狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
あけましておめでとうございます~。
今年もご愛読よろしくお願い致します。
さて、年末にやらかしたネタの続きというか……
その結果と、ようやく遠征に……
お待たせ致しましたw
突然の“殴り合い宇宙”を経て、心の整理を付けたグラヴィスであったが……リュシオの心境と現状を鑑みて日を改める事にし、翌日その思いを伝えようとした。
しかし、数時間前にトモロから「ジェイキャリアーの修復完了」の報告が入り、オービットベース側の準備が整い次第、早急に木星へと出発する事に……
『……どうするんだってばよ、グラヴィス? まさか後回しにするのか?』
ピスケガレオンが心配そうに尋ねる。
『タイミングが悪いですね……リュシオはGGGの面々と打ち合わせ、我々も各自の準備がありますし……』
『……だが、そう焦る必要はないだろう?』
ジョルノはリュシオの動向を気にしていたが、キョウスケは『焦る必要は無い』と言う。
『そりゃ……そうだけどよ……』
キョウスケの言葉に同意はするが、ピスケガレオンはグラヴィスとリュシオ……2人の心境を鑑みている。
だが時間が経っても決意を揺らす事なく、グラヴィスは再び責務を果たそうとしているリュシオを待つことにした。
(これ程待つ事がもどかしいとは……この気持ち、あまり長く味わいたくはないものです……)
『……では、私達も別働隊として?』
原作とは違う木星決戦の作戦……内容を知らされたリュシオは、その詳細を問うた。
「うむ。コチラの戦力を既に知られている以上、陽動もそれ程効果がある訳では無いが、敵の戦力を集中展開されるよりも作戦の成功率は高くなる。よってアーマロイド隊を2班に分け、機動力の高いメンバーで、ジェイキャリアーや我々と違う更に別方向からの強襲を掛ける事で敵の混乱を誘う」
『前回ノ戦闘でーたカラモ、原種ハ木星ノ衛星軌道上ニ戦力ヲ展開シ、罠ヲ張ッテ居ル公算ガ高イ。じぇいきゃりあー単体ナラバ、大抵ノ罠ハ突破可能ダ……ソシテ今回ノ作戦ハ手数ト、手札ノ多イ方ガ有利ニナル』
当初に考案した作戦は原作と同様……ジェイキャリアーとGGG艦隊を分け、ESウィンドウにて別方向からそれぞれ奇襲を掛けるものであったが、最終的にはそこへさらにアーマロイド等による別働隊を編成し、想定外の混乱を誘う様になっていた。
これまでの戦いや、トモロの戦闘データを使ってのシミュレーションや検証も重ねられ、可能な限りの戦況変化にも対応すべくアーマロイド隊には各方面への援護も同時に行う事になるが、彼らのスペックや能力であれば可能であると判断されたのだ。
『……確かに、現状でこの方法以外に善戦は見込めませんね……分かりました。再編成の割り当ては、出発までにお知らせします』
他に代案も無い事から、アーマロイドを率いるリュシオも了承し、準備時間内に編成を見直す事に。
懸念事項は主に敵の動向……だが、状況が似通っているとはいえ、原作とはかなり戦力差に変調がある為、既に原作知識はアテにならないと考え、リュシオは流れに任せる事にした。
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「……全クルー、そのまま聞いてくれ。作戦準備完了次第、GGG艦隊は木星圏に進出する。この作戦は地球の存亡を賭けた、最も厳しい戦いになるだろう……もし我々が敗北すれば、
大河の号令はオービットベース全域に放送され、末端の職員一人一人に至るまでが“GGG憲章”を胸に己の使命……自分が今できる全てに邁進していく。
その光景を見て、アーマロイド等も自分たちの“最終目標”に近づきつつある事を再認識し、それぞれ万全を期すべく入念な準備に取り掛かった。
その最中……人々が慌ただしく動く格納庫の片隅で、グラヴィスとリュシオは再び向顔した。
『……グラヴィス……』
忙しさから忘れかけていた昨日の事が再び頭に浮かび、血の気が引くリュシオ……しかしグラヴィスは、近付けば走り去ろうとしそうなリュシオの変化に気付きながらも敢えて接近した。
『リュシオ、昨日は……』
『何も言わないでください……! 私に非があるのは分かっています。所詮私はシオンの代理ですし、ヒトより力と技術を持つだけの子供……見た目も誤魔化しですし、知識で羨望を集め、大人を演じている惨めな女です。そんな私が彼女の代わりに世界を救うなど……最初から無理だったんです!!』
