今年は夏までには嵐珠とミアを登場させたいなと思います。
まぁ今までの前書き後書きかなり適当言ってるんであまり信用はできませんが…
菜生が栞子とサラに連れられてブルーエリアに行っている一方で、同好会では合同ライブに向けた練習を行っていた。
「珍しいよね、菜生ちゃんが自分からお休みするって」
「なんか用事があるらしいわよ。歩夢が言うには今朝体調が良くなさそうだったって」
ウォームアップのストレッチを行っていた三年生組はそう言葉を交わしていた。
「菜生ちゃん無理しがちなところがあるもんね」
「この前も一時的とはいえ記憶が無くなるようなケガもしていたし、お休みは必要だよ」
最近の菜生の様子や、夏休み期間中も何かと入院するとこの多かった事を踏まえると突然練習を休んでも疲労が溜まっているのだろうと休むこと自体に対しては、むしろそうするべきとまで思えた。
「璃奈ちゃんも大丈夫?無理しないでね」
「病院の先生ももう練習して大丈夫って、だから合同ライブも頑張る。璃奈ちゃんボード『むんっ」!』」
璃奈も結果としては一時的な貧血で済んだこともあって、今日から普段通りの生活に戻っていた。
「合同ライブまであと二週間無いしね」
折角誘ってもらったライブの機会、やるからには最高のパフォーマンスをしたい。それはここにいる全員が思っていた。
だが、直ぐにそんな空気を壊すかのように街には警報が鳴り響いた。
一方その頃菜生はブルーエリアの更なる事実が明かされていた。
「この世界には、致命的に足りないものがある」
「足りないって…でも東京と比べても自然に溢れてるのに?」
「命の産まれる海―命の根源だ」
この世界はあくまで地球の環境を参考に、ギャシー星を見た目だけ再現したものに過ぎない。ここでは、生命の循環は行われていないのだ。
少しの綻びで、すぐにこの緑豊かな光景は消えてしまう程に儚いものなのだ。
「私達は命の光と呼んでいる。科学的なデータは完璧なハズなのに、どうしても直ぐに消えてしまう…」
「今は我々がこうして何度も生成しなおす事で、ブルーエリアの維持と巨人の傷を少しずつ癒しているんです」
サラの説明に捕捉するかのように、奥の方から出てきた研究者と思わしきギャシー星人教えてくれた。
「ここの説明も程々にして、本題に入る。
菜生へスコーピスやサンドロスについての情報を伝えることが、今回の最大の目的だと言ってサラは話題を変えると最初に口を開いたのは栞子だった。
「サンドロスは荒廃した環境を好み、普段はガス状のエネルギー体の中に隠れるようにして自身の所在を隠しています。ですから、スコーピスがまず先兵として送り込まれてくるのは間違いありません」
「んで、スコーピスの光弾は有毒ガスを含んでいて物体を腐食させる。それでサンドロスにとって都合のいい環境になるって訳か」
「そう。だから我々は、この太陽系にスコーピスが入ってこないように監視をしていた」
栞子からもたらされた情報は、恐らく彼女の中にいるウルトラマンがもたらしてくれたものだろう。
その情報について菜生は、以前戦ったスコーピスの様子からしても間違いないだろうと思った。
「そして…スコーピスが太陽系に来たことがわかったから、私をここに呼んだんだね?」
現在スコーピスを倒せる唯一の存在として、ウルトラマンコスモスに白羽の矢が立った。そう言いたげな菜生の問いかけに、サラは頷く。
その時だった。また別のギャシー星人が慌ててたように駆け寄ってくると周囲の雰囲気が一変して慌ただしいものに変わる。
「どうしたの?」
「スコーピスが来た!」
周囲変化を感じた菜生が、サラに問いかけると彼女はそう苦虫を嚙み潰したような表情でそう告げる。
突然空中に表示されたモニターには、大気圏を突破する黒い影が映っていた。そしてそのシルエットは、菜生も見覚えがあった。
「このままだと、東京に降下する」
「私行くよ、どこからなら外に出られる?」
「その必要はない!」
サラに外への出かたを聞く菜生を遮るようにして現れたのは、シンと二名ほどのギャシー星人だった。
「シン!?」
「人間の出番はない、オレたちで十分だ!」
