狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回からの続き……

宇宙怪獣の大群を相手に、孤軍奮闘するジェミナスター。
そして地球では、原種たちとの戦いも……



第100話 その魂、炎となりて(後編)

『敵、直上! 急降下ッ!』

 

 ジェミナスターの額から放たれる光が、宇宙怪獣の群れを一閃……直撃を受けた個体は真っ二つに引き裂かれ、余波を受けたものはエネルギーの奔流に耐え切れず爆砕……

 

 しかし恐れ慄く事なく、宇宙怪獣等は闇雲に特攻してくる。

 

 それはまるで、誘蛾灯の光に群がる羽虫の様にも思えた……その群れが向かう先で、ジェミナスターは獅子奮迅の如く戦い続ける。

 

『他の皆が来れなくても……地球の未来、この世界の未来……何としても救ってみせる!!』

 

『その通りよ! だから邪魔しないでッ!!』

 

 奮戦するジェミナスター、しかし敵は留まる事なく、さらに大型の個体が複数体……光弾を放ちながら接近してくる。

 

『バァァァスト・ミサイルッ!!』

 

 光弾を華麗に避けつつ両手の指を立て、その先端からミサイルを盛大に撃ち始めるジェミナスター。それは敵の光弾の弾道の隙間を縫いつつ逆に辿って目標に到達……ミサイルが宇宙怪獣に着弾した瞬間、着弾点から直径数百mに渡る球状の空間ごと跡形も残さず消し飛ばされた。それは発射された弾数と同じ回数発生し、空間ごと次々と宇宙怪獣の身体を削り、小型個体や複数回当たった個体においては完全に消滅させていく。

 

 しかし尚も怯まず大群は別方向からも殺到……

 

『下からも来るわ、約2万!』

 

『ホォォォミングレェェェザァァァッ!!』

 

 カズミの警告に素早く反応したノリコはミサイル発射を止め、別の武装を選択……再びその両掌から放たれたのは無数の糸状に枝分かれした黄色いレーザー。下方へ向けて突き進むレーザーは一定距離まで到達すると同時に広範囲へ拡散し、尚且つ一本一本が別の敵を串刺しにして爆散させていく。

 

『ノリコ、離れて! 包囲される前に!』

 

 尚も留まる事を知らず、ジェミナスターへと殺到する宇宙怪獣。

 完全に包囲されれば精神的負担も増す事から、カズミの提案に乗りノリコはその場から離脱を開始……しかし、そうはさせまいと宇宙怪獣達は付近の仲間ごと葬り去る勢いで光弾やレーザーを乱射してきた。

 

『追撃が来るわ……集中砲火、約3千……!』

 

『ディバイィィィンシールドッ!!』

 

 カズミの警告にも不敵な笑みを崩さず、ノリコは冷静にタイミングを見極め、背部から機体サイズと同等の巨大な“布”を取り出し、まるで隠れる様に機体前方をガードする。

 

 一見すれば“タダの布”にしか見えないが、ソレは宇宙怪獣から発せられた大量の光弾やビームを尽く弾き逸らし、その裏側への貫通を一切許す事はなかった。

 

『そんなもので、私達がやられると思ってぇぇぇっ!!』

 

 反撃とばかりに額から再びビームを放つ。

 

 その隙を突いて接近できた小型個体も両肩から取り出した両刃の長柄斧で薙ぎ払い、命中しそうな光弾も何処からか取り出した巨大な金属バットのようなもので弾き返し、ビームの照射角を自在に変えてジェミナスターは撃破数を加速度的に増加させていく。

 

『最悪どれだけ時間が掛かっても、ESウィンドウさえ閉じれれば……ハッ?!』

 

 敵の推移を見ながらも、カズミはESウィンドウの閉鎖さえ出来れば負けないと考えていた。確かにジェミナスターの戦闘力ならば“億”を相手にしようと、2人が(精神的に)折れない限り勝つ事はできる。

 

 しかし、そうはさせまいと宇宙怪獣は次々と数を増やし、簡単に排除出来ない大型の個体も増えてきている……

 そんな中で送り込まれた超大型の個体が、なんと亜光速でジェミナスターを挟撃し、平面を合わせ閉じる様にサンドイッチにしてきたのだ。

 勿論その程度でジェミナスターが潰される事はなく、防御機構であるイナーシャルキャンセラーと素のパワーによって潰される事は回避したが、物理的に挟まれた事には変わりなく、完全に身動きが取れなくなってしまう……

 

『参ったわね……こんな事までしてくるなんて』

 

『……思ってもみなかったわ』

 

 イナーシャルキャンセラーによって機体に掛かる圧力は無効化されるが、その効果が及ぶのは自分たち(機体)(ジェミナスター)だけであり、現在進行系で掛け続けられる莫大な圧力によって宇宙怪獣の方が凹み、閉じ込められるのは時間の問題……

 

 そこで脱出を図るべく、ジェミナスターは今一度額のビームを放つ。

 

