狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
一方GGGは、緊急発進した三段飛行甲板空母と水陸両用整備装甲車が現場に到着し……
強電磁波によってダメージを負った凱の治療をすぐさま開始……
同時に、ゾンダーの攻略法とその行方を掴むべく……緊急対策会議が開かれる。
強力な電磁波をマトモに浴びてしまい、瀕死の重傷を負ったサイボーグ凱。
だが、同行していた護少年の能力により、生命の危機は脱していた……
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『解析の結果、あのゾンダー新幹線は高速走行と同時に周囲の磁場を狂わせ、一種の電磁バリアを展開……更に内部に発生させた磁界を自身の加速に活用しています。
外部からの干渉で電磁バリアは容易に破壊できますが、問題なのは電磁干渉・磁場破壊に必要な最低接触時間は約20秒以上……そして、あのゾンダーに追い付く為には時速700km/h以上が必要だという事です』
私の解析結果の報告に猿頭時さんが頷き、それが間違いなく事実である事を全員が理解する……原作ではライナーガオーで減速を掛けれた程度の速度だったが、今回のヤツはなんとライナーガオー(最高時速526km/h)よりもかなり速い。
「うぅむ……ライナーガオーよりも速いとなると、やはりミラーカタパルトでの加速が前提になるのぉ……」
「氷竜と炎竜をカタパルトで射出し、並走させる……か」
「ですが、あの2人だけでゾンダー新幹線を減速させるのは不可能です……相手は時速700km/hですから」
「ライナーガオーよりも速い……というのも難題ですね」
ブースターによる加速維持が可能な氷竜・炎竜と違い、ライナーガオーの速度は車輪に頼るしか無い為、最高時速が劣っている時点で後方からの接近はほぼ不可能……更に言えば前方から接近したとしても、電磁バリアの反発作用と、100km/h以上もある速度差によって巻き上げられ、進路から排除されてしまう為……後ろから追いつけない時点で肝心のブレーキ役には適さないのである。
軽く詰み掛けた現状……ただ、私は解決案を持っていた。
私が前線に出るのが前提となってしまうが、あの時ゾンダーの電磁波を解析出来たので、対抗手段としての電磁場遮断システムは既に完成している……
ただし効果範囲は直径2m弱しかないので、原作通り氷竜と炎竜に両サイドから電磁波干渉をして貰い……その隙に私がゾンダー内部に侵入してブレーキを掛けさせるのだ。
……マスター権限的な命令権は恐らく無いだろうから、運転席へ潜り込んで直接操作するしかないけど。
「しかしのぅ、ヤツの走行速度に追い付くには氷竜か炎竜に乗り込まんと無理じゃぞ?
お前さんの身体は、ミラーカタパルトの初速に耐えられるのか……?」
案の定、麗雄博士から「待った」が掛かる。
でも、相手はライナーガオーより圧倒的に速い……この方法以外に有効な手立ては用意できないし、よしんば用意できたとしても、作戦時間は約20秒……それまでにゾンダー新幹線を止められなければ、氷竜・炎竜は振り切られ、再び電磁波を撒き散らしながら再加速されて捕獲は叶わない。
ゾンダリアン側も、成功/失敗に関わらず捕獲作戦を感知すれば動き出すだろう……チャンスは一度きりしかない。
『対G性能は、私の能力で何とかしますし……それに、電磁波遮断システムを凱さんに渡すとしても……まだ彼は治療中ですから』
「他に方法は無い、か……その案で行くしかあるまい……済まないね、稀星くん」
遅かれ早かれ……ゾンダリアンとの直接対決は避けられないし、私も戦わなければいけない事態もいずれ来る……これはその予行演習の様なものだ。
……絶対に失敗できないヤツだけど。
本当なら逃げ出したくなる緊張感の中……私は精一杯、自信たっぷりに笑って誤魔化した。
この会議から数時間後……凱の容態は、護少年の補助もあって回復。
作戦内容も、侵入メンバーをシオンと凱の2人体制にして万全を期す事となり……ゾンダー新幹線の発見と同時に作戦を開始する事となった。
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「……ッ!? 居た、あっちの海岸の方だよ……!」
護くんが再出現したゾンダー反応をキャッチし、島の東側を走る沿岸ルートを示す。
「ゾンダー新幹線、島外苑部の回遊ルート東側に再出現!」
「周辺地域に強力な磁場の発生を確認、ゾンダー新幹線は東の沿岸ルートから北西に向かって時速約600km/h以上の速度で疾走中」