そう言うと、天に指を掲げるとシンたちは光になってブルーエリアの上空へと上がっていく。
そして、海中へと出ると三体のエイのような怪獣の額の中へとそれぞれが入っていった。
「あれは確か…海底怪獣、レイジャ?」
菜生も実物を見るのは初めての怪獣だったが、名前は知っていた。
本来もっと暖かい気候の海で暮らしている怪獣で、人間ではたどり着けないような海底から出てくることが無い為にSRCに保護される事もなく生活している怪獣だ。
「レイジャは偶々であった怪獣だ。我々に協力してくれている」
「まさか…スコーピスと戦う気なの?」
「こっちだ!」
無茶だと菜生は思った。本来海底で暮らしている怪獣が、地上で戦う事に対してだ。だがそれを知ってか知らずか、サラは菜生の手を引いて地上への出口へ走る。
地上に出た菜生が目にしたものは、地上に降り立った三体のスコーピスと海面から飛び出した三体のレイジャの姿だった。
海から飛び出した時のレイジャは、エイそっくりの姿だったが高速で飛行しスコーピスへと体当たりを行う。
三匹のコンビネーションによって、スコーピスを機動力で翻弄しようというのだ。
スコーピスの一体に体当たりを行い、よろけた所を残った二体のレイジャが額から光球を放って攻撃する。
「よし!」
うまく戦えている所を見て、思わずガッツポーズが漏れるサラだったが。スコーピスはまだ二体いる上に、攻撃をまともに受けた個体も倒せたわけではない。
体当たりを行ったレイジャの背に、フリーになっていたスコーピスの長い尾が突き刺さる。
更にもう一体は口から光球を放ってレイジャの一体を攻撃。
レイジャは攻撃に耐えられずに墜落。ギャシー星人との合体も解除されてしまい戦闘不能となってしまった。
「―ッ!」
「高田さん!?」
それを見て菜生は駆けだすと、栞子は咄嗟に菜生に声をかけるが菜生は聞く耳を持たず彼女たちの目の前で光を開放する。
「コスモースッ!!」
白銀の光を放ちながら出現したコスモスは、即座にルナストラックでスコーピスの尻尾を破壊。
尻尾が刺さっていたレイジャはダメージを負って動けないものの、まだ生きている事を確認すると即座にコロナモードへと姿を変えてスコーピスへと駆けだしていく。
(たとえ三対一だってッ!)
一度は倒した怪獣、光弾が街に当たらないように気を使う必要はあれど負ける事は無い。
まず手近にいた個体、Aと仮定しよう。Aの顔面に右ストレートを叩き込む。
Aに気を取られている隙にと背後から攻撃してくるBとCの個体には振り向くと両の拳をそれぞれに打ち込む。
数的不利こそ背負っているが、それでも負ける気がしなかった。
スペースコロナと比較すれば、コロナは速度では多少劣るがその分パワーで勝る。
そしてコロナが速力で劣るのは、あくまでもスペースコロナやエクリプスと比較した場合である。このまま短期決戦で三体を仕留めにかかる。
「デェヤァアアアアッ!!」
宙高く飛び上がり急降下、その勢いを活かしたソーラーブレイブキックを放ちCと仮称した個体を粉砕する。
(あと二体!)
残りのスコーピスの位置を確認し、コスモスは駆け出した。
「皆さん、こっちです!」
スクールアイドル同好会のメンバー達は、スコーピスの襲来によってパニックになった街の中を駆ける。
戦闘に巻き込まれない為に。
「避難所はあっちだよ!急ごう!!」
幸い、戦闘が行われている場所は現在地からも離れている。このまま避難所まで逃げる事が出来れば。
そう思ったせつ菜の視界の隅に、親とはぐれてしまったのか幼い少女の姿が見えた。
そしてその少女の頭上から、今さっき発生した爆発の余波で崩れたビルの一部が落ちようとしていた。
しかもその少女はそれに気が付いていない。
「危ない!!」
気が付いたら駆けだしていた。背後からは皆が止めるように叫ぶ声が聞こえる。
それでも目の前の少女を見捨てる事なんて出来ない。
咄嗟に少女に覆いかぶさった。そんなことをしても、二人まとめて圧し潰されるだけ。そう思ったのはもう行動に出た後の事だった。
他校との合同ライブや文化祭が控えているというのに、ここで自身の人生に幕を下ろしてしまう自分をみんなは許してくれるだろうか?
