狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回からの続き……

地球全土の通信障害により、各地で多発する様々な事故。
更に原種による同時侵攻も繰り広げられ、風龍・雷龍は対応のため、現地へと飛んだ。
だが、畳み掛ける様に宇宙では大河長官が失踪しており、GGGは行動制限を余儀なくされてしまう……

しかし、それで終わる様なヤワな彼らではない!
我々にはまだ、それぞれの勇気と希望が残されている!!



第96話 紡がれた絆、導かれし魂(3)

 長きに渡り沈黙を守っていた、黄金の繭……

 

 GGGオービットベースの研究区画に移されても、しばらくは何の反応も示してはいなかった。

 

 だが、ある時を境に僅かながら胎動と反応が始まっており、事態に気付かれないまま“それ”は始まっていた……

 

──────────

 

 そして地球では、Gアイランドシティ上空へと向かうアマテラスと護衛の牡牛座&山羊座にギャレオン。

 

 だが向かう先の仮設基地では、緊迫の状況に陥っていた……

 

 

「……逃……げろ……! お前ら……!」

 

 苦悶の表情……首を真正面から掴まれ、呼吸の制限された状態でなお、火麻は直ぐ側に居た護や麗雄等をこの窮地から逃そうとする。

 

「参謀!? デヤァァァ!!」

 

 無論、戦闘能力を持つ凱は、火麻の首を掴み行動を制限させている元凶……白いフードの人物の傍らに走り込み、火麻から手を放させようと拳を繰り出す……が。

 

 ……パシッ。

 

「……何っ?!」

 

 白フードは事も無げにその拳を見向きもせぬまま片手で受け止め、そのまま無造作に凱の手首を握り直して放り投げる。

 

 投げられた事に周囲の一同は驚くも、凱は冷静に空中で体勢を整え直し、数メートル後退しながらも着地に成功した。

 

「貴様の相手は“今”ではない、サイボーグ……用があるのはこの男だけだ」

 

 そう告げた後……白フードは火麻の首を掴んだまま、自身の影に沈み込む様にしてこの場を去ろうとする。だが……

 

『ジェットワッパーッ!!』

 

 不意に外から特殊合金製の巨大手錠が飛び込んで来る。だが不意を突かれた形の白フードは何を思ったのか、完全に建物の外へと出る直前に火麻から手を離し、自身はさしたる抵抗もせず建物の外へと引き摺り出されてしまった。

 

 そのまま外で対人戦闘状態へと強制的に舞台を整えたのは勿論、護の護衛として付近で待機していたボルフォッグ……

 

「……強引な手段だが助かったぜ、ボルフォッグ!」

 

 出入口付近まで来て様子を伺いつつボルフォッグへ礼を言う火麻だったが、ボルフォッグの緊張は解かれない。

 

『いけません火麻参謀、すぐに他の皆さんと退避を! 奴の相手は……ッ?!』

 

 ボルフォッグは火麻へ警告を発するが、白フードの反撃に中断せざるを得なくなり、瞬時にシルバームーンを振るって白フードからの攻撃を弾いた。

 

 攻撃を弾かれた白フード……腰の後ろ辺りから、その身体に不釣り合いなほど長大な機械の塊……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を伸ばしている。

 先程の攻撃はその尾先の刃でボルフォッグを打ち払おうとしていた……が、ボルフォッグは攻撃の軌道を見切り、接触の瞬間と同じタイミングでシルバームーンを振るって尾の攻撃を切り払い、回避に成功したのである。

 

 油断なく構えるボルフォッグ……その様子に嘆息した白フードは、聞き覚えのある様な声で次の一言を告げた。

 

「手間を掛けさせてくれますね。さすがはGGG……ですが……」

 

 ボルフォッグは相手のその余裕の物言いを聞いて自らの過ちに気付き、火麻の方を見るが……

 

「……っ!? 火麻参謀?!」

 

 ……既に遅かった。そこに火麻の姿はなく、人がすっぽり収まる程度の“黒い穴”の様なワームホールがあり、如何にも()()()()()()()()()()()()()()という風に閉じていくところであった。

 

「我々の目的に障害などありえません……貴方がたも、無駄な抵抗はお止めなさい」

 

 さらにそう言い残し、白フードも再び自らの影に吸い込まれる様にして去っていく。

 

『クッ……待ちなさい!!』

 

 ボルフォッグは再度、ジェットワッパーで白フードを掴もうとするが、僅かな差で影も形も無くなり、コンクリートの地面にジェットワッパーが激突するだけに終わる。

 

「ボルフォッグ! 火麻参謀は……!?」

 

『……申し訳ありません』

 

 その後、凱もボルフォッグに合流するが、ボルフォッグは自らの不甲斐無さを絞り出すかの様に報告するしかなかったのだった。

 

