匿名投稿やめました。はじめましての方ははじめまして、そうでない人もはじめまして。
私が以前執筆していた作品と直接的な関わりはございませんので、知らない人も楽しめると思います。
そして、前作を知っている人はパラレルワールドのひとつの可能性としてお楽しみください。
バルタン星人とウルトラマンコスモスは地上に降り立つと同時に駆け出し、両腕のハサミを振り回すバルタンの攻撃を捌いていく。
左右のハサミをランダムに突き出すバルタン星人の攻撃を捌きつつ、コスモスはその腹部に蹴りを入れる。
それによって思わず仰け反ったバルタン星人は、両腕のハサミを突き出してコスモスへと突撃する。
だがコスモスは飛び上がると、そのままバルタン星人の頭上を飛び越えその背後に着地する。
そしてそのままバク転をすると一瞬でバルタン星人と背中合わせになるとそのまま相手の脇の下に腕を通して勢いよく前方に投げ飛ばす。
すると飛んでいったバルタン星人の身体は、そのままビルを踏みつぶしつつ着地する。
人類の介入することのできない次元での戦闘が、今人類の目の前で展開されていた。
バルタン星人は、コスモスに攻撃をずっといなされている事に苛立ちを覚え忌々しそうに腕を振る。
「フォッフォッフォッ…」
すると腕のハサミが裂け、その中から右腕は大剣、左腕は鋼槍のようになっている腕が顔を覗かせ、裂けたハサミの半分が肩へと移動しバルタン星人の全身はまるで全身に黒い甲冑を着ているような、全体的に刺々しい印象を与える姿となる。
「なに…?あれ…」
バルタン星人の変化に、菜生や歩夢。見ている人々は驚いた。
「テェヤッ!」
戦闘形態、『ネオバルタン』へと変化したバルタン星人は今度こそコスモスを倒すべく畳み掛ける。
「ヤァッ!」
それに対してコスモスも駆け出し、先程までと同じように攻撃を素早い身のこなしで躱し、避けれないものは腕や脚を使って捌き、受け流していく。
するとバルタンは右腕の刃を振りかぶって、離れた距離にいるコスモス目掛けて振り下ろす。すると無数の剣状の光線―バッドナイフ―がそこから放たれてコスモスへと殺到する。
するとコスモスは一瞬で後退すると、全身を使ってそれを全て叩き落しながら高速移動で少しずつ距離を詰め直していく。
すると粗方叩き落として一瞬緊張の緩んだコスモス目掛けてもう一度同じ攻撃を放つが、今度は高速移動で後方に下がり体勢を立て直したコスモスに再び叩き落される。
ならばと今度は軌道に変化をつけ、正面から無数に迫りくる刃を叩き落しているコスモスの背後へと回り込ませコスモスに背中を向けさせる。
すると今度は鋼槍のようになっている左腕から光の鞭―バンドルコード―を放つ。するとバッドナイフの迎撃でバルタンに背を向けていたコスモスは反応が遅れ、コスモスの身体に巻き付き両腕の動きも封じられてしまう。
「ディヤッ!」
「グワァァアアアア…」
さらにバルタンが力を込めると鞭に電撃が走り、コスモスへとダメージを与えていく。
そしてバッドナイフを打ち切った事で鉤爪状に変化した右手で鞭を引っ張り、そのままコスモスを締め付けていく。
「ウルトラマン…」
「コスモス、頑張って!」
苦戦するコスモスに、菜生はそう声を張り上げる。そうしていると、バルタンはコスモス目掛けて毒ガスを放出する。
毒ガス攻撃まで受けてしまってはひとたまりもない。そこでコスモスは力を振り絞って力づくで鞭を振りほどくと、高速移動で滑るように後方へと移動して距離を取る。
「ィヤァッ!!」
するとコスモスは右腕を突き上げる。すると周囲に赤いエネルギーが尽き上げた拳を中心にアーチ状に幾重にも展開される。そしてコスモスは左手も掲げ、ゆっくりとその光を身に纏うように腕を下す。
「ハアァァア…」
赤い光を身に纏ったコスモスの姿は、これまでとは全く違うものに変化していた。頭部のトサカのような箇所は額側の方が大型化し、額の前は赤く染まり横から見ると三日月のように削れたデザインとなり。全身は赤く染まりシルバーと青のラインが左右非対称に走る。
「ダァッ!!」
先程までと違い、低く勇ましい声で拳を握りしめてコスモスはファイティングポーズを取る。
