COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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新章開幕です(今?って思ったそこのあなた、その感性は正しいです)
スクスタ時空とアニメ時空のどっちつかずな世界観で話が進んでいきます。
ご了承ください


2章 THE_BLUE_PLANET
50話 命産まれる海


「ん~…もう朝かぁ……」

 

ギリバネスとの戦いから二日が経過した朝、菜生は布団をかぶったまま手だけ外に出してけたたましく鳴り響くスマホのアラームを止める。

 

なんとか布団から這い出ると体を伸ばす。

 

二度の変身とエクリプスモードでの戦闘によってか、菜生は疲労で昨日はほぼ寝て過ごすことになってしまったのだ。

 

圧倒的な能力を持つエクリプスモードでの戦闘はまだ二度しか行っていないが、その能力の高さの代償なのか使用した際に発生する負担は菜生にそのまま降りかかってきた。

 

しかし、現状カオスヘッダーへの唯一の対抗手段となってしまっている以上菜生とコスモスはこの奇跡の力に頼らざるを得ない。

 

二晩明けた今でもまだだるさが抜けないままだが、今日から学校なのでそうもいっていられない。

 

重い体に鞭打ち何とかベッドから這い出ると、いつも通りベランダに出る。すると隣の部屋のベランダには丁度歩夢がいた。

 

「菜生ちゃんおはよう」

 

「おはよう歩夢」

 

「大丈夫?無理そうなら学校お休みしても」

 

「いや行くよ。もう平気!」

 

心配そうにしている歩夢に菜生は笑って大丈夫だと告げ、二人は普段通りに学校へと向う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも通り登校し、いつも通り校舎の中に入ったところでお互いそれぞれの教室に向かう。

 

もう当たり前になっていたそんな朝。菜生は自身の教室に入ると、二人のクラスメイトから話しかけられた。

 

「そういえばさ~」

 

「どしたの急に?」

 

「菜生は知らないんだ?海外から転入生が入ったんだって!」

 

この時期の転入生というだけで珍しいのだが、それが海外からとなれば余計にだ。目を輝かせている同級生に菜生は少し気圧される。

 

「ていうか、私たちのクラスに来るの?」

 

「いや、音楽科と普通科に一人ずつってハナシ」

 

「じゃあ私達会う事無いんじゃない?」

 

科が違うなら部活などで一緒になることがない限り関わることは無い。そう菜生は思ったが、菜生の前にいるもう一人のクラスメイトも気になって仕方がない様子だった。

 

「え~?でもわたしも気になるし~菜生ちゃんも行こうよぉ」

 

「それに珍しいからって見に行ったりしたら迷惑だし」

 

ただでさえ生徒数が多いこの学校で、他の科の人間が転入生を珍しがって教室に行ったら迷惑になる。菜生の言っている事は正論だったが、やはり周りは気になっている様子だった。

 

「てか、菜生は興味ないの?」

 

「ん~…興味がないというか、今はちょっと他の事で手一杯というか…」

 

「スクールアイドルの事?」

 

「まぁね。今度合同ライブもやることになったから、その為にできる事は全部やりたいからさ」

 

今月末に行う。青蘭高校や、まだ知らされていないが他にも何校かと行う合同ライブの為の準備がある。

 

スクールアイドルフェスティバルが開催されない今。折角舞い込んできたライブだから、絶対に成功させたかった。

 

「菜生も頑張るよね」

 

「やりたくてやってるからね。大変だけど、これは今しかできない事だから」

 

「青春だねぇ~」

 

なんて年寄り臭い言葉をかけてくる同級生二人を前に、菜生は手元のノートに視線を移す。

 

そこにあったのは作曲用のノートで、もう一息で完成だと言えるところで数日止まったままになってしまっている。

 

幸か不幸か今度の合同ライブでやる曲は、スクールアイドルフェスティバルに出るために用意していたものを使用することになっている。

 

だから今作っているのは、その次の文化祭か他のライブイベントが行われればそこで披露できるようにと作業を進めているものだった。

 

「今しかできない事だし!命短し恋せよ乙女ってね」

 

