狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回からの続き……

木星大赤斑より現れた超巨大な黒銀の大蛇。
その頭上にスターガオガイガーを乗せ、音の伝わらない筈の宇宙で全ての者に届く咆哮を放つ。

『さぁ、反撃開始だ!!』
スターガオガイガーを乗せたまま、黒銀の大蛇はZマスターへと襲い掛かるのだった……



第112話 座より外されしもの(3)

 黒銀の大蛇はその巨体をくねらせ接近、Zマスターを捉えると雁字搦めに絞め上げ始めた。

 

 当然、Zマスターも反撃とばかりにピアスミサイルや頭髪ワイヤーで抵抗するが、大蛇は全て無視……ではなく、的確に迎撃し始める。

 

 ……だが、その迎撃方法は驚くべきものだった。

 

「アレは……大蛇の鱗……か?」

 

 大蛇の身体からパラパラと剥がれ落ちた様に見えたのは、その一つ一つがスターガオガイガーよりも大きな鱗……本体から一定距離離れたソレは途端にワラワラとZマスターの放ったミサイルやワイヤーなどに群がり始め……その口から光を放って撃ち落とし、その牙で噛み砕き、瞬く間にどんどん迎撃して敵の手数を減らしていく。

 

「大蛇の鱗が剥がれ落ちテ、ミサイルを迎撃(?)してまス……」

 

「なんて数だよ……!」

 

「あの鱗の一つ一つはガオガイガーを超える程のサイズなのですが……移動速度が推定マッハ6前後もあり、速すぎて総数を数える事が出来ません」

 

 大蛇から剥がれ落ち(?)た大量の鱗は、一つ一つが意思を持つかの様に複雑に動き回り、本体を襲うミサイル群を的確に迎撃。Zマスターの頭部から伸ばされ、本体を絡め取らんと迫る頭髪ワイヤーも次々に焼き切り分断していく。

 

「……小癪な」

 

 Zマスターは左腕で大蛇の本体を掴み、引き剥がそうとするが、大蛇はそれよりも早くZマスターの行動を読んで自身の長い身体の位置を変更し、より強く絞め上げる。

 その上、絞め上げにより直接接触している部位から、Zマスターが我が物としていた“ザ・パワー”のエネルギーを奪い始めたのだ。

 

「……えぇい……!」

 

 まさかの手段に驚きを隠さず、Zマスターは己の右腕の超重力波を全方位に放つ事で大蛇の拘束から逃れる……大蛇も、この超重力波には負けてしまい、圧されて離されど、相対するZマスターを睨みつけるのは止めない。

 

 しかし、周囲の被害など気にも掛けない両者の行動に、GGGやアーマロイド達は困惑を隠せないでいた。

 

『あのZマスター相手に一歩も引かぬとはな……』

 

『だけどあんな風に暴れられたら、被害が……』

 

 完全にZマスターのみを敵と見做し、本能のままに襲う大蛇。

 ダイキャンサーは味方であろう大蛇の攻勢に称賛を送るが、ジェミナスターのノリコは、自分すらも蟻の如くあしらわれそうな状況に、素直な称賛を贈れなかった。

 

『要らんかも知れんが……何とか、援護くらいはできないか?』

 

『それは……コチラの被害を増やすだけかもしれません』

 

 実はSPパックにダメージを負って危険な状況だったが、大蛇のお陰で危機を脱していた撃龍神……援護くらい出来ないかと考えたが、ビッグバンボルフォッグがその考えを改めさせた。

 

『隊長はアイツの頭の上だから気付いてないんだろうが、俺様でもあの中に突っ込むのは御免だな』

 

 ゴルディーマーグの言う通り、無策であの中に飛び込むのは無謀である。Zマスターも大蛇も……その周囲に至るまでの僅かな隙間を埋め尽くす程に攻撃を飛ばし合っており、それでお互いの手を潰し合っている。

 

 互いに濃密過ぎる弾幕……そして見せ付けられるその威力に、これだけ離れていても、身の危険を感じる程なのだから。

 

──────────

 

「これは……何という……」

 

「不味いんじゃないの? あの娘があんな手を隠してただなんて……」

 

「……修正しなければ……」

 

 突如として木星から現れた大蛇に驚いたのは、何もGGGやアーマロイド達だけではなかった。

 白フード達リベレイターズこそ、一番驚愕せずには居られなかったのだ。

 

(あんなもの原作にも無かった……一体どうやって……クソッ、我々の方が奴の“虎の尾を踏んだ”とでもいうのか……?!)

 

 さしもの白フードも焦りを隠しきれない……シオンの“切り札”はそれ程までに白フード達を追い詰めていた。

 

(……しかし、奴は何故今まで何処に……いや、今はそれどころでは無い!)

