COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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お待たせしました第四話!
今回でようやく推しを登場させれたので満足です。


4話 燃える太陽ように

空から舞い降りたコスモスは、土煙を上げながら着地するとそっと先程の少女を地上に降ろす。

 

そしてゴルメデへと振り替えると、こちらを威嚇するように腕を振って咆哮を上げる。

 

「ハアッ!」

 

コスモスは飛び上がるとゴルメデの頭上で身体を捻り、ゴルメデの背後に着地すると構えを取る。

 

「青い…巨人…」

 

「コスモスが、また来てくれた」

 

現れたコスモスを見て、しずくと歩夢はそう呟く。奇跡の巨人が再び、この星を護る為に現れたことがまだ信じられなかったのだ。

 

「イヤッ!」

 

コスモスはゴルメデがこちらに駆け出してくるのを見ると動き出し、突き出されたゴルメデの腕を払うと背後に回り振り向いたゴルメデの腹部に手の平で突く。

 

こうすることでゴルメデを、段々人のいない方へと誘導していくコスモスに対してゴルメデは腕を振り回して攻撃するがコスモスはこれを軽快な身のこなしで捌いていく。

 

ゴルメデの腕での薙ぎ払いは屈みつつ相手の隣を通り過ぎるようにして回避する。回避が無理と判断すれば両腕で弾き相手の態勢を崩す。

 

「ウルトラマンさんは、戦いを避けているんでしょうか…?」

 

コスモスがリドリアスの時同様、自分から攻める姿勢を見せない事にしずくは気がついた。

 

ゴルメデを人の少ない場所に誘導しつつ、攻撃を捌き切るという芸当をこなすコスモスにゴルメデは火球を吐いて攻撃する。

 

しかし、コスモスはバリアを展開して火球を斜め上空に逸らすと両腕を斜めに上げて光を集め始めた。

 

「ハァァアアア……」

 

そしてそれを右手に収束させてゆっくりと前に押し出し、―フルムーンレクト―をゴルメデへと放つ。

 

するとゴルメデは興奮状態が収まったのか、大人しくなった。相手の興奮状態を抑制する効果のある光を照射するフルムーンレクトは、決して相手を傷つけずに戦いを終わらせる目的で使用される光線なのだ。

 

「凄い、怪獣が大人しく…」

 

これで一件落着。誰もがそう思った時だった、ゴルメデの頭上にカオスヘッダーが現れると。ゴルメデへと光を照射、生命エネルギーを吸い取っていく。

 

そして吸い取ったエネルギーを利用し、カオスヘッダーは自身をゴルメデのコピー体をして実体化する。だがただコピーしたのではなく、その頭部は赤く刺々しいものに変化し、その目も深紅に染まる。

 

さしずめ、カオスゴルメデと言った所だろうか。新しく現れた怪獣は、ゴルメデへと破壊光線を放ちその命を奪ってしまった。

 

「そんな…」

 

「せっかくウルトラマンが大人しくさせたのに…」

 

コスモスとの戦闘で大人しくなったゴルメデを、たった今現れたカオスゴルメデが倒してしまった。そしてカオスゴルメデはコスモスへと向き直る。

 

カオスヘッダーは、わざとゴルメデを呼び覚まして暴れさせ、コスモスと戦闘を行わせて大人しくなった隙に生命エネルギーを奪ったのだ。自分が実態を得るために。

 

(そんな…ゴルメデを……許せない!)

 

コスモスと一体化していることで、コスモスが目にした光景を一緒に見ていた菜生は怒りを覚えた。そしてその怒りの感情は、同様にコスモスも感じていた事でコスモスはカオスゴルメデを倒す決意をした。

 

「テリャア!」

 

コスモスは右腕を天に突きあげると、その周囲に幾重にも重なった赤い光が現れる。そしてコスモスはその光を纏うと、太陽の燃える炎の如き赤き巨人(コロナモード)へと姿を変えた。

 

それは、先程までの姿である月の優しき光の如き巨人(ルナモード)とは打って変わり、銀と青のラインが左右非対称に奔る全身赤を基調とした姿への変化だった。

 

