狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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まだまだ戦闘は終わらない……
地上ではまだ、東京近郊の戦いが終わってないのだから。

そしてまたしても原作乖離案件。
果たして地球に安寧と未来はいつ訪れるのだろうか……?



第101話 金の牙、銀の爪(1)

『さぁ、第2ラウンドだ……!』

 

 再び構えるガオガイガー、虎頭のゾンダーロボは不規則に蠢く尾をガオガイガーへと差し向けるが、凱はその動きをすでに見切っており、尾の先端にあった刃をブロウクンマグナム(未発射)の回転で弾き、左手で尾の中ほどを捕まえ、元に戻した右腕も使って一本背負いの要領で虎ゾンダーロボを強引に引き寄せる。

 

『そこだっ! デヤァアァァァ!!』

 

 ゾ?! ゾゾゾッ!?

 

『隙を見せたな……!!』

 

 体勢を崩され転倒し、無防備な姿を晒すゾンダーロボに対し、牡牛座は待ってましたとばかりに左腕のガトリング砲を向けてたらふく弾丸を浴びせつつ突撃、起き上がった直後の敵に頭のヒートホーンを突き刺す。尾をガオガイガーに掴まれている為ゾンダーロボは体勢を整える間もなく牡牛座の突撃をモロに喰らってしまう。

 

『ダメ押しは得意分野でな……コイツも持っていけ!!』

 

 一歩下がった牡牛座は両肩のカバーを開放、中に込められていた夥しい数の金属球をこれでもかと叩き付けた。その一発一発はゾンダーコアを保護しつつも外装を粉砕できる特殊な振動波を発する特殊合金*1製……その効果は目覚ましく、あれよという間にゾンダーロボの装甲をボロボロにしていく。

 

 その間にガオガイガーはゾンダーロボの尾を手放し、コアを摘出すべく必殺の体勢を整える。

 

『ヘル・アンド・ヘブンッ!!』

 

 両腕を構え、凄まじいエネルギーの反発を強引に抑え込みつつ掌を組み、ゾンダーロボへと突き出そうとするその直前……

 

《……っ?! 上空から高エネルギ反応接近!!》

 

 戦域の索敵を行っていた研究員から、通信で警告が入る。直後にレーダーからの情報が更新され、

 

『やらせないわよん!』

 

 山羊座がカバーに入り上空へとビームを乱れ撃つも、新たな敵は気にも留めずそのまま降りてくる。

 

『ちょっ……うひゃあっ!?』

 

 自分の攻撃を自慢の装甲で弾き、毛程も思わず上空から降下を続ける敵に、苛立たしさと驚き混じりの声を上げる山羊座……空中ですれ違う瞬間巻き起こった乱気流に一瞬体勢を乱されたが、すぐに翼を羽ばたかせて立ち直り、相棒とガオガイガーへ警告を飛ばす。

 

『ゴメン! 止められなかった……ダーリン!!』

 

(山羊座が抜かれた? チィッ!?)

 

 牡牛座は眼前の敵からターゲットを移行……即座に上空からの新たな敵に移し、自慢の右腕を構えて突撃する。

 

『撃ち抜く……ッ!!』

 

 右腕の武装……その撃鉄がガチリと起こされ、右腕がタイミング良く突き出される。接触の衝撃に合わせてトリガーが引かれ、内部で起こされた爆発の衝撃を利用して鉄杭が叩き込まれる……筈だった。

 

『このタイミングで避ける……だと?!』

 

 だがなんと敵は接触の直前に身を翻し、牡牛座の突き込まれつつあった右腕をスルリと回避……そのまま降下し体勢を立て直しつつ、ガオガイガーへと迫る。

 

『ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……何ッ?!』

 

 ガオガイガーは直上からの妨害攻撃に成す術無く直撃、必殺の為の膨大なエネルギーを収束し、構える筈だった両腕に大きなダメージを負ってしまう。

 

『ぐぅあァァァ……ッ!?』

 

《イカン!!》

《凱っ?!》

『ガオガイガーっ!?』

 

《ガオガイガー、両腕部のダメージ大! 回路断線! へルアンドヘブン使用不能です!!》

 

 敵はガオガイガーの直上から落下速度を加味した踵落としを慣行し、ガオガイガーの腕に直撃させる……さらにそのまま後方へと吹き飛ばし、ガオガイガーは大ダメージを負う。

 しかも当たり処が悪く、直撃を受けた両腕はダメージが酷く、一部のエネルギー回路が断線し“ヘルアンドヘブン”が使用できなくなってしまうのだった。

 

