狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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はい、本作最大の山場(暫定)開始です。

父を救わんと宇宙を駆けた凱……
しかし無情にも麗雄は木星の重力に揉まれ帰らぬ人に。
そして凱自身も、木星の重力に捕まり……



第110話 座より外されしもの(1)

《ガオガイガー、ブースターポッドに被弾! ウルテクエンジン出力不安定、離脱速度まで加速出来ません!!》

 

 牛山の報告に命は愕然とし、大河や雷牙らも驚きを隠せない。

 

 父の麗雄を失い、自身もまたその渦中へと落ちていく……

 

「クソッ、何が勇者だ……何のための鋼の身体だ……! 俺は……自分の父親すら守れないのか……ッ!!」

 

 周囲の戦闘と木星の高重力の影響で酷い通信障害が起きている為、誰にも聞かれない事に内心安堵しながらも凱は己の不甲斐なさを毒づく……

 

 ガオガイガーそのものはさしたるダメージも無く、戦闘続行は可能……だがしかし、強化されたステルスガオーⅡに装備された宇宙用ブースターポッドに被弾し、宇宙空間では必須の軌道維持*1能力を喪失した時点で宇宙での戦闘続行は不可能。

 

 為す術なくスターガオガイガーは木星へと落下していく……

 

「そんな……ダメよ……凱ぃぃぃッ!!」

 

 悲痛な命の叫び。だが無情にもZマスターの侵攻は留まる事を知らない……

 

「……愚かの極み。同じ機械の身体を得ても、その弱き心は変わらぬ……やはり機界昇華こそ唯一の希望、受け入れぬ者には相応しき末路……」

 

『そんなモノ認められるかッ!!』

 

 Zマスターの言葉を食い気味に真っ向否定する超竜神。その手に持つラダーとクレーンを高速回転させ、全方位からの攻撃をいなしつつ叫んでいた。

 

『ああそうとも、あの隊長がそんな“逃げる”様な真似……絶対にするものか!!』

 

『凱機動隊長は勇者です!! 機械の身体を得ても、“逃げ”の一手しか考えていないアナタと一緒にしないで頂きたい!!』

 

 一呼吸遅れて賛同する撃龍神、ビッグバンボルフォッグも凱の心は()()()()()()()()と同じく否定の意を示し、同時にスサノオの遠隔操作を駆使し、強い意思表示の如くZマスターを砲撃した。

 

『あの隊長がテメーなんかと同じなんざあり得ねぇ! 心が弱ぇのはテメーの方だろーが!!』

 

『Ahan? 隊長が弱い?! No,no,ガイ隊長こそ勇者の鑑だッZE!!』

 

 ゴルディやマイクもそれに続き、口々に真っ向否定の意を示す勇者ロボ軍団……

 

『……フン。キサマが幾ら声高に“機界昇華”を謳おうが、より良い未来を見据えて今を戦う地球人類(彼ら)には何も響かん。コレがな!』

 

『そうよねぇ……実際、機械の身体って人間よりも不便な面があるでしょ? メリット・デメリット、リスク・リターンとか考えもしないで一方的な押し付けはお姉さん好きじゃないわ〜』

 

『……そもそも奴の思想には()()()()()()()()という前提がある。確かにそれは完全に否定できない……だが、それはZマスター(お前の方)が有利だと言う証拠にはならない!』

 

『弱くても……地球の人達には明日がある! 不確定だけど今より良くなれる未来がある! アナタの押し付けになんか足元にも及ばない素晴らしい未来が!!』

 

『そうです……むしろ機界昇華(アナタのその考え)こそ、脆弱さを克服できない何よりの証拠でしょう?』

 

『彼らには見えているわ……より良く変われる未来が。アナタの示す未来(機界昇華)は、そんな“未来”という希望の否定でしかない!』

 

『その通りよ! 地球人類は、自らの力でその未来を選べる! アナタの行動こそ、彼らの邪魔でしかないのよ!!』

 

『Zマスター……アンタは大きな間違いを犯している。知性体の持つ多様性が生み出す、無限にも等しい可能性ある未来……それを一方的に否定するアンタの行為そのものが、大きな間違いだ!!』

 

『……未来とは……言葉の通り、未知の先から来るもの……機界昇華(アナタの考え)の先にある“未来”は……未来とは言えませんの……』

 

 アーマロイド等もそれに賛同し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だと疑わない。

 

『……地球人類は元々、自らの力でココまで発展してきたわ。アナタの示す未来は、そんな彼らの未来を閉ざし腐らせる……』

 

