COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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今回0章から通算で50話になります。ここまで長かったですね。
前作が全75話で7か月で完結したことを考えると余計に…
今回ちょっと試験的に前作と合わせて全くやってこなかった事を試してみました。
ご意見いただければ幸いです。


45話 無敵級のその勇気で

黄金の輝きを身にまとい、ウルトラマンコスモスの身体は新たな変化を遂げる。

 

「ウルトラマンが、また変わった…」

 

「菜生ちゃん…」

 

日食が終わりをつげ、再び空には太陽が輝き青空が広がる元、姿を変えたコスモスに息を呑む。

 

赤と青に銀体に金のプロテクターといったこれまでより派手な印象を与える模様にコロナともルナとも違う頭部。さらにはカラータイマーの周りも銀から金へと変化した。

 

『優しさ』から『強さ』へ、そして『勇気』を司る姿へ進化する。

 

太陽と月が重なる金環日食の溢れるフレアの如き、神秘の巨人―エクリプスモード―が誕生した。

 

「ハァアアッ!ヘアッ!!」

 

腰を落とし、正拳突きの様な構えを取る。掛け声も、ルナより低い声だったコロナから更に低い声になった。

 

進化したコスモスの姿を見たカオスヘッダー・メビュートは、目と口から怪光弾を先ほどまでとは比較にならない勢いで連射し、弾幕を形成した。

 

だがしかし、コスモスはその弾幕の中に駆け込んでいき子気味良い金属音のような音を立てて全ての光弾を弾き飛ばしながら肉薄しそのまま胴体に、右の拳を握りしめて鋭い正拳突きを食らわせる。

 

腰の入った重い一撃。更に左の拳からも一発、更に右拳のアッパーカットを撃ち込む。

 

更によろけたところに飛び掛かり、腹と顎に二段蹴りからの回し蹴りでメビュートの脚を刈り取り、巨体を地に転がせる。

 

「ヌォォオオオオ!!」

 

転ばした後も、コスモスは追撃の手を緩めることはせず、メビュートの脚を掴むとジャイアントスイングの要領で放り投げる。

 

前回の戦いではフルムーンレクトで消耗しており、コロナモードへのモードチェンジすらままならない程エネルギーが残っていない状態での戦闘だったので全然歯が立たなかったが、今回は違う。

 

苛烈な攻めによって、メビュートを圧倒して見せた。

 

メビュートは、念動弾であるデストログビームが先のコロナモードに対しても有効だった事から、起き上がりざまにデストログビームと、目から怪光弾を乱射する。

 

コスモスはこれに対して、金色に輝く半球状の光の膜―ゴールデンライト・バリア―を展開。完全に攻撃を防いで見せると、バリアを前方に押し出してこれをメビュートにぶつける。

 

自身の放った攻撃とバリアの両方をぶつけられ、メビュートの態勢が崩れる。

 

「ハァアアアア……」

 

その隙を見逃さず、高速移動で一瞬で零距離まで接近。右の拳に黄金の光を集中させ、顔面目掛けて真っ直ぐに打ち込む。

 

『ダイヤモンドクラッシュ!!』

 

黄金の拳が顔面を捉え、そのまま振り抜かれる。圧倒的なエネルギーを纏った拳は、そのままメビュートの顔面を消し飛ばす。

 

だが、カオスヘッダーは光のウイルス。直ぐに実体化を解いて、虹色の光の集合体となりコスモスから距離を取ってから再び実体化する。

 

そして、足元に倒れていたリドリアスの首を掴んで立たせると、コスモスに対して盾にする。

 

「リドリアスが…」

 

「なんて卑怯なんですか!」

 

コスモスを倒す為に、カオスヘッダー・メビュートも手段を選べる状況ではなくなった。何としてでも、コスモスを倒す為にコスモスが攻撃できないであろうリドリアスを盾にすることを選んだ。

 

「キュィィイィイ!」

 

だが、カオスヘッダーに盾にされた状態でリドリアスは鳴く。その様子は、まるで自分に構わず撃てと言っているかのようだった。

 

