狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
去年こそ……と思いましたが間に合わず諦めるしかなかったTVシリーズ完結。
断念はしましたがゴールはもうすぐそこ!
やってやりますよぉ!!
ついにZマスターを打倒し、地球への帰還中……突如としてGGG艦隊を襲った地球外知的生命体。
未知の存在の能力で艦隊機能が麻痺し、航行困難に陥るアマテラス──
「アマテラス、通信システム反応無し! 何だ? アレは……」
外観を僅かに変質させた船体から、初めて見る存在がゆっくりと現れる。
それは船体を変質させ、壁をすり抜けるようにして姿を見せた。猿頭寺はアマテラスの上に現れた人型の何かに目を奪われた……その人型はピンク色でのっぺりした外観に頭から複数の触手を生やし、大きな黄色い目を持つも、口にあたる構造は見当たらない。
『……ゾヌーダー……』
その時、頭の中に響く謎の声……
「なん……だ……? 頭の中に……?!」
「宇宙空間では声も届かん。テレパシーの一種か……?」
『お前たちは下がれ! 奴は……手に負える相手ではない!!』
ジェイアークから分離したジェイダーがアマテラスの前に移動し、他の船を庇うように謎の生命体の前に立ちはだかる。
『お前ならば、と思っていたが……やはり運命は変えられなかったか……!』
何処か悲しみを漂わせる様なジェイダーの物言いに、大河達は相手が“何なのか”を理解し始める。だがジェイダーは迷いを切り捨てる様に『……しかし、今ココで全てを無に帰させる訳には行かん!!』と両手にプラズマソードを発生させ、相手へと踊り掛かった。
『………………』
反応一つ零さず、ただじっとジェイダーの挙動を見続ける謎の生命体。その赤いエネルギー刃が触れようとした瞬間、強大な重力波がジェイダーの身体を弾き飛ばす。
『ぐ……っ、やはり眷属の能力か……厄介な……!』
謎の生命体はジェイダーの言葉に首を傾げるだけ。しかし、直後にアマテラスの変質した船体が大きく歪み、飛び出した先端が鋭い針の如く尖った形状へと変化しつつジェイダーへと高速で迫る。
『スピードでは敵わんぞ!』
実体なのか幻影なのか、最早そんな区別すら置き去りにするレベルで襲う超高速攻撃を、さらに上回る速度で回避し続けるジェイダー。変質した触手攻撃の射程距離は長く、ジェイダーが回避した攻撃が石片デブリに当たると、その性質は瞬く間に変化し始め、黒々としたゴムの様な物質へと変わった。
「やはり変質能力……! 間違いない、奴は稀星くんと同質の能力を持っておる! Gパワーもなく直接触れれば、変質に巻き込まれて機能を失うぞ!!」
『先生と同じ能力を……厄介な……!』
準備を整え出撃していく勇者ロボ軍団へと雷牙は警告を発し、超竜神が苦々しく零す。シオンは能力を悪用せず、ほとんど使う事も無かった為、その恐ろしさが表に出る事も無かったが、今回の相手は能力を縦横無尽に行使し、危険性も極めて高い。
『俺達でも出力が劣れば、変質させられてお陀仏かもしれん……!』
撃龍神もその能力の恐ろしさを理解しているが故に、手緩い真似は出来ないと畏怖を感じていた。
(シオン……コイツは本当にシオンなのか……?!)
凱はスターガオガイガーを操り、プロテクトウォールで触手攻撃を逸らして反撃のチャンスを伺うが、シオンの事が気掛かりでなかなか反撃のチャンスを掴めない。
『チィッ!!』
幸いな事に、謎の生命体は攻撃に移ると単体しか狙わない為か、周囲を取り囲んだ勇者ロボ軍団は各々反撃のチャンスを活かして攻撃を叩き込む……が、謎の生命体の周囲には強力な偏向フィールドが張られ、ジェイダーの超速攻撃も撃龍神の双頭龍もまるで歯が立たず、謎の生命体は少しの揺るぎもしない。
『防御が硬すぎる! コレじゃ幾ら攻撃しても無駄でしかないな……』
『メルティングサイレンも効果がありません……恐らく、バリアの性質が常に変化し続けている様です!』
「ビックバンボルフォッグからのデータを分析した結果、相手のバリアは波形やエネルギー量が常に変動しており、生半可な手段では破壊不可能です」
『……なら、ディメンジョンプライヤーでバリアそのものを剥がすだけだ!!』
凱の発言に全員が即応し、スターガオガイガーを中心に迎撃態勢へとシフト。プライヤーズも緊急発進し、バリア攻略へと移行する。
『ディメンジョンプライヤーッ!!』
プライヤーズを合体させて両腕に装着し、凱は全力で謎の生命体へと突撃を敢行。プライヤーの先端は見事に相手のバリアを掴み、振るわれたスターガオガイガーの腕に追従してバリアを引き剥がす。
『今だッ!!』
『ダブル・プラズマソードッ!!』
『唸れ疾風、轟け雷光!