──────────

 

 その後、無事にGアイランドシティ上空へと到着したアマテラスとギャレオン、牡牛座等にも仔細を伝え、凱はアマテラスでエジプトへ……牡牛座と山羊座も急ぎメキシコへと救援に向かう事となる。

 

 しかし、そう簡単に行かせてくれる程敵は甘くなかった……

 

「右舷前方から、高エネルギー反応多数接近!!」

 

「何ッ?!」

 

『プロテクトシェードッ!!』

 

 命の独断が功を奏し、合体を完了していたガオガイガーのプロテクトシェードがアマテラスへの砲撃を無効化する……だが、砲撃を放った元凶の姿に麗雄は驚いた。

 

「ゾンダー?! しかし、原種はエジプトとメキシコに居る筈……」

 

『……奴等の差し金か……!』

 

『あたし達も人気者ねェ、嬉しくはないんだけど?』

 

 海上をホバー移動で海岸線を走り迫る、1体のゾンダーロボ……その風貌には何処となくネコ科の野生動物……虎の様な意匠が処々に現れていた。

 

「……?! もしかしてアレ……長官さん?!」

 

「なんじゃと……っ?!」

 

 護はゾンダーロボの意匠と、能力で感じ取れたイメージから確信。麗雄等はその事に動揺を隠せない……

 

『《ようやく繋がったか……牡羊座だ! アメリカ支部から、試作ツールの一部が盗まれたと知らされてな。……ん? そっちもどうやら切羽詰まってる様だな……》』

 

 そこへ牡羊座からの通信が繋がり、牡牛座はようやく事態の全容を把握する。

 

『牡羊座……成る程、そう言う事か……!』

 

 原種等は事前にGGGアメリカで開発が進んでいたガオガイガー用ツールの試作品を奪取、それとゾンダーメタルを利用して攫った大河長官をゾンダーロボに仕立て上げた。

 

 また、何者かが同時に起こした世界規模での通信障害を利用して分散し、エジプトとメキシコで2面作戦を展開……

 

 勿論GGGの妨害を予測し、ゾンダーロボと化した大河をけしかける事で時間稼ぎまたは同士討ちを狙う。

 

 更に作戦をより盤石にするべく、GGGの作戦参謀である火麻も狙ったのだ……と。

 

『実に嫌らしい作戦ね、さすがのお姉さんもちょっとキレそうよ』

 

『此方の出方を全て把握し、事前に対策も含めてくるとはな……だが……!』

 

 山羊座と牡牛座は忌々しく吐き捨てながらも武装を構え、ゾンダーロボと対峙する。だが……

 

「俺が正面から相手をする、2人はサポートに回ってくれ……!」

 

 ガオガイガーが前に出て2人を止め、正面を自ら務めると宣言した。

 

 アーマロイド等の一部を含め、GGGの現状全てを把握している大河幸太郎を使ったゾンダーロボの能力は未知数であり、過剰戦力が過ぎるアーマロイド等では()()()が起きかねない……

 その為、対ゾンダーロボ戦闘用として開発されたガオガイガーの方が、万全を期すには最適であり、凱自身も、彼の部下であるが故に、自らの手で救いたいという思いは強かった。

 

『……了解した、正面は任せる』

 

『男の熱い友情ね、お姉さんも援護するわん♪』

 

 牡牛座と山羊座も凱の想いに応えて同意し、3人は油断なくゾンダーロボの上陸を待ち構えるのだった。

 

──────────

 

 一方その頃……エジプト、及びメキシコでは……

 

『……クソッ、あと少しが遠い……!』

 

『もう少し……接近さえ出来れば……!』

 

 風龍と雷龍は、腕原種・腸原種との戦闘にも慣れてはきているものの……決定打や有効打を浴びせる迄には至らず、徐々に追い詰められていた。

 

「どうした風龍よ……この私を倒すのではなかったかね?」

 

「フフフ……如何にGGGのロボットが優秀であろうと、私達には敵わない」

 

 戦力差は絶望的……だがここまでの風龍と雷龍は、善戦していたと言っても過言ではない。

 相手の攻撃を的確に捌き、周囲への被害もほとんど出さず、たとえマトモな有効打が浴びせられなくとも、ほぼ人的被害を出さずにココまで戦えたのは、驚嘆すべき事だ。

 

「フフフ、そろそろ止めを刺してやろうか……!」

 

 腕原種のその声に嫌な予感を感じた風龍と雷龍、その直感に従い形振り構わぬ回避行動を取ったお陰で不意打ちを避け切る。

 

 エジプトで風龍を強襲したのは、ピラミッドの守護者……スフィンクスを象った原種ロボ。その口から放たれた液体を間一髪で回避する風龍。

 