『解った。リドリアス、いくよ―』

 

その様子を見たコスモスは頷くと、胸の前で両腕をクロスする。その動きに、寸分の迷いもない。

 

「ハァアアアア……」

 

リドリアスがどれだけ菜生に懐いていたか良く知っている歩夢はにはコスモスと菜生の行動が理解できなかった。

 

コスモスは左右の腕をゆっくり体の外へ向けて円を描くように回し、再び体の前で右ひじを支えるように左手を添えてL字を作る。

 

「う…撃っちゃうんですか?あの怪獣、菜生センパイの大好きな怪獣だって言ってたのに…」

 

「菜生ちゃん、ダメーッ!!」

 

リドリアスを殺さないで。その一心で叫ぶ歩夢の視線の先で、コスモスは収束させたエネルギーを右の拳に収束させて、それを前方に突き出して一気に解き放つ。

 

『―コズミューム光線ッ!!』

 

限界まで収束した金色の光は、一直線にリドリアスとカオスヘッダー・メビュートの身体を貫く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして、カオスヘッダー・メビュート()()を跡形も残さず粉微塵にして消し飛ばしてしまった。

 

金環日食の光を得て生まれたこの力が、奇跡を起こしたのだ。

 

コスモスは、リドリアスの無事を確認すると共に折れた翼を光の力で修復する。

 

すると、リドリアスは飛び立ち鏑矢諸島の自分の巣に帰っていった。

 

コスモスはリドリアスを見送ると、腕をクロスさせ光を放つ。その光が円柱状になり全身を囲むと、コスモスの身体は収縮していきやがて一人の少女の姿となる。

 

菜生は肩で息をしながら、右手に持ったコスモプラックを見つめる。

 

この数日間失くしていた記憶を取り戻し、コスモスと再び一体化した事で得た新たな力を象徴するかのように。つぼみの中の輝石は、光輝いていた。

 

「ありがとう、コスモス。みんなを助けてくれて」

 

『この力は、君が呼び起こしたものだ』

 

「私の…?」

 

『あぁ、あの光が無ければ私はもう一度戦うことは出来なかった。私の力は、君達に光を貰っても回復しきれない程までに消耗していた。』

 

コスモプラックから、コスモスの声が伝わってくる。

 

『あの日君と分離したのも、あのままでは君の命も危なかったからだ』

 

今までの戦闘でのダメージは、コスモスのお陰で菜生の肉体にまで及ぶことは無かった。そもそもの一体化した理由も、あの日そのままでは菜生は命を落としていたからだ。コスモスは、菜生の命を守る為に一体化している。

 

しかし、この前の敗北のダメージは凄まじく。菜生を死なせない為に、ギリギリのタイミングで菜生と分離して菜生の命だけでも守ろうとした結果だったのだ。

 

その結果、菜生自身は命に別状はない状態で救助される事が出来た。

 

だがその時点では、菜生を完全に蘇生できていなかった。その状態でも、何とか菜生を生かそうとした事の代償が、この二カ月間の記憶だったのだ。

 

「コスモス、ありがとう。あなたのお陰で、私は今生きてる」

 

コスモスに礼を言う菜生は、再び心に誓う。父との約束、そして自分の―みんなの夢を叶えることを。

 

「菜生ちゃん!」

 

「せんぱ~い!」

 

背後から聞こえてきたのは、歩夢とかすみの声。菜生も声の方へと振り返ると、二人の方へと駆けだした。

 

「ふたりとも、ケガはない?」

 

「私もかすみちゃんも大丈夫。菜生ちゃんの方こそ大丈夫?」

 

「私は大丈夫!全部思い出せたし、皆のお陰だよ」

 

皆の優しさと勇気が、今回の奇跡を呼び寄せた。そのお陰で、菜生は記憶を取り戻せただけでなく。エクリプスモードへの進化も手に入れたのだ。

 

「菜生ちゃん、話してくれるよね?」

 

「―今まで黙っててごめん。全部、話すよ」

 

菜生は、歩夢とかすみに今まで起きたことを全部話した。

 