『戦闘は可能だが、ヘルアンドヘブンが使えない……!』

 

『ゴルディは?!』

 

『……アッチはアッチでトラブルみたいね』

 

 念の為に東京行きルートにはゴルディーマーグも同行していたのだが、ビッグバンボルフォッグと共に新たな敵に苦戦中だった……

 

──────────

 

「おやおや、さっきの勢いはどうしましたか?」

 

「……攻撃、開始」

 

『チィッ、ちょこまかしやがって……!』

 

 いつぞやの白フードの男と、白いクーゲルもどき……言い辛いので“偽クーゲル”としよう。再び現れた彼らは速度を重視して連携しつつゴルディーマーグとビッグバンボルフォッグを囲い込もうと周囲を回りながら攻撃を仕掛けてくる。

 

『速度で来るならば……! 超絶・分身殺法ッ!!』

 

 それに対抗してビッグバンボルフォッグはピスケガレオン2体とガンマシン2体、そしてボルフォッグへと分離しつつ高速機動からの連続攻撃で、白フードの男と偽クーゲルを追い立てるが……

 

「それはコチラの台詞ですよ?」

 

 白フードの男はその場から飛び上がり、重力球を展開……それを一つに纏め、増幅させた重力波でボルフォッグ等を牽制。さらに背中から再び巨大な機械の尾を出現させ、ピスケガレオンを弾き飛ばした。

 

『ぐぁッ?!』

『きゃあっ?!』

 

 大きく弾き飛ばされたピスケガレオンだが、落ちる前に空中で体勢を立て直し、そのまま地面へとダイブ。コンクリートの地面を水面に見立てた位相空間潜行(フィールドダイブ)で白フードへと再び迫る。勿論、ボルフォッグとガンドーベル/ガングルーもその動きに呼応して今度は立体的に攻め立てる。

 

『……なる程、そう来ますか!』

 

 白フードはボルフォッグ等の動き方から意図に気付き、偽クーゲルに指示……自分は偽クーゲルの肩に乗り空中へと移動させた。

 

『んなろっ?! 降りてきやがれ!!』

『見破られたか……敵もさすがの対応力みたいね』

 

『……やはり、コチラの手の内はある程度把握済みですか』

 

 分離攻撃を止め、再び合体状態に戻るビッグバンボルフォッグ。白フードの男の言動や攻撃から、アーマロイドや自分たちの行動パターンを既に把握されている事を察知し、対抗策を立てるべく警戒を強める。

 

『……ッ?! ガオガイガーが……!?』

 

 そこにガオガイガーの被害状況が伝わり、ゴルディーマーグはガオガイガーの救援に向かおうと走り出す。

 

『いけません! 今、隙を見せれば……!?』

 

「……そう、良い的ですよ?」

 

 白フードは偽クーゲルに指示し、ゴルディーマーグを狙撃させる。弾は頑丈なはずのゴルディーマーグの脚部関節を貫通し、ゴルディーマーグは前に倒れ伏す。

 

『チクショウ!? こんな事で……!』

 

『ゴルディーマーグ!?』

 

「ほら、貴方も注意しないと……何処かを撃ち抜かれますよ?」

 

『く……っ?!』

 

 白フードの声に、身動きが取り辛くなるビッグバンボルフォッグ……関節部とはいえ、あの頑丈なゴルディーマーグの機動力を一撃で奪う敵の攻撃だ。もし自分が受ければより深刻なダメージになるだろうと考えた。

 

──────────

 

 その頃、オービットベースでは……

 

「外部アクセス、ルート未確定! ネットワークからの侵入ルートには反応なし!」

 

「ハッキング尚も進行中……うそ、もうメインフレームにアクセスし始めてる?!」

 

「カウンタープログラム反応なし! そんなバカな、ハッキングの露呈前に先回りして発動を阻止するなんて……人間技じゃない……!!」

 

「あり得ない……コッチのカウンタープログラムは獅子王博士達の傑作だろ!? それをたった24秒で封殺?!」

 

「僕ちゃん兄弟の傑作プログラムを、あの僅かな時間で回避……いや、封殺してくるとは……!」

 

 獅子王雷牙・麗雄の共同開発したGGGのハッキング対策を兼ねるカウンタープログラム……セキュリティ担当の犬吠埼が考案したセキュリティとこのカウンタープログラムによって、GGGオービットベースの電子的防御は人類史上最強の鉄壁となっていた。

 

 ……だが、突如として始まったアクセスルート不明のハッキングは、それを僅か24秒で完全に封殺してきたのである。

 

