COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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2022年最初の更新が四月になってからで申し訳ないです。
四月になったことで僕がこの活動を初めて二年が経ちました。
初心に戻って、あの頃に近いモチベーションで書いて行ければなと思います。


33話 狙われたスクールアイドル

バルタン星人の襲撃から数日が経過し、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はついに初となるライブイベントを迎えることとなった。

 

「いよいよだね。…緊張してる?」

 

「うん…少しね?」

 

ステージ裏で衣装に着替えて自分の番を待つ歩夢に優しくかけた声に帰ってきた言葉は、少し震えていた。

 

「だよね。でもさ、歩夢には楽しんできてほしいな」

 

「え?」

 

「私はみんなを楽しい気持ちにするのがスクールアイドルだと思ってるから、やっぱりそのステージに立つ人も楽しくなくちゃなって思うんだ。だから歩夢には、いいパフォーマンスをしたいとか自分にプレッシャーをかけないで楽しんできてほしいな」

 

そして歩夢の手を取って、顔を近づけた菜生はさらに続ける。

 

「大丈夫、私は絶対歩夢を応援してる

 

そう言って菜生は「美月ちゃんといっしょに応援してるから!」と言って客席の方へと戻っていく。

 

 

 

 

あの日、バルタンラッヘと戦って以来。怪獣が現れることも、カオスヘッダーや宇宙人が現れることもなく平和な日々が続き、こうして同好会はようやく初めてのイベントでのステージを経験することになった。

 

そして、虹ヶ咲の中では一番最初にステージに立つことになったのが歩夢だったのだがみんな自分の準備があることも関係し、出番を直前に控えた歩夢を元気付けに菜生が来ていたのだった。

 

離れていった幼馴染の手の温もりが残る手のひらを見つめる歩夢は、暫くするとにこっと笑って立ち上がるとステージに向かって歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまたせ~」

 

「ちゃんとした部長なんだから最後まで向こうにいればよかったのに」

 

客席に戻ると、自分が座る分の椅子を確保してくれていた美月の隣に座る菜生だったが彼女にはそう言われる。

 

「私はみんなを応援したいから、これでいいんだよ。後ろにいたら、応援できないでしょ?」

 

「ははっ、菜生は相変わらずだな」

 

「どういう意味?」

 

「そのまんまだよ~ん」

 

ニヤニヤと笑って菜生をからかう美月は楽しそうだった。痛々しく包帯に巻かれていた腕は、ギプスは外れて動かすことはできる程度には回復していた。

 

流石に治りが早いようにも見えたが、本人曰く「あたしは鍛え方が違う」とのことだった。

 

「ほら、はじまるぞ」

 

そう言って二人はステージの方へと視線を向ける。ついに踏み出した、夢の舞台へと続く第一歩。それをたった今踏み出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言うと、みんな練習の時以上のパフォーマンスをすることができた。観客の投票によって、参加した個人のスクールアイドルに順位が付くのだが。上位三位内に入った人こそいなかったが、全員かなりの票数を得ることができていた。

 

そしてそれを踏まえれば、スクールアイドルフェスティバルのメインステージに一歩近づくことができたと手ごたえを感じていた。

 

「…はふぅ~すっごいよかったぁ」

 

「菜生はちょっと落ち着こうな?ずっとはしゃいでるから恥ずかしかったわ…」

 

客席でそう満足そうに呟く菜生の隣で美月がそう告げる。無理もない、虹ヶ咲のメンバーだけでなく。他校の生徒のライブにもずっと興奮しっぱなしだったのだから。

 

「ご…ごめんって。でもすごかったでしょ?それに美月ちゃんが曲を作ってくれたおかげだよ。本当にありがとう!!」

 

「はいはい、それも何回も聞いた。そろそろみんなのとこ行くよ、もう客席もほとんど人いないじゃん」

 

虹ヶ咲のメンバーのライブが終わるたびに飛んできていた感謝の言葉も10回を超えるて正直鬱陶しくなってきていた美月は、手を振りながらそう言って菜生に退出を促す。

 

みんなの所に行って、なんて声を掛けようか?そう思いながら、ホールの外に出た時だった。

 

 

 

 

 

『菜生、止まれ!』

 

「へ?―キャアッ!?」

 

突然脳内に響いたコスモスの声、それに反応して外への一歩を踏み出すのが遅れたことが菜生の命運を分けた。

 

「ちょっ!?いきなり止まるな…よ?」

 

前を歩いていた菜生がいきなり立ち止まったことに抗議の声を上げようとするが、

 

