Reincarnation of Belphegor   作:みりえった

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このままだとまじてナンバリングが大変なとこまでいっちゃう予感がしたので、ちょっと巻いていきます。

今回は主人公視点じゃない上、ころころ切り替わるのでご注意をば。


ベルフェゴールの救済⑥

 

 

「う〜ん……」

「ん?」

 

 

 考えれば考えるほどわけが分からない。どうなったらそういう状況になるんだろう。

 学校近くのラーメン屋。そのカウンター席で私は唸っていた。

 一昨日あった出来事を思い出す。今日何度目か分からない。思い出す度にモヤモヤする。

 私はこの店では比較的さらさらとした中華麺をくるくる意味もなく混ぜながら、気鬱げにため息を吐いていた。

 

 

「どうしたんだ、ひまり? 早く食わないと伸びるぞ?」

「あー、うん。そうだよね」

「……やっぱりなんかあったか?」

「いや……」

 

 

 自分としてはそんなつもりはなかったけれど、やはり露骨だったのか。隣で友人の宇田川 巴が少し表情を曇らせて問うてきた。

 今日は彼女が最近元気ないなーと誘ってくれた。故に心配する色が顕著に顔に浮かんでいた。

 

 

「……その、リサさんの事なんだけど」

「ああ。えっと、厄介な男に捕まってるんだっけ」

「うん」

 

 

 言うかどうかは、正直迷った。だけどこれ以上巴を心配させる訳にもいかない。

 少し言葉を選びつつ、口を開いた。

 

 

「巴も知ってるんだっけ?」

「いや詳しい話はあたしは知らないけどさ。そんなに大変そうなのか?」

「ちょっとね。……で、それでさ」

「ん?」

「そのことについて、昨日、明星が聞いてきたんだよね」

「……なんだって?」

 

 

 その名前を出した瞬間。巴はぴしりと固まった。

 うん……まあ、その反応になるよね。

 

 

「な、なんだって明星がリサさんのこと気にするんだよ。全然関係ないじゃないか」

「そうだよね。変だよね」

「もしかして昨日、校門前に美少年がいた〜とか何とか騒がれてたのは……」

「うん。明星だと思う」

「何やってるんだあいつは……」

 

 

 ほんと、何やってるんだろうね。

 ワケがわからない。昔っから掴みどころのない子だとは思ってたけど、今も全く変わってない。

 

 

「ちょっとまずくないか?」

「蘭のこと?」

「いや、それもまずいんだけどさ」

「?」

「あいつ……中学のときにちょっと揉めただろ。女関係で」

「あっ。ああ、あったねー……」

「なにしでかさないか心配なんだけど。ちょっと電話してみるか?」

「え、えぇ……どうしようかな……」

 

 

 普通に電話するぶんにははいいんだけどなぁ。けど今はちょっと……。

 

 

「なぁ、これ蘭には?」

「いやまだだけど。だって蘭なんて言うかわかんないよ?」

「だよなぁ……」

「……とりあえず何事もなければいいんだけど」

「……祈っとくか」

 

 

 それしか出来ないのがすっごい不安なんだけど……。しかしながらそれが事実なので仕方がない。

 昔から。そう、あの子は昔から頭のキレ方が尋常ではなかった。

 その上大胆なことも平気でやるし、常に私の考えつかないようなことを考えてる。

 

 

「そういえば、あこちゃんは?」

「家でゲームやってる」

「あはは、相変わらずだなー」

「なんか今、七つの大罪フェスとかいうのが熱いんだと。あたしにはよく分からん」

「あはは……」

 

 

 どうか、無茶だけはしないでね。何かあったら悲しむのは。蘭だけじゃないんだよ?

