17年越しにコスモスのフューチャーモードにスペースコロナモード更にジャスティスの2形態。最高でしたね
「スクールアイドルっていうんだって、私ときめいちゃった」
菜生がそう語り掛ける相手は人間では無かった。50メートル近い体長を持つ、翼竜のような翼を持つ怪獣。『友好巨鳥リドリアス』
菜生が中学生の時に出会った怪獣で、大人しい性格で菜生によく懐いていた。
ここは鏑矢諸島、太平洋上にあるSRCの管理する島で保護された怪獣たちの暮らす島だ。リドリアスもここで保護されており、菜生のような民間人も島から許可をとれば誰でも入ることが出来る。
鏑矢諸島は上空をバリアで覆われており、リドリアスのような飛行能力のある怪獣がどこかへ行かないような措置が取られているがそれでも空を飛べるように、バリアの傘もかなり高い位置に存在している。
崖の上から、崖下の浜辺にある巣で横になるリドリアスにそう嬉しそうに告げる菜生にリドリアスも首を上げて鳴く。すると突然飛び立ち、菜生の頭上を旋回するのだった。
そんなリドリアスを見て、菜生は首のペンダントを外すと振り回す。リドリアスは、菜生の持つ輝石の奏でる風切り音が大好きなのだ。
「あははっいいぞ~」
そんなリドリアスの様子を見て楽しそうに笑う菜生は、普段歩夢の前でも見せない程の無邪気なものだった。
「菜生ちゃんよく来たね」
「あっ池山さん。お邪魔してます」
そう言って背後から声をかけてきた男性に菜生は頭を下げる。この無精ひげを生やした初老の男性はここ、鏑矢諸島の管理官だ。
「菜生ちゃんは本当に怪獣が好きだなぁ」
「そうですか?だってかわいいじゃないですか。…なんとかならないんですか?バリアの中に閉じ込めてかわいそうです」
「怪獣は怪獣だからなあ…みんながみんな、菜生ちゃんみたいに怪獣を受け入れれないんだよ」
そう返す池山管理官の表情は寂しげだった。仕方がないと言えば仕方がないのかもしない。人間よりはるかに大きな生物だ、向こうにその気がなくとも万が一踏まれればひとたまりもないし、そもそもクマなどの怪獣と比べればまだ人間と差ほど変わらない生き物でさえ時に人は追い払い殺してしまう。
怪獣との共存は、現在こうして保護という形をとるしかないのが人類の現実なのだ。
「そう…ですね……」
そう菜生も顔を伏せてそう答えると、場が暗くなってしまったのを気にしたのか管理官は話題を変える。
「ところで菜生ちゃん、高校を出たらここで働かないか?宇宙パイロットより、怪獣保護センターの方が向いてるように思えるがね」
そう言われて、菜生は誤魔化すように視線を泳がせる。
「あはは…でもやっぱり、私は宇宙に行きたいんです。子供のころからの夢で、大事な友達との約束でもあるから」
そう語るも、菜生の心の中には迷いがあった。コスモスとの約束。それは、必ずしも宇宙飛行士になることが全てでは無い。それに菜生自身、このまま宇宙飛行士になっていいものかと心の中では悩んでいたのだ。
「そうか、でもまぁ気が変わったらいつでも言ってくれ。オレはいつでも歓迎するぞ」
だがその感情を表に出さない菜生に、池山は納得したように笑う。
「ありがとうございます。素敵なお誘いですし、考えてみます」
「いつまでもいい返事を待ってるよ」
「じゃあ今日は帰ります。明日は学校なんで」
そう言って菜生は立ち上がる。そんな菜生に、リドリアスは名残惜しそうに鳴く。
「じゃあまたね、リドリアス。また休みの日に来るから、ちゃんといい子にしててね」
そう言って菜生は暫くペンダントを振りまわすと、首にかけて東京まで戻るのだった。
その移動の飛行機内でも、ずっとスクールアイドルの事を調べているのだった。昨日のスクールアイドルとの出会いは、それほどまでに菜生の心を掴んで離さなかった。
そして翌日、放課後までスクールアイドル部の部室が存在するのか気になって仕方のなかった菜生はようやく部室棟へと迎えることに心を躍らせるのだった。
「ホントにあればいいけどなぁ…」
そんなことを呟きながら菜生は部室棟の中をうろつく、部活に所属していない菜生がいても目立つことはないのだがそれでもなんとなく廊下で色んな部の人間とすれ違うとどことなく居心地の悪さを感じる。
暫く部室棟の中を散策し続ける事数十分、菜生は部室棟の奥に『スクールアイドル同好会』と書かれたプレートのかかった部室を発見した。
「部じゃなくて同好会…?でも、ここで間違いないよね…?よし……」
菜生は意を決すると部室の扉に手をかけ、そしてゆっくりと開くのだった。
「こんにちは~…」
「なんでしょーか?関係者以外立ち入り禁止ですよ?」
部室の中にいたのは、髪をボブカットにし月の形をした髪飾りを付けたかわいらしい少女だった。おそらくスクールアイドル同好会のメンバーなのだろう。リボンの色からして一年生だろうか?