「コスモスが、変わった…」

 

歩夢達の視線の先で、コスモスとカオスゴルメデは同時に駆け出す。そして両者は激突すると、コスモスは相手を後方へと押しやりその腹に渾身の力で拳を放つ。

 

「デヤッ!ハアァッ!」

 

ルナモードの時よりも低く勇ましい掛け声でコスモスは攻撃を繰り出していく。拳の殴打、そして鋭い蹴り。先程までとは違う攻撃的なコスモスはカオスゴルメデを圧倒していく。

 

怪力を誇るゴルメデと戦っていたルナモードの時は、真っ向から力で勝負せず。受け流し攻撃を捌いていたのに対して、ゴルメデ以上の力を持つカオスゴルメデをコロナモードは真っ向から力で圧倒していた。

 

喉元に鋭く拳を撃ち込み、飛び上がって相手の顔面を蹴り上げる。この時のコスモスの攻撃は殺気を纏っていた。

 

カオスゴルメデの振り上げた腕を弾き飛ばし、その腹部に両の拳を同時に叩き込む。後退した相手が尻尾で薙ぎ払おうとして来ればバク転で回避し、突進は飛び上がって空中で一回転して静かに着地してやり過ごす。

 

そしてただ力でごり押しするのではなく、合気道のように少ない力で相手を放り投げる等コスモスが一方的にダメージを与え、相手に攻撃を当てる事すら許さないといった状況が続いていた。

 

「め…メチャクチャ強いじゃないですか……」

 

初めて見るコロナモードでの戦闘を見て、若干引き気味にかすみとしずくは呟いた。

 

青いルナモードのコスモスが、相手を傷つけない『優しさ』を象徴した姿であるならば、コロナモードは邪悪を打ち倒す『強さ』を象徴した姿なのだ。

 

だが一方的にやられてくれるわけもなく。カオスゴルメデはオリジナルのゴルメデのように、コスモス目掛けて口から破壊光線を吐いてカオスゴルメデは反撃に出た。

 

しかしコスモスもただ食らう事は無く、円形状の光の盾―サンライト・バリアでこれを受け止める。

 

―ピコン―ピコン

 

だがここで、コスモスの胸のランプ。カラータイマーが音をたてて点滅を始める。コスモスは地球上では限られた時間しか活動できない。その活動限界が近付いていることを知らせていた。

 

ならばと、ここで勝負を決めるべく。コスモスはバリアを押し飛ばすとそのままカオスゴルメデにぶつける。その攻撃に相手の体系が崩れた隙にコスモスは必殺の一撃を放つべく両腕を広げる。

 

「ハアッ!……ァァァアアアアッ」

 

そして両腕を前に突き出し回転させて、超高熱の球体を創り上げそれを両腕で押し帯状の圧殺波動を放つ。

 

「デヤアァァアア!!」

 

―ブレージングウェーブ―超高熱の圧殺波動を受けたカオスゴルメデの身体は大きく吹き飛ばされた後、木端微塵に弾け飛んだ。

 

圧倒的な力を見せつけたコロナモードの前に、カオスゴルメデの身体を構成していたカオスヘッダーも消滅した。

 

「シュウワッ!」

 

それを確認したコスモスは、大空へと両腕を掲げると飛び去って行った。

 

「カオスヘッダーは…一体どうして、こんなことをするんだろう……」

 

変身を解いた菜生は、1人そう呟いた。

 

『菜生』

 

「コスモス?」

 

不意に脳内にコスモスの声が響く。菜生はコスモプラックを取り出して、そこに居るであろうコスモスに語りかける。

 

「コスモスは、カオスヘッダーを追ってきたの?」

 

『そうだ。カオスヘッダーの目的は私にも判らない。だが野放しにすればこの星の生態系は破壊され、死の星になってしまう。私は見た、カオスヘッダーによって死の星となった惑星を』

 

「そんな…」

 

菜生はコスモスから告げられた言葉が信じられなかった。

 

『だから私は、カオスヘッダーを追って地球へとやって来た』

 

「そして私を救うために、私と一体化した…?」

 