ネオバルタン同様に、コスモスも戦闘に特化した形態へと変化する。
「凄い…」
その変化に、菜生も歩夢も圧倒される。
バルタンとコスモスは同時に駆け出すが、コスモスは高速移動を織り交ぜており。実際の動きに対して倍近い距離を移動しつつ間合いを詰めていく。
バルタンは左腕の鋼槍で裏拳を繰り出すが、真っ直ぐ高速移動で突っ込んできたコスモスの右拳にあっけなく粉砕されてしまう。すると左手を素早く鉤爪へと変化させると、そのまま過ぎ去っていったコスモスに対して構える。
対してコスモスもバルタンへと向き直ると、お互い格闘戦へと突入する。鉤爪でコスモスの身体を引き裂こうとするバルタン星人を、コスモスは両腕でその攻撃を次々と防いでいき逆に胸元を殴りつける。
さらにバルタン星人の放つ回し蹴りもしゃがんで回避し、その隙をついて的確に拳を叩き込んでいくコスモスはそのまま一方的に押し切りバルタン星人を後退させる。
だが大振りに振りぬいた拳をしゃがんで回避したバルタン星人は、コスモスへとそのまま抱き着くと。持ち上げてそのまま自身の背後に落とそうとした。
だがそんな投げの攻撃は、なんと地面に背中が付く前にコスモスは空中に制止し、そのまま高速移動によって一瞬で距離をとるとそのまま体勢を整えてから着地した。
そのままコスモスは高速移動でバルタン星人の背後に回り込む。バルタンもすかさず反応し、一瞬で移動するコスモスの方を向くが。そのたびにコスモスは再び高速で移動し、目にも止まらぬ速さでバルタンの背後を取り続ける。
そしてバルタンの反応が遅れた隙に駆け寄り、その胸元を殴りつける。バルタンも負けじと腕を振るって反撃するがコスモスはそれを振りほどく。
お互い高速移動を用いるも睨み合いが続く。するとバルタンは両腕を組むと、左右に残像を創り上げながら高速でコスモスの周囲を移動する。
「フォッフォッフォッ……」
気がつけばコスモスの周囲に6体のバルタン星人が現れる。だがコスモスも同様に分身を作り出し、6対6の戦闘に発展していく。
だがお互いに分身同士の戦闘はほぼ互角で、バルタン星人は分身を消しコスモスから離れた位置に再出現する。それに応じて背中合わせだったコスモスの分身たちも同時にバックステップを踏むと一体のウルトラマンに戻る。
そして両者同時に駆け出すと、コスモスはバルタンの胸元を殴りつけ突き飛ばすと反撃を許さずにさらに蹴りを放つ。
重い蹴りを腹に受けて思わずよろけるバルタンだったが、すぐに体勢を立て直すと駆け出す。しかしコスモスにその攻撃は届かず、合気道の様にあっさりとバルタンの身体は宙を舞う。
「フンッ!」
再び拳を握りしめ構えるコスモスに、バルタンも起き上がると駆け出すが繰り出す拳は撃ち落とされ逆に肩に裏拳を食らい体勢が崩れると今度はコスモスに持ち上げられ放り投げられる。
そのまま空を舞うバルタンの巨体はビルへと落下し、ビルを粉々に押しつぶす。
そしてコスモスは再びバルタンへと駆け寄ろうとするが、バルタンは上体を伏せると肩のアーマーをコスモスへと向ける。そしてアーマーが逆立ち無数の針をそこから発射する。
バンプスプレーと呼ばれるその攻撃がコスモスへと殺到すると、コスモスは両腕を広げ浮き上がると高速で配転し全て叩き落していく。
全て撃ちきると、バルタンの肩のアーマーは消失してしまう。撃ちきった事を確認するとコスモスはゆっくりと着地する。無傷のコスモスにバルタンは悔し気にするが、コスモスは今度はこちらの番だと言わんばかりに両腕を広げると胸元に気を集中させる。
そして両腕を前に突き出し、手の間に光球を創り上げるとその光球はかなりの熱量なのか。周囲にできた光の輪の付近の景色が歪む。
「デリャアアアア!!」
そしてその光球を両手で押し出すと、炎の圧殺波動―ブレージングウェーブ―として放出する。
その一撃をまともに受けたバルタンは圧し飛ばされ、背後にあったビルを次々倒壊させてしまう。
5棟ほどなぎ倒してようやく止まったバルタンは、ヨロヨロと立ち上がる。そんなバルタンにコスモスは再び構えを取るが、バルタンは右手を上げて降参の意志を伝える。
するとコスモスは構えを解く。するとバルタンは腕を降ろし、その目には涙が伝っていた。