「菜生それ、絶対違うと思う……」

 

「ハイみんな席について、ホームルームを始めます」

 

そんなやり取りをしていると、担任教師が教室に現れてホームルームが始まり。学校での一日が始まっていく。

 

学校での一日は、平和なものだった。先日のオープンキャンパスでの宇宙人騒動なんて最初からなかったかのように。

 

それほどまでに、彼女たちに生活の中に怪獣や宇宙人が街に現れる事件が発生することは日常になってしまっている事も現していた。

 

 

 

 

 

そして昼休みになると、クラスメイト達はそれぞれ購買に昼食を買いに行く者や机を寄せ合って弁当を食べるものと、おもいおもいの行動する。

 

菜生も筆記用具を鞄にしまい、購買へと向かおうとしている時だった。

 

「すいません、高田菜生さんはいらっしゃいますか?」

 

「菜生ちゃん、お客さんだよ~」

 

教室の扉の方からする声の方を向くと、菜生へ向かって手を振っている同級生と、その隣には一年生の制服を着た少女が立っていた。

 

「今行きま~す」

 

そう言って教室の扉の方へと向かうと、その少女を連れて人気の少ない階段の踊り場へと移動する。

 

「で、今回はどうしたの?三船さんだっけ?」

 

「先日の件なのですが、ありがとうございました。私達は訳あってまだ動けませんでしたから」

 

先日の件というのは、ギリバネスの件だろう。この学校に宇宙人がいるという情報を菜生にもたらしたのは彼女なのだから。

 

「私は、自分にできる事。やりたいことをやっただけだから気にしないで」

 

「それに―」と菜生は続ける。

 

「オープンキャンパスの時と、私がバルタン星人に捕まった時に助けてくれた赤いウルトラマンは、あなたの中にいるんでしょ?私の方こそありがとうだよ」

 

「いえ、あの人は今力の殆どを失っているのであのくらいしか―」

 

そう言って、左胸に付けている青い宝石をあしらったバッジに指をかける。恐らくそれが、菜生とコスモスにとっての輝石もしくはコスモプラックに該当するものなのだろう。

 

「力を失う?」

 

「えぇ、ですのであなた方を頼るしかなかったのです」

 

詳しい事情は教えてくれそうにないが、どうやら彼女たちだけで解決することができないから菜生とコスモスをあてにしていたという事なのだろう。

 

それでも、菜生にとってありがたかったことも間違いなかったのだが。

 

「それで、遠山美月さんたちの事なのですが―」

 

「今はSRCの医療センターで治療と保護観察って事になってるはずだよ」

 

遠山姉妹があの後どうなったのかを、菜生は説明した。

 

当初は、二人も地球を侵略するために送られてきた存在であるのならば、このまま地球で生きていく事を認めることができないという意見も特に防衛軍の中ではあった。

 

だが、普段の二人をずっと見てきたSRCの職員たちや育ての父親がそれを断固として許さなかった。その結果、これから制限は幾つかかかるだろうが、今までと同じように学生生活ができるようになるという方向で話はまとまってくれたらしい。

 

「そうですか」

 

その事を伝えた結果、相手の表情からどういった感情を抱えているのかを読み取ることは菜生にはできなかったが、きっと悪い風には思われていないだろう。

 

「うん。だからこれで一件落着ってとこじゃないかな?でも、三船さんの用件って他にあるんでしょ?」

 

きっと本題はこれではない。きっと他に何かあるはずだ。この時の菜生は直感的にそう思った。その根拠は、今は彼女と共にいるもう一人のウルトラマンが力を失っているという発言が引っかかったからだ。

 

「鋭いですね…」

 

「まぁね。地球が今どういう状況なのか、私もある程度は知ってるつもりだからさ」

 

まだカオスヘッダーの脅威もなくなった訳ではなく、以前サラが言っていたスコーピスとサンドロスの陰。安心できる状況でない事は、菜生も理解していた。

 

「スコーピスという怪獣をご存じですか?」

 

「一回戦った事があるよ。土地を砂漠に変える恐ろしい怪獣だった…」

 