この時、再びリュシオは考え過ぎて混乱していた。最初こそ多少覚束ないとはいえ、世界十大頭脳と名高い獅子王麗雄と対等……一部に関しては彼をも上回る程の技能と知識を持ち、人当たりも良く、地球人とはいえない身体となっても地球のため人々の為に尽力し続けたシオン……そんな彼女に向けられた人々の様々な感情。
羨望、期待、希望、そして嫉妬、怠惰、支配……
それらが綯い交ぜになって掛かる重圧。
リュシオはその責任と重圧に耐えられなかったのだ。
タダでさえ彼女は人生の4分の1も生きていないし、アーマロイドとなったのもつい最近の事……
その上で、地球での活動開始時には融合していた筈が、いつの間にか分離させられ、何者かの策略でシオンの意識の裏に隠され眠らされていた。
そして時が経ち、シオンは歴史の修正と敵の計略……そして何者かの悪意に対抗すべく、一時的とはいえ表舞台をリュシオへと託し、裏で奔走する……
しかし、それは身内に少なくない混乱を招いた。
本来ならば綿密かつ強固なはずのアーマロイド達やシオンとの連携……それがいつの間にかズタズタに引き裂かれ、アーマロイド達の一部は己の内に湧く感情に戸惑い、リュシオ自身も現状を打開できず嘆いている。
『リュシオ……貴女は……』
『言い訳なのは百も承知です……でも今の私では、いくら足掻いてもダメなのです……見え透いた罠に掛かり、理想を語っても実現できないこの未熟な私が……彼女と同じ様に振る舞おうなんて……不可能だったんです……浅はかでした……』
リュシオは悔しさを滲ませ、嗚咽と共に涙を溢す……それを見たグラヴィスは、ようやく自身とリュシオそれぞれが思い違いをしている事に気付き、リュシオの肩を優しく掴んで諭し始めた。
『それは違いますよ……リュシオ。我々も、GGGの方たちも……貴女に主の真似事など求めてはいません。主はご自身の不在の間の指揮を、他ならぬ貴女に託した……それは貴女ならば、貴女なりの意思と方針を以て、我々を動かせると思っての事。それはGGGの方たちも同じです』
シオンとリュシオ、双方が不在の間にアーマロイド隊の指揮権を預かっていたグラヴィスは、GGGの意向を正しく理解していた。
そもそもGGGのスタンスとしては、アーマロイド達は戦力として歓迎するものの、護やシオンの戦闘への関与はなるべく避ける様にしている。
シオンに関しては、状況が許さない事態があまりにも多かったとはいえ、長官である大河をはじめ凱を中心とした機動部隊、そして麗雄ら事情を知るクルー達は、シオンの協力に感謝しつつも関与が避けられない事に、裏では悔しさを滲ませていた様だ。
それはGGGに入っても、精神科医としてのシオンの元に患者が絶えなかった事や、簡易治療用具として設置した『マイナス思考治療システム』に十分なエネルギー*1が提供されていた事からも明らかであった。
『彼らは貴女にピンチヒッターを求めても、主と同じ働きは求めていません。それは我々も同じです……貴女は貴女なりの意思を以て行動すれば良い。主も、それを望んでいた筈です』
『……でも、グラヴィス……貴方は昨日……』
グラヴィスの言葉に驚きながらも、昨日の言動は何故なのかと理不尽さを露わにした。すると今度はグラヴィスがしどろもどろに切り替わる。
『……あれは……その……かつての貴女とはあまりにもかけ離れた言動に、困惑を隠せなかったのと……その……ようやく貴女と再会できた事で……気が緩んでしまい……感情が上手く制御出来なかったのが主な原因でして……今も……この胸の内に、上手く言葉に出来ない感情が渦巻いているのです……普段は何ともないのに、何故か貴女の事を想う時だけ……このモヤモヤが荒れ狂うのです』
上手く言葉に出来ない……グラヴィスにはその感傷が理解できず、どう扱えば良いのか、対処も分からぬまま狂った様に反応ししてしまったのだと弁解した。
『……え……っ……』
傍から見れば顔を赤らめ、首すじを掻きながら然りげ無く目線はそのまま、リュシオに今の顔を見せまいとするグラヴィス……
普段はクールで焦りなど皆無であるグラヴィスの困惑した表情に、今度はリュシオの方が驚きを隠せなくなった。
しかも、リュシオはそれまでの失意と悲しみの感情すら忘れ、心底驚愕すると共に
(え……か、可愛い……グラヴィスが、照れてる……!)
