狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
GGGに対し挑戦的な思惑をぶつけ危機に陥れるも、新たに現れたアーマロイド【乙女座】の登場で事態を解決する事に成功した。
しかし、アーマロイド【乙女座】はかつてのマスタープログラム主人格。そしてゾンダーメタル開発者であったゼーヴレゲヒトとメティスの愛娘リュシオネールだった……!
あの偽クーゲルを従え、原種やゾンダーをも顎で使う謎多き白フードの男……彼らの目的は一体何なのか?
そして、今になって現れたリュシオネールの真意は……?
白フードの撤退後、地球全土に及んでいた謎の通信障害も消え去り、一応の危機は去った……
しかし、事態の収拾に一役買ってくれた新たなるアーマロイドの【乙女座】……彼女には、とんでもない過去が秘められていた。
「リュシオネール・ヴェネディクト……ゼーヴレゲヒトとメティスレナンの一人娘にして、Zマスタープログラムの元コア人格……」
「……そして今は、稀星くんの側付きであるアーマロイド
「彼女から提供されたデータを解析したところ、幾つか興味深い情報が得られました。まずはコレを見て下さい」
猿頭寺の声に、全員がメインモニターを見上げる。そこに映し出されたのは現状で既に浄解が済んでいる“機界31原種”の詳細解析情報……過去にGGGがゾンダリアンの能力を纏めた資料を作成した際に作られたデータを参考にして、原種らの特徴や能力等を詳細に資料化したものだった。
「参照元はGGGの機密データが納められたメインフレーム……つまり、あの時のハッキングは彼女……リュシオネールが行ったものでした」
あの時、突然に始まったメインフレームへの違法アクセス……GGG陣営の処理能力を嘲笑うレベルの超絶技巧なハッキング行為は、この情報の元データからリュシオネールが犯人であると如実に語られており、それを猿頭寺が告げる。
「では、通信障害の復旧とシステムの書き換えも……?」
『は、はい……状況把握と改善も兼ねて、私自身の能力把握として利用させて貰いました。ハッキング行為は……その……急を要する状態でしたし……言語野の学習とか、常識レベルのラーニングが間に合わなかったもので……その……本当に申し訳ありませんでしたっ!!』
謎の存在により性格を改変をされ、内気気味な性格となっているリュシオ……若干シドロモドロになりながらも大河らの問い掛けに返答した。無論、ハッキング行為の最中に自身の行いが“地球の法に抵触する行為”だと知った為、途中弁解こそするものの非があるという事実からは逃げる事なく謝罪する。
パスダー戦に於いてもGGGは機密情報の漏洩という失態を演じていたが、漏洩させた犯人は
今回も状況こそ違うが、外部への漏洩ではないという事で黙殺されるだろう。
何も無し、とは行かないだろうが……
「ハッキングの件については日を改めよう。今は君自身の出自や敵の今後の事を優先したい……良いかね?」
『あ、はい……』
大河はハッキングの是非よりも、敵の今後の動向やリュシオ自身が持つ情報の方が大事だとし、そちらを優先させる。
『まず、原種の作戦は「人類の抵抗力」……つまり、GGGの壊滅を第一目標に掲げて来ました。ですが、度重なる作戦の失敗やGGG側の戦力拡充により、目的は遅々として進まない……アレ等も相当頭を悩ませたと思います……』
そしてリュシオがまず語り出したのは、原種の目的とその推移……本来ならば抵抗虚しく僅かな時間で機界昇華は終わる筈であった。
しかし、GGGという組織……そしてその中に潜んでいた“さらなるイレギュラー”の影響で数々の作戦は悉く返り討ちにされ、機界昇華すら遅々として進まず、ついには最強7原種すらも打倒した。
『……残る原種は“腕”と幾つかの個体のみですが、アレ等は現在行方を晦ませています……その行方は、私にも分かりません』
「ふむ……君達は、原種の居場所を特定出来る能力は持っていないのかね?」
『あの……わ、私達アーマロイドが持つのは、“活動状態の原種コア”の居場所を特定する能力であり、その……休眠、もしくは非活性化状態の個体は判別不可能なんです……ごめんなさい……』
アーマロイドの識別感知能力は、活性化し活動を開始したコアに限定されていた。これはGGGないしは地球側への配慮であり、一般人や非関係者に誤解を生まない為の施策として意図されたものである。勿論、最初から自分達だけで事を進めるならば非活性化状態でも識別可能にしたであろうが、それでは判別成功と同時に周囲の被害を考慮せず原種コアの確保を行う事になり、一般人や建造物に甚大な被害を齎す事は想像に難くない。