ウルトラマンコスモスと一体化した時の事を、そして自分がやりたい事を。

 

「じゃあ、あの時わたしを庇ってくれたウルトラマンは…」

 

「うん。私」

 

「バルタン星人の子が、復讐の相手って言ってたのは―」

 

カオスジラークの攻撃から守ってくれたのも、菜生がコスモスだったから。

 

バルタンラッヘが現れた時に、菜生が狙われたのもかつてコスモスを呼んで、ネオバルタンと戦わせたと思われていただけでなく。一体化していたからだった。

 

「みんなには、言えなかったんだ…。打ち明けるのが怖くって…」

 

皆に心配させる。知ってしまったことで、コスモスや菜生を狙う悪意からの脅威に晒されるんじゃないか?そう思うと、誰にも言う事が出来ずにいた。

 

だけど、菜生は戦う前に言った通り。全てを打ち明けた。

 

「ありがとう。打ち明けてくれて」

 

幼馴染のこの言葉で、菜生も気持ちが楽になった。

 

この日は結局、この後家に帰ってすぐに菜生は眠ってしまったので退院祝いは出来ない仕舞いになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菜生は翌日から学校に復帰し、放課後も同好会の練習に出席した。

 

「菜生さん退院おめでとうございます!」

 

「ありがとうせつ菜ちゃん」

 

部室に入って、最初に声をかけてくれたのはせつ菜だった。

 

「みんなも、心配かけてごめんなさい!でももう大丈夫、高田菜生完全復活です!!」

 

記憶も戻った。検査も異状なく今まで通りの生活に戻って良いと言われている。だから、それをアピールしようと元気よく大げさ気味に言ってみる。

 

「でもその包帯…」

 

「まだ制服は冬服も合服も着用許可でてないから仕方ないよ」

 

「でもやっぱり痛そう…」

 

元気に腕を振ったりして見せるが、まだ切り傷が残っている事もあって包帯は完全には取れていない。まだ制服も夏服で半そでなので余計に目立ってしまう。

 

それを心配そうに見るしずくと璃奈には、まぁ仕方ないと笑って答えていた。

 

「でも本当に良かったよ。なんともなくって」

 

「菜生ちゃんもなかなか強運の持ち主だよね~」

 

「あはは…本当にラッキーでしたよね……」

 

エマと彼方ともそんなやり取りをしつつも、周囲は怪我の復帰だけでなく。記憶も戻ったとの事で安心していた。

 

そして話題は、オープンキャンパスへと移っていく。

 

「そういえば、オープンキャンパスってどうなったの?」

 

「それが…」

 

菜生が休んでいる間に、オープンキャンパスは目前に迫っている。部活紹介として、ライブをさせてもらえるかどうかが決まっているのかを菜生は知りたかった。

 

だが、生徒会長でもあるせつ菜の口から伝えられたものは好ましいものではなかった。

 

「やはり、うちの学校は部活数が多いこともあって一つの部活が使える時間は短いものになってしまいました。ですから、ビデオでの宣伝という形になります」

 

「そっか。まぁでも仕方ないよ」

 

仕方がない。そう口には出したものの、折角活動を再開した同好会はまだ数回しかライブを行うことができていない。

 

このままだと、今年度中に碌な活動ができないまま終わってしまうかもしれない。

 

どうしたものかと菜生は頭を悩ませる。

 

そうこう話をしていると、部室のドアが開いた。

 

「こ、こんにちは~…」

 

部室に入ってきたのは、虹ヶ咲学園の制服ではなかった。入ってきたのは、斉藤加奈とサラ・マリーネだった。

 

「あなた達、青蘭高校の」

 

「はい。今日は、ニジガクの皆さんに相談があって来ました」

 

「相談って?」

 

「スクールアイドルフェスティバルがなくなったでしょ?合同ライブ、やりませんか?」

 

スクールアイドルフェスティバルが現在の社会情勢の兼ね合いもあって中止となった今、ライブを一緒にやらないかという話を持ち掛けられた。

 

「ライブ?やりたい!やりたい!」

 

