狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回からの続き……

アステロイドベルトから更に遠く……6500万年の時を超え、木星圏から地球圏へと舞い戻っていた超竜神を発見したGGG。
だが世間では、再び“宇宙人”稀星シオンやGGGの超AI搭載勇者ロボらの存在を不審に思う風潮が広がりを始めていた。



第93話 未来への選択肢(3)

《……では、本日の話題はコチラ! “ロボットに心はあるのか?” 専門家を交えて討論したいと……》

 

《彼女は確かに我々人類へと様々な技術・知識・情報を提供してくれました。ですが同時に、彼女の存在はゾンダーという敵性存在を地球圏に呼び寄せてしまった事も事実。その事を……》

 

《彼女がどの様な意図を持っていたとしても、結局は宇宙人です。根本的な問題……種族として超えるべき壁はまだまだ存在している。我々人類でさえ、肌の色・宗教・その他諸々の事情を要因として未だに争う傾向から脱する事すらできていない……そんな現状を見て、果たして宇宙人である彼女はどう思っているのやら……》

 

 超竜神の帰還に湧くオービットベースとは対象的に、地球では再び“稀星シオン”の存在に疑問を呈する討論や、GGGガチで保有する超AI搭載勇者ロボの存在を懐疑的に見る一部の声が、多くの地上波放送で飛び交っていた。

 

「……全く、世の中には頭の硬い連中が多いわね。今、あの子が私達の傍に居てくれるから、私達も“現在”を享受できているというのに」

 

 オービットベース・セカンドオーダールーム──

 

 基地内の様々なシステムの統括管理を担うこの区画は、一部時間帯や有事の際を除けば、基本的に暇な事が多い。

 その中で、各システムの設計開発担当であり、管理責任者として常駐している1人……人工重力発生装置の責任者、平田昭子(ひらたあきこ)は、地上波放送で繰り広げられている討論の内容に嘆息していた。

 

「事情や機密を知る我々からすればそう理解できますが、彼らの視点は異なります。平田さんの嘆息も尤もですが、彼らは我々が知る情報を一切知らないんですから……」

 

 そうフォローしたのは、動力伝達及びエネルギー制御担当の野崎 通(のざき とおる)

 

 彼の言う通り、自分達は機密で一般には知り得ない情報が常時飛び交う中にいる存在であり、世間とは違った解釈や視点を持っているからそう思える……

 

 しかし、世間では“シオン自身の経緯や公開された秘匿情報”はGGGの守秘義務*1として世間には完全非公開……

 

 パスダー戦において暴露された“元はゾンダーと同質の存在”という情報……

 これまでの彼女自身の貢献や、人となりをよく知る知人らの啓蒙活動により、シオンに対する排斥は一応鳴りを潜めてはいるものの、未だに彼女を誤解したまま悪印象を持っている人々は根強く残っている。*2

 

「……しかし、今回は彼女だけの問題では無いようだね。一部界隈では我々の保有(GGGに所属)する勇者ロボ軍団の存在意義に関わる話題もある……そちらに悪感情を振りまく輩まで出てくれば、今後の活動にも支障が出かねん」

 

 同じくセカンドオーダールームに勤務するセキュリティ担当、犬吠埼 実(いぬぼうざき みのる)の指摘に、平田と野崎をはじめセカンドオーダールームの面々はため息を吐く……

 

「……国連直属、言わばほぼ公的機関扱いの民生組織ですものね。どうしても世論には敵わないわ」

 

「実績という点では、世論もそう厳しくはないと思いますけど……アーマロイド達との共闘関係や、民間への実害を抑えられているという点を邪推して、不要説を推す……なんて事もあるのやも」

 

 現状、地球圏への直接的な被害は想定よりも抑えられている……

 

 それ自体は喜ばしい事ではあるものの、シオンの眷属たるアーマロイド達の持つ戦闘力は驚異的であり、彼らからの信頼と共闘意識によって現状が支えられている事は公然の事実。

 見方を変えれば“GGGの貢献度は意外と低い”と穿って見られる可能性もある……

 

 宇宙怪獣の件に関しては是非も無いが、それ以外は基本的にGGGが主導している作戦となっている為、関係機関に問い合わせれば自ずと分かる……

 しかし、排斥運動家の活動による扇動や虚偽の情報に惑わされ、真実から遠ざかっている人は悲しい程に多い。

 

「可能な限り、我々からも情報をよりオープンにしていく努力が必要になってくるだろうな……」

 