栞子の口からでたのはスコーピスという怪獣の名前だった。

 

この前レイビーク星人によって攫われたみんなを助けに行ったときに、とある荒廃した星で戦った昆虫のような外観の怪獣。戦闘能力自体はそこまでではなかったという印象だったが、恐ろしいのは触れた森林が砂となって消えしてしまった光球の存在だった。

 

あんなものを街中で放たれたらと思うとぞっとする。

 

「スコーピスを使役している存在―サンドロスは、地球のような自然の多い星を多く滅ぼしている邪悪な存在です。それが、地球を狙ってやって来ます」

 

「来ますって…。なんで言い切れるの?」

 

「スコーピス以外にも、サンドロスは多くの宇宙人を配下にしています。その中には、地球に来た者もいますから…」

 

地球という星の存在を、サンドロスに教えた宇宙人がいると栞子は告げる。だがそれは有り得ない事では無かった。

 

なぜなら、既に地球は宇宙人からの侵略も受けている。そして、知らない間に日常に紛れ込んでいる者もいるからだ。

 

「サンドロスに地球を狙う意思があるのであれば、無数のスコーピスを先兵として送りこんできます。そうなればウルトラマンだけでは太刀打ち出来ません」

 

スコーピスという怪獣は大量にいて、それが一斉に地球にやってきたらコスモスだけでは守り切れないだろう。

 

コスモスは三分という限られた時間の中でしか全力で戦えない、数で責められればすぐにジリ貧となってしまうだろう。

 

「なので、その対策の為にも高田さんにも協力してほしいんです。放課後、お時間頂けないでしょうか?」

 

「まぁそれはいいけど―」

 

菜生はスマホのメッセージアプリを立ち上げ、放課後練習に行けない事を連絡する。

 

「あれは菜生さんと―三船さん?」

 

だが、菜生と栞子が話している場面を見てしまったものがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、栞子と待ち合わせて彼女に着いて歩いていく。

 

その道中、二人の間に会話らしい会話はほとんど無かった。

 

そして暫く歩いていくと、栞子が「お待たせしました」とベンチに腰掛けていた人物に声をかける。

 

「君は…」

 

声をかけられた主が立ち上がってこちらを向くと、その人物は菜生も知る人物だった。

 

「数日ぶりだな、菜生」

 

「サラちゃん。どうして?」

 

「サラさん、お待たせしました」

 

栞子の言葉に、サラは無言で頷くと。「ついてこい」とだけ言ってどんどん歩を進めていく。

 

「ねえ、どこに行くの?」

 

「ブルーエリア」

 

目的地を知らされていない菜生は、二人にどこに向かうのかを問いかけるとサラがそう短く答えた。

 

「ブルーエリアって?」

 

「サラさんたち、ギャシー星人の方々が現在暮らしている拠点です」

 

「ここだ」

 

ビル街の路地裏に差し掛かると、サラが何もない壁に手をかざすことでワープホールが生成される。そしてその中へと入っていくと、そこには緑豊かなまるで南国のような景色が広がっていた。

 

「すごい…」

 

「ここは海の底に我々が作った世界だ」

 

「海の底に、こんな世界があるなんて……」

 

初めて見る光景に、菜生はずっと周囲を見ているとサラがそう教えてくれた。

 

彼女たちは、地球に来てからずっとこのブルーエリアで生活しており。ここは海底にあるという事もあって、人類に知られることなく暮らしてくることができたのだという。

 

「サラ、また人間を連れてきたのか!?」

 

サラに着いて歩いていると、奥の方からスラッとした体形の青年がサラに駆け寄るとそう問い詰めるかのような口調で語り掛ける。

 

「シン、菜生は信用できる。それに彼女は―」

 

「人間は利己的な生命体だ。このブルーエリアに、必ず災いをもたらす!」

 

サラの言葉を遮り、シンと呼ばれた青年は人差し指と中指を立てて指先にエネルギーを集中させて光球を作り出した。

 

「待って!私は―」

 

戦いに来たつもりはない。そう言葉を続けようとした菜生だったが、シンから放たれた光球を避けるために咄嗟に横に飛んだためそれは叶わなかった。

 

