狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
突然上空から現れ、ガオガイガーの窮地を救った謎のロボット。
その全貌、そして目的とは……?!
突如、上空から現れてゾンダーロボの攻撃を潰し、ガオガイガーの窮地を救った謎のロボット……
機体に匹敵する黒く大きな翼……
曲線美とスマートさを追求したような上半身の青い装甲……
そして下半身は前を大きく開いたスカート状の金属布の上から、両腰と前後に分けられ動きを阻害しにくい分割装甲があり、全体像を見れば伝承などに出てくる“戦乙女”に良く似ている。
勿論、その胸部は慎ましいながらも女性的なイメージを損なわない美的センスで設計された曲線美が主張しており、その左側には……“乙女座”の紋章が刻まれていた。
『……あの紋章……アレも、アーマロイド……なのか……?』
凱は“彼女”の紋章に気付き、言葉を漏らす……
その間にも“彼女”はバイザーの奥にあるツインアイを黄色に光らせ、その黒い翼を展開。赤い粒子と羽状の燐光を放出しながら合体ゾンダーロボへと接近……
ゾゾゾ? ゾォンダァァァ!!
無論、ゾンダーロボ側も接近に気付き、反撃とばかりに腕を振るう……が、“彼女”は振り下ろされた腕の攻撃を難なく躱し、回避行動による回転の勢いも利用して右手の細剣で広範囲を薙ぎ払った。
その剣閃は密かに合体ゾンダーロボが次に繰り出そうとしていた尾を胴体と泣き別れにさせ、背中自体にも大きなダメージを残す。
ゾゾゾ……ゾゾゾ……!!
だが、この程度ではゾンダーロボの再生能力で瞬時に復元されてしまい、さしたる問題にはならない。
『……あの動き、まるで初めて戦うかのような……手探りで身体の使い方を確かめている様ですね』
ボルフォッグは“彼女”の挙動を分析し、まるで初めて戦闘をしている様だと呟いた。
もちろんこの戦いは回復した相互通信により、オービットベースや各支部にも届いている。
《……“乙女座”だと……一体誰なんだ……?》
《私の甲冑に、少し似てる……》
《アレが、僕らの新しい仲間なのか……?》
『新しい仲間……』
『何だか分かんねぇけど、仲間なら歓迎だってばよ!』
アーマロイド達の反応は様々だが、概ね悪印象はない模様……それは間近で見ている凱や護たちも同様だった。
「初めての戦闘とはいえ、あれほど素早い立ち回りは並のプログラムでは不可能だ……そしてコンパクトな機体に高い瞬発力、アーマロイドの後発組の中でも更に洗練されておる様じゃな」
麗雄の指摘通り、乙女座はしっかりと敵の攻撃を見極め、無理に手は出さず的確にカウンターを繰り出し続ける。
《……it's Beautiful! アレは正しく
クーゲルと、似ている様で違う趣向の甲冑を身に纏い、軽やかに陸や空を翔ける姿は、スワンの言葉通りまさしく“戦乙女”ヴァルキリーの様相。
だが合体ゾンダーロボは負けじと“乙女座”の動きに対応し始め、ついに格闘技独特の重い蹴撃が“乙女座”を襲う。
《……凄い、華奢なのに力負けしてない……!》
……しかし敵の目論見は外れ、乙女座は左腕に取り付けられたシールドでしっかりとガードに成功……なおも繰り出した脚を押し込もうとするゾンダーロボと、真っ向からの押し比べで拮抗していた。
『……ハァアァァァッ!!』
「さすがにそれはさせませんよ……!」
『危ないッ!!』
『避けろ!!』
乙女座が声を上げ反撃に力を込める……だがその動きを止めようと、今まで静観していた白フードが乙女座へと攻勢を掛けた。
ガオガイガーとボルフォッグは白フードの動きに反応するも割って入るには距離が遠く、虚しく警戒の声だけが響く……
(とった! ……なにッ?!)
白フードは完全に乙女座の背後を取り、絶対に避け切れない一撃を繰り出す、その攻撃は間違いなく背後から乙女座を襲う……はずだった。
だが白フード攻撃……繰り出された長い尾は、オレンジ色の装甲と青白いバリアーによって防がれ、乙女座の背中には届いていない。
「……やれやれ、時間を掛け過ぎましたか。さすがにコレでは彼を笑えませんね……」
白フードは己の攻撃を防いだ相手……見知らぬアーマーを纏って駆け付けたストラトスライガーに気付き、いつの間にか時間を掛け過ぎた事に気付いた。
「……まぁ、良いでしょう。ココは引かせて貰います、その玩具は好きにして下さい……次はそう簡単に行かせませんよ」
そう言い残し、牡牛座らと膠着状態であった偽クーゲルを呼び戻すと、白フードは撤退するべく上空へと上がり始めた。
『逃すと思うか?!』
『まだ射程内なのよねッ!!』
山羊座の砲撃と牡牛座の突撃が迫るも、白フードは重力場でゲートフィールドを展開し、攻撃が届く直前にこの場から姿を消した。
『……あと一歩が遠かったか……!』
『こうまで好き勝手されちゃうと……お姉さんも業腹だわ!』
あと少しの所で追撃を躱された山羊座はプンスカとし、牡牛座も怒りを抑えきれない様子……しかし、問題はまだ目の前にも残っている。
ゾォォォンダァァァ……!!