視線の先を黒い影が人間離れした速度で駆け抜けていった。

 

「…美月ちゃん、今の見た?」

 

「…見た」

 

そしてその影は、スクールアイドルの控室の会った方からだった。一瞬遅れてそのことに気が付いた二人は、控室の方に駆け出して行った。

 

「歩夢、みんな!!」

 

ノックも何もせず、控室の扉を壊すのではないかという勢いで開け放した二人だったが。そこは既にもぬけの殻。誰一人として部屋の中には居なかった。

 

「…どうなってんだ?」

 

控室の中に入り、周囲を見渡しながらそう美月が小さく漏らす。

 

菜生も周りを見渡すが、やはり人の気配はない。何か手がかりはないかと必死に周囲に意識を配るが、ロッカーから他の学校の生徒のモノだろうか?制服の袖がはみ出しているのが見える。

 

「ちょっとアタシ、イベント運営の人探してくるわ」

 

そう言って出て行った美月を見送ると、菜生はコスモスに語り掛ける。

 

(コスモス、さっきのは宇宙人…だよね?)

 

『そう考えるのが妥当だろう。会場にいるときは察知することができなかったが、さっきの影からは地球人とは異なるエネルギーを感じた』

 

(そっか…)

 

以前、ギギによって占領されていた音乃木坂に行った時のことを菜生は思い出していた。

 

あの時と同じようなことが、今度は歩夢やニジガクのみんなに起こっていて、近くにいたはずの自分が何もできなかったことが腹立たしくなり無意識に拳を握りしめると爪先が手のひらに血が出るのではないかというほど突き刺さっていた。

 

(急がなきゃ…じゃないとまたみんなが)

 

みんなを危険な目にあわせるわけにはいかない。せめてみんなが無事なのかを確認しなければと菜生は焦っていた。

 

だが、焦ったところで何も事態は好転しない。少しでも手掛かりを手に入れようと控室の中を手当たり次第に漁り始める。

 

「誰か…誰かいないの!?」

 

誰か一人でもいてくれれば、もしくはこの事態を引き起こした何者かの痕跡があればと思っての行動だったものの、なにも掴めなければどうしようもない。

 

何かあるとすれば、美月が探しに行ったこのイベントの運営側の人間が何か知っているのを祈るしかない。

 

そんな時だった。ロッカーの影からガタッという物音が聞こえた。

 

すぐさま音の方へと駆け寄ると、そこにいたのは璃奈だった。

 

「…璃奈ちゃん?無事でよかった」

 

「菜生さん?」

 

ロッカーの影に隠れて震えていた彼女を見つけて、ひとまず安堵した菜生だったが。すぐに他のメンバーがどうなったのかを彼女に聞いた。

 

「ねぇ、他のみんなは?」

 

「それは……」

 

菜生に見つかって安堵するも、その話題になったとたん再び表情を曇らせた。

 

「真っ黒な鳥みたいな怪物が、みんなを…」

 

「まさか、宇宙人!?」

 

璃奈の話が本当であるならば、その怪物が今回のイベントに出場したスクールアイドル達を攫ってしまったということになる。

 

(じゃあさっきすれ違った影はやっぱり…)

 

『恐らく、彼女の言っている宇宙人だろう』

 

(じゃあ決まりだね。さっきのやつを探す)

 

連れ去られたスクールアイドルの中には、もちろん虹ヶ咲の璃奈を除いた全員が含まれており。つまり歩夢が含まれている。その為か、自然と菜生の語彙も強いものになってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

「私が一番入口から離れた場所にいたから、愛さんが咄嗟に隠れるようにって言ってくれたから…でも怖くてみんなが連れてかれるとこ、見てない」

 

「でも、璃奈ちゃんが無事だったから。こうして対応が取れてるんだから気にしないで」

 

暫くして役員を探しに行っていた美月とも合流し、SRCの隊員たちによる現場検証が始まったのだが、相手の目的は解らないものの。狙いがスクールアイドルであるとみて間違いない。

 

周囲をSRCの隊員たちに囲まれている状態で、歩夢たちを探そうにも動けない状態だった。

 

「でもさ、なんでスクールアイドルなんだろうな?好きなのか??」

 

「好きが高じてやることが誘拐だなんて…」

 

「引くわ~って感じだよね」

 

一緒に保護された美月が不意に気にした宇宙人の目的。

 

確かに、以前音乃木坂に現れたギギやバルタン星人もそれぞれ移住や復讐といった明確な目的をもって活動していた。

 