その提案に真っ先に菜生は食いついた。丁度自分たちの悩みを解決する方法を持ってきてくれたのだ。断る理由はない。

 

「いいねぇ~」

 

他の面々も、ライブにはかなり乗り気だった。

 

「毎年都内の学校には声をかけてて、大体3~5校くらいでやってるんだけどね。ニジガクのみんなとはこの前出会った縁もあるし、もしよかったらどうかなって思って」

 

「開催予定は、今月末の日曜だ。急な誘いで申し訳ないけれど、スクールアイドルフェスティバルの中止を受けて例年より少し早める事になってしまったんだ。フェスを楽しみにしてくれていた人たちに、できるだけ早くライブを見てもらいたいのが現在参加予定の皆の総意なんだ」

 

加奈の提案に捕捉するようにサラが続ける。

 

「急ではありますが…その日程なら問題なく出られるはずです」

 

「じゃあ決まりだね!」

 

「ありがとうございます!皆さんならそう言ってくれると思いました!」

 

せつ菜が今月の行事の確認して、問題ないであろう事を教えてもらうともう断る理由はなかった。加奈は参加の意を示してくれたことに顔を輝かせる。

 

「フェス用に準備してた事を、出し切るチャンスだしね」

 

「愛さん燃えてきた~!」

 

「詳細は追って連絡します。今日はこれで失礼します」

 

「じゃあまた!」

 

そう言い残して、サラと加奈は帰っていく。

 

「サラちゃんって、この前菜生ちゃんと話してたよね?今日の事だったの?」

 

「へ?あぁ…えっと、違うよ?ほら、サラちゃんも私と一緒でスクールアイドルではないからさ。その観点で色々聞いてみたんだよ」

 

歩夢に、夏休みにサラと話していた事を聞かれて菜生は咄嗟にそう答える。

 

コスモスの事は歩夢も知っているが、流石にサラが宇宙人であるという事を勝手に話すわけにはいかない。

 

そう思っての判断だった。

 

実際問題として、現在地球では宇宙人に対していい感情を持っている人は少ない。

 

地球史において宇宙人と友好的な関係を築けた事は、現在ないと言って良い。

 

その上での先日のレイビーク星人の一件といい、バルタン星人やワロガの件もあっての事があってなので仕方のない面は大きい。

 

サラ以外にも地球に住む宇宙人は居るかもしれないが、宇宙人であることを公にしている者は恐らく居ない。

 

「それより、ライブ頑張ろうね!私もいっぱいサポートするから!!」

 

目標とするライブがなくなっていた同好会に舞い込んだ合同ライブ。全員、ライブに向けてやる気は十分。全員、そのライブで最高のパフォーマンスをするために動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

スクールアイドル同好会の部室を後にした加奈とサラ。

 

サラは、校舎の外に出た際にすれ違った一人の生徒に違和感を感じて立ち止まる。

 

(なんだ?今の感じ、人間のものではない…?)

 

「サラちゃん?どうしたの?」

 

「いや、何でもない。学校に戻ろう」

 

突然立ち止まるサラを心配して引き返してきた加奈に対して、サラはそう答えると二人は虹ヶ咲学園の外に出て自分たちの学校へと戻っていくのだった。




次回 「私は宇宙人」

まず今回やってみたことですが、読んでいただければわかる通り必殺技名を叫んでます。
今までやってきませんでしたし、正直最近までウルトラマンが頻繁に技名叫ぶの好きじゃない派でした。
ただ最近、技名言った方が何やったかわかりやすいんじゃないか?と思いお試しでやってみました。
叫んだ技名第一号が「ダイヤモンド」クラッシュでサブタイが無敵級ですが深い意味はありません。
ただ、殺意マシマシで戦ってる感が出る技だなぁと思って選んだだけです。本当なんです!信じてください!
あとアニメで言う二期に相当する話に入っていきます。そろそろメンバー増えます多分(書き始めたころはまだ栞子がスクスタに出てきた頃だったのもあって整合性に頭を抱える日々)
では次回でお会いしましょう。
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