「えっと、私部室探してて…」
「ワンダーフォーゲル部をですかぁ?」
「ワンダー…フォーゲル……?」
上手く伝わらなかったのか、そう聞いてくる少女の質問に首を傾げる。
「部室を明け渡せって話ならしつこいですよぉ。スクールアイドル部が取り潰されるのは月末です、それまでここはスクールアイドルの部室なんですよ」
ちゃんと説明し直そうかと菜生は悩んでいると、目の間の少女はそんな事に気づくこともなく話を進めていく。
「それなのに奪いに来るなんて、かすみん悲しくて涙が出ちゃいます。うえ~ん」
「ちょ…な、泣かないで。私はスクールアイドル部を探してて…」
目の前で泣き出す少女に、菜生はそう咄嗟に声をかけるとスクールアイドル部を探しての部分を聞いて目の前の少女は「あれ?」と呟いて泣き真似をやめる。
「もしかして…ワンダーフォーゲル部の人じゃなかったり…します?」
その問いかけに菜生は無言で頷く。そうすると少女はほっとすると。
「なんだぁ、かすみん早とちりしちゃいましたぁ~」
そう言うと「てへっ」とみたいに右拳をあててちょろっと舌をだす少女に、スクールアイドルって大変なんだなと少し違う気もする感想を抱く。
「えっとスクールアイドル同好会にご用です?入部希望ですか?大歓迎ですよ~」
「いや…入部希望じゃなくて、スクールアイドルってこの学校にもいるのかなぁって」
「え~入部希望じゃないんですかぁ?」
入部希望でないことを告げると、一気に目の前の少女はつまらなさそうな顔をする。
「じゃあなんで探してたんですか?」
「うーん…もしうちの学校にもスクールアイドルがいるなら。私応援したいなぁって」
そう言って菜生は笑いかけるが、すぐにさっきの会話で気になるワードがあった事を思い出し表情をすぐ真剣なものに変える。
「そういえば、さっき取り潰されるのは今月末って…本当…なの?」
そう問いかけると少女も真剣な表情になり頷く。
「本当です…鬼の生徒会長から直々に言われたんです。部員もいなくなってスクールアイドルとしての活動実績がないなら解散だ…って……」
そう告げられ、菜生も悲し気な表情を浮かべる。折角夢中になれるものを見つけたのに…と。
「そんな…なんとか…なんとかならないの?」
「私だってなんとかしたいです!人数少なくてもソロでだってスクールアイドルは出来るし、かすみん…スクールアイドルにずっとずっとなりたかったんです!」
その彼女の訴えに、菜生はハッとした。似ていると、宇宙飛行士を志した時の自分に。
「こんな形で同好会が無くなっちゃうなんて…イヤですよ……」
「な、泣かないで…」
彼女にとってスクールアイドルは、幼い時からの憧れであり。自分のなりたい自分だったのだ。その夢が潰えようとしていることは、彼女にとって耐えきれないものだった。
「そうだ。ソロでもできるなら、活動実績作るから同好会を残してほしいって申告してみるのはどう?一人が不安なら、私も一緒に行くからさ」
そう言って笑いかけると、少女も泣き止むが同時に疑問も抱いていた。
「かすみんのマネージャーになるってことですか…?」
「マネージャー…とは違うかもだけど、私もスクールアイドルに元気を貰ったから今度は応援したいなって」
そう告げると、「マネージャーができちゃいました」とはしゃぐ少女に「いやそうじゃなくて…」と菜生も少し困惑気味だったが、元気が戻ったようで安心した。
「でも、あなたも同好会が無くなるのは嫌なんですよね?」
「うん」
「じゃあ、スクールアイドル同好会解散阻止作戦を手伝ってください!かすみん、どうしてもスクールアイドルでいたいんです!」
その訴えに、菜生は首を縦に振った。断る理由など、どこにもなかった。
「私で良ければ、喜んで!」
「えへへ…じゃあ一緒に頑張りましょう!あっ私、一年の中須かすみです」
「私は二年の高田菜生。よろしくね、かすみちゃん」