 ……が、ビームの軌跡は先程と同じ様に敵を切断するでもなく、ジェミナスターを挟み込んでいる両面で繰り返し反射を続け、外縁部に到達するとそのままあらぬ方向へと受け流されてしまった。

 どうやらこの両面は特殊な鏡面構造になっているらしく、ジェミナスターの光学兵器だろうと尽く弾き返し、無効化してしまう様だった。

 

『……さすがね。脱出対策は万全、という事かしら』

 

『でも、私達の力……甘く見ないで欲しいわ!』

 

 不敵な笑みを絶やさず、カズミは冷静に機体のシステムから状況を把握し、ノリコも脱出の為に次なる手を打つ。

 

 ジェミナスターの両手足……膝と肘の関節側を軸に手首と(くるぶし)までの装甲が分割解放され、内側から何本もの太い棒が伸ばされる。

 それは閉じ合わされつつある宇宙怪獣の断面、その鏡面構造の体表を破砕し、浅くながらも突き刺さった。

 

『……ッ! ジェミナスタァァァ・コレダァァァッ!!』

 

 そしてノリコの声に合わせて放たれたのは、10億ギガボルトという超高圧の放電攻撃……それが複雑な構造と電気抵抗の高い生体組織を持つ宇宙怪獣の身体に直接流れれば、例えどんな巨体であってもその生命維持機能は損なわれ、生体組織そのものも根刮ぎ電気抵抗で発生した熱量で灼き尽くされ、もはや炭化は免れない。

 

 その巨大故か、完全に破壊し尽くすまで約30秒ほどは掛かったが、宇宙怪獣……宇宙空間で生存する生命体というその独特な特徴故に、高圧放電に対して致命的に弱い事が発見され、対抗手段としてはかなり大きな情報を得る事となったのだった──

 

──────────

 

 

 地上──メキシコ・ティオカワン、そしてエジプトの砂漠地帯。

 

 奇跡の合体を遂げ、反撃してくる幻竜神・強龍神の能力に、腸と鼻、腕と胃の合体原種たちは完全に後手に回っていた……

 

「小癪な……!」

 

『遅い……ッ!』

 

 重力で引き寄せた岩塊を飛ばすも機動力で回避され──

 

「はぁぁぁ……っ!!」

 

『オーロライリュージョン!!』

 

 重力場の範囲攻撃を仕掛けても分身されて狙いが定まらず──

 

「それぇっ!!」

 

『無駄だッ!!』

 

 自慢の腕で投げ付けた岩塊は簡単に打ち砕かれ──

 

「ぬおぉぉぉ……!!」

 

『ナパームサイクロンッ!!』

 

 Gストーンメカの神経伝達を麻痺させる砂嵐を起こしても、新技の威力で丸ごと返され届かず──

 

「「えぇい! たかが地球のロボット如きに……!」」

 

『そうやって見下す事しかしないから、足元を掬われるのです……!』

 

『例えこの先が最後であろうと、我々は戦い、抗い続ける! どんな窮地だろうと、決して諦める事はない……それが我々、GGGだッ!!』

 

 再生能力は衰えずとも、原種達の動揺は明らかに自身の能力に精細を欠けさせていた……それが、この戦いに意外な決着を齎す。

 

『……そうか、それがお前達の意思か……』

 

「ぐ、ぬぅぅぅアァァァッ?!」

 

 横槍の如く戦いに乱入してきたのは……真紅の火の鳥。それは腸・鼻の合体原種を背後から強襲し、2つある核のうちの一つを正確に貫く。

 

「なん……だと……ぉ?!」

 

 目に見えて動きが鈍くなり、合体原種は致命的な隙を晒す。

 

『終わりにしましょう……吹けよ氷雪、轟け雷光! サンダー・ブリザードッ!!』

 

 その隙を逃す筈はなく、幻竜神は最大出力で両腕にエネルギーを収束……右に冷気、左に雷撃を臨界寸前まで溜め込み、指向性を持たせ一気に解き放つ。

 

 解き放たれた2つのエネルギーの奔流は自らの意思を持つかの様に青と黄色の“龍”を象りながら空間を我が物顔で飛び回り、合体原種に残されたもう一つの原種核を貫き、力無く棒立ち状態で残された合体原種のボディを締め上げ、完全に破壊する。

 

 2色の龍を手元に引き戻し、技の発動を終えた幻竜神の手には、もう一つの原種核があった。

 

「……この場で浄解する、原種核をコッチに!」

 

 キングジェイダーから飛び出した戒道幾巳の声に、幻竜神はすぐさま頷き、確保していた原種核をキングジェイダーへと手渡す。

 

テンペルム

 

ムンドゥス

 

インフィニ

 

トゥーム

 

レディーレ!!