 

「私達も出ますよ、あのままでは歴史が大幅に狂ってしまう……それだけは何としても避けねば!」

 

「……承知」

 

「はいはい、ヒト使いの荒いオジサンだ〜」

 

「………………」

 

 意識のあるニセモノ……白フード、無言を貫く騎士鎧の男、軽口を叩きながらも従う黒の悪魔……

 

(何としてもこの歴史改変を修正しなければ、世界の未来が消えてしまう……!!)

 

 白フード達の目的は、あくまでもシオンの影響による歴史改変の修正であった……ゾンダーの発生と目的を知りつつも放置したのは、元の歴史を知るが故の判断である。

 

 だがしかし、彼らはシオンと地球との関わりを止める術すら持てず、またその機会を己の手で失っている事に気付いていない。

 

 それでも、彼らは自らの使命を全うする他なかった……

 

(世界は苦境となりつつも自浄作用によって歴史は存続できる。だが奴の……あの少女の存在が、この世界の在り方すらも変えてしまった。もう取り返しが付かない……これ以上は歪みを修復できなくなり、世界そのものが壊れてしまう!)

 

(我々が世界の安定を……取り戻さなくては……!!)

 

 白フードの顔には、最早最初の余裕など微塵もない……あるのはシオンが顕現させた大蛇に対する怒りと焦りのみ。

 

「アレを何としても破壊するのです!!」

 

 白フードを先頭に、リベレイターズ全員が大蛇に殺到する。

 

《り、リベレイターズを確認! この軌道は……大蛇にっ?!》

 

 牛山の報告でGGGはリベレイターズの存在を忘れていた事に気付き、勇者ロボ軍団も彼らを止めるべく、アーマロイド達と再び共闘を再開する。

 

「アナタ達の相手をしている場合では無いというのに……!」

 

『それはコッチの台詞だ!』

 

『Zマスターを倒すのに、邪魔をしないでッ!!』

 

 ビッグバンボルフォッグがいち早くリベレイターズの動きを抑えるべく、超絶・分身殺法からの攪乱でリベレイターズらを翻弄。超竜神と撃龍神が正面から白フードを捉え、ダイキャンサーは再び白甲冑と剣戟を再開。他のリベレイターズも元のアーマロイド達と組み合う形で相対し、勇者ロボ軍団がそのサポートをする形で全面衝突状態となった。

 

『貴様たちの目的は何なのだ! 何故我らの邪魔をする?!』

 

「戯言を! 語るのはこの“剣”でのみッ!!」

 

『ぬぅんッ!!』

 

「ハァァァッ!!」

 

 巨大な刃を軽々と振り回し、白甲冑とダイキャンサーは互いに全く互角の応酬を繰り広げる。その最中にもダイキャンサーは白甲冑に目的を問うが、白甲冑は聞く耳を持たない……

 

(奴等の目的が知れん。よく見ればGGGには手を出さず、我らのみを相手取る……何故、そのような……)

 

「この俺を前に、気を逸らすか……!!」

 

『ぬぐっ……?!』

 

 一瞬の隙、白甲冑はダイキャンサーの逡巡すらも見逃さず、大上段からの振り下ろしを打ち込む。辛うじて受け止めたダイキャンサーだが、体勢が万全ではなく徐々に圧され始める……

 

「それ程までに我らの目的が知りたいか……為れば聞けぃ! 我らの目的は世の安定! 貴様たちZの存在こそ世の乱れの元凶故に、我らは神に遣わされたのだ!!」

 

(……余計な事を……!)

 

 白甲冑の言動に舌打ちをする白フードだが、その隙を撃龍神に突かれ、回避に専念せざるを得なくなる。

 

『何故です?! 彼らは我々GGGと共闘しているのに……!』

 

 ビッグバンボルフォッグは白甲冑の言葉に何かを察したのか、何故その様な考えに至ったのかを問いただした。

 

「奴らの根源を見よ! 奴らの原初を見よ! 如何に姿を変えようと、如何に力を変じようと……原初を、根源を変える事は出来ぬ!!」

 

 言葉を紡ぎながらも勢いのままに乱撃でダイキャンサーを圧し続け、思いの丈を解き放つように白甲冑は自分達の真意を語り続ける。

 

「奴らの根源、その目的は、根源から狂っているのだ! あの時から!! かの少年達の母星を滅ぼした時から!!」

 

 それから白甲冑が語ったのは……ギャレオンのメッセージにすら無かった、過去の三重連太陽系の真実。

 

 精神的ストレスをエネルギーに転換する生体結晶構造体……その制御プログラムの変調で発生した“ゾンダーメタル”。

 

 緑の星の指導者カインの息子、ラティオに発現した“命の力”……それを元に生成された“Gストーン”。そしてそのGストーンを元に開発された“Jジュエル”。

 