乙女座の救援に駆け付けたストラトスライガー、その姿は前の2つとはまた違うオレンジ色の装甲を身に着けており、高い瞬発力と、頭部に5本、腹部から伸びるサブアームに備えた2本の高硬度ブレードを駆使して乙女座をフォローする。
『……お願い……!』
『グオォォォンッ!!』
乙女座の一言に、ライガーは猛々しい咆哮で応じ、頭部のブレード5本を前方に展開。先手必勝と突撃を開始した。
ゾゾゾ……ゾゾゾ……!!
その攻撃を真っ向から受け止め、腰だめ体勢で踏ん張る合体ゾンダーロボ……その隙に乙女座は剣を一度収納し、両手を左右の太腿部に近付ける。
直後、大腿部が一部可変してグリップを放出、乙女座は迷わずそのグリップを掴む。すると脛から足首にかけて外側の装甲が展開……内部構造が剥き出しになり、下方からワイヤーフレームが構成されまるで3Dプリンターの様に物体が生成されていく……
『……デトネーション・デュアルランチャー!』
ものの10秒ほどで彩色済みの物体の生成が終わり、乙女座はその物体に握っていたグリップを接続……それを持ち上げ、腰だめで構えたのは、2種類の砲身を持つ2つの大砲だった。
「その場で武器を生成……?!」
《展開から構成、装備完了まで……僅か15秒?!》
《外観から射撃用装備と推察できますが……》
『……撃ちます……ッ!!』
乙女座の声に反応してライガーが飛び退る……そして開いた射線を確認し、乙女座は左右の武器のトリガーを引いた。
右手の武器からは大口径の低速
ゾゾゾ……?! ゾッ……!?
左側のビームガトリングによる目眩ましで足が完全に止まった所に、右側からの高威力砲撃が直撃し、防御体勢で組まれていた合体ゾンダーロボの両腕が吹き飛ぶ。
『……! 今です……っ!』
再生能力を行使する合体ゾンダーロボだが、その速度は目に見えて遅くなっており、アーマロイド特有の再生阻害効果が大きな隙を生み出している。
勿論その隙をアーマロイドが逃すはずも無く、ストラトスライガーは頭部の5本に続いてサブアームの2対を前方に向けて展開……ブースト全開で走り込むと同時にエネルギーシールドも展開し、コアがあるだろうゾンダーロボの胸辺りに強攻突撃を敢行した。
『グゥオォォォオォォォン(
そのまま胴体を抉り抜き、着地したストラトスライガーの口には、合体ゾンダーロボのコアのうち一つが咥えられていた。
だが合体ゾンダーロボにはもう一つのコアが残っており、ガクガクと壊れかけの様な動きのまま、コアを持つライガーの背部から襲わんと向きを変え始める。
『まだ、終わりじゃありません……!!』
そう言い放ったのは乙女座……
両手の武器を素早くしまうと、左腕の盾……その縁にある金色のパーツを左右に展開。そのまま左腕を真っ直ぐ敵に向けて伸ばし、盾側を上にする事で腕そのものをボウガンに見立てる様に構える。
すると盾の後部が開いて緑色のビームで形成された矢尻が飛び出し、同じく前方からも一部が開いてビームの矢が飛び出し、右手で引き絞り始めるとビームの矢も連動して動く。
『一撃・必中……っ、“アストレア・フェニックス”ッ!!』
ゾッ……!? ゾゾゾ……!!