 事が事なだけに、公開/非公開の吟味は慎重にならざるを得ないが……犬吠埼のこの言葉は、大河達上層部や大本営たる国連に務める者らの苦労が察せられるものであった──

 

──────────

 

「我々は確かに、原種による脅威を彼らの力を借りて排してきました……単にそれは彼らによる、我々に対する他意なき親愛であります! 我々はそれに応えて努力を重ね、いずれは彼らの力を借りる事無く、これらの様々な脅威に立ち向かえる様にならなくてはならない……その為に彼女、稀星シオンは、我々に様々な技術提供や、彼らアーマロイド等との共闘体制を敷いてくれています。これ程の行為を、何の見返りも求めず行ってくれる彼女の姿勢は、我々地球人類への厚い信頼と、深い“慈愛”を持って接してくれている何よりの証拠であり、今の我々にとっての大いなる福音なのであります! しかし今、その大きな信頼を、無常にも踏み躙る行為が少なからず世界各地で見られている! 我々GGGの全職員は、この“恩を仇で返す”如き行為を、断じて許すべきでは無いと考えております!!」

 

 国連総会にて、大河幸太郎はGGGの長官としての責務の一つ……国連での弁説を行っている。

 

 今回の議題はタイムリーでもある“稀星シオンの今後の処遇”について……

 

 処遇……と聞くと少し犯罪者的な感じがしなくもないが、彼女は間違いなく“地球側の協力者”としての立場を一貫し続けている。

 無論、国連理事国をはじめ総会参加者の多くは、()()()()()()()()()()を正しく理解してくれている為、大河の弁説に賛同する声は当然のごとく大きい……

 

 現実的に見れば、シオンの行った技術提供の多くは、高度な科学力を前提として持つ先進国で大きな影響を与えた一方、技術的に立ち遅れている途上国への影響は比較的少なめであった。

 もちろんその影響は確かに悪い結果もあるがそれだけではなく、むしろ影響が少なかったお陰で、脈々と受け継がれた“古き良き伝統”が()()()()()()()()()()()()()()()という良き結果も見られており、一概に「良し悪し」で語れるものではない。

 

 しかし……そんな現状を曲解したり、事実を捻じ曲げ、都合のよい様に流布しようとする輩は何処にでも居る。

 

「……確かに、彼女が齎した影響は非常に大きい。だが、それが全て良いものであるとは限らないのではないかね? 現に我が国での戦いにおいては若干名の行方不明者を出しているし、その前にも詳細不明の勢力に対して独断で原種核を提供していると聞く……他にも我々の調べに依れば、途上国への技術開発や援助の手は比較的小規模、技術的にもさほど進展していないとも出ているが……その辺り、君はどう考えているのかね?」

 

 大河にそう問い掛けたのは現状で唯一、GGGとは別に原種撃退戦を繰り広げた中国の外交官……

 

 事実、万里の長城での戦いにおいては航空星際部の元所長、劉 痞子氏が生死不明……また、北極海での激闘の末に確保した原種核はキングジェイダーへ譲渡され、戒道幾巳によって浄解されている。

 

 事情を知る立場から言えば、劉は自ら救い(シオン)の手を振り払っていたし、原種核の譲渡についても、当時のGGG側に浄解の手段が無かった(護くんには浄解できなかった)……

 

 報告書にもその旨は記されている。

 

 だが書類に明記されていても、“はいそうですか”とはらないし、前者においては責任追求される可能性も“0”ではない。

 

「前者の件は彼女自身も心を痛めており、“処罰されるべきならば甘んじて受ける”と意思表示をしておりました。ですが、北極海の顛末においては、対原種においての先駆者たる“彼ら”に核の処遇を委ねた事で、“核の処置を後回しとした結果”を未然に回避出来ております」

 

「前者については、素晴らしい心掛けかと……しかし、後者のそれは単なる結果論に過ぎませんな。我々……いえ、私個人としては、彼女に何かしらの制裁を加えようという気は毛頭ないのですが、彼女の立場と意志を明確にする為にも、社会的責任はしっかりと取って貰いたいと思います。いや何、無理を言う訳ではありませんがね……」

 

──────────

 

 一方、シオンの精神世界──

 

 宇宙怪獣の件でてんやわんやをやっていた最中、此方で何があったのかを簡潔に説明すると……

 

 1、何者かの精神分離によって、シオンは従順/反抗的という両極端な性格で選り分けられてしまう。

 

 2、反抗的なシオン。転生後の記憶を思い出し、Zオリジンと出逢った頃や、彼女の元となったリュシオの心を取り戻す事を決意。同時に、精神の選り分けを行った“何者か”に敵対宣言し、次元管理者等と共闘関係を結んだ。