そう言って菜生が手を差し出すと、かすみも同様に手を出して握手をした。ここから、同好会を存続させるために生徒会室へ行こう。
そう話していた時だった。街中に警報がけたたましく鳴り響いたのは―
「な、何ですか!?」
「とにかく外へ行こう!」
突然の警報に驚くかずみを、菜生は学園の外へと連れ出す。怪獣がこちらへ向かっているから避難しろと、避難誘導に従って避難する生徒や近隣住民の姿が目に入る。
「怪獣…」
「なんで…なんで?どうして……」
怪獣というワードに恐怖を覚えるかすみと対照的に、空から飛来した怪獣の姿を見た菜生は言葉を失う。
リドリアスが、東京の街中に着地したのだ。鏑矢島で大人しく暮らしている筈のリドリアスの出現に、菜生は呆然とする。
「先輩どうしたんですか?早く逃げましょうよ」
そう言ってかすみが菜生の袖を引っ張ると、菜生はようやく現状を呑み込むことが出来た。とにかく、リドリアスを止めなくては。
「かずみちゃんは先に行ってて?私はリドリアスを止めなきゃ」
「止めるったって…」
「大丈夫、リドリアスは私の友達だから!」
この場合、かすみの言っていることの方が正しい。怪獣保護チームの戦闘機も現れるが、街中で行動を開始すれば住民を巻き込む可能性がある。避難が終わらなければ下手に手出しできないのだ。
「菜生ちゃん!」
「歩夢、この子お願い!」
クラスの用事で残っていた歩夢が、菜生に気がついて駆け寄ってくると菜生はかすみを任せてリドリアスの方へと駆け出した。
(私が絶対、リドリアスも街も救うんだ!コスモスと約束した、真の勇者になる為に!)
そう決意を胸に走る菜生の胸元で、輝石が光り輝いていた。
そして着地した後、その場に立ち尽くし暫くもがくような仕草を取っていたリドリアスの首元に虹色の光の粒子が見え隠れする。
そしてその粒子は、リドリアスの身体を変貌させる。両腕の爪は鋭く伸び、赤いトサカは大型化しより刺々しい姿へとリドリアスは変貌する。
そしてリドリアスは口から光線を吐くと街を薙ぎ払う。
「リドリアス、やめて!どうしたの?」
菜生はリドリアスに近いビルへと駆け上るとネックレスを振り回し、輝石の風切り音を聞かせる。
「リドリアス…酷い姿になっちゃったね……」
その音に気がついたリドリアスは、菜生を睨みつけるがそのまま動こうとはしなかった。まだ残っている理性が、菜生を攻撃してはいけない対象として理解しているのだ。
そして暫くリドリアスは苦しむと、元の大人しい姿へと戻る。
「帰ろう?ここは、お前がいていい場所じゃないんだ…」
菜生がそう告げると、リドリアスは飛び立ち鏑矢諸島へと向かっていく。
「凄い…」
菜生によって元の姿に戻り、帰って行くリドリアスを見てかすみは思わずそう呟く。だが現実は、それですべての事態を解決してはくれなかった。
防衛軍の戦闘機がリドリアスを攻撃したのだ。
街を破壊する脅威と判断されたリドリアスは砲火に晒されると、反撃すべく街に戻ってくる。
「ダメだリドリアス!攻撃しちゃダメ!」
菜生はネックレスを振り回しそう叫ぶが、リドリアスにその声は届くことはなく。逆に菜生へと光線を吐いた。
「キャッ!?」
「菜生ちゃん!」
「先輩!」
菜生のいたビルは崩壊し、菜生の身体は宙を舞った。だがその時、宇宙から謎の光が襲来し菜生の身体を攫った。
その時周囲には鈴の音のような音が鳴り響いていた。
「何ですか?この音…」
「この音…聞いたことある気がする……?」
その音にかすみは周囲を見渡すが、歩夢は逆にそう告げる。
一方で菜生はその光の中で、どこか懐かしさを感じる暖かさに触れていた。最初死んでしまったのかと思ったが、すぐにそうではないことに気がつく。そしてその光の正体にも。
(ずっと…ずっと会いたかった……)
その光の中で横たわる菜生は、光へとそう告げる。その菜生の上で輝石は光り輝いていた。
『菜生、諦めるな』