どうやらリュシオはギャップ萌えしやすいらしく、初めて目にするクールな男の(個人的に初の)困惑ぶりに、自身も感情のブレーキが利かない様になっている。
そして更に間を図ったかのように現れた存在が、更にこの状況を加速させる一言を放った。
『……あら、見てみてダーリン。何だか初々しいカップルみたいな状況じゃない?』
『……茶化すな
『………………』
『はうぅぅぅ……』
自他共に(※設定上から)バカップルと認めるキョウスケとエクセレンの2人に場を目撃され、しかも“カップル”の様だと指摘された事で、それまで他人事の様に見ていた2人の“アレコレ”を想像して
……だがこの時、リュシオには誰にも予想し得なかった状況の好転が得られていた。
リュシオ自身、マスタープログラム化によって失って久しい感情の渦に精神を揉まれた事で、記憶と人格に対する大きな影響を徐々に及ぼし始め、更にそれは奥深くで繋がっているシオンへも波及……
そしてこの後起きる
《全艦、出撃準備完了!》
「よぉし、GGG艦隊! 発進!!」
大河の号令を皮切りに、合同艦隊が動き始める。
ジェイキャリアーに乗る幾巳がトモロへと指示を出し、ジェイキャリアーから空間転移ミサイルが放たれる。
「ESミサイル発射、転移目標……木星宙域」
《了解》
放たれたミサイルは虚空を突き進み、一定距離を進んだ後爆発……それは艦隊の前方に亜空間への突入ゲートを形成した。
『転移ルートの形成を確認。続いて重力カタパルトを展開……全艦隊を初期加速、突入します』
そこへ向かう艦隊をグラヴィスの能力……重力操作を応用したカタパルトによる初期加速で突入する。
ついにGGG艦隊は原種の完全討滅の為に……一路、木星圏へと出撃した。
本来の科学力ならば、木星圏へと到達するまでに多大な労力と長大な時間が掛かる*2のだが、そこをジェイキャリアーのESミサイルによる空間ワープと、グラヴィスによる重力カタパルトの初期加速を利用して短縮……素早く目標宙域に到達する事で敵の作戦の裏を掻く事になった。
ちなみにESウィンドウは通常の時間と空間の制約を受けない“亜空間”を通過する技術のため、突入時の速度や艦そのものの速度・性能によって目標到達までの時間は容易に変えられる……らしい。
「ESウィンドウを使っての強襲は敵も想定しておる。だがグラヴィス君の重力カタパルトによる初期加速を加えれば、敵の思惑よりも早く目標地点に辿り着ける……」
雷牙の説明に、麗雄がさらに付け加える。
「そこで更にジェイキャリアー、GGG艦隊とアーマロイド隊の一部、アーマロイドの別働隊と部隊を分割して3方から個別に強襲、敵の混乱を誘う訳じゃ」
『その混乱に乗じて、私と別働隊が皆さんを救出します……敵は何らかの理由で準備が整うまで、捉えたJさん……彼を閉鎖空間に幽閉していると思います。ですので此方から打って出れば、必ず彼を封鎖した空間に皆さんを閉じ込める筈です』
作戦から想定された状況を考慮し、リュシオは自ら別働隊を率いて強襲する事を買って出た。しかし凱はリュシオの安否を気遣ってくる。
「確かに敵は俺達機動部隊と、アーマロイド隊の主戦力を最優先で狙ってくる筈だが……大丈夫なのか?」
『敵は私の能力をほとんど把握していない筈です……そもそも今回が初の正式参戦ですし、裏を掻くには最適だと思います』
だがリュシオは自身がイレギュラー……敵の混乱を誘うには自身が鍵になる事を伝え、凱の杞憂を晴らした。
この短い間に何があったのか……リュシオの態度は大きく変わっており、発言にも堂々としたものがある。
「分かった……頼りにしてるぜ!」
『ええ、任せられました……!』
まもなく、GGGの一大反抗作戦が始まる──
「ふん、なかなかに早いご到着だな……!」
唯一、人格を残す腕原種は忌々しさたっぷりに吐き捨てる。原種はその殆どが地球から撤退する際に宿主としていた人間を捨てるかGGGに奪回されたため、その身体を木星の衛星に宿し、前々から人格を有していた腕原種以外は全て無言となっている……それは逆にその全能力を戦闘に向けられる事の証左であり、地球での戦いよりも厳しさを増す事が明白になる証拠でもあった。