 

──────────

 

 ──その時、シオンの身体から少しずつ……虹色の閃光と共に黄金のオーラが放たれ始める。

 

「な……っ、その力は……!?」

 

 上司はシオンから発せられる力の波動に慄き、私も想定よりも早い流れに驚きを隠せなかった。

 

「不味いですよ?! 想定よりも早い……というか早すぎます! まさかもう“あの力”の片鱗に触れていたなんて……」

 

 彼女の身体から発される黄金のオーラ……それはあの“恐るべき極光”に似た、不可思議な波動を持ちながらも、彼女の精神性を表すかの様に暖かく、柔らかな光を放っている。

 

 泣いていた彼女の顔にもう絶望は無く、あるのは選り分けられ、理不尽に抗う為……勇気を振り絞り、約束を果たし、運命に抗う事を決意した少女の顔。

 

「リュシオ……あの時“もし、叶うとしたら……人として普通の生活をしてみたかった”って言ってたよね……」

 

 彼女は涙を拭い、2人を隔てる“鏡”(障壁)を睨む。

 

 ゆっくりと右手を上げ、彼女は指先で表面をひと撫でする……直後、障壁はオーラによって加えられた圧力に耐え切れず、隔てていた空間そのものにヒビを入れ、オーラが障壁をまるで侵食するかの様に喰らっていく。

 

(……ッ……!?)

 

 障壁の中で捕らえられ、無限ループの様な夢を見せられていたもう一人の彼女は障壁の破壊と同時にオーラによって保護され、フワフワと宙に浮かんでいた。

 

「……少しだけ、私の“代わり”をお願い。非常時以外は好きにしてて良いから」

 

 浮いている身体を引き寄せ、彼女はもう一人の自分の耳元でそう囁く。同時にお互いの手を握り合わせて“何か”を行った後……彼女は黄金のオーラの勢いを強め、私達にこう言い残して消えた。

 

「私はこれから“逆転の一手”を打つ準備をします……その間、彼女のフォローをお願いします!」

 

 転生者シオンは、自らの考え得る最悪の事態を回避すべく何処かへと向かった……

 

 シオンの言う“逆転の一手”とは何なのか──

 その為に向かった先は何処なのか──

 

 そして彼女を変えた、あの“黄金のオーラ”……それは勝利の“鍵”となるのだろうか──

 

 ……それはもう間もなく訪れる、決戦の趨勢に掛かっている。

 

 

 

⇐ To be continued...

*1
シオンの情報の多くは、世間に公表しても問題ない程度であれば一般にも知り得るのだが、非公開情報……

 主に敵に関する情報は「混乱を招く」として組織内でも極秘や機密として扱われ、更にシオン自身に関する情報は最高秘匿レベルとなっており、責任問題等の観点から、特に私生活にも関わりがあるスワンや命等メイン(セカンド)オーダールーム勤務者周辺と国連最高幹部クラスの一部にしか知り得ないものとなっている。

*2
というか、先の“中国での一件”で生死不明となった“劉 痞子”の関係者による密かな排斥活動があり、その活動が匿名性の高いネット上で完結している為か、国際司法や捜査当局も全容の把握に至れていない。




……そろそろ決戦の時が迫ってます。

再び肉体も精神も完全に分かれたシオン……
今まで地球の為に動いていた方のシオンは“とある”下準備の為に戦線を離れ、もう一人の自分に後を任せました。
……というか、残された方のシオンって誰ベースでしたっけ?(すっとぼけ)

そして唐突に目覚めた“黄金のオーラ”……
悪い予感がしなくもないけど、どうやら理解者(と皆さん)が危惧していた“アレ”とは何か違うみたい……

……さて、次回はついに原作にもあった、“例のアレ”が初めて確認された“あの”戦い……
ウチのお気に入り回でもあるのでメッチャ気合入れるわ!!

──────────

次回予告


君達に、最新情報を公開しよう!!

地球全体に突如として発生した大異変……
それに乗じて原種達は多方面作戦を展開する。

強力な“個”として分散し、同時に攻め立てる相手に
GGGとアーマロイド隊は否応なく戦力分散せざるを得ず
一部の状況は必然的に劣勢へと追い込まれてしまう……

強大な敵を相手に、絶体絶命の風龍と雷龍……
だがその時、“見知らぬ力”をその身に漲らせて
“アイツら”が帰って来た!!


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第94話『紡がれた絆、導かれし魂』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

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