狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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大変おまたせしました……いちおう続きます。



第105話 GGG、木星遠征(2)

 対原種の今後についての会議を中断させた警報……

 それは甚大な損傷を受け、艦橋部であるジェイバードを喪ったまま力無く虚空に漂うジェイキャリアーを発見したからだった。

 

 GGGは大破状態のジェイキャリアーを回収。

 内部の捜索を行い、軽傷ながら気絶している戒道少年を発見。

 同時にメインコンピューターであるトモロが機能不全でスリープ状態……主戦力であるJも行方不明という緊急事態を把握するのであった──

 

──────────

 

 損傷甚大のジェイキャリアーを発見してから数時間後……

 

 アーマロイド達の協力もあり、何とかトモロの機能復旧に成功……戒道幾巳も、運び込まれたオービットベースの医務室で目を覚ます。

 

 護は幾己の無事に一度は胸を撫で下ろしたものの、Jだけが居ない事に驚く……未だに事態は混迷したままであった。

 

 

「戒道少年とジェイアークのメインコンピューター……トモロから得た情報の整理が終わりました。やはり彼等は、消えた原種らを追っていた様です」

 

 猿頭寺はそう語り始め、メインスクリーンに映像を出す。映し出されたのは太陽系の概略図……その中の地球から木星圏を切り取った部分がアップされ、原種の予想進路とジェイアークの追跡ルートが追加で記された。

 

「原種は先の戦いの後、木星圏へと離脱……彼等は原種を追うため、ESウィンドウによる長距離ワープを使って追跡をした様です。ですが……」

 

 途中から猿頭寺は言い淀むが、乙女座……リュシオがその後を続けた。

 

『……その出先で原種達に罠を仕掛けられた、という事でしょうか?』

 

 一時的とはいえシオンと身体を共有していたリュシオは、シオンの記憶を一部とはいえ保持している。その為現在と原作の状況とを照らし合わせ、その差異を含めて推測し、ジェイアークが罠に掛けられた事を言い当てたのであった。

 

「はい。木星圏へと到着したジェイアークを待っていたのは、残る原種数体と……」

 

『……やはり、奴らもか』

 

『白フード……それに、私の偽物も……!』

 

 牡牛座改めキョウスケと、クーゲルが忌々しさたっぷりに吐き捨てる。キョウスケは先の戦いで手玉に取られた事……クーゲルは自分の偽物が好き勝手に暴れている事実が気に入らない様だ。

 

 猿頭寺はその声に頷きつつ、映像を切り替えた……映し出されたのは少々荒い画質だが、ハッキリと白フードや偽クーゲル等が原種と共に襲い掛かって来ているシーンだった。

 

「この映像はトモロから提供されたログデータの一部です。間違いなく謎の白フードの男や、射手座の偽機体を確認しました」

 

「彼らの目的は、我々としても注意すべきだ。別種とはいえ、原種と共闘しているという事実も相まって、今後の戦いはより一層激しく、厳しいものになるだろう……今後は彼等を“リベレイターズ”と呼称・識別し、交戦の際はアーマロイド隊を中心に対応する事になる」

 

 映像の説明を終えた猿頭寺に続き、大河は今後の推移と、白フード等新たな敵対集団を“リベレイターズ”として識別し、アーマロイドを中心に対応する旨を発表した。

 

リベレイターズ(彼ら)の能力……向こうも原種と似て非なる源流を持つ事は明らかだ。射手座の偽物が居る事からも、アーマロイド隊をコピーしたものである可能性が高く、GGG側単独での対応は……非常に困難だと言わざるを得ない」

 

 麗雄はこれまでの戦闘データから、偽クーゲルや白フードの潜在戦闘能力はアーマロイドとほぼ同等であると予測し、GGGの戦力では対応が困難である事をハッキリと口にする。

 

『確かに。彼らの戦闘能力は、我々でも侮れませんからね……』

 

『……悔しいですが、彼らの力は私の予想を遥かに超えるものでした……そしてその全貌もまだ掴めていない事からも、対応は困難を極めるでしょう』

 

 冷静に映像の戦況を見極めていたグラヴィスの言に、悔しさを滲ませながらボルフォッグもそう溢す……実際に偽クーゲルらと戦った彼等の感想は、直接対峙していない凱や氷竜達にも伝わっていた。

 

『……無論、次に奴等が現れた時は我等が対応する。GGGには原種の対応に専念して貰おう』

 

