狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回からの続き……

Zマスターの放った謎の光を浴び、リュシオ以外のアーマロイド達が突如として離反。
知性も無く、本能のままに敵対者を屠らんと迫る!

絶体絶命のピンチに、シオンは……



第115話 恐るべき“ザ・パワー”(後編)

『な……グラ、ヴィス……っ!?』

 

 リュシオのアストライザーを挟み上げ、尾先の砲門を向けるグラヴィスコルード……

 そのセンサーアイは真紅の光が揺らめいており、知性無き本能が全てを支配していた。

 

《そんな……リンクを切られた……ッ!?》

 

 自身の意識と繋がっていたハズのアーマロイド達とのリンク……それが全て断ち切られており、シオンは予想外の事態に驚きを隠せない。

 

「《心弱き者共よ、滅びは全ての終着点……未来を渇望するならば、機界昇華こそ必然の定め》」

 

 グラヴィスの尾先……大口径の荷電粒子砲にエネルギーがチャージされていく。リュシオは信じていたハズの仲間からの攻撃に戸惑い、頭の中は疑問で一杯になっていた。

 

『どうしてグラヴィス?! 貴方は、貴方がなんで……っ!?』

 

 アストライザーのコクピット内……リュシオは涙を流しながら操縦桿を動かしどうにか脱出を試みるが、グラヴィスの大鋏は巨大かつ重厚であり、アストライザーのフルパワーでもびくともしない。

 

《アリエス、ファーティス、レヴィアル……キャンサー、クーゲル、ジェミナスターまで……?!》

 

 まるで夢遊病かの如く、虚ろな雰囲気のままアーマロイド各機はアストライザーとアビストレイデスを取り囲み、武器を向けている……その瞳に意志の光は無く、完全に操り人形となってしまっている。

 

『……何故、急にこんな……どうしてなの……? 答えてよ……グラヴィス……っ』

 

 嗚咽混じりにグラヴィスへと問うリュシオ……直前まで心を通わせ、共に戦う事を誇りに思い肩を並べていた筈が、自由意志を奪われ完全に操られている。

 しかし、リュシオから見れば突然訳の分からぬまま反抗され無言を貫かれ取り囲まれた状況であり、シオンも制御を乗っ取られた理由に見当が付かない。

 

(“ザ・パワー”を利用したハッキング? いえでもそうなら真っ先にアビスの制御が効かないハズ……まさか、この短時間で此方のコア制御に干渉できるパターンへ進化したとでも言うの……?)

 

 ゾンダーメタルの特性からして想定外の事象に、シオンは急いで対処法を模索し始める……が、それを座して待つZマスターではない。

 

「機界昇華こそ真なる救済……受け入れよ、どのみち勝ち目は無い」

 

《……誰が……従うとでも? この世界に“永遠”なんてものは有り得ない。今を精一杯生き抜き、勝ち取る調和と訪れる変革を以て次に繋ぐ生命の輪こそが肝要よ。アナタの考えは停滞と静寂、不変でしかない……そんな宇宙に未来なんて来ないわ!》

 

 苦しい状況であってもシオンはZマスターに反抗の意思を叩き付ける。正しくとも間違いでも、常に変化を続けるのが未来を形作る真理……リュシオもそれに気付いた。

 戦闘前にグラヴィスらと誓った“約束”を果たす為、たとえ訳が分からなくても、地球の人達が願う未来を……自らも夢見た明日*1を求めて叫ぶ。

 

「……所詮は心弱き者の囀り、ならばその志を共にした仲間の手で滅びるが良い」

 

 チャージを完了させたグラヴィスの荷電粒子砲が唸りを上げる。まさに引き金を引かれる、その直前……

 

 状況はさらに一変したのだった──

 

──────────

 

 少し時間は戻り、Zマスター体内……

 

 キングジェイダーによる原種コピー体の足止めを信じ、先行して来た勇者ロボ軍団。その道中にも代わる代わる別の原種コピー体が襲ってきたが……

 

『此処は我々にお任せを……!!』

 

