狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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木星圏で発見された謎の超エネルギー“ザ・パワー”を全身から迸らせ、化石状態から驚異の復活を遂げた超竜神。
エジプト・メキシコで奮戦する風龍・雷龍を救援すべく、氷竜・炎竜へと分離し双子座の助けを借りて現地に駆け付けた。

しかし、原種らはあろう事か宇宙空間にESウィンドウを開き、あの宇宙怪獣を地球圏へ再び呼び込もうとする……
蹂躙を防ぐべく、双子座は宇宙へ上がるため戦域を離脱し、再び竜シリーズのみとなってしまったエジプトとメキシコの戦い……

最早この状況を打開するには……
炎竜と風龍、氷竜と雷龍のシンメトリカル・ドッキングしかない……!!



第98話 幻氷の騎士、強腕の戦士

『『なら、やるしかないな……“シンメトリカル・ドッキング”を!!』』

 

『『え……っ?!』』

 

 氷竜と炎竜の言葉に、耳を疑う風龍と雷龍……当然ながら、シンメトリカル・ドッキングのシステムは氷竜と炎竜、風龍と雷龍のコンビネーションを前提として組まれており、ボディの規格部品は同じだとしても、相手を変えての実行には未知の危険が多分に含まれている。

 

 ……そう、本来ならば“シンメトリカル・ドッキング”とはパートナーとされる2人でしか行えない機能とされているのである。

 

『炎竜先輩、私とのシンメトリカル・ドッキングはプログラムされていません。現状での実行には、大きな危険が伴います……それでも、やるんですね?』

 

『ああ。この状況を乗り切るには、もうその手しかない!!』

 

『氷竜先輩、本気なんだな……?!』

 

『ええ。無理は承知の上……しかし、我々が原種に打ち勝つには、奴等の想定を上回らなければ不可能です!!』

 

 風龍・雷龍の問い掛けに、氷竜・炎竜は迷いなくそう答えた。

 

 現状で彼等が原種に勝利するには……氷竜の言う通り、腕原種・腸原種の想定を超えなくてはならず、炎竜の言葉通り、他に手立てもない……

 

『……しょうがねぇ。俺も腹ぁ括るぜ、氷竜先輩!!』

 

『……私も信じます。炎竜先輩を……そして共に戦う仲間達を!!』

 

『頼もしくなったな、雷龍!』

 

『俺も信じてるぜ、風龍!』

 

 頼れる兄達の言葉を聞き、風龍と雷龍は少しの間をおいて覚悟を決めた。その答えに、氷竜・炎竜も「その意気だ」とばかりに手を差し出し、彼らはお互いしっかりと握手を交わす。

 

(俺達は諦めない! たとえこの身がどうなろうと、祖国と地球の平和は、俺達の手で守ってみせる!!)

 

(私達には守るべき祖国と、そこに生きる命……そして信頼できる仲間がいる! 皆と共にあれば、平和を脅かす何者にも負けはしない!!)

 

(俺達は、この地球(ほし)と命を守る事に誇りを持っている! 例え敵がどんな奴だろうと、俺達は勝利を勝ち取ってみせる!!)

 

(……そう、()達はいつ如何なる時も……)

 

((((この地球を守る、GGGである事を忘れないッ!!))))

 

『うぅおぉぉぉっ!!』

『ハァアァァァッ!!』

『ぬぅおぉぉぉッ!!』

『くぅあぁぁぁッ!!』

 

 4人それぞれが持つ矜持と信頼、そして誓い……この濃密な思いは時を同じくして宇宙を駆け上がる双子座の心に響き渡り、その熱き猛りと願いは双子座のコア・ネットワークを通じて更に他のアーマロイド達にまで伝播していく……

 

『こ、コレは……!』

 

『熱い……我が身すら燃え上がる程の、熱き魂……!』

 

『これこそ我々が、我が主が求めた理想……!』

 

『俺達も、負けていられんな……!』

 

『氷竜、炎竜……!』

 

『風龍、雷龍……!』

 

『グゥオォォォンッ!!』

 

 各地で救援や現地活動の手伝いをしているアーマロイド達の魂を震わせた竜シリーズ4人の熱き魂……それは留まる事を知らず、氷竜と炎竜の体内に残留していた“ザ・パワー”の欠片を、再び活性化させていた……

 

《氷竜と雷龍、炎竜と風龍、それぞれのシンパレート値が計測範囲を超えて上昇中!?》

 

 (ミコト)の驚愕した声に、麗雄や雷牙等はモニターを注視。他の皆も、オービットベースやマイク等の頑張りで辛うじて繋がったサテライトネットワークの中継映像を見守る。

 

《150……170……185……!》

 