 扉が開き、長身で和服を着た男がそう言いながらビッグオーダールームに入ってくる。銀髪で鋭い目つきの厳つい顔をした男……その姿を見て、ほんの少し口元を嬉しさで歪ませながらキョウスケが口を開いた。

 

『似合ってますよ、その格好』

 

『……む、そうか?』

 

『貴方も来ましたか……話を続けましょう。ジェイキャリアーの損傷……かなりのものでしたが、現在の状況は?』

 

 会議中故グラヴィスは仲間である蟹座……ゼンガーの人化した姿を喜ぶがすぐに意識を切り替え、ジェイキャリアーの修復状況を尋ねた。

 

《ソレニツイテハ、此方カラ直接説明サセテ貰ウ》

 

 その時、メインウィンドウの端に小さく通信ウィンドウが開き、光る球体が上下の円錐に支えられた映像が現れる。

 

 それはあのジェイキャリアー……否、ジェイアークを制御するメインコンピューター・トモロの本体であり、彼がその姿を通信越しとはいえ見せてくれた事は、GGGをそれなりに信用する様になった事を示していた。

 

《現在ノじぇいあーく……今ハじぇいきゃりあーダガ、修復状態ハ、GGGカラノ資材提供モアリ、既ニ凡ソ80%マデ機能ヲ復旧デキタ。資材ノ無償提供ニ感謝スル》

 

 ジェイキャリアーの修復状態は、GGGからの資材提供を受け既に通常航行程度ならば可能……全力戦闘はまだ難しいが、既に原作よりもだいぶ早く修復が進んでおり、あと数時間もすれば修復そのものは完了するらしい。

 

「それはもう少し後……稀星くんが戻ってから、彼女に直接言ってやってくれ。今回の事に限らず以前の時も、彼女は君達を気に掛けていたからのぅ」

 

 GGGがジェイキャリアーの修復に使える資材を確保していた理由……勿論これもシオンの働きに依るもので、シオンはアーマロイド建造の傍ら、赤の星の技術も一部とはいえ研究*1を進め、原作の展開に合わせて使えそうな資材を予め用意していたのである。

 

 原作ではジェイアークの機能である「光子変換翼」をフル活用して資材を逐一生成しなければならなかったが、その手間をある程度省けた事で原作よりも修復作業は大幅に進んでいた。

 

(やはり、稀星くんは先々の事すら見据えて……これはもはや、予知でもしている様な先見性だな)

 

 麗雄はトモロに「その礼はシオンに言ってやってくれ」と、今回の事も彼女の功績であると教えた。勿論、トモロはその事実を知り《了解シタ、改メテ彼女ニモ伝エヨウ》と応えた。

 

 その返答に大河も快く頷き、会議を先に進めるのであったーー

 

──────────

 

 ビッグオーダールームでの会議は恙無(つつがな)く進み、国連等への根回しも事前に済んでいる事から、GGGは関係各所への通達や確認事項を完了させ次第、全戦力を伴って木星圏へと遠征する事が決定した。

 

『さて……リュシオ。貴女の弁明を聞きましょうか……』

 

 大河達の会議が一段落したところで、ようやくといった様にグラヴィスは剣呑な態度のまま、リュシオへと向き直る……

 

『……ええ』

 

 睨まれた相手であるリュシオもまた、躊躇いを残しながらもグラヴィスへと向き直った。

 

『グラヴィス……まずは先の事実。主上代理としての責務を果たせなかった事、そしてその元となった要因……私の心の弱さ故にこの様な事態を招いてしまった事に、この場に居る方々を含め、この宇宙全ての命に対して深くお詫びします』

 

 リュシオの突然の謝罪に、GGGのクルー達は困惑するばかり……しかし、グラヴィスだけは憮然とした態度のままである。

 

『……元はといえば、地球へと落ち延びる前に事を進めれば、この様な未来となる事そのものを防げた可能性はありました。ですが当時の私には、それが出来なかった……』

 

 彼女が語ったのは、地球へと落ち延びるまでの葛藤と選択……

 

 仮にも先行試作型とはいえ、当時のその身に実装された機能の全てを用いれば、一応は完全にZマスターの暴走を食い止め、今の様な現実を回避できる可能性はあった。

 

 しかしその為には人格に相応の負荷……というより、人格という枷を取り除き、マスタープログラムとしての“完全な強制力”を発揮すれば、暴走したプログラムと打ち消し合い、最悪でも対消滅できたであろう……

 

 しかし、当時のリュシオは本来ならば、まだ将来も定まらない子供……

 そんな精神的にも未熟な子供に、“己の全部を掛けて挑む”選択などできない……それも当然の帰結である。

 