『奴らの鼻を明かす絶好のチャンスだからな……!!』

 

『yeah!! こんな所で躓いてちゃGGGの名折れだっZE!!』

 

 幻竜神、強龍神、マイク等が次々と原種コピー体を相手取り……

 

『我々の目的はただ一つ……Zマスターの完全浄解! それを成し遂げるには、隊長が最深部に到達する事が一番です!!』

 

 ビッグバンボルフォッグもスターガオガイガーを先行させる為に残り、凱は全員の無事を祈りながら最深部への進路を突き進む。

 

「心臓原種は……この先に居るよ!」

 

 ステルスガオーIIに同乗している護は、己のGパワーセンスにより、Zマスターのコアたる心臓原種の居場所を突き止める。

 

 そこに立ち塞がるは心臓にほど近い体組織の壁……Zマスターの体内はほぼ人間の内臓と同じ構成であった故か、これまで立ち塞がってきた原種コピー体も、鉄髪・顎門・耳・鼻・脊椎と上半身に集中していた……

 

『よぉしッ! ブロウクンファントムッ!!』

 

 二重のリングを纏う拳が生体隔壁を貫き、大きな穴を開ける。

 

 その奥へとスターガオガイガーは突入。着地した後、見上げるとそこには……

 

「……よくぞ、よくぞここまで辿り着いた。破滅の力、緑の力を持つ者よ!」

 

『コイツが……!?』

 

「心臓原種……!」

 

 ようやく相対するスターガオガイガーと心臓原種。奴を倒せれば、Zマスターのコアを浄解し、この戦いに終止符を打てる。

 

「よもやここまでお前達が無駄な抵抗をするとは……」

 

『何が無駄な事だ?! 俺達は自分の力で未来を切り拓く! キサマのいう機界昇華など必要ない!!』

 

 未だなお機界昇華こそが唯一の救いだと心臓原種は語るが、凱はそんなことはない! と反論。

 

「否。お前達知的生命体こそ、宇宙を破滅に導くマイナス思念の元凶……故に、マイナス思念を持たぬ機械生命体への進化こそが救いなのだ」

 

「そんなものに俺達はならない! それは生きる事に対する“逃げ”だ! 俺達は、生きる事を止めない! 諦めない!!」

 

 右手を換装し、ゴルディーマーグも応じて変形。ゴルディオンハンマーを掲げながら凱は叫び、スターガオガイガーを吶喊させる。

 

『うぉぉぉぉっ!!』

 

「やはりお前たちこそ負の元凶……機界昇華を受け入れぬ者よ、滅びよ!」

 

 心臓原種は周囲の血管の様な触手を蠢かせ、スターガオガイガーを迎撃せんと打ち据えに来る。

 だが凱はその事を想定済みであったらしく、ゴルディオンハンマーを持つマーグハンドを接続を解除し、ブロウクンマグナムの要領で踏み込むと同時に射出した。

 

『ゴルディオン・マグナムッ!!』

 

『どぉりゃあぁぁぁ!!』

 

 打ち出されたマーグハンドのまま、ゴルディーマーグは自力で軌道を微調整しながら突撃。ハンマー部に重力衝撃波を発生させて血管触手を纏めて薙ぎ払いながら心臓原種へと突き進む。

 

「ムッ?! 小癪な……!!」

 

 少し慌てた様子で心臓原種は触手を回り込ませ、止めようとした……が、それもゴルディーマーグには想定内。

 

『甘っちょろいぜ!!』

 

 今度はゴルディオンハンマーを保持したままマーグハンドを回転させ、“大回転魔断”の如く高速回転して触手を無効化する。

 

 だがそれ以上の手はなく、ゴルディーマーグ自身にもこの先の対抗は無理だと分かっていた……

 

 だがしかし、それで良かった。

 

 ゴルディーマーグの……ゴルディオンハンマーの接近ほど、心臓原種が警戒する事は無い。

 

 ゴルディオンハンマーは、ガオガイガーの持つ武装で最強無比の対ゾンダー用武装だ。Zマスター自身、それはよく知っている。

 

