狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
宇宙の彼方に消えたはずの超竜神を発見したGGG。
詳細などとにかく一切が不明ながらも、翌日には回収が完了。
地上仮設備内において調査解析が開始される……
そんな中、原種達は残り少ない頭数を補うべく……
密かに暗躍していたのだった。
深夜のエジプト……砂漠のど真ん中にあるオアシスの一角に、小さなESウィンドウが開かれる。
「チッ……忌々しい眷属共の所為で、こんな手間を掛けて移動せねばならんとはな……」
ESウィンドウの中から現れたのは腕原種……
彼ら原種は数日掛けて密かに環境を整え、ついに逆転の作戦を始めるべく行動を起こそうとしていた……
しかしGGGは、シオンの眷属であるアーマロイド達の協力を得た事により、長距離のESウィンドウ転移を感知する技術を確立している為、不用意な長距離転移は察知される可能性が高いと判断され、ごく僅かな反応しか残さない短距離転移を繰り返す事で、GGGやアーマロイド等の監視の目を誤魔化しつつ移動していたのである。
「………………」
腕原種の後ろから、腕原種らの初登場時と同じフード姿の原種が同様に短距離転移で現れ、嘆息している腕原種を見やった。
「心配するな“鼻”よ、この作戦は眷属共の強さを逆利用する……万に一つも失敗は無い。奴の思惑も、この作戦で捻じ伏せてくれる!」
「………………!」
「……どうやら、“腸”の方も準備は整った様だ。では、夜明けと共に作戦開始と行こう」
そう言い残し、原種2体はそれぞれ消えていく……
そして翌日の朝……原種の作戦とは違う要因も重なり、世界は大混乱に陥るのだった。
「《……どういう事だね?!》」
通信から、大河の困惑した声がメインオーダールームに響く……
「ダメです、地上との連絡が一切付きません!」
「地上用の衛星監視システムや、サテライトサーチも反応なし……まるで一切の電波が届いていない様です」
《近海や付近の宙域なら普通に電波通信は届いておる……恐らく地球だけが、電波を遮断する“膜”のような物に覆われとるのぅ》
調査に出た雷牙からの通信は通常電波であり、ある程度オービットベースからは離れているが問題なく通信可能……状況的には地球全土を対象にあらゆる電波が全て遮断されており、GPSや衛星電話、ナビゲーションシステム等の電波を使って稼働する機器が全て使い物にならなくなっていた。
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『こちらアーマロイド隊・射手座のクーゲル、GGGメインオーダールーム、応答して下さい! ……駄目ですね、通信が遮断されてるみたいです』
地上……元本部施設であったベイタワー基地跡にアマテラスを着陸させ、そこまで輸送してきた超竜神の調査を行っていたGGGの地上部隊だったが、同行していたアーマロイド達は、オービットベースとの連絡がつかない事に疑問を感じていた。
『オービットベースやディビジョン艦同士なら、“量子通信”ネットワークで結ばれている筈だろう? そっちはどうなんだ?』
麗雄と共に地上へと降りていた火麻は、ディビジョン艦やオービットベースへの緊急回線となっている量子通信ネットワークの事を指摘する……が。
「……その尽くも音信不通じゃ。全く以て原因すら掴めん……」
『……我々の相互通信システムも、何らかの干渉を受けている様です。オービットベースで待機中の牡牛座達に繋がりません』
人型ボディと本体の同時運用テストをする形で今回の調査に同行していた蠍座のグラヴィスからも、自前の通信システムすら繋がらない事を聴き、麗雄と火麻は存外な言葉に驚くしかない。
そして麗雄の言葉通り、原因は一切不明……しかし、地上と宇宙でのあらゆる通信が繋がらず、人々の生活に大きな影響が出ているのは疑いようのない事実。
「Oh my god……世界中でGPS電波の消失による事故が多発! 救援要請がアチコチで上がってマス!」
「有線放送やケーブルTV等の有線式通信は、影響を受け取らん様じゃ……やはり原因は電波の撹乱か?」
『通常電波だけでなく、我々やディビジョン艦の量子通信も遮断されています……打たれた手は、一つとは限らないでしょう。幸い地球上での量子通信は途切れていません。すぐ動ける我々は手分けして、救援要請の対応に向かいます』
『そうですね……麗雄博士、後はお願いします!』
『行きましょう、お姉さま!!』
シオン不在の今、アーマロイド隊の全権を握る作戦参謀グラヴィスの提案で、アーマロイド隊は各地の救援要請に応える事となり、護衛を兼ねて麗雄に同行していた双子座らは麗雄に後を託し、亜空間で待機させていた本体を現出させる。
「うむ。気を付けてな……!」