『……分かっていますよ。あの時の貴女は、そんな事を平然と出来る方では無い事くらい……! ですが、今の貴女は……あの時の貴女とも、主とも違う……!!』

 

 グラヴィスは気付いている……彼女に、そして己にも生じた微かな違和感に。

 しかし、それを何と言えば良いのか……どう捉えれば良いのか……まるで想定外、というように対応に困っていた。

 

(……違う……私は、彼女の復帰を喜ぶべきではないのか? いや、この混乱を招いたのは彼女の選択だ。であれば……だがしかし、私は彼女の選択を支持出来ない……今の彼女に……私は……何を考えている? 私は彼女の眷属であるべきなのに……しかし、地球の未来を思えばこの様な事は……っ……)

 

『とにかく……今の貴女を、隊のリーダーとして認める事は出来ません』

 

『………………』

 

 頑なに拒絶の意思を崩さないグラヴィス……その態度には、他のアーマロイド達も困惑を隠せなかった。

 

『……蠍座、貴方は……』

 

『今の貴方の立場上、そう言うしかないんでしょうけど……少しは言われちゃった方(リュシオちゃん)の気持ちも考えなさいな。……本意じゃないんでしょ?』

 

 ジョルノは何かを察したのか言葉に詰まり、エクセレンもリュシオのフォローに回ろうとするが……

 

『……ですよね……私はまとめ役失格です……』

 

 予想していた反発とはいえ、精神的に落ち込み具合の激しいリュシオは、再びグラヴィスから視線を切ってしまう……このままでは埒が明かない。

 

『……二人とも、一度頭を空っぽにして来い。……もし、最後までその調子ならば、後の勤めは俺が仕切る』

 

 状況を見守っていたゼンガーからそう言われ、それぞれメインオーダールームから出ていくリュシオとグラヴィス。

 

「……問題は根深そうだね……」

 

「ええ……でも、この問題は彼らの過去にあった事……オレ達が口を出して良い問題じゃなさそうですよ」

 

 大河の呟きに、アーマロイド達の機微から“静観した方が良い”と溢す凱。

 

 まだ、その時では無いのだろうか……

 

 

 

To be continued...

*1
赤の星の技術は一部、アーマロイド達の武装面にも流用されており、主にESミサイルの空間転移技術や、反中間子砲などのハイパワー光学兵器の技術、そしてメイン動力であるJジュエルそのものの研究を麗雄と極秘で進めていた。勿論、その過程で後々に出てくる数々の新技術・理論の構築や既存システムのブラッシュアップに用いた情報を得る事になったのは言うまでもない。




最近、話の流れが上手く組み立てられない。
リアルが忙しいのもあるけど、モチベも何か下火気味……

それと、人化姿やらネタも割れてるアーマロイド達の“一部”はもうこの際なんで直に名前を呼びます。ネタもほぼそのまんまですしね〜w
(;^ω^)

──────────


あ、予告してました乙女座の機体詳細は以下に記します。
(※命名者:L田深愚さん)寄稿感謝です!

→【乙女座(ヴァルゴ)】『機甲天使』アストライザー
頭頂高:25.7m  本体重量:48.9t
地形適応:陸A 海C 空A 宇A
最高速度:380km/h

【射手座】のクーゲルザウターと同様、細身の本体に甲冑を装備させた外観が特徴の【乙女座】のアーマロイド。
本機のイメージモチーフは“女性天使型の甲冑騎士(ヴァルキリー)”を基本としているが、左腕の小型盾はボウガンへ変形可能、大型ランスにも内蔵火器を搭載し、さらに両脚部の“マテリアルジェネレータ”による武装生成能力など、距離や相手を選ばない万能型に近い。
しかし、本機の内部機構はほとんどがブラックボックス化しており、GGGですら解析不能の未知の機構となってしまっている。
基本的には近〜中距離戦主体であるが、“デトネーション・デュアルランチャー”による面制圧や特火砲撃などの砲射撃戦にも充分に対応可能……とはいえ、まるで“取って付けた”かのような外観に合わないこの武装は“シオン以外の誰か”の意図を感じさせる。

■武装・機能
>ソードレイピア
>大型ランス(内蔵レールガン)
>シールド/ビームボウガン
>デトネーション・デュアルランチャー
>ブラスティング・ノヴァ(必殺技)

リュシオとグラヴィス……2人の仲は……

  • 今はそっとしておこう
  • 何とか改善させてあげたい
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