崩れ落ちてくる瓦礫の影が大きくなるのを感じながら目を瞑るが、その時はいつまでたっても訪れなかった。
ゆっくりを顔を上げると、コスモスがギリギリの所で瓦礫をキャッチ。そのまま瓦礫を無人地帯に降ろして戦闘に復帰しようとするが、スコーピス二体はここでコスモス目掛けて光弾を乱射する。
コスモスはそれに気が付くも、バリアを張る時間はないと判断。普段なら回避できる攻撃だったが、足元にはせつ菜と少女がいる。
下手に避けたり腕で弾くと二人に被害が及ぶ可能性がある。だからコスモスは咄嗟の判断で二人に覆いかぶさるようにして、背中で全ての攻撃を受けてしまう。
触れたものを砂にしてしまう程の威力のある光弾、これを何発も受けてしまえばコスモスにもかなりのダメージとなる。
そして蓄積されていくダメージによって、カラータイマーが赤く明滅し始める事でエネルギーが危険域に入ったことを知らせる。
(このまま動いたら、せつ菜ちゃん達が…)
直ぐに起き上がって反撃の一撃を食らわせたいところだが、今下手に動くことができない。
だからと言ってこのままでは全員共倒れになる。菜生は悩んだ。
スコーピスを倒さないと、みんなが大変なことになる。だが現在、そのためにはせつ菜と彼女が庇った少女を見捨てなければいけない。
10を救う為に1を切り捨てるか?このままどちらも手放すか?その選択を―
カラータイマーの点滅はどんどん早くなり、残された時間が少なくなっていく。
その時だった。戦闘不能になっていたと思われたレイジャの一体がスコーピスに体当たりを行い態勢を崩させたのだ。
「ダァアアアアアッ!!」
その隙を見逃さずに、コスモスは跳ね起きると残ったエネルギーを費やしブレージングウェーブを放つ。
二体残っていたスコーピスの内の一体を撃破することに成功するが、残った一体はすぐさま上空へと飛び立ち離脱してしまった。
逃げた最後のスコーピスを追うべく、コスモスは飛び立とうとするがここでエネルギーが限界を迎えその場に屈みこむと全身が光に包まれて収縮していくようにしてその場から姿を消してしまった。
少女とせつ菜の周りには、壊れたビルだけが残った。そしてせつ菜の方に他のメンバーが駆け寄ってくると、無事を確認していた。
「なぜ戦わなかったッ!?」
同好会の面々がいる場所から少し離れた場所―コスモスが消えた場所では、シンが菜生の胸倉を掴んでそう怒鳴りつけていた。
そして菜生は戦闘のダメージが抜けていないのか、抵抗しないばかりか言い返す事もしない。
「最後の一匹は逃げたんじゃない、俺たちの存在をサンドロスに報告するために離脱したんだ!」
暴れるスコーピスを倒す為に戦いの場に立ったにも関わらず、結局戦闘を放棄して一匹撃ち漏らした菜生の事がシンは気に入らない訳ではない。
だが、結果的にサンドロスに地球という星の存在が知られてしまう結果となってしまったのだ。
それは即ち、惑星ギャシーのようにサンドロスが直接地球を狙う事がほぼ確定したという事だ。
「やめろシン!」
そこにサラが割って入ると、シンは舌打ちしながらも菜生から手を放す。
菜生はそのままフラフラしながら後ろに下がると、そのまましゃがみ込んでしまうが下を向いたままでその表情は見えない。
「高田さん、大丈夫ですか?」
「うん、ありがと…」
サラと一緒に駆け付けた栞子の手を借りて立ち上がると、菜生はぼそっと呟いた。
「あなたが言ってることは正しいと思う。でもわたし、はあそこでせつ菜ちゃん達を見捨ててでも怪獣を倒すなんてできない」
「おまえっ!」
その言葉が、シンの逆鱗に触れた。今度こそ本当に殴り掛かりそうな勢いで菜生に掴みかかる。
「お前にわかるのか!?大切なものを守れなかった者の気持ちが!」
「やめろシン!菜生は今守ってるんだよ!大事なものを」
サラの必死の説得で、シンは引き下がるが納得はいっていないといった様子だった。
「サンドロスはオレたちだけで倒す!人間の手など借りるか」
そう吐き捨てると、シンはその場から離れる。
菜生は、その後ろ姿を見て自分の選択が間違っていたのか?そう考えずにはいられなかった。
次回「決裂」