『あの時はそうしなければ、君の命が危なかった』

 

「じゃあ、ずっと私と一体化して力を貸してくれるのはどうして…?」

 

ならもう菜生と一体化している意味は無いのではないか?それなのになぜ、菜生に自身の力を貸し与えてくれているのか。それを菜生は問いかけた。

 

『だが私は地球上に長く留まることが出来ない。だから菜生、君の力を貸してほしい』

 

コスモスは自身の姿を地球上では長く維持出来ない。だから菜生と一体化し地球に留まる選択をしたのだ。

 

「わかった。私も地球を…大切なみんなを守りたい!私も一緒に戦うよ、コスモス」

 

『ありがとう、菜生』

 

その言葉は本心だった。菜生は状況に流されたからでなく、自分がそうしたいと本気で願ったからコスモスと共に戦う事を選択したのだ。

 

だがその決意が、どれだけ大変な事なのか。菜生はまだ、理解しきれていなかったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「実は私、心当たりがあるんだ」

 

「心当たり?」

 

翌朝登校中に、不意にそう歩夢に切り出され。菜生はそうぼんやりとした表情で問いかける。

 

「うん、同好会に入ってくれそうな人の」

 

「本当!?」

 

その一言で菜生の表情が一気に明るくなる。現時点で順調に集まっているとはいえまだ3人。あと7人集めることが出来ねば同好会は解散となってしまうのだ。

 

「それで、誰なの?その人」

 

「名前を言ったらわかるかもだけど。宮下愛ちゃん」

 

「なるほどあの子かぁ」

 

歩夢から告げられた名前に菜生は納得する。生徒数も学科の数も多い虹ヶ咲学園は大きい学校だ、それでも科の違う菜生と歩夢が共通して名前を知っているほどその生徒は学年内でも有名なのだ。

 

「じゃあ放課後、早速勧誘しに行こう」

 

「そうだね」

 

そう提案する菜生に、歩夢も笑って応じる。かすみとしずくの2人にも話すと、今日は元いたメンバーでなく。その宮下愛という生徒を勧誘しに行くと言う事で納得してくれた。

 

「そういえば、菜生ちゃんは同じ科だよね?」

 

「クラスは違うし、特に面識があるわけではないんだけどね」

 

部室から再び情報処理学科の教室を目指す途中。歩夢に聞かれると菜生はそう答える。

 

「さてと、じゃあ…行こうか」

 

そう言って菜生は教室へと入っていく。そして菜生はセミショートヘアの金髪を後頭部で結び、胸元のリボンを緩めた。所謂ギャルっぽい生徒へと歩み寄って行く。

 

「アタシに用?」

 

「うん、宮下愛ちゃん。スクールアイドルやってみない?」

 

そう単刀直入に切り出した菜生に、愛は驚いたように目を見開く。

 

「アタシがスクールアイドルぅ?無理無理、ガラじゃないでしょー」

 

そう言って彼女は笑ってやんわりと断る。無理もない、唐突に特に面識のない菜生にそう切り出されたのだから。

 

「やっぱりダメ…かな?」

 

「ゴメンね、アタシ決まった部活には入らない事にしてるんだ」

 

「なんでですか?」

 

菜生とのやり取りを聞いていたかすみがそう口を開く。

 

「うーん…色んな事を経験したいから?とにかく楽しい事いーっぱいやりたいの。次はなにをしようかなって考えたら、時間なんていくらあっても足りないくらい」

 

元々、色んな部活に助っ人として入ったりしていて。その面倒見の良さが学校で有名人になっている所以なのだ。その彼女の考えが、彼女の性格を物語っていた。

 

「だから…」

 

スクールアイドルはできない。そう告げようとする愛を、菜生は遮った。

 

「だったら、なおさらやってみて欲しいかな?」

 

「え?」

 

「スクールアイドルは、愛ちゃんの知らない世界を見せてくれると思う。私が初めてスクールアイドルのライブを見た時そうだった。『こんな素敵な世界があったんだ』って」

 

そう言って菜生はほほ笑む。

 

「楽しくなかったらそれまででいいからさ。とにかく一回スクールアイドル、やってみない?」

 

