COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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お久しぶりです。気が付けば六年経ってます、このままだと映画最終章が公開されても全然こっちは完結しなさそうです。


55話 決意の光

人々が絶望に呑まれそうになっていた時に現れた、エクリプスモードの姿で現れたウルトラマンコスモスはスコーピスの群れを相手取っていた。

 

「な…菜生、頼んだ――」

 

サラの視界の先で、空へと飛び立つコスモスに思いを託した。

 

スコーピスの一斉攻撃を受け、一体化したレイジャは爆散し命を散らしてしまった。

 

運がいいのか、無人の公園に落下したのか地面が柔らかかった事もあってまだ生きている。

 

しかし、右腕と首が少し動く程度なのでどうしようもない。そもそも自分がどういう状態なのかもわからないといった有り様だ。

 

もう抗う力は残っていない。後は、菜生に託すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

空中でエクリプスブレードを放ち、街を蹂躙せんと暴れるスコーピスの内の一体を両断し残りの個体の注意を引く。するとスコーピスの群れはコスモスを倒さんと次々にコスモス目掛けて飛翔する。

 

(そうだ、付いてこい!)

 

 

 

エクリプスモードでの戦闘は、基本的に菜生の戦闘センスによって賄われている。人間の菜生にとっては空中戦より、地に足を付けた地上戦の方が戦いやすい。だからスコーピス達を引き付けるようにして飛行した後、市街地を避けて戦闘できる場所へと移動したのだ。

 

(よし、ここなら―)

 

菜生が選んだのは海辺の工業地帯だった。もっと町から離れるべきだったのだが、変身していられる時間にも限りがあった。

 

着地した後、背後から迫ってくるスコーピスの方へ振り返った時だった。

 

頭上からスコーピス達が放った光弾が雨のように降り注いだ。

 

コスモスの姿が爆炎に包まれて見えなくなる。

 

スコーピス達はコスモスにとどめを刺そうと殺到する、その時だった。

 

『エクリプス―』

 

腕を体の前でクロスさせた後、腕を広げる。その動作の最中、地上から黄金のエネルギーがコスモスの身体へと集まっていく。

 

その後両腕を頭上へと突き出し、収束させたエネルギーが極太の光の柱状となって解き放たれる。

 

『ブローショットォォォオオオッ!!』

 

強力な破壊光線は爆炎を引き裂き、頭上で飛翔していたスコーピスを飲み込み完全に消滅させてしまった。

 

上空でスコーピスを飲み込んだ大爆発が起こる。だがスコーピスを全滅させることは出来ておらず、爆風の中から二体のスコーピスが飛び出してきた。

 

だがスコーピス達はコスモスに勝てないと思ったらしく、真っ直ぐ空を目指して飛んでいく。

 

「逃がすかぁッ!」

 

(菜生、待て)

 

スコーピスを追って飛び立とうとする菜生をコスモスが制止する。

 

視線はスコーピスを捕らえたまま―いや、もっとその先からガス状の物体が地球に向かって降下してきていた。

 

空から降りてきた巨大なガス状のエネルギー体は、宇宙へと逃げようとしたスコーピス達を一掃し地上へと降り立った。

 

「ヤツだ…サンドロスが、来た!」

 

レイジャとの融合が解け、砂浜に打ち付けられたシンは絶望に染まった眼差しで空を見上げた。

 

ガスが晴れ、中からサンドロスの全身が露になった。

 

両腕は漆黒の花びらの様で。袴のような下半身と三つに枝分かれした尻尾。前方に迫り出した長い首の先に付いたドクロのような顔に真っ赤な眼光は、禍々しさを放っていた。

 

今、地上に悪魔が降り立ったのだ。

 

全身から放たれる威圧感に、菜生は一瞬たじろいだ。

 

(コイツが、サンドロス…!)

