狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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おまたせしました!

ついに物語はTVシリーズ最終幕へ!!
始まりとなったこの長い戦いに、
ようやく終わりが見え始めます……



第117話 物質昇華/存在変質(1)

 Zマスタープログラムの打倒に成功し、天海 護の行った“真の浄解”にてマスタープログラムのコアは消滅……

 原作では約1年間、この世界では約2年近くにもなったゾンダー大戦がようやく終わりを迎えようとしていた。

 

 だが、その代償はあまりにも大きかった……

 

「なん……だと……それは本当かね?!」

 

 あり得ない……ただその一言に尽きる程の理由たった一つで、驚愕の色を隠せない大河幸太郎。

 

「……そうか……やはり運命には逆らえなかった、という事なのか」

 

 可能性はあったが、信じたくはなかった……そんな顔色で目を伏せた獅子王雷牙。

 

「……そうですか。とても残念です……」

 

 猿頭寺も目を伏せ、心底残念がる様に首を振った。

 

「それで……シオンちゃんは……?」

 

「アマテラスの仮眠室でス。戻って来るなりすぐに閉じこもったのデ……」

 

 家族……身内とも呼べるアーマロイド達を、自らの手で倒さなくてはならないという精神的ストレスを受け続け、ロクな緩和もせずに全てが終わるまで黙ってその後始末を終えたのだ。

 その胸中には計り知れない苦痛や疲労を伴ったであろう……

 

 しかもそれからGGGスタッフらの接触すら断って閉じこもったのだ。その心境は察するに余りある……命やスワンは最早義理の妹のように思っていた彼女の受けた苦痛を想像し、何も出来ない自分達の不甲斐無さに意気消沈していた。

 

──────────

 

『無理もありません、我々も仲間を自らの手で討たねばならないとなれば……』

 

 メインクルー等から事情を聞かされた勇者ロボ軍団のメンバーも、親友とさえ思えた彼らアーマロイド達の惨状に悲しみを露わにしていた。

 一番に声を上げたボルフォッグは、魚座「ピスケガレオン」との合体を契機に戦闘力も一線級へと強化された事で彼等との交流も積極的に行っていた1人だ。

 その仲間達に起きた悲劇を、悲しまないはずもなかった。

 

『ええ。先生の感情は今、ヒビ割れたガラス細工のようなもの……当事者ではない私達には、何も出来ない……歯痒いですね』

 

『僕もだ! 何故彼らが死ななければならないんだ? 彼らは、俺達と共に戦ってくれただけなのに……!』

 

『……そう言ってくれるなら、アイツ等も浮かばれると思うってばよ……』

 

『そうね。私達の本懐は遂げられたわ……少し、寂しいけど』

 

 ボルフォッグとの合体によって半ば強制的にGGG側へ同行していた魚座『ピスケガレオン』……乙女座『アストライザー』以外では五体満足で生き残ったアーマロイドが、氷竜と炎竜の言葉に感謝を述べた。

 

『……そうだな。でも、しんみりしたままじゃ、アイツ等から睨まれそうだ』

 

『ええ。我々は後を託された……そう考えるべきだと思う』

 

 風龍、雷龍は彼らから“後を託された”と考えるべきだと思いを打ち明け、皆もそれに同意する。

 

『俺様たちは勇者だ……そしてアイツ等も、勇者だ。それは間違いねぇ、だろ?』

 

 ゴルディーマーグは、彼等も俺達と同じ“勇者”だ、とその場を締め、より一層未来を守る為に力を尽くすと改めて誓い合う。

 

 悼む事は何時でも出来る。だがそれで“託された未来”を台無しにはしたくない……それは、仲間として共に戦った彼ら勇者ロボ達の総意であった。

 

──────────

 

 GGG艦隊は、損傷した勇者達の機体や装備をある程度修復してから木星圏を離脱。一路、地球圏へ帰還の途に就く。

 そんな中、アマテラスの仮眠室でシオンは一人……哀しみとやるせなさに苛まれていた。

 

(私は……彼らを犠牲にしてまで、世界を守った……でも、それは最善手じゃない……最悪の一歩手前だ……私……やっぱりバカだね……)