ならば今回はどうなのか…?それがわかれば、相手の次の動きが見えてくるはずだが。このまま歩夢たちを連れて帰ってしまう可能性もある。

 

そうなってしまえば、もう手の出しようがない。目の前の友達は菜生が『ウルトラマンコスモス』であることなど知らない。今はただ、大人たちに頼る事しかできなかった。

 

だが―

 

(助けにいかなくちゃ…でも、どうやって?コスモスでも相手の気配をたどる事ができない。)

 

そういくら焦っても事態がいい方へと動くわけもなく。それどころか、しのぶの取り計らいによって今日は璃奈の家に両親がいないらしく。安全のために菜生の家に泊まることとなっている。

 

余計に菜生は勝手に動くことができなくなってしまっており、そのことがさらに菜生に追い打ちをかけていた。

 

「菜生さん、今怖い顔してる」

 

「え…?」

 

歯をギリリ…と音が出そうなくらいに食いしばって眉間に皺を寄せていた。そのことを璃奈に指摘されてようやくそのことに気づいた。

 

「いや…えと……」

 

「やっぱり、心配?」

 

「……」

 

その問いに、すぐに菜生は答えることができなかった。

 

次の瞬間だった。彼女たちを乗せた車が急ブレーキをかけて停止したのは。

 

「つぅ…璃奈ちゃん大丈夫?」

 

「うん、私は平気」

 

「みんな、早く逃げなさい!」

 

急停止した車によって、前に激しく揺さぶられた菜生はすぐさま璃奈の無事を確認するが。それをすぐさましのぶが逃げるように遮った。

 

そして、車の前方に立っていたのは。黒いスーツに身を包んだ人-

 

ではなく、その顔はまるでカラスのようで袖から出ている腕もおよそ人間とは思えないものだった。

 

そしてその異形は1体でなく、視界に入っただけでも5体はいる。しのぶはすぐさま懐から銃を取り出し応戦しようとするが、圧倒的に不利なのは火を見るより明らかだった。

 

「菜生!二人を連れて逃げなさい!!」

 

「お母さん―」

 

「早く!!」

 

母をおいて逃げることができないと言いたかったが、菜生は黙って頷くと車から降りて璃奈の手を引き。そのまま美月と三人で走り出したのだった。

 

「□□□ッ!!」

 

「ここから先は―」

 

そしてそれを追おうとする異星人だったが、すぐさましのぶが引き金を引き。明確な殺意を持って弾丸が放たれた。

 

「通さないわよ」

 

数の不利を感じさせず、しのぶは不敵にほほ笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「なんなんだよアレ!?」

 

「あの宇宙人が、みんなを連れて行ったの」

 

「じゃあ狙いは璃奈ちゃんか!」

 

走りながら初めて見る宇宙人にそう叫ぶ美月に対して、璃奈はそう告げると今度は菜生がそう叫ぶとスピードを上げる。

 

「でも、菜生さんのお母さんが…」

 

「お母さんは大丈夫!だって強いんだもん!!」

 

母しのぶももちろん心配であるが、相手は武器を持っていた。丸腰の女子高生三人が残ったところでしのぶの邪魔にしかならない。だからここでやるべきことは二人を守ることだと、菜生は思考を切り替えるしかなかった。

 

だが、異星人の数は多く。しのぶが5人もの異星人を一人で引き受けたものの、菜生達の背後には新たに3体の異星人が迫っていた。

 

(ダメ…二人の前で変身するわけにはいかない……なんとか逃げ切らなきゃ)

 

自分たちでは絶対に敵わない。だからと言って、二人の見ている前でコスモスに変身してしまえば。侵略者たちはコスモスを倒すために同好会のみんなを狙うかもしれない。

 

だからこそ、この局面で菜生は変身という選択を取ることができなかった。

 

その時だった。新たに2体の異星人が目の前に飛び出してきて。うちの1体が、構えた銃口が璃奈へと向けられたのは。

 

「-マズッ!」

 

「璃奈ちゃんッ!!」

 

気づけば菜生は身体が動いていた。璃奈を美月の方へと突き飛ばすようにして目の前に躍り出ると、銃から放たれた光線をまともに受けてまった。

 

「菜生っ!」

 

突き飛ばされた璃奈をキャッチした美月が菜生の名前を叫ぶ中、菜生は光線と同じ色の光に全身が包まれてしまった。




似たような話を去年やった?そんなことはございません。
これからの菜生の物語において、重要な話となっていきますのでなるべく早く次をかきたいと思います。
それではまた次回で
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