本年の更新はこれで最後となります。
ギャラファイ2のプロローグが公式で配信開始されました。まだ見てない方は是非見ておくことを強くお勧めします。
ラッヘの猛攻によって窮地に立たされたコスモスと菜生。
それでも自分の守りたいものの為に、何とか立ち上がり再び拳を握るのだった。
「んっ…ここは……?」
意識が戻った歩夢は、身に覚えのない場所で自分が倒れていたことを不安に思いつつも立ち上がり、何とか外に出ようとしていた。
そして壁に手を当てて体を支えながら立ち上がった時に、自分の腕に無機質なブレスレットが嵌められていることに気が付いた。
それは、何かと交信しているかのように怪しい光が明滅していた。
「なに…これ?いや、とっ…取れない!?」
何とかブレスレットを外そうと試みた歩夢だったが、機械仕掛けのロックがかかっているのか。手で掴んでも外れそうな箇所は無かった。
そうこうしていると、外から大きな音がしてその直後に地響きが起る。そしてそこで、歩夢は外の様子に気が付いた。
白いロボットから学校を守ろうとするコスモスのエネルギーが尽きかけていることに。
「コスモス…お願い、みんなを守って」
今まで例え夢の中でさえも助けに来てくれていたコスモスが窮地に陥っているのは、俄かに信じがたい状況だったが目をそらしても現実は変わらない。
とにかく今はこの場を離れて学校のみんなと連絡を取りたい。その一心で歩夢は行動を再開した。
一方で、先程菜生の拘束を解いた何者かがバルタンを追って宇宙船に侵入していた。
「やっぱりお前だったのか…」
バルタン星人は、宇宙船の制御室にその侵入者が近づいてきたのを感じるとそう呟いた。
『お前は復讐のために、罪のない者を巻き込みすぎた。今すぐ母星へ戻れ』
そう告げる女性の声は、どこか威厳を感じられた。
「オレの復讐は果たされた。そしてオレは、復讐のために故郷を捨てた。今更故郷には戻らん!」
『どうしてその力をバルタン星の為に使えなかった?』
「黙れ!お前には解らねぇだろうよ!宇宙の正義を名乗るお前にッ!」
そう叫ぶバルタンに対して、声の主は近寄っていき。ついに暗闇の中からその姿を現した。
赤い体に、胸と額に輝く青いランプ。その姿はまるで―
「オレを倒すか?だがそんなことをしても、この宇宙船を破壊してもラッヘは止まらない。ラッヘは上原歩夢の生命活動が止まるまで決して活動を止めることはねぇ!仮に破壊しても、上原歩夢は腕輪の機能によって死ぬ!どうあがいてもオレの勝ちだ!!」
そう、バルタン星人が歩夢の身体を乗っ取った時に腕に付けた金属質のブレスレットこそがラッヘの制御装置であり、ラッヘが活動を停止すればブレスレットが放電し歩夢の命を奪うという。菜生とコスモスが仮に勝利しても、心に傷を残すことができるように周到に仕込まれていたのだ。
『血迷ったか!?』
「じゃあな、宇宙の守護者さん」
そういってバルタンは背後のコンソールのボタンを押す。すると次の瞬間、宇宙船は大爆発を起こし宇宙の藻屑と果てるのだった。
そのころラッヘは宇宙船が無くなったことを察知すると、インプットされている目的を果たすための補給が行われないことを学習し、エネルギーの消費を絞るために一瞬停止した。
そんなことを知るはずもないコスモスは、なんとか立ち上がると再びラッヘへを駆けだすとそのままと飛び上がり、マッハ9で撃ちだされる急降下キック―ソーラーブレイブキック―を繰り出した。
「ダァァアアアッ!!!」
足先にエネルギーを集中させたことも相俟って、迎撃で繰り出されたビームを文字通り蹴散らしながら急降下しラッヘの装甲を蹴りつける。
ようやくダメージらしいダメージが入り、ラッヘの巨体が大きく仰け反った。そしてそのことが、まだ自分は戦えると菜生は自分を鼓舞するきっかけとなった。
(大丈夫!まだいける…戦えるッ!!)