菜生に避けられたことに腹を立てたのか、シンの表情は更に険しくなり次の光球を放とうとする。

 

「やめろ!!」

 

サラが割って入ったことで、菜生への攻撃が飛んでくるとこは無かった。

 

「人間はシンが思っているような存在じゃない」

 

「どうしてそう思う?」

 

「私が出会った人間は皆、そうだったからだ」

 

そのサラの返しに、シンは納得できない様子だったが騒ぎを聞きつけたほかのギャシー星人達が集まってきたことも相まってその場を離れた。

 

「ありがとうサラちゃん」

 

「私の方こそすまない。シンはギャシー星が滅ぼされてから、人を信じられなくなっているんだ」

 

菜生の方からすれば、付いてきた先で初対面の相手にいきなり襲われた訳だからあまりいい気はしなかったが、そういわれるとあまり責める気にはなれなかった。

 

「サラさん達は、ここで滅んだ故郷を再生させる為の研究をしているんです」

 

「そして、我々を庇ってダメージを負った巨人の治療だ」

 

外でこの話をして、誰かに聞かれると都合が悪かったから。ようやく栞子とサラは、ここがどういう場所なのかを教えてくれた。

 

「庇ったって…?」

 

「私達がギャシー星を脱出した時に助けてくれた巨人だ。ブルーエリアができる前、他の宇宙人からも襲撃を受けた際に彼は傷ついてしまった」

 

コスモスによく似たウルトラマンの事だろう。コスモスではないと言っていたが、彼女は本当はそのウルトラマンの事を知っていたのだ。

 

「あの時はお前に全部打ち明けていいか迷って伝えられなかった…。襲撃してきた宇宙人も、本来であれば大した相手じゃない」

 

「その日、私がその現場に出くわしてしまって私を庇ったせいでダメージを負ってしまったんです」

 

「だから、栞子ちゃんと一体化してたってこと?」

 

ギャシー星人を助けるために、慣れない地球で戦った時にサラ達だけでなく運悪くその場にいた栞子も庇おうとして、致命傷を負った。

 

相手の宇宙人は当然倒したものの、存在を維持できなくなったウルトラマンは力を取り戻すまで栞子から離れることができなくなったらしい。

 

ウルトラマンコスモスも菜生と一体化していなければ地球に長く滞在することは出来ないし、それでも長時間姿を維持できない。

 

きっと栞子と一体化したウルトラマンも、同じように地球の環境は過酷なのだろう。

 

「スコーピスが、地球に近づいている。私達は、地球を守りたい!だから、手を貸してほしいんだ!」

 

ギャシー星人達の望みだった。地球をギャシー星と同じ運命を辿ってほしくない。

 

だが、彼らだけで地球を守ることは出来ないから、菜生とウルトラマンコスモスに助けを求めてここまで連れてきたのだ。

 

「私達の仲間の中には、防衛軍やSRCにも同じように事実を伝えに行っている者がいるが果たしてどうなるか―」

 

「大丈夫だよ。私は皆を見捨てない。だって、サラちゃんの友達だから」

 

助ける理由なんて、それで十分だった。

 

 

 

 

 

 

だがもうすでに、スコーピスの影はすぐ近くまで迫っていた。




次回「災いの陰」



菜生の同級生
萌(モエ)  銀髪黒目セミロング「菜生ちゃん」呼び 帰宅部華奢でスマホとかにアクセサリーいっぱいつけたがる
咲妃(サキ) 赤髪ショート藍色の目「菜生」呼び 陸上部短距離走選手で美月ほどじゃないが筋肉質で日焼けしている

シン 身長175cm 銀髪碧眼の美青年。サラと同じくギャシー星人で一団のリーダーを務めている。自分たちの同胞以外の事を信用していないが、それには理由がある。

一年生で菜生とコスモスの事を知らないのもしかしてしずくだけ…?
本家と違ってサンドロスの配下としての怪獣がスコーピス以外にも登場します。
最近更新ペースがまた落ちてきていますが、何とか年内にもう一個の山場に行きたいなと思ってます。
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