 そう心の中で零して。

 私は複雑な気持ちで、既に少し伸びたラーメンを啜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 おかしい。何かがおかしい。狐につままれたような気分だ。

 具体的に何がおかしいのかと言うと、アタシを呼びつけた人間の性別が変わっている。こんなおかしなことがこの現代日本であるのだろうか。

 ぐりぐりと。両目頭を指で揉み込む。ちょっと最近色々ありすぎて、目が疲れているのかもしれない。

 だってありえないではないか。うちの可愛いギタリストが、まさか男になっていようなど。そのようなこと認める訳にはいかないのだ。

 

 

「美味しそうですね」

「…………」

 

 

 いや、可愛いんだけどね。実際この子も。

 

 しかしいくら見ても目の前の光景が変わることはなかった。なんでアタシ、見知らぬ男の子とご飯食べてるんだろう……。

 フォークを咥えながら瞼を半分程度落とす。じとっとした目で対面の席を見た。アタシは確か、紗夜と待ち合わせをしてたんじゃなかったけ……。

 少し陽が傾いた頃合。紗夜と待ち合わせの約束をした場所はいつものファミレス。普段からRoseliaのミーティングで使う場所だ。

 

 

「? 食べないんですか?」

「いや……」

 

 

 しかしそこにいたのは彼女ではなかった。

 先も言ったが、そもそもまず性別が違う。男の子……だよね? 彼はのんきにアタシとアタシの頼んだチーズケーキを相互に一瞥している。

 繚桜高校の制服に身を包む、意外と可愛い顔をした男子。彼は顔の前あたりで両手の指を合わせ、コクリと首を傾げた。

 もしかしてどこかで会ったことがあっただろうか。いや、申し訳ないが記憶にない。

 紗夜と待ち合わせをしたはずなのに、いざ来てみればこの子がいた。わけが分からない。どういうことなのか。あとまず誰なのか。

 ああもう、言いたいことが多すぎて纏まらない。もやもやする。

 

 

「ね、ねぇ」

「はい?」

「あの、紗夜は……?」

「……ああそうですね。まずそこを説明しないとですかね」

 

 

 あまりにも気まずくて、誰なのかと聞く前に今の状況のことを聞いてしまう。

 するの彼は目を丸くして2、3度まばたきを繰り返した。

 

 

「本来ここに来る予定だったのは紗夜さんのはずだったんですけど」

「う、うん」

「急用が入って来れなくなったらしいんですよね」

「そ、それで?」

「なので、俺が来ました」

「いや分かんないなぁ……」

 

 

 分かんない分かんない。どゆこと?

 説明されたけど、何も分からなかった。なんで紗夜の代わりに見知らぬ男子が来るの?

 

 

「えっと、まずキミは紗夜の……なんなの? 友達?」

「彼氏です」

「ああ、彼氏か」

「ええ、彼氏です」

「……え?」

「はい?」

「えええええええっ!!! か、かれしぃ!?」

「うるさっ」

 

 

 まさかすぎるカミングアウトに思わず大きな声を上げて立ち上がる。

 その際にテーブルを叩きながら前につんのめるような格好になってしまい周りの目がアタシに集中するのを感じつつ、しかしそんなことお構いもなしに目の前の彼にまくし立てた。

 

 

「びっくりした」

「ご、ごめん……って、え、彼氏!? 紗夜の!?」

「そこまで驚きますか」

「そりゃあ……だって紗夜そんなこと一言も」

「まああの人は恥ずかしがり屋ですからね。あと取り敢えず座りません?」

 

 

 そういうこともあるでしょうよ、と。対面の彼はアタシとは対照的に落ち着ききった様子でそう答えた。

 それを見てハっと今の自分の状況を顧みる。アタシはスクラップのようにぎこちない動きで首を回し、周りを確認する。

 

 

「わっとと……!」

 

 

 まだアタシに視線を集めていた他のお客さんに軽く会釈をして、びゅっと素早い動きで席に座る。は、恥ずかしい……。

 

 

「落ち着きましたか」

「うん落ち着いた……じゃなくて!」

「じゃなくて?」

「ほ、ほんとなのっ?」

「紗夜さんって実はめちゃくちゃ寝相悪いんですよ」

「そんなことまで知ってるなんて……」

 

 