そう菜生は自分を鼓舞すると、コスモスもそれに応じるかのように駆け出し拳の連打を浴びせようやくラッヘの身体が倒れた。
ラッヘを倒せば何が起こるかなど知る由もなく、菜生は純粋にみんなを守るためにその力を行使する。
ラッヘにようやくダメージが入ったこともあり、少しだけ戦況が好転し始めたコスモス。
このまま一切の反撃を許さず撃破してしまおうと両腕を広げ、太陽の如き灼熱のエネルギーを集める。
「ハァァアア…」
そのまま突き出した両腕を円を描くように回し、その手先から溢れるエネルギーはまるで太陽のフレアのようだった。
そのまま、かつてネオバルタンを倒した技—ブレージングウェーブを最大の出力で放とうとしていた。
するとラッヘは全身をバリアで覆い、防御の態勢に入る。
「ダァアアアアアッ!!」
全力で放たれたブレージングウェーブを、ラッヘはバリアで真っ向から受け止めた。
ネオバルタンにかつてはなった時とは違い、完全に破壊するつもりで放った一撃に対してラッヘの巨体は少し後退しただけで以降は両者拮抗したままになった。
(くぅ…ぶっ飛べぇぇええええええ!!)
「オォォォオオオッ……デェヤァアアアアア!!!」
更に出力を上昇させ、遂にコスモスはバルタンラッヘをバリアごと大きく吹き飛ばしてしまった。
だが、バルタンラッヘ本体へのダメージは殆ど無く。ただバリアを破壊しただけに等しかった。
だから、今度こそ完全に破壊する為にさらに攻撃を加えようと『ネイバスター光線』の構えをコスモスはとる。
しかし光線を放つためのエネルギーがコスモスにはのこっておらず、僅かにエネルギーを収束させるだけになってしまっただけでなく。そのエネルギーすらも霧散してしまった。
「もう、エネルギーが…」
その様子を見て、歩夢がそうか細く呟いた。
そしてラッヘがコスモスへと腕の銃口を向け、とどめを刺そうとエネルギーを充填させていく―その時だった。
『お前が上原歩夢だな』
「あなたは…?」
歩夢のもとに現れたのは、先程菜生の拘束を解いた宇宙人だった。歩夢の目の前に来たことで、その姿が明らかになった。
赤い体に銀と黒のライン、胸と額に青く輝くカラータイマーに胸を覆う銀色のプロテクター。
「ウルトラ…マン……?」
『私の事はいい。それよりそのブレスレットをこちらへ」
そう言って目の前のウルトラマンは歩夢に腕に嵌められているブレスレットを差し出すように要求する。
「これ、外れないんです…」
歩夢はブレスレットを外そうと試みたが外せなかったことを伝えると、ウルトラマンは歩夢の腕を取り反対の手の指先へ金色のエネルギーを集める。
「…ッ!」
そのエネルギーが自分の手に放たれると思い、咄嗟に後退ろうとする歩夢だったが。ウルトラマンの力は強く、握られた腕は全く動くことはなかった。
『大丈夫だ』
それに気が付いたウルトラマンは、歩夢にそう優しい声音で告げる。
そしてそのエネルギーを歩夢の腕に小さな光弾として発射。歩夢の腕に付いていたブレスレットだけを破壊した。
「あ…ありがとうございます」
『そこから外に出られる。お前はすぐに逃げろ』
そういうとウルトラマンはすぐにその場を去ってしまう。しかし歩夢は、あのウルトラマンの中にコスモスと同じ『優しさ』を確かに感じていた。
そして、コントロール装置が破壊されたことで、ラッヘはそのままビームを放つことなく静止してしまった。
だが残すエネルギーは僅か。コスモスは最後の力を振り絞ってプロミネンスボールをなんとか生成し、それをラッヘにぶつける。
上半身を消し飛ばされたラッヘは轟音を立てて爆発し、今度こそバルタン星からきた復讐者は完全に消滅したのだった。
それと同時に、コスモスのカラータイマーから光が消え。コスモスは赤い光に包まれて縮小していくようにして菜生の姿に戻ったのだった。
「はぁ…はぁ…なんであのロボットは、止まったんだろう?」
変身が解除され、そのままその場に力なく座り込んだ菜生はラッヘの動きが急におかしくなったのか不思議に思った。
だが、そんなことをいくら考えても答えがわかるわけもなく。呼吸が落ち着くのを待つのだった。