「なんだか、かわいそう…」
そんなバルタン星人の様子を見て、歩夢も涙を流す。そんな歩夢たちが見つめる中、バルタンの胸がはれ上がり、苦し気な声を上げる。
そしてそれが収まると、バルタン星人は糸が切れたように倒れ込み二度と動くことは無かった。
滅びゆく母星を出て、新天地を目指してこの地球へやってきたバルタン星人は自害する道を選んでしまったのだ。せめて子供達だけでも、この星で幸せにしたかっただろうに。
そんなバルタン星人の亡骸にコスモスは歩み寄ると、両腕から虹色の光の粒子を放出する。その光に包まれたバルタン星人は、禍々しいネオバルタンから元の姿へと戻される。
そしてコスモスもまた、全身から赤い光を放出すると元の青い姿へと戻る。
すると箱舟から無数のバルタン星人の子供たちが、親の亡骸へと向かってくる。コスモスはそんなバルタン星人を抱え上げると、子供達へと引き渡すのだった。
バルタン星人の力による地球侵略は防がれたが、この光景を見てそれを喜ぶ人間は存在しなかった。地球から発された、宇宙の未知の生命とのコンタクトを求めた電波を招待と解釈したバルタン星人と。そんなバルタン星人を侵略者と断定して攻撃してしまった人類。
どちらが良い、どちらが悪いという話ではないのだから。
「バルタン星人の子供たちが望んだのは、きっと地球の人たちと仲良く暮らす事だったのに…」
「歩夢ちゃん…」
短い間だったが、バルタンの子供と一体化していた歩夢にはきっと。彼らの気持ちを理解していたのだろう。だからこそ、この結末に涙を流した。
そして箱舟から、バルタン星人の子供達からのメッセージが送信された。
『私達自身が穢してしまった、私達の星と運命を共にします。さようなら』
他の星で暮らす事ではなく、あくまで滅びゆくバルタン星と最期まで運命を共にすることを子供たちは選んだのだった。
『そして最後に、地球の子供達へ。決して、夢を失わないでください。大人達が夢を捨てて、現実を追い求めた結果が私達の星の破滅だったからです。』
そうメッセージを残したバルタンの箱舟は、一瞬で地球の重力を離脱するとそのまま空の彼方に消え去って行った。そしてその後には、虹が架かっていた。
その後菜生は、コスモスの前に一人立っていた。コスモスは菜生に気がつくと、菜生をまっすぐ見つめる。
「ありがとう。ウルトラマンコスモス」
そんなコスモスの目を見て、菜生はそう告げる。コスモスが居たから、地球は侵略を受けずに済んだ。悲しい結末だったが、バルタンの子供たちと心を通わせることは出来たのだから。
『菜生、君には夢を失わないでほしい』
コスモスはそんな菜生に優しく語り掛ける。
「夢?捨てないよ。わたしは絶対、大人になっても!」
そう菜生が伝えると、コスモスはゆっくり頷くとしゃがみこみ菜生を指さす。
『君がこの星を守る、真の勇者になるのだ。決して夢を諦めず、その勇気で皆を救える。そんな勇者に』
「うん、やってみるよ」
『ありがとう。菜生、この星で最初に出会えたのがキミで本当に良かった』
そう告げるとコスモスは立ち上がると空を見上げる。
「シュウワッ!」
そしてコスモスは両腕を掲げ、青空へと飛び去って行った。
「さようなら、ウルトラマンコスモス!」
菜生は笑顔で大空に手を振るのだった。飛び立ったウルトラマンコスモスが見えなくなる、その瞬間まで。
そして気がつけば自身のもう片方の手の中に何かを握っていたとに気がつく。そしてその手を開くとそこには、かつてコスモスから貰ったものと全く同じ輝石が入っていた。
コスモスを呼んだ時に無くなったと思っていたが、コスモスはまた菜生にそれを授けたのだ。友情の証として。
「菜生ちゃん」
気がつくと後ろに歩夢が立っていた。菜生は彼女を見てニッと笑うと。
「また会えるよ。きっと」
そう告げるのだった。そして―
「だってこれは、『ウルトラの星への扉』だから」
夢を追い続ける人には、本当に夢のような出来事が訪れるのかもしれません。
夢を失わなければ。きっと、あなたのところにも―
これにて0章完結です。
次回からは、本格的に虹ヶ咲学園のみんなが物語に関わっていきます。
それではまたお会いしましょう。