その他、シオンは最初からGGGとの連携を考慮した上で計画を考案しており、原種に対する索敵や警戒は原作通り護少年や自分のみで行う事を徹底していたのである。
『彼女は、無闇に地球上での戦闘に発展しないよう、様々な方法を検討し、思索、立案、実施していました。無論、その真意は貴方がた地球人類を想っての事……我々はそんな寛大で優しいあの方だからこそ心から仕えるべきである、と自負しているのです』
メインオーダールームの扉が開き、現れたグラヴィスがリュシオの言葉を補足する。その姿は長身痩躯に緩くウェーブの掛かった紫の頭髪……白い薄手のロングコートを羽織ったイケメン青年*2。
『……しかし貴女は……これほどの配慮を怠らない彼女の粋に応えず、今まで何をしていたのです……!?』
それまでのクールで優しそうな口調から一変……度し難いと言わんばかりの表情で以て、グラヴィスはリュシオを唐突に糾弾し始めたのである。
『……っ……』
「……?!」
「グラヴィス君……」
突然の豹変に、メインオーダールームの全員が驚く。それまでグラヴィスは多少の事など些事同然という風に流したり、ジョークやユーモアも使い分ける好青年として振る舞っていた。
誰しも、それまで全く“怒り”という感情を見せなかった人物がそうなれば混乱するであろう……現状がまさにそうなっていた。
『本来ならば主の非常事態に際し、全権代理者として振る舞うのは貴女の役目……しかし貴女は舞台に立つ処か、敵に付け入られ策に嵌り、舞台に立つ事すら無くその任を全うしていない……!』
降ってきた“全権代理者”の重責……グラヴィスからすれば最もな理由だが、全身に表すその怒り様は普通のものではなかった。
『貴女は……! 我々を率いる“全権代理者”として、主の責務の重さを、掛けられた負担を、何も感じないのですか……ッ?!』
『落ち着け、
『グラヴィスちゃん、今は仲間割れしてる時じゃないわよ?』
遅れて現れた【牡牛座】と【山羊座】が声を掛け、今にも食って掛かりそうになったグラヴィスの肩を【牡牛座】が掴み止める。直後にハッとなりバツの悪そうな顔をしたグラヴィスは、リュシオへの視線を切った。
その間もずっとリュシオは俯いたまま肩を震わせ、黙って叱責を受けていた。
『お前の言い分は分かる……確かに俺も彼女には言いたい事がある。だが今は
『……えぇ、そうでしたね。私としたことが……冷静さを欠いていました』
追求を諦めた……という雰囲気ではないが、この場で追求を続けるのは悪手でしかない、とグラヴィスは態度を改め、推移を見守っていた大河に視線を向け、小さく礼をして謝罪の意を示す。
「……彼女の状況に関しても、いずれ時間を設けて明らかにする。話を戻すが、今は原種の行動に、ある程度の予測を立てられないだろうか……」
その時、オービットベースの外部センサーが空間の歪みを捉えて警報を鳴らし、早期警戒レーダーが識別不明の物体の接近を感知する。
「座標、Y-27エリアにESウィンドウの発生予兆を確認。同時にレーダーに機影を観測しました。メインモニターに映像を出します」
猿頭寺の操作でオーダールームのメインモニターを構成する巨大ホロスクリーンに問題の宙域の映像が映し出される。
その数秒後には映像の中央辺りにESウィンドウが開かれ、中から巨大な物体がゆっくりと漂うように現れた。
「……あれは……ジェイアーク?!」
「そんな……戒道……っ!?」
現れたのは白亜の戦艦……三重連太陽系赤の星の科学力で生み出された戦士の
護はその痛ましい姿に言いしれぬ不安を覚え、凱は足早に格納庫へと急ぎ、麗雄や猿頭寺も作業員に緊急指示を出す。
誰もが思わぬ姿で力無く漂うジェイキャリアーに、動揺が走るメインオーダールーム。その中でただ1人、リュシオは後悔と懺悔……嗚咽すらも心に封じ込め、俯いたまま佇んでいた。
ココに来て、アーマロイド達の仲に何やら不穏な気配。
リュシオの登場は普通ならば戦力拡充ついでに歓迎すべきなはずだけど……
そして、ボロボロ状態で現れたジェイキャリアー。
原作通り原種を追って返り討ちに遭った模様……艦橋部を構成するジェイバードも無い状態なので、やっぱりJも捕まってるのかな?
次回もお楽しみに♪
リュシオとグラヴィス……2人の仲は……
-
今はそっとしておこう
-
何とか改善させてあげたい