なんとか呼吸が落ち着くと立ち上がり、歩夢を迎えに行くためにビルの方へと歩き出した菜生。すると、その道中で同じ虹ヶ咲の制服に身を包んだ。胸元についている片翼をあしらった青い宝石の付いているバッジが印象的な少女とすれ違った。
「上原歩夢さんは無事です、早く迎えに行ってあげてください」
「え…?」
すれ違いざまにそう告げた少女に対して菜生は思わず振り返るが、そこには既に誰もいなかった。
「あの子が、助けてくれたの…?」
疑問に思うことは多々あるが、今は歩夢の無事を確認するべきだと気持ちを切り替える。
そして今回の謎のウルトラマンとの出会いが、カオスヘッダー以外の脅威が地球へと迫っていることに繋がっていくとは誰一人として思ってもいなかった。
「歩夢ッ!」
ビルの近くへと戻った菜生は、ビルの中から歩夢が出てくるのに遭遇する。
「菜生ちゃん?」
「歩夢、よかった!」
歩夢に気が付くや否や駆け出すと、菜生は歩夢の方を掴んだ。
「よかった…ほんっとよかった…」
そう息を切らしながらも安心する彼女の両手首から血が出ているのに歩夢は気が付いた。
「菜生ちゃん、これ…」
「へ?あぁこれ?さっき転んじゃって器用に切っちゃった…アハハ―」
「私が…やったんだよね?」
菜生の手を取って、怪我をまじまじと見つめる歩夢に対して菜生はそう笑って誤魔化そうとしたが歩夢は思いつめた表情で絞り出すように呟いた。
「違う!このケガに歩夢は関係な―」
「そんなことない!うっすらと覚えてるの…菜生ちゃんを私が鎖で……あれは絶対に、私だった…」
菜生はそんなことはないと言い張るが、歩夢は間違いなくこの手でやったことだと告げる。
「歩夢は悪くないんだ。バルタン星人があの時みたいに歩夢に乗り移ってやったんだ…」
「そっか…やっぱりあの子が……」
「あの子?」
「この前ね、前に仲良くなった子と別の子に出会ったの。でも最初それに気づけなくて…気づいたらいなくなってたと思ってたんだけど。その時に乗っ取られちゃったんだろうね…」
前というのは、恐らくバルタン星人が地球に現れた時の事だろう。あの時、防衛軍からコスモスの輝石を取り返してくれたバルタン星人。
きっとその子のフリをして、ラッヘを連れてきた個体は歩夢に近づいたのだろう。菜生とコスモスに復讐するための、尤も効果的な方法として。
「だから歩夢は悪くないよ、ね?今日はもう帰ろうよ」
そう言ってにこやかに笑いかけ、歩夢に手を差し出す。
「そ、そうだね…」
そう言って菜生の手を取ると、二人は家に帰ろうと歩み始めるとそこに二人を捜索していたSRCが駆け付け騒ぎになりかけるが「ウルトラマンが助けてくれた」と答えその場を凌ぐのだった。
(あの子は、菜生ちゃんを『ウルトラマンコスモス』って呼んだ。菜生ちゃんは、菜生ちゃんだよね…?)
帰り道、隣を歩く菜生を見て歩夢は自身が乗っ取られていた時のことを朧気に思い出していた。
(菜生ちゃんは、何を隠しているの?)
目の前の幼馴染に、子供のころ自身と彼女を手に乗せて空を飛んだ巨人の姿が一瞬重なって見える。
そして一瞬歩みが止まった際に少し前に出た彼女の背は、見た目以上に遠くに見えた。
「よかったんですか?」
夕暮れの道を歩きながら少女は独り言のように呟く。
もちろん少女の周囲にその言葉を投げかけられているであろう相手の姿は見えない。だが少女はそんなことは関係ないとでも言うかのように言葉を続ける。
「あなたがいいのなら私はこれ以上は触れません、でもあなたが加勢すればラッヘは簡単に倒せたのでは?」
彼女が話しかけている相手には、コスモスと同等以上の力を持っているらしい。だが、今回コスモスに直接力を貸すような真似はしなかった。そしてその理由は、今は明かされることはなかった。
それと時を同じくして、カオスヘッダーではない、また別の脅威が地球へと迫っていることも。この二人以外に知る者はいないのであった―。
今年一年、昨年連載していた前作と比較すると全然書くことができなかったのが心残りではありますが、私生活が多忙になったこともあって仕方のない面もありました。
来年中に完結を目標に更新ペースも上げていこうと思いますので、来年も引き続きよろしくお願いします。
それではみなさん、よいお年を