 その両目に涙を浮かべ、失った悲しみを感じながらもリュシオは心のままに言葉を紡ぐ。

 

『アナタにも……誰にも彼らの歩みを止める権利なんてない!』

 

 リュシオにも記憶は残っている。シオンと融合していた頃の麗雄とのやり取り、凱や命、スワンらGGGスタッフとの日常……そして地球に潜入し始めた頃の、病院での日々。

 

 既に故郷すらも失った自分が、こんな日々を過ごして良いのだろうか……いつの間にか分かたれた心は悩んだ。しかし共にあるシオンはそれを肯定した。

 

「誰にだって幸せを得る権利はある。どんな人でも、どんな生き方をしていても……その権利は平等にあるよ。誰もがその為に生きているし、()()()()()()()()()()()()()()()わ」

 

 その言葉は、今のリュシオの心の支えだ。

 

『今を生きるヒトの、未来を奪わせたりはしない……!!』

 

 だから今、自分は此処にいる……だから今、自分は戦える。

 

 自分一人では弱くとも……共にある仲間が居れば、成せない事は無い。

 

「よくぞ吠えました! ではその言葉が果たして真理かどうか……証明して頂きましょう!!」

 

 リュシオの言葉を“証明しろ”と曰い現れたのは例の“白フード”……直後、複数のESウィンドウが開かれ各アーマロイド達の前に対応した逆星座達が現れた……その数12。

 

「私をはじめ、我ら逆星座連合はアナタ方アーマロイドの天敵ですよ? そしてZマスターと我々……両方を相手に、アナタ達はどれだけ耐えられますかねぇ?」

 

 不敵な笑みを絶やさず、白フードはその羽織ったマントを投げ捨て、その正体を晒す……

 

『……な……っ、その姿は……?!』

 

 白フードの正体……その小さかった姿はもはや無く、現れたのは太く長い尾を持ち、全身を黒と朱に染めた鋼鉄の恐竜。

 

「アナタ達には分かるでしょう? 我々の力が……この圧倒的な絶望感が!」

 

 その双眸に赤い光を灯し、己の口腔に破滅の光を集め、解き放つ……

 

「各艦散開! 緊急回避ぃッ!!」

 

 野生の感か、大河は艦隊全てに回避を指示。遅れて魔獣の口腔から一筋の光が放たれ、GGG艦隊を掠めた後、残されていた木星の衛星に直撃……幾分の爆発すらも起こさせず、星一つを丸ごと消し飛ばしたのだった。

 

──────────

 

 シオンは一人、悩んでいた──

 

 このまま出ていっても、自由に動ける身体が無いのでは無意味に等しい。再構築すれば良いのではあるが、その元手も無ければ、保持しているエネルギーも少ない……

 

 しかも彼女の意識は、無限に広がるオレンジ色の空間に漂っているのだ。

 

(……何処だろ、ココ……不思議な空間……)

 

 シオンには全く覚えのない空間……それもそのハズ、この空間は言わば木星の中心部。その次元の狭間にある奇妙な空間……

 

 今まで生きて辿り着いた人間は誰一人として居ないであろう、虚無と静寂の支配する空間だ。

 

 ……しかし、その中にシオンは2つの存在を感じ取った。

 

(……誰かが、いる……?)

 

 全てが溶けて消えてしまいそうな中で感じ取った、僅かな感覚……それを頼りに、シオンはそちらに意識を全集中させる。

 

 その感覚に反応したのか、2つの存在はシオンの方へと近寄ってきた。

 

 その存在とは……

 

「む? 君は……稀星くんか?」

 

「え……れ、麗雄博士……?!」

 

──────────

 

 奇妙な空間で再会した麗雄博士とシオン……それともう一人。

 

「あら、貴女が件のお弟子さんかしら?」

 

 その声にハッとしてシオンはもう一人に気付き、またしても驚愕した。

 

 その顔、佇まい、見間違える筈のない長身の女性……

 

「……絆さん?! って事はココって……」

 

 既に故人である筈の獅子王絆が、麗雄と一緒にいる……それはシオンが現実空間と、己が置かれた状況を知るには充分過ぎる確証だった。

 

 

To be continued...

*1
宇宙空間、特に惑星の重力の影響圏内ではその重力を振り切る為に高速で移動し続ける事が必要不可欠。(地球の実例)第59話も参照してね。




はい、シオンちゃんは精神体の状態で死んだはずの2人に遭遇。
ということはこの場所って……

次回もお楽しみに!!

コレが(次回の)勝利の鍵だ!!

  • タイトル言及の存在
  • 凱の心の強さ
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