作戦準備を完了させたその日の夜……件のゾンダー新幹線が再出現。
三段飛行甲板空母には機動部隊全員が乗り込んでおり……私はビークルモードの氷竜、凱さんは炎竜の運転席で待機していた。
(GGGに正式加入して、初の戦闘作戦への参加……思ったより緊張してるなぁ、私……凱さんも、最初はこんな気持ちだったのかな……)
そうこう思案していると、氷竜の運転席にある通信システムから声が響く……
《ようやくゾンダー新幹線を確認した、電磁波ノイズの影響で作戦開始後しばらくは恐らく通信が出来ん。
稀星、お前がいくら改造人間にされてるとはいえ戦闘は初だ……必ず凱の指示には従えよ、良いな?》
『分かってますよ、参謀さん……私だって死にたくはないですからね』
《分かってりゃそれで良い……凱、足手まとい付きだが……頼むぞ?》
《大丈夫ですよ参謀……それに、シオンもやる時はやる奴ですから》
『凱さん?! 持ち上げないで下さいよ……私、これでも結構緊張してるんですから……あっ』
通信を聞いている氷竜と炎竜からのリアクションもなく、私は自分で緊張してると発言してしまい物凄く気恥ずかしくなった……が、逆にそのお陰で緊張が解れている事に気付く。
(……こういう所は、2人とも凄いよなぁ……)
『先生は参謀殿や隊長に比べれば、精神的にまだ若い……それに戦闘も初めてなのですから、緊張は当然でしょう』
『……ありがとね、氷竜』
……斯くして、ゾンダー新幹線の捕獲作戦がスタートした。
三段飛行甲板空母のミラーカタパルトによって、弾丸の如く射出された氷竜と炎竜……沿線を走るゾンダー新幹線の両サイドへと着地し、速度を維持しながらラダーとクレーンを使って電磁波を弱めつつ速度を落とさせ……その間に私と凱さんが内部に侵入し、ゾンダー新幹線自体にもブレーキを掛けさせる。
字面だけで見れば簡単にも思えるが、ミラーコーティングの効果時間は最大でも5分しかなく……速度差のせいでゾンダー新幹線との接触は約20秒しか維持できない。勿論それを超えた時点で氷竜・炎竜は振り切られてしまい……恐らく二度と同じ手は使えないだろう。
私と凱さんは、その20秒以内にゾンダー新幹線の運転席に侵入し、ブレーキを掛けさせなければならないのだ。
はっきり言って無謀だと思ったけど……結果は大成功だった。
『……○ラヴィトン○ルネード、パァンチッ!!』
開幕直後……思いつきで私は、自身が纏う強化外骨格『ゾディアートメイル』右腕のアーマーパーツからドリルを展開させ……さながらドリル付きロケットパンチの如く射出……ゾンダー新幹線の運転扉へ向かった右腕パーツは扉を容易に吹き飛ばし、反対側の扉まで5秒と掛からずに貫通……開け放たれた扉を潜って凱さんが内部に侵入し、楽々とゾンダー新幹線のブレーキングに成功したのである。
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まぁ、こうなれば後はほぼ原作通り……
停止させられたゾンダー新幹線はわざと自爆して私達全員を吹き飛ばし、その間にロボット形態へと変形……超電磁誘導を利用した高出力のビームで私達を排除しようと迫る。
まだ住居など一つもない、発展途上国の島の開発予定地とはいえ……多くの自然が残るこの地を戦闘でダメにする訳にはいかない。
ガオガイガーはゾンダーロボを迎撃し、氷竜と炎竜は被害拡大を防ぐべく消火活動……私も敵の能力分析と甲板空母への通信ライン確保を行いつつ、戦局を見守る……
途中、ゾンダーロボが私も排除しようと豪腕を振り翳すが、その隙をガオガイガーが見逃す訳もなく……振り上げた豪腕の肩関節をブロウクン・マグナムで撃ち抜き、再生で動きが鈍っている間にディバイディングドライバーを装着……同時に氷竜・炎竜も超竜神へと合体し、イレイザーヘッドを構える。
ゾンダーロボが腕を再生し終えたのと同時にガオガイガーはディバイディングドライバーを直接ゾンダーロボにねじ込み、その空間反発作用を利用して拘束……ワンテンポ遅らせて、イレイザーヘッドのもう一つの使い方である力場・磁場消去能力でゾンダーロボの電磁バリアを完全に消し去り、そこへガオガイガーの「ヘル・アンド・ヘヴン」でコアを摘出……爆発もイレイザーヘッドで打ち消し、無事に作戦は終了となった。
『……やはり、あの少女は、我々ゾンダーに似て非なる存在……パスダー様の懸念よりも、もっと恐ろしい者に成りかねん』
(しかし、あの姿……何故、私はあの少女を攻撃しようと思わなかったのだ……?)
