狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
技はもう一つずつあるのですが……今はまだ秘密です。
さて、今回は予告通りの対宇宙怪獣!
状況故に分離していた双子座……
しかし、唐突な宇宙怪獣の出現により、双子座は再び孤独な戦闘を強要されてしまう。
億に匹敵する数の脅威を相手に、たった2人で挑む双子座……
頼む、我々に勝利を見せてくれ!!
月軌道の更に向こう……不気味に空いた虚空の穴、原種等が開いたESウィンドウから、無数に送り込まれる宇宙怪獣。
圧倒的過ぎる数の暴力……既に数万を超える程の数の群れは、更にその数を増やしながら月軌道の外に屯していた。
そこへ突っ込む2つの光……
『敵集団捕捉、ますます数を増やしてるわね……防衛線を構築しつつ前方確保、行くわよノリコ!』
『はいッ!』
漆黒の機体を日光で煌めかせた双子座の分離形態、ジェイアークと同等サイズの2機の黒い機体が、一直線に宇宙怪獣の群れへと突撃していく。
……………………!!
先触れが2機の接近に気付き、分隊単位の小型宇宙怪獣が全方位から殺到してくる……が、2機は翼端や上部に搭載された高出力レーザー砲で薙ぎ払い、撃ち抜きながら前進を続けつつ殲滅していく。
『数は……もう10万に!?』
ノリコは大雑把な概算で出されている敵総数の推移に目を剥く。
双子座の殲滅力はアーマロイドの中でも随一ではあるが、如何せん相手の増える速度の方が圧倒的に早く、僅かでも放置すればあっという間に億に手が届きそうな勢いである。
『…………っ!?』
その時、姉のカズミが操る機体に大型の宇宙怪獣が迫り、至近距離で光弾を放ってくる。しかしカズミは冷静に機体を翻して回避……そのまま青いレーザーで周囲も纏めて薙ぎ払い、爆炎を突っ切って加速、包囲されまいと懸命に機体を操作する。
しかし、その数秒ほどの攻防の最中……カズミの精神に小さな“雑念”が送り込まれていた。
『……?!(なに……誰なの?!)』
表面上は淀みなく迎撃を繰り返しているが故に妹のノリコはその些細な変化に気付かず、襲い来る敵集団の迎撃に集中している。
カズミも機体を操る手は止めないが、感じ始めた心の中の動揺は加速度的に大きくなっていく……
せかいの“死”はくつがえらぬ
(……ッ……鬱陶しい……気が散る……! なっ……?!)
そして、フラッシュバックの様にカズミの脳裏に送り込まれる複数の映像……
そこには、多量の残骸と共に力無く虚空に浮かぶGGGの勇者たちやアーマロイドの仲間……そして全身を何本もの槍で串刺しにされ、さらに身体を食い散らかされた状態で完全に死んでいるシオンの姿があった。
その映像は何度も何度も、何度も何度も……宇宙怪獣の個体を撃破する度に、繰り返し送り込まれてくる。
大型の個体を屠る度に仲間の敗北や、主の死した姿を延々と見せ付けられれば、正気で居られる筈もない……
『……ダメ……私……もうこれ以上動けないッ!!』
突如としてカズミの機体が動きを止め、フォローするべくノリコの機体が援護に入り、機体のシステムはカズミの手を離れた事で自律コントロールモードに切り替わり、一応の迎撃行動は再開される。
しかし、非常事態に備えたシステムによる自律コントロールでは本来の機体性能の半分も発揮できず、目に見えてその動きは精彩を欠いており、高い防御力のお陰で損傷こそほとんど無いとはいえ、明らかに被弾が増えていく。
このままではジリ貧……最悪の場合、撃破される可能性も出てくる。
ノリコは姉の機体の周囲に纏わり付こうとする宇宙怪獣を優先的に撃破する事に切り替え、懸命に数を減らしながらも通信でカズミに声を上げた。
『お姉さま、体勢を立て直して! このままでは殺られてしまうわ!』
しかし、カズミはうわ言の様にこんな言葉を繰り返す……
『私……動けない……あの人が死んでしまう……皆が死んでしまう……こんなに事をしても……全て無意味に終わるの……?』
宇宙怪獣を介した、ピンポイントの精神攻撃……こんな手段を原種達が取る可能性は極めて低い。ノリコは十中八九「こんな手を使うのは原種じゃない」と看破したが、誰が仕掛けたのかまでは思い当たらなかった。
しかし、現実問題としてカズミは悪辣な精神攻撃によってかなり混乱しており、いくら機体が超越技術の塊であるとしても、これ程の絶え間ない攻勢に晒されれば敗北するのは明らか。
ノリコは懸命に姉を気遣い言葉を掛けるが、うわ言を続ける姉の精神状態に段々と鬱憤が溜まり……ついにキレた。
『何を言ってるのお姉さま!? 私達は地球を、この世界を守る為に戦ってるのよ! でも私達だけじゃ本当の平和へ辿り着けない事が分かった。だからこそ、シオンは私達をGGGの皆と共闘できる様にずっと努力を重ねてきた! なのに……それなのに戦うのを止めるなんて、お姉さまらしくないわ!!』