 こ、これは本物かもしれない……! 俄然信ぴょう性が増してきた。

 念の為確認をと思い紗夜と連絡を取ろうとスマホを見ると、その彼女から2件の新着メッセージが届いていた。

 

 

『私から呼び出しておいて、行けなくてすいません。詳細はその場所にいる私の』

 

 

『つれに聞いてください』

 

 

 それは実質1件と言ってもいい内容だっだが。

 しかしそれはどこか紗夜らしいというか。このメッセージが分割されているところ。彼氏であるこの子のことをどう言おうか迷っているのが伺えた。

 今まで隠していたことから頬を染めつつ、不本意ですね……と呟きながらメッセージを打っている絵面が容易に想像できた。かわいい。

 

 

「へ、へぇぇ……あの紗夜がねぇー?」

 

 

 改めて、その彼氏クンを見る。端正なイケメンというか華奢な美少年といった雰囲気だ。

 日本ではあまり見慣れない眼の感じから外国人かとも思ったけど、それ以外はアタシたちと同じようなつくりだった。

 しかもネクタイの色から多分1年生。まさかの歳下だ。

 いや……紗夜は人に引っ張られるというよりは人を引っ張っていくようなタイプなので、大人しそうなこの子とは相性がいいのかもしれない。

 

 

「……こーいう子がタイプだったんだぁ」

「あまりじろじろと見ないで下さいよ」

 

 

 まさかの人の、まさかの事実。

 その興味深さ故にまじまじと見つめていると、彼はむむっと眉根をよせた。

 

 

「それに、ご飯を食べてるときにスマホを触るのはダメなんですよ」

「あっ、それアタシも紗夜にも言われた」

「でしょうね。俺も紗夜さんに言われましたから」

「そうなの?」

「ええ。……あの人めんどくさいですよね」

「ふふふ、でも律儀に守ってるんだ?」

「……なにが言いたいんです?」

「いやーラブラブだなーって」

「そうですかね」

「もしくは尻に敷かれてるとか?」

「どうですかね」

 

 

 アタシの少しばかりからかうと、ご機嫌ななめとばかりに頬を膨らませる。

 けど、アタシはそんなことは気にしない。

 

 

「ねぇ、ちょっと色々聞かせてよ」

「色々とは?」

「そこは、ホラ! 馴れ初めとか!」

「現金ですね」

「いいじゃーん。減るもんでもないしっ」

 

 

 なんだろう、急にわくわくしてきたぞぅ。だって、あの紗夜の彼氏なのだから。

 それに恥ずかしそうに顔を隠す彼のことにも興味が湧き、色々と聞き出したくなってきた。

 

 

「別に対して面白くもないですよ。馴れ初めは練習試合ですかね」

「キミも弓道部なんだ」

「はい。その時にあの人に色々と御教授していただきまして」

「ははーん、なるほどねぇー?」

「なんですか」

「ふーん?」

「楽しそうですね……」

 

 

 にやにやと。無意識に口角が上がるのを感じていると彼はムスッと膨れてそっぽを向いた。

 こういうところ、ちょっと紗夜に似ている気がする。

 

 

「あはは、照れくさい?」

「いえ。そういうわけでは」

 

 

 もしかすると似た者同士、結構いい感じのカップルなのかもしれない。

 

 

「またまた照れちゃってー。でもまぁそういうもんだよねー……」

 

 

 高校生らしい。初々しいカップル。

 

 

「…………」

 

 

 アタシたちとは、違う。

 

 

「……っ」

 

 

 突如、後頭部のあたりで微弱な電流が流れた気がした。

 ちらりと翳った、たったひとつの思考。それはアタシを一気に憂鬱な気分にさせるのには十分だった。

 上がりかけた気持ちが一瞬でどん底に突き落とされた。思った瞬間に表情が、思考が歪んだ。

 

 

「……ねぇ」

「はい?」

「キミはさ……楽しい? 紗夜と付き合ってて」

「? どういうことですか?」

 

 