昆虫……巨大なカブトムシにも似た頭部から、煙突のように突き出た角を持つゾンダリアン「ポロネズ」は、戦闘中だというのに無防備にも自分に対して背中を晒していた異分子たる少女を襲おうという気にならない自分に疑問を持った。
ゾンダリアンは本来、敵対する者に対して情け容赦など一切しない……それに、現状でのシオンとポロネズの戦闘力差は、俄然ポロネズの方が上だった。
しかし、それでもポロネズは無防備に背中を晒すシオンを襲う気になどならなかったのだ……
(あの少女の姿に、何かを感じたとでもいうのか……いや、それは有り得ない。
……我々ゾンダリアンは、パスダー様の忠実なる下僕なのだから。)
『それに……あの力、まだまだ我々には遠く及ばない……。
今回は放置でも良いでしょう、ですが次に会った時は……あの黒いロボットもろとも、必ず仕留めますよ』
そう言い残し、ポロネズは潜んでいた森の中から消え去るのだった……
なお私は、この作戦で経験値を得たのか……環境適応能力が回復し、物質干渉能力も強化され、そしてゾディアートメイルを任意に形状変化・機能変更させる能力まで覚醒……しかもその事が麗雄博士にバレて、再検査とスペック計測をさせられてしまいましたとさ。
各ガオーマシンのスペックはしっかり原作通りだけど、氷竜・炎竜のスペックは小説内に限り大幅にブーストが掛かっています。
理由? そりゃあの教材でしょうね……ぶっちゃけると、原作スペックの1.5倍。
……さすがにヤバすぎかな?(;´・ω・)
なおシオンも、自身の持つ原作知識と、リアルに見るガオガイガー世界の技術が影響して、能力が徐々に覚醒し始めたよ!
今回、覚醒したのはゾディアートメイルの形状変化・機能変更……
そして完全に失っていた環境適応能力の一部回復。
そもそもゾンダーは超高速で自身を再生・修復する能力を標準で持っている。
上位種であるゾンダリアンも同様だけど、あくまでも彼らの能力は再生・修復……
でもシオンは最上位種である「Zマスター」と「人間」の完全合一によって誕生した生機融合体だから、彼らと違って機能の回復に時間が掛かる代わりに、最適解へと進化・成長したり、過去の形状と能力を記憶しておく事が可能になってるんだ!
おっと、次回はそのゾンダーの秘密に迫る重要な回になるね。
次回予告行ってみよ~♪
君達に最新情報を公開しよう!
ある日、九州から太陽が消えた……
九州・佐賀県で行われる熱気球の世界大会
「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」
その会場を中心に、直径約300kmを超える巨大な黒雲が発生……
大会に参加していた多くの熱気球と参加者たちが黒雲の中に囚われてしまう。
危険を承知で黒雲の内部へと飛び込む凱。
そこで彼が目撃したものとは……?
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第12話『太陽が消える日』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
コレが12話の勝利(生き残るため)の鍵だ!!
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ラストで凱が見たものを言い当てる
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ラストで凱が見たものの正体を教える