狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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そろそろこの閑話も閉じて本編進めなきゃ……

さぁ、次にシオンは何を見せられるのか?



閑話:星の記憶、ヒトの記憶(5)

 荒れた映像もそのままに意識はあの場から再び引き剥がされ、飛ばされた先はまたしても何処かの市街地の只中……

 

 しかし、今度はすぐに状況が掴めた。

 

(……あの機体、見覚えがある……!)

 

 全身を輝かせる人型のロボット……その身体は見慣れなくとも、その側頭部に炎を模した金の装飾と、緑の双眼、赤い兜に白のマスク……

 

(やっぱり、ファイナルダグオンだ……!)

 

 勇者シリーズの第7作……男子高校生5人が、宇宙警察機構の刑事ブレイブ星人から勇者《ダグオン》に任命されて始まった物語。その後を描いたOVA「水晶の瞳の少年」に登場するダグオンメカである。

 

(……でも、何で……?)

 

 距離にして目測凡そ数十メートル……奇妙な事に私の視界はファイナルダグオンと正対しており、まるで私があの機体を相手している様だった。

 

 徐ろに両腕を広げるファイナルダグオン……直後、私の全身を凄まじい程の悪寒が駆け巡る。

 

(……っ?!)

 

 記憶が正しければ、ファイナルダグオンは作中で星を滅ぼす生態を持つ「デアンドゾル」を消滅させた……そして今の状況は、まさにその“消滅させた”シーンにソックリである。

 

 デアンドゾルとは、種子が辿り着いた星に生きている生命体に擬態して成長し、最終的に星を苗床にして新たな種子をつくる植物系生命であるが、その行いに一切の悪意は無い……地球に生きる植物と同じく“ただ生きているだけ”なのだが、他の生命からすればその生態そのものが「理由なき悪意」となっている。

 

 作中の8年前程に地球へ辿り着いたデアンドゾルは、最初に接触した生命体……人間*1へと擬態し静かに成長……約8年後の最終段階手前で炎に発見され、“ケンタ”と呼ばれ弟分として構われた際に“優しさ”を覚え、星を滅ぼす最終段階となってもその精神は消えず、自らの“消滅”をダグオンメンバーに乞うた。

 

 地球へ来たデアンドゾル……ケンタからは一切の悪意も敵意も感じられず、持つはずのなかった“優しさ”から自身の“消滅”を望み……ファイナルダグオンも、ただ悲しみの中で彼の核を握り潰すしかなかった──

 

(マズイ!? あの時と同じなら、このままじゃ……)

 

 今までは第三者視点で見ており、直接関わる様な状況でもなかったが、場の雰囲気や環境の差異なんかは直接肌で感じていた……ならば、あの時の“デアンドゾル”の視点で見ている今の状況は……

 

 悲しみの感情……ただそれだけを向けられ、握り潰される。

 身体の感覚はあるのに、動く事は一切出来ない。

 

 眼前に迫った無機質な掌……

 

『……ッ……?!』

 

 ジワジワと視界が狭まってくる……同時に明るさと、死へのカウントダウンも減り続ける。

 

(何で……こんな……)

 

 避けられない絶望……己の生を、強制的に終わらせられるという不可避の事態に、私の精神は疑問で一杯だった。

 

(私は……何を……)

 

 感じさせられている……体験させられている。

 

 抗えない絶望を、死の恐怖を、拭えない無力感を……

 

 何をやっても“無駄”だという、現実を……

 

 視界が完全に閉ざされ、やがて全方位から加わり始める強烈な圧迫感。

 

 もはや身動きすら取れず、潰されていくしかない状況……しかし、絶望よりも私を満たしていたのは……1つの疑問。

 

 何故、私はこんな事になっているのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、絶望の淵からしか芽生えないものの為……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉ざされ、抑制されたものは反発し、集束し、より強くなる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女は……至らねばならない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 何も感じない筈なのに、暖かい……

 

 死の恐怖に冒され、閉ざされ、何も出来なくなってしまった筈なのに……

 

 暖かい……

 

 柔らかな木漏れ日の様な、ヒトの肌の様な……

 

 何かに……誰かに暖められている。

 

『……どうやら、間に合ったようだね』

 

 響いてきたのは、優しさの滲む合成音声……それは、何があっても忘れないと誓った、()()()の声。

 

『……何で……貴方……が……』

 

 辛うじて絞り出せたのは、呼吸すらもままならない様な……嗄れた自分の声。

 

 突然聞こえてきた声に驚くしかなかった──

 

 その声は“生”で聞ける筈のないものだ──

 

 何故なら、“彼”は“現実には存在しない”から──

 

 “彼という存在”は“空想の中のもの”だった筈だから──

 

 しかし、それは確かに聴こえている──

 

 閉ざされた筈の私の心に──

 

 圧し潰され、死を与えられた筈の私の耳に──

 

 感じる……暖かい光……

 

(暖かい……失った筈の感覚が少しずつ戻って来ている……)

 

 最初に戻ったのは音、次に感じたのは肌の感覚……

 

 私は、何か硬い物の上に全身を投げ出した状態の様だ。

 

『キミの状況を“ある方”から連絡を受け、可能な限り急いだのだが……私が辿り着いた時には、キミは既に消滅を待つばかりの酷い状況だった。私の力が及ぶかも分からなかったが、意識を取り戻せたならばもう大丈夫だ』

 

 私に触れているものは冷たい金属だが、その奥底や、発せられた声から湧き上がる優しさは確かに暖かい……

 

 消された筈の身体の感覚……五感を取り戻し、潰された筈の目をゆっくりと開く。

 

 最初に見えたのは私を覗き込む大きな影……周囲との明暗のギャップで眩しかったが、それにもすぐ慣れる。

 

 生機融合体としての能力……急速に取り戻される感覚と思考、飛び込んで来た目の前の出来事に私の精神状態は、興奮と沈静の乱高下を繰り返すしか無かった。

 

 私を救った暖かな光を放っていたのは、赤い頭と肩、胸に白い獅子の顔を持つロボット……

 

『私の名はエクスカイザー……キミが“星の記憶を受け継ぐ者”、稀星シオンで間違いないかい?』

 

 勇者シリーズの元祖にして起源……あの“エクスカイザー”だった──

*1
8年前にデアンドゾルと接触したのは作中主人公である「大堂寺炎」であり、デアンドゾルは8年前の炎の姿に擬態していた。




……駆け足ですが、閑話はココで一度切ります。
この後のシーンとなる重要な所は、一度本編に戻って然るべき時に明らかになるのでそれまでお待ち下さい。

本編も大盛り上がりとなるので、そちらの方もご期待下さい!

ガオガイガー以外の勇者シリーズにシオンが居たら……というifは需要ありますか?

  • 各シリーズ毎で
  • 短編集で
  • 本作の閑話で
  • 不要です(自分で妄想するから)
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