「そこまで言われたら興味出ちゃうな、やってみるよ」

 

「本当?ありがと~」

 

そう言って菜生は目を輝かせて愛の手を取る。

 

「うん、ところで同好会っていつから活動するの?」

 

「それは…」

 

その一言で、話しの行方を見守っていた歩夢としずくが申し訳なさそうに告げる。

 

「実は同好会は今…存続の危機でして……」

 

「今月中に10人部員が集まらなかったら、解散なの…」

 

「ええ~ッ!?」

 

「だましたみたいでごめんなさい。でも、絶対10人集めて同窓会は続けるので…」

 

驚く愛にかすみもそう告げるが、逆に愛はやる気が出てきたといった様子だった。

 

「やったろーじゃん!」

 

「へ?」

 

「愛さん、そういう挑戦からは逃げられないんだよね。逃走じゃなく闘争心が沸いてくるっての?」

 

今のは恐らく、『逃走』と『闘争』をかけたダジャレなのだろう。だが正直あまり面白くない、そんな微妙な反応を周囲が示す中一人だけ笑い声をあげる。

 

「プハハッ…!愛ちゃんおもしろすぎだよ~」

 

「えっ…?かすみんちょっと引きましたけど……」

 

「しっ…かすみちゃん。菜生ちゃん、笑いのレベルが赤ちゃんレベルなの、そういうところがかわいいの……」

 

爆笑する菜生に対して、かすみは困惑したような反応を示すと、歩夢がそう耳打ちする。

 

「愛さんのダジャレをわかってくれてうれしーよ。じゃあ愛さんからひとり、同好会に誘ったら面白い子を紹介するよ!一年の天王寺璃奈って子なんだけど」

 

愛のダジャレが大うけしている菜生に、愛はそう告げると「それじゃあ今から呼んでくるよ」と言って教室を出る。

 

すると暫くしてひとりの少女を連れて戻ってきた。

 

「私がスクールアイドル?」

 

背の低く、水色のパーカーを制服の上から羽織った少女は、スケッチブックに描いた顔を自分の顔に持ってきてそう首を傾げる。

 

「そうそう!りなりーの個性的なとこ、すごいいいと思ったんだよ。愛さんもやるから、一緒にスクールアイドル挑戦しよ」

 

「あう…愛さんと一緒ならやりたいけれど、私自信無い……」

 

そう言って顔を隠したまま、すぐさまスケッチブックのページを変えて悲し気な表情を出す。

 

「この仮面?みたいなの取ったら、イケるんじゃないかなぁ?」

 

「ダメ。これがないと、コミュニケーションをとるの難しいから」

 

そのままだと両手が塞がるし前も良く見えないだろうからとかすみが提案すると、璃奈はそれをすぐさま否定した。

 

「アタシとりなりーで作ったんだもんね~この『璃奈ちゃんボード』りなりーシャイだからさ、これがあれば一発でどんな気持ちかわかるじゃん?」

 

どうやら璃奈は自分の気持ちを表に出すのが苦手らしく、それを解決するために愛と2人で作ったのがそのスケッチブックらしく。彼女のアイデンティティとなっているようだった。

 

「仮面をかぶったスクールアイドル…前代未聞かもしれませんね?」

 

「このボード、表情の入れ替えを素早くするにはどうすればいいかな?」

 

そんな会話を聞いて、しずくと歩夢がそう告げる。

 

「そうだね、このボードは璃奈ちゃんの個性だし。活かす方法を考えようよ」

 

そう言って菜生も璃奈ちゃんボードという個性を最大限活かす方法を模索するべきだと考えた。

 

「ってことでりなりー、これから一緒にがんばろーね!」

 

「う、うん!璃奈ちゃんボード『わくわく』」

 

こうして5人、目標である10人の半分の人数を集めることが出来た。このままいけば、同好会は存続できる。菜生はそう確信していた。




なんとか目標人数まで折り返し地点にきましたね。
リアルの方がこれから忙しくなる予定なので、更新頻度が下がってしまうと思いますが気長に待っていてくれれば幸いです。
それではまた次回で
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