ノリコの言葉に、僅かながらカズミが反応する……しかし、デバフ攻撃は留まる事を知らず、ノリコへの攻勢も止まない。
懸命に機体をコントロールしつつ迎撃を行うノリコだが、僅かな隙を突かれ複数の宇宙怪獣に接触を許してしまう。
機体ダメージは軽微……しかし、物理的なダメージは無視できても、状況が状況故に精神的疲労は蓄積されてしまう。
機体に突撃され接触を許し、盛大に機体を揺らされたが、ノリコは怯む事なく反撃……最大出力でレーザーを薙ぎ払い、小型の敵を纏めて撃破する。
『それだけじゃない! 地上に残ってる仲間も、GGGのみんなも、華ちゃん達や戦えないたくさんの人達だって、地球の平和を求める私達を認めてくれたし、今だって、不安で一杯な状況なのに、GGGと私達が助けてくれる事を信じて、待ってくれている……だから……私達は……私達は……必ず勝たなきゃいけないのよ!!』
未だに世界規模での通信障害は続いており、月軌道の外で行われているこの戦闘は誰にも見えない……しかし、宇宙怪獣の脅威はマスコミや国の諜報機関を介して徐々に情報は浸透しているし、実際に地上からも、月軌道に屯している宇宙怪獣の影は見えている。
既に絶望的状況であるはずなのに、何故か宇宙怪獣は地球へと直接向かわず、こうして双子座との戦闘に終始してくれている……*1
奇跡的な状況だが、地球滅亡が目前という事に変わりはない。
だからノリコは叫ぶ。
『だから……お願い、カズミ……戦ってぇぇぇッ!!』
涙ながら、ありったけの想いを乗せて発せられたノリコの声……その熱い想いは
(……そうよ、何で私はこんな弱気になっているの……? 約束したはずでしょ? シオンと皆で、この世界を救うと。この世界が直面する理不尽から人々を守るって……あの子達の未来を守るって……)
それは最初に立てた目標……シオンと皆で打ち立てた自分達の存在理由。未来を繋ぐためならば、敗北など許されない……
『……分かったわ、ノリコ……』
溢れていた涙を拭い、カズミは再び操縦桿を握り直す。その顔にはもう絶望など欠片も無く、かつての決意を思い出し、二度と約束を違えぬと心に誓った戦士の顔へと戻っていた。
ノリコは姉の心が戻った事を感じると同時に、姉の心に入り込んだ雑念……姉を惑わせた雑念の存在に気が付く。その雑念はノリコの思念を感知すると、御しきれなくなった姉から分離し、今度はノリコへと迫る。
だが、ノリコは既にその雑念に気付いているため、裂帛の気合で雑念を払い除けた。
(同じ手には掛からないわッ!!)
ノリコの気迫に散らされ、一度は取り付いた筈のカズミの方に戻れぬまま、雑念の塊は呆気なく虚空へと溶けてなくなっていった。
そして雑念の影響から完全に脱し、我を取り戻したカズミは今までの借り……良いようにやられた返礼をするべく、ノリコヘこう叫んだ。
『合体しましょう!!』
『お姉さま……はいッ!!』
その瞬間。双子座の機体は群がる宇宙怪獣を置き去りに加速し、亜空間へと突入……合体時に生じる隙を極力減らす為に生成された亜空間チューブの中で、双子座の2機は同時に変形を開始し、ノリコの操る「ジェミナス
お互いに極太のアンカー・アームを2本ずつ伸ばし、激突する直前に先端のアンカーユニットが展開され、お互いにガッチリと噛み合わさる。
そうして2つの機体がお互いを引き寄せ合った後、その隙間を埋める様に大小様々なパーツやケーブル、チューブが隙間を埋める様に行き来し絡み合い、最後に黒色の強靭な皮膜で覆われ、僅かな時間で腹部を形成……
最後に格納されていた手足のパーツや各部が展開し、内部では通常のコクピットから合体形態専用のコントロール部へとそれぞれオートで移動するノリコとカズミ……
コンソール全てに光が灯り、索敵・火器管制担当のカズミはレーダーや各種コンソールのシステム……機体の挙動を操作するノリコは、自身の身体に接続された制御用のモーションリンクシステムを操り、素早く挙動チェックを行う。
『ジェミナスターッ!!』
人の動きをダイレクトに機体へ反映させるシステムにより、ジェミナスターはまるで中身は巨大な人間と思える程に滑らかで流麗な挙動をする。
さながら、その光景は某・超光速万能大型変形合体マシーン兵器……
機体内部……全天周囲モニターの中心で腕を組み、足元方向から大挙して押し寄せる宇宙怪獣の大群を睨み付ける。
ジェミナスターは双子座の能力をフルに発揮できる大型機動兵器であり、現在の人類では到達し得ない科学力と技術の塊……そして、人類の未来を憂う者たちの願いの体現だ。
『ノリコ、奴等はゾンダーのESウィンドウを通って来ている……これ以上の増援を断つ必要があるわ』