……だが、地球方面に開かれたESウィンドウから飛び出してきたのはジェイキャリアーのみ。
《木星圏に到達。原種反応、直近に3!》
「やはり彼女の予想通り、罠を張っていたか……戦闘機動! ピッチ角下げ15、各メーザーミサイル、オートで迎撃! GGGに合流するまで時間を稼ぐ……!!」
《了解!》
宇宙最速と呼べる赤の星の箱舟は、半包囲状態から速度のみで原種の罠を容易く抜け出し、GGG艦隊の到着まで時間を稼ぐ為にその身を翻す。
「フッ、自棄になって突撃してきた割には逃げ惑うではないか……それとも、奴らGGGの艦隊と何かしら策を弄してきたか?」
腕原種はジェイキャリアー単体での突撃に、GGGと策を練った事を看破してきた……だが、幾巳はリュシオらアーマロイド隊の事が腕原種の頭から抜け落ちている事に気付き、そこに勝機を見出す。
(やはりこちらの作戦の半分は読まれている……でも、半分だけだ。さらにその先は読めてない……そこが勝機になる!)
「……だが残念だ。GGG艦隊は……」
腕原種は自身の罠……GGG艦隊による挟み撃ちを看破し、その出現位置を瞳原種に予測させ、クライン空間を利用した脱出不能の網を張っていた。
……そこまでは原作通りであり、腕原種の思惑通りだった。
『ブロウクン・ファントムッ!!』
黄金の軌跡を描き、あらぬ方向から迫る
コレでもかと何度も何度も貫き直され、限界となって原種衛星は爆散していく……
「……な、ナニィィィッ?!」
控えさせていた側の原種が想定外の攻撃を受けた事で、腕原種は自身の想定をGGGが大きく上回ってきた事実を知り、驚愕したのだ。
『原種共! 今までの借り、たっぷりと返してやるぜ!!』
『これまで地球で行った悪逆非道の数々……その報いを受けて貰います!!』
『Yeah!! 観念しな原種、GGG機動部隊のお出ましだッZE!』
『もう逃さないぜ原種、ココでお前らを完全に討滅する……!』
ガオガイガー(ver.H)に、これまた強化済みの宇宙用ブースターポッドを装備し、二段構えとなったダブル・ファントムリングシステムを備えたスターガオガイガーを中心としたGGG機動部隊と、GGG艦隊が無傷で別方向から現れたのだ。
「……ば……馬鹿な……!? 貴様達はソルダートJと違うクライン空間に閉じ込めた筈! 奴の想定の様に逃げられる筈が……」
『その想定が甘かっただけ……という事だッ!!』
更に別方向から赤い閃光が別の控えていた原種衛星を貫き、一撃のもとに爆散させる。
「J! 無事だったのか!?」
『……あぁ、アイツ等の手を借りてな』
爆散の閃光から現れたのは、腕原種によってGGGとは別のクライン空間に閉じ込められた筈のジェイダーだった。
彼は幾巳の問いに自身の後方を指し、脱出に協力してくれた相手を示す……
そこには、青黒と紅の重装甲に身を包む蠍の王と、その背に立つ青と白の装衣に身を包んだ天使の如き人型ロボ……グラヴィスとリュシオが居るのだった──
……ちと中途半端ですが、ココまで進みました。
どうやら腕原種は原作とは違い、GGG艦隊をジェイダーとは別のクライン空間に捉えていたみたいですね。あっさり脱出されてますけど……
あと、地味にガオガイガーがまた強化されてますなw
その顛末の詳細と、戦闘の続きはまた次回に。
君達に、最新情報を公開しよう!
ついに始まった木星決戦!
GGG艦隊とキングジェイダー……
そしてアーマロイド達は心を一つにし
強大となった原種衛星と激戦を繰り広げる。
だがその裏で、我々や原種達を翻弄していた
“奴”の恐るべき計画が明らかになる……!!
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第108話『if時空消滅の危機』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
グラヴィスとリュシオの(今後の)関係は……
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もうイケるとこまで行っちまえ!
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雰囲気を壊さない程度に……