「風龍と雷龍も、救援要請の対応だ。超竜神に、お前らもコレくらいは出来るって所を見せてやれ!」
『『了解!』』
現場指揮者として火麻も風龍と雷龍に救援要請の対応を指示するが、その直後に護が異様な気配に気付いた。
「……ッ?! 原種だ!?」
『何っ?!』
「護、原種の位置は……?」
現れた原種の位置を火麻に尋ねられ、護は集中に入る……僅かな沈黙の後、原種の反応を護は再び捉え、大まかながら方角と距離を掴む事に成功した。
「2か所……東と西。どっちも遠く離れてる……」
その時、情報収集の為一時的に繋がれていた複数のケーブルTVから、様々な情報が舞い込んで来た。
「何ぃ?! エジプトでスフィンクスの化け物だとぉ?!」
「メキシコの古代遺跡で、行方不明者が続出……?!」
その中から“如何にも”な情報が混ざって聞こえてきたのを風龍と雷龍は確認し、
『大勢の行方不明者に……』
『歴史的建造物の怪物……どっちも原種が原因っぽいな』
「多分、その2つで間違いないよ!」
2つの件を怪訝に思った風龍と雷龍の声に、護も強く肯定する……やはり間違いなく、原種は何かを始めたらしい。
『《我々も加勢に向かいたい所ですが……》』
『《済まんな……コッチは手一杯だ》』
手近な場所からとはいえ、長距離を短時間で移動できる手段を持たないアーマロイド……グラヴィスは空港と連絡が取れない多数の航空機の管制誘導を肩代わりしているし、牡羊座や双子座も、山林地帯で立ち往生している民間車両や、外洋で迷子となっている船舶の誘導をしている。
『……なら、手分けするしか無いな』
「危険過ぎる……! ……だが、待つ暇など与えてはくれんじゃろうな」
一度は否定しようと声を上げた麗雄だが、直後に原種を放置する事の危険性を考え、引き止める事を諦めた。
『……風龍、俺はメキシコの方に向かう』
『雷龍……分かった、なら私はエジプトの方を何とかしよう』
『《ムチャはしないで下さいよ?! アナタ達まで倒れたら、超竜神や楊主任から何て言われるか……》』
雪山で遭難者を捜索しているクーゲルから忠告が飛ぶ……2人にもしもの事があれば、未だに目覚めないシオンが悔やむし、超竜神や、GGG中国支部の責任者となった楊司令に合わせる顔がない。
『無論です!』
『分ってるさ!』
そんなつもりは無い、と2人とも去り際にそう返し、揃って上空へと飛び出して行く。ある程度高度を取ってから2人はそれぞれの目的地……エジプトとメキシコへと飛び立っていった。
(((風龍、雷龍……2人とも死ぬなよ……!)))
この場に残る麗雄らGGGスタッフや、各地に散らばり救援要請に応えるアーマロイド達……その誰もが、恐らく死地になるであろう目的地に向かう風龍と雷龍の無事を祈るのだった。
安全確保と経過観察の為、オービットベースの居住区画から研究区画へと移された、シオンを包み込む黄金の繭……
その中から僅かな光が漏れ始め、まるで胎動するかの様に明滅し始める。
そして……
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「抵抗は無意味だ……GGG長官、大河幸太郎……」
伸縮自在の黒い影の様な、“人外のナニカ”から襲撃を受け、大河は肩に浅い傷を負っていた。既に護衛のSPは全員殺されており、辛うじて生き残っている大河の周囲には見るも無惨な光景が広がっている。
「キミは一体……何者なのかね……!?」
「……答える義務は無い……が、1つだけ教えておこう」
正体不明の相手に、大河は定番な問い掛けを行う……勿論その返答も定番であったが、“1つだけ教える”と意外な切り返しがあった。
「私は……この世界の“神の遣い”だよ……」
「な……っ?!」
その言葉に、降って湧いた疑問や驚愕など複数の感情が綯い交ぜとなった声を上げる大河……だが、その直後に背後から大きな影が覆い被さり、瞬く間に全身を包み込んで拘束。そのまま足元に広がった影へと吸い込まれていく……
「第一段階の工程に、もう一人は必要……か。面倒だが、やらねば私の目的は達成出来ぬ……さて、どの手を使おうか……」
影が象ったかのような人型の“何か”はそう言い残し、襲った大河と同じく足元の影へと沈み込んでいく。
地球規模の通信障害に、各地の交通麻痺や遭難事故……その混乱の最中、GGG長官大河幸太郎は人知れず消息を絶ったのである。
あっれれー? おかしいなぁ……
このタイミングで色々起きすぎじゃない?
原作だと、原種の2面作戦だけだったよね?
それが世界規模の通信障害に、大河長官の拉致って……
敵は一体、何をしようとしているのか……
次回もお楽しみに♪
大河長官の拉致……という事は……?
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