左右の手のひらの間に浮遊する。そして回転しながら金色の眩い光を放ち始める。

 

(お願いウルトラマンコスモス、みんなを助けて!)

 

そう念じながら、菜生はその光を空に解き放つ。その時周囲に衝撃が走り菜生の体は後方へ押し飛ばされる。

 

そして菜生の手から飛び出した光は、やがてまるで金色のコスモスのつぼみが開花するようにして中から青い光が産まれる。

 

金色の優しい光に包まれて、胸に青いランプ。そして銀色のラインの走る青い身体を持つ巨人が、青空の下に現れる。

 

菜生の願いを受けて、ウルトラマンコスモスが再びこの地球に現れたのだ。

 

「シュウワッ!」

 

コスモスは空へと飛び立つと、バルタン星人へ向かって飛んでいく。

 

「菜生ちゃん!」

 

歩夢は先の光を見て菜生の方へ駆け寄る。

 

「歩夢ちゃん…私、やったの?」

 

「うん!ウルトラマンが…ウルトラマンコスモスが来てくれたんだよ!」

 

「良かった…」

 

菜生はそう呟いて安堵する。そしてその視線は、空を舞うウルトラマンコスモスとバルタン星人へと注がれる。

 

「お願い、バルタンを助けてあげて…」

 

そう呟く歩夢の視線の先で、コスモスはバルタンの前に立ちふさがると。何やら会話を始める。

 

『宇宙船で帰れ、自分の星へ帰れ!!』

 

『いや帰れぬ…地球を、奪う!!』

 

コスモスのその言葉に、バルタンはそう強く拒否すると両腕のハサミから冷凍光線をコスモスへ放つ。

 

だがコスモスも左右に高速で移動してそれを回避すると、バルタン星人はすぐに箱舟へと飛び去って行く。そしてコスモスもその後を追う。

 

「ダメ…コスモス、罠だ!」

 

それを見て菜生は咄嗟に叫ぶ。バルタンは元々、ウルトラマンコスモスを倒すつもりでいた。ならそのために何か仕掛けをしていてもおかしくない。そう思ったのだ。

 

箱舟に着地したバルタンは、コスモスが後をついてきたことを確認すると。両腕のハサミを地面へと突き立てる。

 

するとコスモスを取り囲むように無数の刃が地面から生えてくる。そしてその刃は、一斉にコスモスの周囲360度全てから殺到する。

 

「ハァッ!」

 

だがコスモスは全身に光を纏うと両腕を広げて回転し、迫りくる刃全てを粉砕する。

 

「ヌゥウウ……」

 

するとバルタンは悔し気な声を上げると、両腕から冷凍光線を放つ。

 

「ヌォァアアア!!」

 

だがコスモスは、突き出した右腕に金色の光を纏い、その腕で冷凍光線を完全に自身の体から逸らしたままバルタン星人へと肉迫していく。

 

すると今度は、更に出力を上げて冷凍光線をコスモスへと放つ。だが今度はコスモスはそれをジャンプして躱すと飛び蹴りをバルタン星人へと放つ。

 

「タアアアアアア!!」

 

「フッ!」

 

だがバルタン星人はそれを飛翔して躱すと、今度は再び箱舟を飛び出すと街中へと飛び込んでいき、ビルを破壊して減速し着陸する。

 

それを追ってコスモスも地上へ両腕を広げ、右足の踵で地面を削りながら減速して着地する。

 

菜生と歩夢、そして街中の人々が見守る中、ウルトラマンコスモスとバルタン星人の戦いが幕を開けるのだった。




はい、いかがでしたでしょうか?
あと1~2話くらいで0章完結予定です。本編は筆者が現在連載している別の作品が完結したら本格始動する予定ですので気長にお待ちください。
それではまた次回で
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