 

 幾巳の呪文に呼応して2つの原種核はその形を失っていき、その代わりに紫色をした2個のパーツと、一人の女性が現れた。

 

『……良かった……母さん……!』

 

 気絶してはいるが、傷一つ無い女性の姿に安堵する幾巳。

 

『……そうか、それは……良かっ……た……』

 

『……?! お前……!』

 

 それまで何ら普通にしていた幻竜神が、突如として機能を停止し、いきなり倒れ込んでしまう。咄嗟にキングジェイダーが支えた事で転倒は免れたが、ピクリとも動かなくなった幻竜神。

 

 幾巳はその原因を探る為に接近し……

 

「……? これは……まさか……ッ!?」

 

 様子を見ていた幾巳はその奇妙なエネルギーの波動を感じ取り、何かに気付くのだった。

 

 

──────────

 

 一方その頃、エジプトでは……

 

「調子に乗るなァァァッ!!」

 

 大量に居たお供のゾンダーロボも軒並み全滅させられ、単騎となった腕と胃の合体原種は叫ぶと同時に砂嵐と大岩を同時に放つ……

 

『その攻撃はもう見切った!』

 

 しかし強龍神には全く当たらず、大岩を投げ放った後の致命的な隙を縫うように、強龍神もその両手にエネルギーを収束させていた。

 

『唸れ疾風、燃えよ灼熱! バーニング・ハリケーンッ!!』

 

 強龍神の両手から解き放たれたのは、緑と赤のエネルギーで象られた2匹の“龍”……それは合体原種ロボを真正面から貫き、そのまま突き破って更に数回に渡っての貫通攻撃……やがてコアを2つとも咥えた状態で強龍神の手元に戻ると、残された合体原種ロボのボディは不安定となったエネルギーに触発されて盛大に大爆発。

 

『……おっと、また逃げられちまったら面倒だ』

 

 強龍神は確保したコアに対して、Gパワーを利用したフィールドを両掌に展開し、素体状態で逃げられるのを阻止しようとした。

 が、その判断は一瞬遅く……

 

「チィッ、まさかこの様な無様を味わう事になるとは……!」

 

『?! 逃す……グゥッ!?』

 

 強龍神は素体に戻って逃走する腕原種を追撃しようとする……が、直後にノイズが走り、片膝を付いてしまう。

 

「……どうやらその力、まだ十全には扱えない様だな。しかし、口惜しいが今の私の状態ではキサマを倒せん。ココは素直に退散させて貰おう」

 

 そう言い残し、腕原種は空高く舞い上がり何処かへと消えていく。

 

『ぐ……、待て……ッ!』

 

 何とか体勢を立て直す強龍神だったが、既に腕原種はセンサーの探知範囲から逃れきっており、もう後を追える状況では無かった。

 

『……ーぃ! 炎竜・風龍! 無事かぁッ?!』

 

 その数秒後、砂漠の向こうから砂煙を上げながら接近してくる影……それはGGGフランス支部に降下し、状況を知って駆け付けてきたダイキャンサーと水瓶座たちであった。

 

『……そうだ、隊長達は……うグッ?!』

 

 ダイキャンサー達の声に冷静さを取り戻し、東京で別れた凱の身を案じる強龍神だったが、再びノイズが走り、身体がふらつく。

 

『どうした強龍神……?!』

 

『……例のエネルギーの悪影響ですの……一度、向こうへ戻った方が良いですの』

 

 崩れ落ちそうになる強龍神に肩を貸し、ダイキャンサーは水瓶座を連れてこの場を移動し始める。

 

 この状況にある意味安堵感を覚えた強龍神は、そのまま意識を手放すのだった。




□技紹介①:ジェミナスター・コレダー
元ネタはもちろんあの機体……その両手足から放たれる超高圧放電攻撃。
手足に内蔵された“()()超伝導パイル”を敵に打ち込み、10億ギガボルトの超高圧放電を叩き込む……基本的に生命体が喰らえば確死、文字通りの必殺技。
生き残る方法はただ一つ、同じ様に常態超伝導素材の得物を用いて10億ギガボルトを逸らすしかない……しかし、常態超伝導物質なんてものは自然界に存在せず、物理法則に逆らう物質なので実質回避不能w

□技紹介②:サンダーブリザード/バーニングハリケーン
原作にもある幻竜神・強龍神の必殺技。
本作では攻撃演出のビジュアルに少し修正を入れ、サンダーブリザードは“拘束と刺突”、バーニングハリケーンには“乱舞”の要素を取り入れたものになっている。
どちらも幻竜神/強龍神の性格設定を考慮した変更で、冷静に立ち回る幻竜神、豪快に立ち回る強龍神というキャラ付けをより明確にしたかった……異論は認める。



─ 次回予告 ─




君達に、最新情報を公開しよう!

エジプト・メキシコでの戦いに決着は付いたが
腕原種の逃亡を許してしまい
幻竜神と強龍神も突如として機能を停止……

原因を探る戒道少年は、彼らから放たれる波動に
不気味な異変の前兆を感じ取る。

一方、東京での戦いは湾岸地域に場を移したものの
新たな事態に直面してしまうのであった!!


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第101話『金の牙、銀の爪』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

コレが(次回の)勝利の鍵だ!!

  • シルバリオンハンマー
  • グランドプレッシャー
  • 未知の第3ルート(オリジナル)
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