 なんて質問をしているんだろう。自身の行動の軽さを呪った。もしかすると不快な気分にさせてしまったかもしれない。

 無意識だった。口からぽろりと漏れてしまった。自分とは違う世界の住人に、単純に自分の知らないことを聞いてみたかっただけだった。

 

 ふたりを、羨ましいと思った訳ではない。

 

 けれど順風満帆そうに交際をしているであろうふたりの話を聞いて、アタシが何も思わずにいられなかったと言えば、それは嘘だった。

 

 

「それは楽しいですよ。もちろん」

「だよね」

「……今井さんは違うんですか?」

「アタシ? アタシは……」

 

 

 どうだろう。楽しい、と思ってた時期もあったかもしれない。

 いや、確実にあったんだろうが、今思い出してもそれが楽しいと感じなかった。

 風景として、情報として。アタシの彼氏とも言えるあの人との記憶は、思い出せるのには思い出せるが、いくら想起しても前向きな感情は湧いてこなかった。

 

 

「どうだろうね。まあ、普通かな」

 

 

 すり減ってしまったのか。果たして、なにが。

 彼への愛情か。はたまた彼からの愛情か。それとも……アタシ自身か。

 アタシは自分の左腹部を抑えて、彼の問に応えた。

 

 

「ねぇ。一応確認なんだけどさ」

「なんですか?」

「紗夜に、暴力なんて振るってないよね?」

 

 

 真っ直ぐに彼を見て、今度は此方が質問する。

 僅かながらもトゲを含んだ声音は質問というより詰問のようになってしまった。

 

 

「……へぇ?」

 

 

 しかし彼は臆することもなく。

 少々面食らった様子は見せたが、すぐにアタシの視線を受け止めて、口の端を吊り上げた。

 

 

「おもしろいことを言いますね」

「……ごめん。不快かもしれないけど、紗夜は大事な友達だから」

「ああいや。そういうことではなくて」

「……え?」

 

 

 彼は可笑しそうに笑っている。

 その態度にアタシはすっかり毒気を抜かれ、きょとんとして間抜けな声を出してしまった。

 

 

「さっきまで紗夜さんに恋人がいるなんてびっくりだ……みたいな雰囲気だったのに」

「だ、だって、そうじゃない? 紗夜だよ?」

「いえ、別にその疑問を持つことに対して言ってるのではないですよ」

 

 

 からからと笑いながら僅かに目を細める。

 窓から差し込む夕焼けが、彼の金色の瞳が怪しく光らせた。

 

 

「俺が言ってるのはそういう事ではなくてですね」

「えっと、どういう──」

「友人に彼氏が出来たとわかった途端、暴力がどうこうなんて話をするなんて」

「…………」

「そんなの、まるで心当たりがあるみたいじゃないですか」

「な……っ!」

「まさか()()()()()()()()()()言いませんよね?」

 

 

 彼の言葉と、金色の瞳がアタシを穿いた。頭の中が真っ白になる。

 鈍器で頭をぶち抜かれたような。先程の微弱な電流の例えなんて比ではないくらいの衝撃だった。

 

 

「あのっ、それは……」

「ん。もしかして図星なんですか?」

「い、いや……!」

「確かにさっきから精神的に安定してないようですし」

「…………!」

 

 

 まずい、まずいまずいまずい……!

 

 

「う、あっ……うぅ……!」

 

 

 急激に自身を襲った寒気と嘔吐感を必死に押しとどめる。大きな音を立てて、食器を巻き込みテーブルに伏せるように倒れかけた。

 彼にアタシの異常を察知されたから、今のあの人との関係がバレそうになったから、取りみだしているのではない。

 

 脳裏にヒリついたのは、直近数日の記憶。

 

 打たれ、蹴られ、殴られた記憶。機嫌を損ね、床に転がされて殴打された記憶。

 左腹部を服の上から爪がくい込むほどに強く押さえつけた。先日蹴りを入れられた左腹部。青く腫れ上がっているその箇所は既に痛みはないはずなのに、幻肢痛のようにズキズキと痛む。

 

 

「ぅあ……、お……ぇ……」

 