 

 考えてみれば、もっと前から準備をしていれば……こんな事態も想定しておけば……後悔の念は後から後から湧いてくる。

 

 だが、現実にそんな“たられば”は通用しない……

 

 シオンはかつて、誰かに言われた事を思い出す。

 

『人生のほとんどは後悔と涙で綴られる……か……』

 

 それは何かの拍子に思い出した事……誰に言われたかまでは覚えていないが、その一言は強く心に残った。

 

 実感したのは今ではあるが……シオンは今、()()()()()()()()()()()()と感じていた。

 

(言い訳しても何も進展しない……前を向かないと……)

 

 今まで散々泣き腫らしたのだ、もう泣いて居られる時間はない。地球圏に戻れば、避けられなかった最終決戦の幕が上がる。

 これまでは何としてもあの“最後の戦い”を起こさせまいと奮闘したが、結局は暖簾に腕押し……全ての行動は無意味に時間を潰しただけに終わった。

 ギリギリまで“他に手はないか?”と試行錯誤とシミュレートを繰り返し、可能な限り全ての手段を講じてシミュレートに挑んだが、奴の残した“禍根”を種に起こり得る『あの戦い』はついぞ止められなかった……

 

 残された方法はただ一つ……

 

(発生と同時に、どんな手を使ってでも命さんから切り離す……!)

 

 最悪、自分に寄生させれば最悪均衡を保ち、次の手を打てるまで釘付けには出来るだろう……アビストレイデスを使って自分ごと滅ぼして貰うのも考慮の内だ。

 

(この事を知ったら、あの子たち絶対怒るだろうな……)

 

 シオンは先に消えたアーマロイド達や、残されるであろうリュシオ……そして転生者繋がりで仲良くなった長友結維の事を思い浮かべる。

 

『……でも、どうしようもなかったら……その時は、ゴメンね』

 

 意を決し、シオンは一人……最後の戦いに挑むべく準備を始めた。

 全ては──この後に引き起こされる災禍を回避するために。

 

──────────

 

 地球圏への帰還中……シオンは想定した全ての用意を整え、卯都木命の部屋の前に立った。

 

(……準備は整った。後は何処で始めるかだけど……)

 

 非常手段も含め、シオンは考え得る限り“機界新種”への対抗手段を整え、アビストレイデスのスケールを勇者ロボ達と同等に調整して亜空間に待機させ、現在は身一つ。

 

(原作では地球圏に戻った後だった……機界新種の能力はオービットベースの機能だけでなく、勇者ロボ達の力も瞬く間に封じてくる。力で対抗するなら、アビストレイデス以外では無理)

 

 機界新種の能力──それは全ての物質を変質させ“絶縁体”へと変える能力。

 絶縁体は電気などのエネルギーを通さない、つまり導電性を失った化合物で、変質してしまった物質は本来の能力を完全に失う。 

 

 機械はもちろんのこと、一部の人間も例外ではない。

 

 ましてや機械の身体で生命維持をしている凱や、自己復元能力のある金属細胞で構成されたシオンやリュシオ達は、当然の如く死の危険を伴う。

 

(私はどうなっても良い……せめて、地球を死の星にしないように……!)

 

 原作における最大の危機……地球の完全変質という地獄“物質昇華”を避けるべく、シオンは原作の発生タイミングを待たず、火星圏よりも外の宙域で事を起こそうと決意していた。

 

 素早く静かに個室のセキュリティを切り、命の休んでいるベッドの傍に立つシオン……

 

『………………』

 

 アビストレイデスの金属細胞から抽出した“ザ・パワー”にも慣らした新生Zi-メタル*1で身体を再構築し、現世へと復帰したシオンは、起こしてはならない最悪の事態を避けるべく、今この場で全てを終わらせようとしていた。

 

(命さんの遺伝子データは入手済み……それを元にZi-Oメタルで複製を造り、命さんの中枢神経に擬態した機界新種と入れ替える。もうこれしか方法は無い……!)