満身創痍の合体ゾンダーロボが乙女座の動きに気付くも、それは既に遅すぎた。
放たれたビームの矢は直後に爆炎を纏って炎の巨鳥を形成し、合体ゾンダーロボの胸を再び貫通……通り抜けたビームの矢は先端が形状変化して鉤爪の様になり、もう一つのゾンダーコアをガッチリと掴んだ状態で爆炎の中から飛び出した。
勿論、残されたゾンダーロボのボディは不安定なエネルギーと攻撃の余波で大爆発を起こし、合体ゾンダーロボの殲滅は成功したのであった。
「クーラティオー! テネリタース セプティオー サルース コクトゥーラ!!」
「テンペルム! ムンドゥース インフィニ トゥーム レディーレ!!」
摘出された2つのゾンダーコアは護と幾己によって浄解され、大河長官と火麻参謀は元の姿を取り戻した。
『……乙女座……お前は一体……』
協力して2つのコア摘出を済ませ、相棒を労う様にライガーを撫でていた乙女座に牡牛座は問い掛けた。
『お姉さんも知りたいわね、アナタが何者なのか……単純に興味があるわ』
山羊座もいつものお巫山戯モードではなく、真剣な声色で牡牛座に続く。乙女座は言い淀む様な感じであったが、ストラトスライガーからも視線が向けられ、促された様に話し始めた。
『わ、私は……あなた達の主人、シオンと融合していた……マスタープログラムの主人格……でした。……い、今は……乙女座のリュシオネールです』
唐突に明かされた乙女座の正体……それはシオンと融合する前に、マスタープログラムの主人格となっていた存在……そしてあのゼーヴとメティスの愛娘「リュシオネール」であった。
『そんな馬鹿な?! アナタの人格はあの時の融合時に……!』
乙女座……リュシオの言葉に、融合時の状況を知らされていた牡牛座はあり得ないと反論しようとした。だが……
『そうです! 最初は……そうでした……ですが……何者かの影響で、私とシオンの人格はある時を境に少しずつ乖離を始め、今や不完全な形で2つに分けられています……今の私は、元のシオンとリュシオネールが持つ本来の記憶と人格の一部が改変され撚り集められて形成された、言わば“切り取られた片割れ”……です』
リュシオは牡牛座の反論を肯定しながらもその先……何が起きたのか知る事ができた範囲で説明し、今の自分は“何者かの改変を受けた状態”だと言う。
「その“何者か”は誰なのか分かるかね?」
『いえ……私には全く知覚できませんでした……シオンは感知し、尚且つ対抗しようとしていましたが、それも封殺されてしまった様で……』
「その話が正しければ、原種以外の“謎の存在”が居るのかもしれん……」
麗雄の“何者か”の正体を問う問いに、リュシオは“知覚できなかった”と答える。リュシオの主観による感覚だが正直に答えた事で、麗雄は“ゾンダー以外の侵略的地球外存在”が居るのでは? と推測……アーマロイド達も乙女座の答に“心当たり”がある様で、一様に顔を顰めた。
『……やはり“奴”の仕業か。まさか主にまで手を伸ばして居たとはな……』
『ほんっとにムカつくわね……シオンちゃんにまで手を出すなんて!』
『ガヴォウォォォン!!』
ライガーも足で地面を引っ掻き、話の内容に不快感MAXさをアピールする。
「……! そうだ、超竜神……氷竜と炎竜、あと宇宙に行ったお姉さん達は?!」
護が風龍・雷龍の救援に向かった氷竜・炎竜と、双子座達の安否に気付き、麗雄の方を向く。
「ちと待っておれ……ふむ、氷竜と炎竜は無事に風龍と雷龍の救援に成功した様じゃ……じゃが……」
「何かあったのか、父さん?」
「……んむ……想定外のシンメトリカルドッキングに成功、原種の撃退はしたが、プログラムのエラーと“ザ・パワー”の影響でAIシステムがフリーズしおってな……オマケにGSライドが“ザ・パワー”の影響で異常に活性化してしまっとる。このままではGSライド諸共、AIシステムが損傷してしまう可能性が高い……」
麗雄の言葉に驚愕する全員……しかし、その言葉をリュシオは訂正した。
『そ、それはもう大丈夫です……! ココに来る前に、その方達の“ザ・パワー”の悪影響は取り除きましたし……い、今は……フリーズしたシステムの復旧を、現地の方々がしている筈です……』
「そうじゃったか……! それなら一安心じゃわい」
「それじゃあ、宇宙に上がった双子座の方は……?」
《……そちらも問題ありません。今しがた、援護を済ませたところです》
凱のその心配に通信で答えたのは、蠍座のグラヴィスであった──
一応、今回の戦闘はこれにて終了。
……ちなみにグラヴィスの“援護”とは
双子座から正確な目標座標の指示を受け取り、地上から空間接続ゲートを経由しての
勿論、双子座は光速の99%まで加速できるので、重力半径の外にさえ出ていれば無問題!
なお、ザ・パワーの悪影響除去後の顛末と、乙女座の機体詳細も次回に。
……それではまたね。($・・)/~~~
次回予告
君達に、最新情報を公開しよう!!
原種の反応が唐突に地球から消えた……
原種撃退の成功に喜ぶGGGだったが、
護と戒道少年は遠く離れた宇宙……
木星圏に原種の反応を感じていた。
ジェイアークは木星圏へ向かったが、
戻ってきたのは半壊したジェイキャリアーと
負傷し意識を失った戒道少年……
ただならぬ事態を感じたGGGは
事態の解明と、ジェイダー捜索のため
ついに木星圏への遠征を決意する!
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第104話『GGG、木星遠征』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
コレが(次回の)勝利の鍵だ!!
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ジェイダー
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乙女座(リュシオ)