 

威圧感に気圧されて、コスモスの身体は動けなかった。

 

だが、スコーピスと戦っていた防衛軍たちの生き残りは、すぐさまサンドロスへと攻撃を開始。

 

サンドロスにミサイルの雨を降らせるが、サンドロスの身体には傷一つ付かない。

 

サンドロスは煩わしそうに右腕を振り、その先端から強烈念動波ハード・キネシスを放つ。

 

ここまで生き残っていた戦闘機のパイロットたちも、流石というべきか初見の攻撃に対応し、回避したように見えた。

 

だが、戦闘機の近くを通過しただけでエンジンを破損させられてしまい。全機墜落してしまった。

 

(なっ…!)

 

その光景にコスモスはほんの一瞬だけ気を取られてしまった。だがその一瞬は、致命的なものだった。

 

「クォオオ!!」

 

サンドロスは、戦闘機たちに放ったように再びハードキネシスを放った。

 

「グアッ…!?」

 

それを腹部にまともに受けたコスモスの身体は簡単に吹き飛ばされて背後のあったビルたちを巻き込みながら飛んでいく。

 

だが、ハードキネシスはただの破壊光弾ではない。そのまま念動力によってコスモスの身体を縛り上げ、宙に浮かせてしまった。

 

「菜生ちゃんッ!」

 

それを見た加奈は思わず駆けだした。ここから離れた位置で戦っている菜生に、自分がしてあげられる事なんてない。それでも、菜生がサラと同じように命を落としてしまうのではないか?そう思うとじっとなんてしていられなかった。

 

「待って!!」

 

だが、そんな加奈の腕を掴んで待ったをかけたのは歩夢だった。

 

「大丈夫。菜生ちゃんは…菜生ちゃんは絶対負けたりしない!」

 

「歩夢ちゃん…」

 

彼女たちは、その場で菜生の勝利を信じて戦いの行方を見守った。

 

『小娘。資格はあるのかと叫んだな、この星を支配する資格があるのか?と』

 

まるで地の底から響いてきているのかというような恐ろしい声で、サンドロスは空中でもがくコスモスの中にいる菜生に、そう問いかけた。

 

『強き者が弱き存在を存在を滅ぼす。これがこの宇宙の真理!疑いようもないルールだ!!』

 

『違うッ!そんな世界、絶対に間違ってる!!』

 

サンドロスは自らの行いを、宇宙の真理だと告げる。だが、菜生はそれを違うと断言して見せた。

 

「心無い力は、いずれ滅ぶだけだよ!」

 

『フッ、ならばお前が滅びろ!我が力の前に!!』

 

サンドロスの口が、花弁の様に四つに裂ける。そしてその口から強力な火炎弾―ギガレントラッシュが放たれ、コスモスの身体へ直撃。その巨体が大地に叩きつけられた。

 

サンドロスは、コスモスの苦しむ様子をあざ笑うかのように唸り声をあげていた。

 

「ぐ…うぅ……」

 

コスモスは片膝を付いた状態で体を起こすが、既に体はダメージとスコーピスとの戦闘でエネルギーを消耗したことで限界が近づいていた。

 

カラータイマーも赤く点滅し始め、その体を維持していられる時間の限界が近づいている事を知らせていた。

 

(負けられない…負けられないんだ!!サラちゃんの為に…みんなの為に…夢の為にッ!)

 

「ハァアアアアッ!!」

 

コスモスは右腕を振りかざし、矢尻状の光弾エクリプススパークを乱射。サンドロスへと攻撃する。

 

「小癪な」

 

サンドロスが腕を振るうと、放たれたエクリプススパークは全てコスモスの方へと跳ね返され、再びコスモスの身体が地に伏す。

 

「が…あ……」

 

立ち上がろうとするが、ダメージによってままならない。倒れているコスモス目掛けて、サンドロスはゆっくりと口を開き、火炎弾を放とうと準備をする。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、サラの元へと駆け寄る人影があった。

 

「サラちゃんッ!」

 

「か…加奈……」

 