 ……だがそれ故に、気付くのが遅れたのだ。

 

『ゲル・ギム・ガン・ゴー・グフォ……ふんッ!!』

 

 眼前で暴れる黄金の戦鎚に気を取られ、その後ろで完成した必殺の構えに──

 

 

 

──────────

 

 

 

《万が一の為に用意して貰った手段が、ここで役に立つとはのぅ!》

 

《よぉし、キャンサーウェポンアーム、射出ッ!!》

 

 戦闘前にダイキャンサーのシザースユニットを事前に受け取って改造を施し、通常アームと同時に使用する事で「ヘルアンドヘブン」の威力と反動を軽減させる……

 

 万が一、ゴルディオンハンマーすらも使えなくなった場合に備えて、GGGとアーマロイド達が考案した緊急手段。

 

 スターガオガイガーの後方を追尾していたGGG艦隊は、実は全艦無事であり、GGG勇者ロボ軍団のパワーアップはこんな所にも影響していた。

 

 その為、こんな策も実現可能となったのだ。

 

 イザナギから射出されたキャンサーアームが、銀色のコーティングを散らしながらZマスターの体内を突き進み、やがて自ら空間を貫いてスターガオガイガーの両脇に短距離空間転移。

 

 そのままオートでスターガオガイガーの両腕へと被さる様にドッキングし、シザースアームが展開。

 ヘルアンドヘブンの構えを取るスターガオガイガーの腕を起点に変形し、あの時と同じ様に巨大なニッパーの形状を想起させる姿へと変わる。

 

『へっ、良いのかよ? 俺様に夢中でさ?』

 

「……ッ?!」

 

 この時、Zマスター……心臓原種は、体外の各アーマロイド達へのハッキングと、体内各所での勇者ロボ軍団やキングジェイダーと相対するコピー原種達、そして取り込んだ“ザ・パワー”制御にほぼ全てのリソースを費やしており、さらに眼前にまで迫ったゴルディオンハンマーへの対処でキャパシティの限界に到達しかかっていた。

 

 そこへ、原作無視の新たな戦法……ダイキャンサーの腕を併用した新たな“ヘルアンドヘブン”である。

 

『うぉおぉぉぉ……ッ!!』

「ガォォォオォォォンッ!!」

 

 ギャレオンと凱の咆哮が重なり、背部の展開式スラスターが最大出力で爆ぜ、全身を緑の光に輝かせたスターガオガイガーが2度目の吶喊。

 

「ぬぅおぉぉぉっ?!」

 

 前述の理由からの急激なリソース不足に陥ったZマスター……心臓原種が対抗策を捻り出す前に、スターガオガイガーのヘルアンドヘブンが直撃し、圧倒的なGパワーが心臓原種の全体を恐ろしい速度で浸食……自己崩壊へと導いていく。

 

「コレは……想定外……だ……」

 

 凱は消え行く心臓原種の最後の言葉を耳にする……そして……

 

「……我は滅ぶ……だが……」

 

 心臓原種がヘルアンドヘブンによって消滅し、連動するようにZマスターも自己崩壊を開始。

 

 巨大なオレンジ色の人型は完全に消え去り、木星圏に一応の静寂が再び訪れたのだった──

*1
リュシオとシオンが最初に交わした約束。

無事に全てが終われば、アーマロイド達の精神を解放し、どうにかして人間の身体を造って皆を“人間”として再構築。

余生を自由にさせる事を考えていた……




原作と違う終わり方で締めに入ります。
コレでようやくゾンダーとの決戦は幕を閉じました……

ですが、木星圏での戦い自体は……?


次回予告


君達に、最新情報を公開しよう!

ついに、Zマスターを打ち倒す事に成功したGGG。
だが木星圏での戦いそのものは
まだ終わってなどいなかった。

叛逆したアーマロイド達……
取り残されたリベレイターズ……
そして、更なる不穏がGGGを襲う?!



次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第116話『天へと還るものたち』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

コレが(次回の)勝利の鍵だ!!

  • “あの時”のGGGの判断
  • 断腸の思いで決断するシオン
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