リアルタイムでの索敵と戦況分析を行う姉・カズミにより、状況打開の方策が選定される……やはりまずは敵の増援を絶たねば、戦況の改善は図れない。
そう伝えられたノリコは、逆転の一手を……この一瞬で導き出した。
『……お姉さま、“アレ”を使うわ』
『えぇ、良くってよ……!』
ノリコの問いに、ほぼノータイムで返答するカズミ。彼女らはどんな状況だろうとお互いを感知し、意志を伝え、理解し合える……そうでなくとも、2人は驚くほど正確に相手の思考を熟知し、お互いを支え合っているのだ。
『……ッ!!』
ノリコの挙動がシステムを介して鋼鉄の巨人……ジェミナスターへと伝わり、機体はノリコの挙動と
スラスターを点火し、片足飛び込み蹴りの体勢で宇宙怪獣の大群めがけて一直線に加速……肩部の大推力バーニアスラスターの莫大な推力で瞬く間に亜光速へと加速*2し、速度=破壊力と化したジェミナスターは必殺の一撃を敢行した。
『ス ゥ ゥ ゥ パ ァ ァ ァ ! !』
『イ ナ ズ マ ァ ァ ァ ! !』
『キ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ッ ク ッ ! ! !』
息を合わせた2人のシャウトと共に、ジェミナスターは宇宙怪獣の群れへと向かう、一条の流れ星と化す。
突撃に際して脚部から放たれる凄まじい電撃の網と、臨界寸前まで収束されたフォトン……それらのまとまったエネルギー放射が同心円状に広がり拡散されていく為、原典とは違う何も無い宇宙空間*3でも衝撃波が広がるように巻き込み事故を多発させながら突き進むジェミナスター。
……この一撃で撃破した数は某・狩猟ゲーム(シリーズ初期)のアタリハンテイ力学よろしく理不尽な攻撃範囲で以て軽く万を超え、初めて敵の増加速度を上回る撃破速度を叩き出す。
だがそれも束の間……というレベルで敵は増加の一途を辿っており、攻勢は全く衰える気配もない。
しかし、ノリコには当然の如く……そして彼女に勇気付けられたカズミも、既にその顔には微塵の怯えも恐怖もなく、あるのは絶対の勝利を見据えた余裕の表情……
『合体したジェミナスターを、タダのマシーンと思わないで……!』
ノリコの脳裏にフラッシュバックするのは、主であるシオンと、彼女を仲間として受け入れてくれたGGGの面々……そしてシオンの心の支えとなっている護や、彼のクラスメイト達の笑っている表情。
『あの人と……仲間達と……みんなの想いが、こもってるんだからァァァァァァッ!!!』
ノリコの叫び声と同時に、ジェミナスターの額から青白い光線が放たれる。その攻撃は特攻しに来ていた大型個体の中心点を正確に捉え、光線は接触箇所から凄まじい速度で宇宙怪獣の生体組織を凍結しさらに粉微塵に砕いていく……あまりにも早い凍結反応と粉砕速度から、まるで高熱で溶けている様にも見えるが、この攻撃は
ジェミナスターは、シオンが構築した土台を利用し、気の遠くなる時間ほどのを掛けて双子座が創り上げた……という訳ではない。
──確かに、この機体を組み上げたのは双子座自身だ。
だがその気の遠くなる時間の中……彼女達の心を常に励まし、支えてくたのは、そうして別れるまでに交流した護やクラスメイト達、GGGのスタッフ等、そして身内であるアーマロイド等や、生まれてから長い時間を共有するシオン……全ての仲間達の笑顔であった。
超竜神と違い、木星圏で永遠にも近い時間の中……ただ宇宙を漂うしかなかったノリコの心の支え……それがあったからこそ、双子座は6500万年という孤独な時間を耐え抜き、なおかつこれだけの力を身に付けて地球へと帰還する事が出来たのであった──
双子座の弱点は、カズミに対する精神攻撃……
しかし、ノリコが一緒なら少し待てば解除されるというオチw
一応ノリコは直感が鋭い代わりに頭を使う行動が苦手、ただし精神攻撃等のデバフは無効という超・脳筋属性キャラ。
2人は揃ってないと万能になれない、その代わり揃えば尋常ならざる強さを発揮します。
コレで主人公じゃないのは多分恐らく本作だけ……?
……あと、この戦闘を最後まで1話に収めるのは精神的にも進行上にもキツイのでさすがに分けましたw
ホントにこの回は望まれていたのでしょうか……?(半信半疑)
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無いとダメ
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あったら良かった程度
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あ、あるんだ……って感じ