サラを見つけた加奈が、彼女の方へと駆け寄ったが、サラの様子を見て絶句した。

 

サラは全身から血を流し、腹には穴が開いていた。

 

「死んじゃイヤだよ!」

 

「ごめんな、さい…」

 

泣きじゃくる加奈に、サラはそう告げる。

 

「なんで謝るの?謝る事なんてないのに」

 

「私が、加奈に近づいたのは―地球人を知る為。加奈を、利用する為…」

 

「そんなことどうだっていい!喋らないで、すぐ救助の人を―」

 

そう言ってスマホを取り出そうとする加奈を遮るように、サラは続けた。

 

「私はいい…もう助からない。逃げて、加奈。あなたは生きて…生きていればきっと…」

 

口から血を吐きながらサラは続ける。

 

加奈の歌う理由、いつか本当の親に合う為。その夢を護る為にも、サラは戦った。

 

自分たちの星の復興と同じくらい、サラにとって友であった加奈の夢も大切なものになっていたのだ。

 

加奈を追って、同好会のメンバー達もこの場に来ていたが誰一人、二人の間に口を挟むことはしなかった。

 

「ごめん…ね―」

 

サラは息絶えた。姉に似た少女、加奈を守りたい。ギャシー星を復興させたい。その一心でこの地球で生きてきた彼女は、夢半ばで倒れてしまった。

 

だがその願いを継ぐ者たちが今、戦っていた。

 

 

 

 

 

「サラさんはそこまで…」

 

彼女たちの様子を、栞子は少し離れた場所で目撃していた。

 

彼女の中にいるウルトラマンを経由して、サラ達の事情は知っていた。そして彼女たちが命がけで戦い、命を閉ざそうとしている所を見てしまった。

 

「私も、戦わせてください」

 

(お前とは戦わないといったハズだ!)

 

「それでも…今の私に、サラさん達が守ろうとしたものを守る力があるのなら!もう、迷いません。」

 

(それが、お前の決意なんだな?)

 

それに栞子は頷く。この決断が、後戻りできなくなるものであったとしても。

 

恐怖が無いわけでは無い。

 

それでも、このままじっと見ている方が怖いはずだから。

 

胸元に付けている片翼をかたどったバッジ、ジャストランサーを掴むと掌に乗せる。

 

(光を掴め!)

 

「ウルトラマン…ジャスティス!」

 

ジャストランサーの翼が展開し両翼となって光を放つと、栞子の体はその光の中に消えていった。

 

 

 

 

 

その頃、サンドロスはコスモスに対して最後の一撃を放とうとしていた。

 

「死ね」

 

サンドロスが火炎弾を放つ。コスモスは先ほどまでの攻撃によって既に満身創痍、この攻撃を躱す事すらできなかった。

 

(やられる…)

 

皆の夢を守るために負けられない。そう思い、気力で何とかしようとするがもう間に合わない。

 

諦めてしまった菜生が、目を逸らした瞬間―

 

コスモスへと放たれた火炎弾が、コスモスの目前で突如視界の外から飛んできた光弾に弾き落とされた。

 

(何?どこから!?)

 

光弾が飛んできた方へとコスモスが振り返ると、黄金の光の球体が現れコスモスとサンドロスの間に降り立った。

 

その後その地点より光の柱が立ち上り、その光を翡翠色の光の円環が包み込むとその中から巨人が現れた。

 

「あの時の、ウルトラマン…!」

 

歩夢はその巨人に見覚えがあった。

 

コスモスとバルタンラッヘが戦った日に、自身を助けてくれた赤いウルトラマンだったからだ。

 

深紅の体に黒とシルバーのラインにコスモスと違いプロテクターに覆われた胸元と肩。

 

かつてギャシー星人を救い。三船栞子と一体化していた巨人が、ついにその姿を現した。

 

彼の名は―ウルトラマンジャスティス―




次回「『正義』の名の元に」
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