 映像には氷竜・炎竜だけでなく、風龍・雷龍までもが“ザ・パワー”のエネルギーに影響された事で全身が黄金に輝き始め、空高く舞い上がっていく……

 

《シンパレート、200%を突破しましたッ!!》

 

 空中で4人はそれぞれ目の前の相手と固く手を握り合い、頷き合い……思いの丈をぶつけるが如く、最大音量で叫んだ。

 

『『シンメトリカル・ドッキングッ!!』』

 

『『シンメトリカル・ドッキングッ!!』』

 

 そこから起きたのは、まさに“奇跡”……

 

 完全な想定外であり、プログラムされていない相手との合体(シンメトリカル・ドッキング)

 

 例え純粋なパーツ規格は同一であっても、試した事など1度も無く、そもそも想定されていなかったパターン。

 

 しかし4人は己の気持ちと魂を一つに合わせ、この不可能を可能に変えていく……

 

 そして現れたのは青と黄……そして赤と緑の合体ロボ。

 

幻竜神(げんんんりゅうぅぅぅじぃぃぃん)ッ!!』

 

強龍神(ごぉぉうりゅうぅぅぅじぃぃぃん)ッ!!』

 

 メキシコ・ティオカワンの上空に現れた、右を青、左を黄色に染めた幻氷轟雷の勇者「幻竜神」。

 

 エジプト・ギザの上空に現れた、右を緑、左を赤に染めた疾風爆炎の勇者「強龍神」。

 

「フン、今更合体した処で……!!」

 

 腸原種はゾンダーロボ等の牽制射撃に合わせて引き寄せた岩塊を撃ち出す……が、しかし。

 

『オーロライリュージョンッ!!』

 

 幻竜神は無数の氷の破片を周囲に展開させ、一瞬にして10体にまで分身……岩塊と砲撃は幻影を素通りしたため、ゾンダーロボ等は幻竜神本体の位置を認識できなくなる。

 

「えぇい、分身など……!」

 

 腸原種は管を伸ばし、発生源であった中央の幻竜神を吸い込むが……

 

「……っ?!」

 

 それは全て氷の欠片で構成された分身体だった。そして分身の残りは9体……

 

「私の隙を伺うつもりか、だが所詮は虚像。全て吸い取ってくれる!!」

 

 更に管を動かし、次々に分身を吸い込む腸原種。

 だが最後の一体まで吸い込んだというのに、幻竜神の本体の反応が見当たらない……

 

「……?! 何処へ行った!?」

 

『私は此処です……《プラズマチェイン・スラッシュ》ッ!!』

 

 周囲を掃討した腸原種は姿なき幻竜神を探したが、幻竜神は声と共に腸原種の頭上に現れ、そのまま下降と同時に左腕を構える。

 その手刀は荒れ狂う電撃と飛び交う氷刃を伴っており、腸原種の管へと容赦なく振り下ろされた。

 

「フフフ、そんな程度の技で…… ッ?! こ、これは……!?」

 

 直前まで余裕の笑みを浮かべていた腸原種だったが、攻撃された箇所をみた瞬間にその笑みは驚愕に変わる。

 

 腸原種の持つ管……今までさしたるダメージを受けなかった筈がこの一閃でいともたやすく両断。更にその切断部位が直後にはガチガチに凍り付き、ゾンダー特有の強力な再生能力をほぼ完全に封じ込めていたのである。

 

──────────

 

「フン、土壇場の悪足掻きなど……!」

 

 腕原種は周囲のゾンダーロボとタイミングを合わせ、無数の砲撃と岩塊の投擲で強龍神を襲撃する。しかし……

 

『これでも喰らえッ、《ナパームサイクロン》ッ!!』

 

 強龍神は右のミキサーから竜巻と同時に紅色で“DANGER”と書かれたミサイル弾を発射……ミサイルは腕原種と巻き添えを喰らった大量のゾンダーロボ等の全身をくまなく爆撃し、破損箇所を加速度的に増やし続けていく。しかも、爆発を受けたゾンダーロボや原種は思うように動けなくなり、一部の機体は再生能力までもが著しく阻害され、次々と行動不能になっていく。

 

「こ、この爆発物(ミサイル)は……まさかッ!?」

 

『理解できた様だな……!!』

 

 強龍神のこの技で撃ち出されるミサイルには超高濃度のGパワーから精製された微細なエネルギー粒子が充填されており、ミサイルの爆発と同時に放出されたそれがゾンダーロボ等の関節などありとあらゆる隙間に入り込む事でゾンダーパワーとの対消滅反応を引き起こし、ゾンダーの能力や身体機能を著しく阻害していたのである。

 

「おのれ……この様な手で対消滅反応を起こすとは……!!」

 