「メインフレームにアクセス……止められません!」

 

 セカンドオーダールームの全メンバーを動員してハッキングへの対策を講じているが、相手は常識外れの速度で対策の先回りを繰り返し、易々とオービットベースのメインフレームへとアクセスし始めていた。

 諦めずキーボードを叩き続けるメンバーだが、その表情に余裕は一欠片もない……

 

「私のセキュリティをこんな簡単に突破してくるとは……!」

 

「メインフレームの防壁、突破されました! アクセス解析……GGGの戦闘記録、及び戦力解析情報を閲覧中!」

 

「敵はコチラの戦力解析が目的なのか……?!」

 

「それだけではない! 戦闘記録まで閲覧……我々の打てる全ての手、行動パターン、その解析も同時に行っとる。この相手が我々の敵対勢力であれば、コチラの手の内……そして予測される全ての対策まで丸裸になるぞ!?」

 

 雷牙は想定される中でも最悪のパターンを想像し、頭を悩ませる……もしこのハッキングの犯人が敵対勢力である場合、先の結果が訪れる事になり、手の内を全て知り尽くされた時点で負け確……地球は敵の手に落ちる事を意味する。

 

 しかし、雷牙には、一つだけ引っ掛かる事があった……

 

(だが何故だ……このタイミングで何故我々の手の内を知りたがる?)

 

 仮にコレが本当に敵の策ならば、もっと早くに行われていてもおかしくはなかった。

 実際、オービットベースは過去に一度原種の侵入を許しているし、その際同時に情報戦も仕掛けられる可能性は高かった……

 

 だが当時はハッキングこそ行われたものの、それはオービットベースのメイン動力炉の位置を特定されただけで終わり、メインフレームや重要情報へのアクセスは行われていなかったのである。

 

「……?! メインフレームへのアクセス停止! 今度は通信システムに介入しています!?」

 

「何を行うつもりだ……?!」

 

「分からん……」

 

 一通りメインフレームの情報を漁り終えた矢先……ハッキングはメインフレームから通信システムへと矛先を変え、半ばダウンしているシステムに強制介入をし始めた。

 

「……なんて速さだ、システムが書き換えられていく……」

 

「このプログラム言語、既存のパターンじゃない……!」

 

「通信システム、再起動! 嘘……外部ネットワークのファイヤーウォール再構築に10秒も掛からないなんて……?!」

 

「サテライトネットワークの相互通信機能回復、各支部との回線も全復旧しました!」

 

 ハッキング開始から約7分あまり……たったそれだけの時間で、ハッキング者はオービットベースのメインフレーム侵入から通信システムへの強制介入、そしてシステムの再構築と再起動をやってのけた。

 

「これ、完全に人間技じゃないよな……」

 

「……あぁ、妨害を見越してアクセスルートを複数用意してランダムに切り替えてたし、手を打てても妨害の手段やタイミングまで完全に把握した回避だった」

 

 人智を超えたレベルでの、鮮やか過ぎるハッキング行為……コレが人間に可能というのなら、ソイツは化け物レベルだとセカンドオーダールームの隊員達は口々にそう話す。

 

《オービットベース! こちらアメリカ支部のスタリオン! メキシコで応戦中だっタ雷龍に氷竜が合流……シンメトリカルドッキングに成功しテ、参戦したキングジェイダーと共に原種2体を撃破……!》

 

《フランス支部に降下した【蟹座】だ……エジプトの戦闘も、原種の撃破を確認した。……だが1体は逃している上、イレギュラー合体した風龍と炎竜の様子がおかしい。至急、応援を求む!》

 

 そこへ再開した通信から飛び込んできた情報……

 

 オービットベースの面々は、その情報に耳を疑ったのは言うまでもないーー

*1
ソリタリーウェーブの技術を一部流用したこの弾丸は、激突した際に目標物の固有振動に同調し破裂する事で振動波を発する特殊な分子構造を有する“同調自己破裂型”合金で生成されている為、乱れ撃つ事で対象の破壊係数を超過して分子結合を崩壊させる「振動破砕兵器」という側面を持っている。

なお、その破壊係数は与えた振動の強さに比例して増幅されるため、有効射程距離は短く、至近またはゼロ距離での使用が推奨される。

また、この合金は他のアーマロイドが持つ一部の近接格闘用武装にも活用されていたりする。




今回の戦闘や話の流れはちと難産……

この後の展開とか考えると、なかなか上手く組み合わせるのが大変で……

とりあえず形になったらまた更新します。
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