落ち着いた男性の声頭の中に響く。だがその言葉に菜生ははっきりと答える。
(私は何も諦めてない!私は本当に…)
「本当にみんなを守りたいの!ウルトラマンコスモス!」
菜生はそう叫ぶと目の前の輝きに手を伸ばす。すると一層輝きを増した光が、菜生の身体を包み込んでいく。
その頃街に着地したリドリアスを防衛軍の戦闘機は集中砲火を浴びせる。攻撃にさらされその場に釘付けになっていた。
だがそんなリドリアスを庇うように空から白銀の光が降り注ぎ、リドリアスの盾となる。
そしてその光の中から、青い身体に銀色のラインを持った巨人が現れた。
「あれは…?」
「うそ…来てくれたの…?」
巨人の登場に、歩夢はそう漏らす。6年前に出会った巨人が、今再び目の前に現れたのだ。その事に歩夢は安心を覚える。
「帰ってきた…ウルトラマンコスモスが……」
リドリアスを防衛軍から守るようにして現れたコスモスを見て、防衛軍は攻撃を中止した。
「ハアッ!」
リドリアスに背中を向けて現れたコスモスに、リドリアスは長い爪で襲い掛かるがすぐさま身を掲げて躱したコスモスはすぐにリドリアスへ向き直ると構える。
そしてリドリアスの攻撃を軽快な動きで躱し続けていく。そして回避が無理と判断すれば腕で相手の腕を止め、くちばしでの突きは顔を逸らして回避する。
決してコスモスは自分からリドリアスへ攻撃することはしなかった。
くちばしを掴んで突き攻撃を防ぐと、そのままリドリアスの身体を押し返す。先に攻撃することも拳で殴ることもせず、ただコスモスは攻撃を捌く事でリドリアスの体力を奪っていく。
「ハアッ!フッ!イヤァッ!」
リドリアスが鋭利な爪でコスモスの身体を引き裂こうと腕を振り回すが、コスモスは腕で防ぐとそのままリドリアスの腹部を手のひらで連続で突く。
その攻撃に仰け反ったリドリアスは、口から光線を吐きコスモスへと攻撃するがコスモスは両腕でそれを弾き飛ばす。
だが連続でもう一度放たれた光線は、腕で弾くことは不可能と判断したのか光のバリアを展開してそれを防ぐ。
「ハァァアア……トリャア!!」
そしてそのバリアは、押し飛ばしてそのまま攻撃に転用できるリバースパイクという技で自身の攻撃をモロに食らったリドリアスはもがき始める。
するとコスモスは目から光を放ち、リドリアスの体内を透視すると腹部に虹色の光の粒子がいるのを確認する。
「ハァァアア……フゥン!!」
コスモスは両手を胸の前に救い上げるようにして光を集めると、それを右手から放った。
―ルナエキストラクト―怪獣に憑りついた虹色の光の粒子を切り離す技だ。それによって、リドリアスの体内から虹色の光の粒子が放出され霧散する。
するとリドリアスの身体は元に戻る。嬉しそうにリドリアスは鳴くと、今度こそ鏑矢島を目指して飛び去って行く。
「シュウワッ!」
それを見たコスモスは、両腕を天に掲げると飛び去って行く。そして空高く舞い上がると、その身体は光に包まれ誰も目で追うことは出来なかった。
そして人知れず、再び空から光が降り立つとその中から菜生が現れる。汗で髪が顔に張り付いた菜生は息を上げながらその場で膝を付く。
菜生はあの光の中でコスモスの声を聞き、輝石の放った光に手を伸ばした結果。コスモスとともにリドリアスと戦い、リドリアスをあのように変貌させたいわば光のウイルスを切り離したのだ。
「はぁ…はぁ…私がウルトラマンに…なった……?」
まだ実感は沸かないが、それは間違いなく現実だった。
スクールアイドルとの出会い、ウルトラマンコスモスとの再会。
私、高田菜生の物語はここから始まったんだ。
この作品当初はアニメ準拠にする予定だったのですが諸事情あってスクスタ時空が元となっております。(この時点での話であり、この後変わるかもしれません)
次回以降他のニジガクメンバーも登場していく予定ですのでお楽しみに!
それではまた次回で