 

 ガタガタとか震える。狼狽を隠しきれない。

 全身の筋肉が強ばり、呂律も回らなくなった。

 

 

「ちょ、今井さん……?」

「お、お客様! 大丈夫ですか!?」

「…………っ!!」

 

 

 脳みそがぐちゃぐちゃに乱れ、思考が滞る。ぐわんぐわんと回るような頭痛は意識を遠のかせ、薄れさせていく。

 なにやら周りが騒がしくなってきたが、何も聞こえなかった。耳には入って来ているはずなのに、情報として処理できない。

 ついに、目の前が真っ暗になった。

 焦点の合わない、ぼやける視線が閉ざされた。異常事態に気絶した方が良いと、身体が判断したのかもしれない。

 

 流石に引かれただろうか。

 

 思えばアタシ、気持ち悪かったよね。

 

 勝手にテンション上げて、余計なことをズケズケ聞いて。そして釘を刺したかと思えば、今度はぶっ倒れて。

 同席していた彼に多大な迷惑をかけてしまった。

 

 紗夜の彼氏くんなら、もうちょっと話してみたかったんだけどな……。

 

 ごめん。と心の中で謝罪して。

 アタシは若干後悔しながら意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すいません店員さん。おしぼり貰えませんか? 冷たいやつ」

「え……? あっ、わ、分かりましたっ」

「お願いしますね」

「……お連れさまは、大丈夫なのでしょうか……」

「ええ。ちょっと重たい貧血持ちなので。少し休んだら目を覚ますと思います」

 

 

 自分が座っていた席から立ち、向かい側の席ま歩く。

 突っ伏して気絶した今井リサの傍らに立ち、背中をさすりながら店員に話しかけると、彼は狼狽えながらも奥の厨房まで駆けて行った。

 

 

「……さすがにちょっと悪いことをしたな。一応起きたら謝っとくか」

 

 

 どうせ聞こえてないだろうが。念の為、小さい声でボソリと零す。

 それにしても猿芝居とは疲れる。本当は全て知っているというのに。しかし知らないフリをておかないと後々に支障をきたすので仕方ないのだが。

 店員を背中が消えるまで見送り、背中をさする片手間で空いた片手で食器を重ねる。派手に倒れ込んだが、幸いどの皿も割れてはいないようだった。

 両手で違う動きをしながらでも、単調な動作なのでどうということはない。カチャリと自身の分の皿も積み重ねながら至極落ち着ききった冷淡な心情で事を分析する。

 動作は単調でいいが、この人の事情はそうではないらしい。

 まさかここまでとは。なかなか根が深そうだ。

 

 

「んー、いや。でもやっぱり複雑でもないんだよな」

 

 

 しかし、それでも根が深いだけだ。

 何度も繰り返し言っている通り、やはり事はそこまで複雑ではない。単純だ。

 現時点では言えないというだけで、今井さんから彼氏の方へ別れ話を切り出せば全ては終わる。

 ただそれが今の彼女には出来ないだけなのであって。

 

 

「…………」

 

 

 おもむろにスマホを取り出し、電話帳からなる人物へとかける。呼び出し中のコール音を聞きながら、漠然と考える。

 今の彼女には出来ない。ならばどうするか。簡単だ。要は出来るようになってくれればいい。それだけの話である。

 それでもその方法は、今の今までは失敗し続けたわけだが。

 

 

「もしもし……紗夜さんですか?」

 

 

 言葉での勇気づけも、理論めいた保険も、今井リサの発起させるには至らなかった。

 友人である湊 友希那では出来なかった。不可能だった。

 

 ならばどうするか。

 

 

「……ちょっと聞きたいことがあるんですが。今お時間よろしいですかね」

 

 

 答えはやはり単純で。

 

 純粋に、それ以上の存在になる事だ。

 

 

 

 






(おまけ)
「ちなみに紗夜さんってほんとに寝相悪いんですか?」
「……どうして知ってるんですか」
「まじかよ」







読了感謝です。

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