 Gパワーをたっぷりと含んだ竜巻と粒子は、腕原種の砂嵐を上書きしながら暴風の様に周囲のゾンダーロボをも次々と巻き込み、直撃を受けた腕原種はその能力を大きく減衰させていく……

 

対EI-01(パスダー)戦での戦闘データが、この対処方法を導き出したのだ。相反する存在に有効ならば、それは当然お前等にも効くという事……!!』

 

 ……なお、一言で“対消滅”というが、実際“対消滅反応”には色々な法則がある。

 この世界のGパワーとゾンダーパワーの対消滅は“お互いの接触で消滅し合う”……としか明記されていないが、理論上では対消滅反応が膨大であればそれ相応のエネルギーが発生するようになる……

 

 つまり、一定以上のエネルギーを発するもの同士の対消滅反応には、本来()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のである。

 

 そして、その理論を現実に目の前で起きている事態に当て嵌めると……

 

「……ッ……?! 何だと……ぉっ?!」

 

 Gパワーの嵐による腕原種の身体機能の衰え、そして対消滅反応により発生し空間内に充満していくエネルギーがついに臨界を迎え、強烈な閃光と爆音……そして衝撃波を伴う大爆発を引き起こした。

 

──────────

 

「お、おのれ……ぇッ、たかが地球のロボットなどに……!」

 

 強烈なGパワーの嵐と、対消滅反応によって発生した膨大なエネルギー……そして強龍神の技が合わさり、己の想定を遥かに上回るダメージを被った腕原種。

 

「馬鹿な……っ、我々原種の力を……上回るなど……!?」

 

 攻撃の要たる管を凍て付かされ、最大の攻撃手段を失った腸原種……

 

 勿論、原種本体へのダメージは傍に控えていた鼻原種と胃袋原種を相手とした『原種融合』によって差し引き0に戻されてしまったが、十分に対抗出来る攻撃手段を持つに至った幻竜神と強龍神の存在は、今まで圧倒的な優位に立っていた筈の原種等からすればまさに“有り得ない”としか言えなかった。

 

『我々のこの力は、“個”では成し得ない……信頼する“仲間”あってのものだ。お前達原種には、それが理解できまい!』

 

『地球人類の……そして我々兄弟の“絆”……それを見誤ったのが、お前達の敗因です!』

 

 大技を繰り出した直後だというのに、幻竜神と強龍神は何食わぬ顔で原種にこう吐き捨て、油断なく再度構える。

 

「……だがッ! 今この場で我々を倒せても、地球は既に死に直面している事を忘れるなよ!?」

 

 精神的に追い詰められた腕原種は、ややキレ気味にそう吐き捨てた。無論、このまま原種を全て倒せても、先ほど置き土産の如く開け放たれたESウィンドウから今にもなだれ込もうとしている宇宙怪獣の大軍団を相手するには、さすがのGGGでも分が悪すぎる。

 

「今の我々が消えようとも、Zマスタープログラムがある限り、我々は不死身なのだ!!」

 

「キサマら地球人類に明日はない! 奇跡などありはしないのだからな!!」

 

 しかし……今の彼らには、頼もしい仲間が居る。

 

『いいえ、奇跡は起きます……起こして見せますッ!!』

 

 そう高らかに声を上げたのは、今まさに宇宙怪獣の群れの最前線に突入しようとしていた双子座……

 

 何者も恐れず立ち向かうと決めた、ノリコの覚悟の叫びだった。




……どないですかね?

ちと大味な設定だけど、幻竜神と強龍神には本作オリジナルの必殺技を追加しました。
細かな内容は後々資料化しますけど、とりあえず今回はそれぞれ一つずつ公開、なお、追加技はあと一つずつ用意してます。

それにしても、幻竜神の分身技……ちと卑怯じゃね?
最初の発生源だった中央はいつの間にか囮だし、声を上げるまで完全ステルス状態なのはやりたい放題過ぎでしょ。

まぁ、オリジナル技は敵も想定外のバ火力なんですがねw

さて、次回はネタの再現……
双子座の本領発揮かな?

あと、文字数余るなら原種戦の決着まで進むかも……
では、次回もお楽しみに♪

──────────

次回予告


君達に、最新情報を公開しよう!!

宇宙の彼方から襲い来る夥しい数の宇宙怪獣。
それをたった2人で迎撃する双子座……
地上での奇跡に呼応した2人の魂は炎となり、
もう一つの奇跡を起こす!!

虚空の使者をも燃やし尽くす炎……
その一部始終を目撃せよ!!


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第99話『その魂、炎となりて』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

『正直に答えてください』本作の更新速度についてのアンケート

  • 遅くてもいいのでエタらないで!
  • 完結は見たいけど更新速度は……
  • 続きはよはよ!!
  • モチベーションにおまかせします
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