 メキシコの雷龍を攻撃したのは、巨大な顔を模した石像……モアイ像の如き風貌の原種ロボ。その鼻部分から強力な突風が放たれるも、雷龍は電磁貨台を巧みに操り、間一髪で避ける。

 

『……やはり原種は……!』

 

『もう一体居やがったか……!』

 

 ダメ押しの如く戦力差を拡大させ、風龍と雷龍の気概を折ろうとする原種の作戦……しかし、どんな事があろうと、2人の意思は微塵も揺るがない。

 

「これでも我らを倒すと息巻くか、愚か者共よ」

 

『ハッ、テメェ等がどんな手を使おうと!』

 

『私達の心を折る事など出来ない……!』

 

『『俺(私)達はGGG隊員! どんな事があろうと決して諦めず、未来を切り開く努力を重ねる!!』』

 

・ ・ ・

 

 その頃、旧ベイタワー基地跡に建てられた仮設研究施設にて、アーマロイド達から中継をして貰い各支部を経由してエジプトとメキシコの戦闘を見ていた麗雄や護達……

 

「こんな時……超竜神が居てくれたら……」

 

 護は悔しさを滲ませながらも、凄まじい程の経年劣化で化石化している超竜神を安置している部屋へと来ていた。モニター室のすぐ隣にあるこの部屋から伸ばされたキャットウォーク……超竜神の眼前で、護は俯いたままそう呟く。

 

『私達も同じ想いです……こんな時に、彼らの力があったら……』

 

『2人が一緒なら……風龍と雷龍を助けてくれるんじゃないかなって思うわ』

 

 いつの間にか、護の両隣にはノリコとカズミが来ていた……

 

 彼女らの本体はあまりにも巨大過ぎるため地上での戦闘や救助活動には向かず、戦闘以外のシステムも調整が不完全なまま……未知の技術の塊故にGGGでも調整ができず、待機しているしかなかったのである。

 

 6500万年という途方もない時間遡行を共に経験したのも束の間、その先で不意に引き剥がされ、再び地球へと跳ばされるのを見ているしかなかった2人にとって、今の超竜神の状態には思う処があった……

 

 あの時……もし、彼らと別れずに居る事が出来たら……と。

 

「……風龍と雷龍を……助けて……超竜神……」

 

 自分が子供であるが故に、戦闘では何も出来ない……自分ではどうしようもないそんな不甲斐なさを噛み締めつつ、護は涙した。その一雫が、キャットウォークの足場から逸れ、下にあった超竜神の脚部装甲だったものに落ちる……

 

 キィィィ……ン

 

 ピピピピピピ……

 

 その数秒後、微かな共鳴音と同時に超竜神の内部にあるGSライドからエネルギー反応が観測され始めた。そのエネルギー反応はみるみるうちにその出力を増大させていき、計測数値を振り切ってなおも上がり続ける。

 

「な、何じゃ?! 何が起こっとると言うんじゃ……?!」

 

 モニター室でも事態に気付いた麗雄。同時に、スワン達が超竜神のデータを表示する画面を見て驚愕し始めた。

 

「《……超竜神のGSライドが……計測不能レベルの莫大なエネルギーを発生していますっ!?》」

 

「Oh my god?! 機体の各部が急速に復元されてマース!?」

 

 6500万年という途方も無いレベルの経年劣化が、ものの数秒で復元されていく……あまりにも尋常ではないその光景に、眼の前の3人は元より、モニターを見る麗雄達も圧倒されていた。

 

 そして共鳴音も徐々に大きくなっていき、超竜神が発するエネルギー反応に呼応して更に増大……その反応に双子座であるノリコとカズミにも影響が出始めていた。

 

「……えっ、何で2人も光って……?」

 

『このエネルギー反応……お姉さま!!』

 

『……ええ、覚醒したのね。私達の予想とも違う形で……!』

 

 ノリコとカズミの身体にも、超竜神と同様のエネルギー反応が観測され始める……それはかつて麗雄にサンプルを渡し、解析まで手伝った事のある“木星圏で採取された未知のエネルギー”……

 

 ──ザ・パワー。

 

 三重連太陽系において“滅びの力”とも呼ばれる、無限のエネルギーだった──




※ シナリオ補足 ※

この時ジェイアークも、戒道幾巳の強い意向で陰ながら救助活動に勤しんでおり、その速度を活かして主に海洋域の多い南半球を中心に活動していた。
なお、Jはこの進言で幾巳の精神的成長を感じ、内心複雑だった……が表面上はいつもの通りであるw

──────────


ついにあの超絶エネルギー、「ザ・パワー」が発現!
超竜神から発せられるエネルギーに呼応して、双子座もまた共鳴するが如くパワーを上げていく……果たして何が起きているのか?!

次回もお楽しみに♪

どっちを先に見たい?

  • 超竜神の復活シーン
  • シオンの復帰シーン
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