 

 それは誰もが思う以上に危険な賭けだ。

 

 手順そのものはそれ程の時間も掛からず、実際現代の最新医学も完全に治めた今のシオンならば物理的なミスはほぼあり得ないと言えるだろう。

 だが問題はその中身……精神や記憶情報の置換である。

 ヒトの神経は想像以上に複雑であり、物理的に精巧なコピーを作り上げても、その中を走るシステム……情報まで完全なコピーは事実上不可能に近い。

 その為にシオンは元の中枢神経……機界新種から、命自身の生体情報だけを完璧に分離させなければならないのだ。

 

(その為には、私の精神と命さん……そして機界新種を物理的に繋ぐ必要がある)

 

 命の精神と生体情報をシオンへ移し、機界新種を人体から物理的に切り離してから元に戻す……

 物理的な切り離しが成功し、封印まで済ませれば、後は護のGパワー単体でも弱体化ないしは消滅を狙えるだろう。

 

 シオンはその可能性に掛けた。

 

(物理侵食と精神汚染……この2つから命さんの精神を守りつつ、機界新種を外科手術で切り離し、封印する……他には誰にも出来ないマネよね)

 

 やれるのは自分しかいない……そして、今やらなければならない。

 そうしなければ、多分原作よりも圧倒的に不利な状況で最終決戦を迎える事になる……

 

(もう、迷ってる時間はない……)

 

 Zコアの基幹バックアップはリュシオに譲渡済み、いずれアーマロイド達も浄解が済めば、Zi-Oメタルで再構築される。

 

(後はもう、賭けだ……!)

 

 意を決して、シオン命の額に手を翳し、作業を開始する。

 

 ……だがその時、想定内ではあるが、やはり機界新種も抵抗を開始した。

 命の身体機能を乗っ取り、その場から離れようとするが、シオンはアビストレイデスの尾と重力場を利用して完全に拘束。作業を続けるべくその手を命の頭に触れさせた。

 

 直後……世界の時間が凍結し、頭の中で聞いたことのない男の声が響く。

 

『やはりそう来たか、だがそれも我が手の内……むしろありがたいなぁ?』

 

 その言葉の意味にシオンが気付いた瞬間、シオンの胸を“何か”が貫く……

 

『ぐ……が……っは……ぁ……?!』

 

 否、それはシオンの身体の中から生えていた。

 赤く太い、棘のようなもの……

 

『いやはや、君はよく働いてくれた。こうして私は何もせず、楽に“この世界”を滅ぼせる……君のお陰でね』

 

(ま、さか……原典絶……教団……)

 

『……その教祖だよ、私は。もう会うことも無いだろう……永遠の別れだ、この世界は地球ごと機界新種によって物質昇華されて消える。懸念していたGGGの戦力も、今の状況ではロクに動けまい。ジェイアークも同様だ。どんなヤツだろうと、今回の機界新種には誰も手を出せん……この世界の終焉は確定した』

 

 姿形を見せぬまま、男の声はシオンのこれまでの行動を嘲笑い、その結果迎える未来……終焉という最後を迎える事にほくそ笑んだ。

 

『そ、んな……事……させ、ない……!』

 

 何とか抵抗しようとシオンは自身を貫く“何か”を掴み、外そうとする……が、それは全く動かない。

 

『おやおや、まだ無駄な抵抗を……ふむ、そうだな……君にはこれまでの貢献があるか。では冥土の土産代わりだ、特等席でこの世界の終焉を見せてやるとしよう!』

 

 男の声がそう言い放った後、シオンの意識は強制的に暗転させられる。

 

(……凱さん……護くん……ゴメンね……)

 

 

 

⇐To be continued...

*1
正式名称は「Zi-Oメタル」。

“ザ・パワー”の精神浸食をシオンの精神防壁で克服した際に発生したアビストレイデスの身体組成で、悪性干渉波を遮断する“精神保護システム”や物理的侵食を逆利用してやり返す“対侵食能力”を新たに備えた。




……(読者以外には)想定外の事態。
コレからどうなってしまうのか……

こんだけ引っ掻き回されたらもう管理者試験どころじゃないよね?
そろそろアップしてくれませんかね、暫定管理者さん達?
または再び歴代勇者シリーズがクロスオーバー参戦か?

待て次回!!
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