 しかし時既に遅く、三重連太陽系は滅びの道を辿り、ラティオと、生き延びたJジュエルの戦士は紆余曲折を経て地球へ辿り着いた事実……

 

 そして戦禍の最中で、2つの星は一応の共闘を見せてはいたものの、2つの星で計画されていた文明再起計画の構想にはズレがあり、完全な形にならぬまま滅びを迎えてしまった事……

 

 断片的情報でしかなかった過去の事実と、本来ならば知る事も無かった過去の事実が、この白甲冑の独白を経て全て余さずGGGに齎されたのであった。

 

「……では、全ての元凶は……」

 

「全てはゾンダーメタル……そしてその発生源となった元凶、今貴様たちが共闘をする奴らこそ、この混乱の真の元凶なのだ」

 

「しかし、ゾンダーメタルから発生する“素粒子Z0”は、稀星くん等の特殊組成“Ziメタル”からは検出されない。それはどう説明する?」

 

「“Z0”はストレスをエネルギーに変換する際に生成されるもの……変換元が違うというだけの話です」

 

 唐突に始まった過去語り……それを皮切りに雷牙の疑問は、白フード等リベレイターズによって明かされていく。

 

『ならば、彼らがエネルギーに変換しているのは何だというのだ!?』

 

 何かを察したのか、超竜神は疑問を隠すことなく白フードに問うた……アーマロイド達が持つ高性能を支えるエネルギー源とは何か、と。

 

「その様子ならば、もう気付いた様ですね……“時間”、ですよ。如何に高い技術を以てしても、無からエネルギーなど作れません……彼らは、誰しもが持つ“己の時間”を対価とし、強大なエネルギーを得ているのです」

 

『そ……んな……ッ?!』

 

 白フードの指す“己の時間”……その意味に気付いた超竜神、動揺は次々に広がり、その意味を悟った順に広がっていく。

 

『……まさか、彼らは……最初から……?』

 

「……何という……!」

 

「そういうカラクリ、か……コレは……何とも……」

 

『……………………』

 

 アーマロイド達はひた隠しにして来た事実を知られたが故に全員が沈黙……Zマスターと大蛇のみが未だ争い合う中、悲観を多分に含む沈黙が支配していた──




えー、はい……
またしても何も知らないGGGの皆さまになってしまいました。

Zコアの抱える謎と秘密に関して、これ以上作中での追求はほぼしません。
今のところ言えるのは、シオン達『Zの眷属』は全員()()()()()()()()()()()ということだけ……

無敵で素敵な最強生命体なんて空想でしかありませんので。

そしてこの馬鹿デッカい大蛇……前回の感想で何人かが言及していた通り、該当星座は【蛇遣い座】です。
外見はゲーム「モンスターハンター4」「モンスターハンター4G」に登場する超巨大モンスター「蛇王龍 ダラ・アマデュラ」をトレースしたものとなります。
いやスケール違いすぎやがな(笑)

正解者は……居ましたねw
では以下にスペックを……

【蛇遣い座(適合異常)】極蛇王機「アビストレイデス」

■全長:地球の公転距離と同等(※約1億4,960万km)
■太さ:胴回り(の細い部分)で木星の大赤斑並み
■重量:当然のごとく測定不能
■動力:Zコア・ドライヴ×1
    ザ・パワー

■武装・機能
 >フィジカルリアクター
 >絞め上げ(格闘/エネルギー吸収)
 >鱗子機「アビストリビュート」
 >口腔内砲「ギガントノイズスマッシャー」
     ┣「メガプロトンスクリームキャノン」
     ┣「ハイパーバインドヴォイス」
     ┗「大口径収束荷電粒子砲」

■詳細情報
シオンの隠していた切り札……出来れば使わずに居たかった“最後の手段”で、対Zマスター級を想定した超巨大な蛇型戦闘機械獣。
鱗型の子機と口腔内に内蔵した大出力火器のみという少ない武装構成ながら、その規格外のサイズそのものが既に暴力的であり、その上効果範囲こそ小さいが物理法則を捻じ曲げる出力のフィジカルリアクターが無数に埋め込まれた装甲を全身に持つ為、物理法則上では無敵の防御力を持つ。
また、口腔内にある大口径砲もそれぞれ軒並み規格外のバ火力で、音波・熱線・電磁波・粒子ビームと様々な撃ち分けが可能。さらに言えばそこから放たれる攻撃自体が地球の直径を超える範囲の為、通常の機体では回避も防御も選択肢たり得ない。



コイツのサイズ(規模)感が掴みにくい方へ。
人間を丸呑みするサイズのヘビが出てくる洋画を知ってますか? 要はそういう事です。

アーマロイド達の未来は……

  • 出来れば生き残って欲しい
  • シナリオ通りに消える
  • わからない/おまかせで
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