『そこだァッ!!』
『超絶・分身殺法ッ!!』
ジェイダーを皮切りに、撃龍神、超竜神、ビックバン・ボルフォッグによる怒涛の波状攻撃。
全ての攻撃が寸分違わず謎の生命体へと直撃する……
……が、しかし。
『………………』
爆煙と衝撃波……その全てが収まった爆心地に、ピンク色の人型は何事も無かったかのように立ったままであった。
『全く効いてないのか……?!』
『いや、確かに手応えはあったハズだ』
『恐らく、直撃を受けても一瞬で修復してしまうのでしょう……ゾンダーよりも遥かに速い……桁違いの再生速度のようです!』
ビックバン・ボルフォッグの推察はほぼ正解……
ピンク色の人型生命体の再生速度は僅か1秒。
どれほど身体が削られようと、その身に宿る“ザ・パワー”と、本来の再生能力が異常なレベルで掛け合わさり、常識を覆す速度で身体を修復してしまう……
それは最早再生とは名ばかりの、“超速復元能力”と言えた。
『……やはり、一撃で粉々にしてしまう他ないか!』
『待ってくれ! アレは本当にシオンなのか?!』
ジェイダーの冷たい一言に、スターガオガイガーは驚きつつもJに尋ねた。そしてその返答は……
『他に誰が存在する? あれ程の再生速度と物質の変質能力、そして我々の全力攻撃すらもそよ風の如く受け流す奴が……あの女以外の誰だと言うのだ?』
それはもはや決定的一言だと言えた。マスタープログラムの浄解によってゾンダーは全て機能停止し、細分化されたゾンダーメタルはほぼ完全に使い物にならない。
シオンの眷属であるアーマロイド達は既に変質して別物だし、先の戦闘で狂った者達は既に彼女の手によって処分されている。
いちおう生き残りは居るものの、彼らは今もGGGと共闘の姿勢を崩さず、ボルフォッグに帯同している“魚座”に至っては現在進行形で合体しているし、“乙女座”リュシオはアマテラス救出部隊に帯同して作戦に加勢している。
消去法で残る存在はただ一人……
『……間違いであってほしかった……!』
《ゴルディオンハンマー、セーフティデバイス解除……!》
悔しさを滲ませながら凱は、心を奮い立たせ、ゴルディオンハンマーを起動させる。
『何故なんだ……何故、今なんだよ……シオンッ!!』
『クソッタレがぁ! どうにでもなりやがれぇっ!!』
ゴルディーマーグも慟哭を響かせながら変形、マーグハンドに破壊槌を握らせたスターガオガイガーは、一気呵成に突撃した。
『……ゾヌーダー……』
《待って下さい! 謎の生命体内部に高エネルギー反応!?》
さすがにゴルディオンハンマーは脅威だと見抜いたのか、謎の生命体は右手を突き出し、爪の如くビームを発振。
一瞬でスターガオガイガーの至近距離まで踏み込むと、その黄金の右腕を関節から器用に切断……強制的にゴルディオンハンマーを封じたのである。
『うわぁぁぁ……ッ?!』
『ぐおぉぉぉ……?!』
慣性制御が間に合わず、スターガオガイガーとゴルディーマーグは強制的に分離させられた反動でお互いあらぬ方向へと吹き飛ばされ、ゴルディーマーグは付近の小惑星に。スターガオガイガーは異変を察知しいち早く動いた超竜神が何とか確保に成功する。
『グッ……攻撃の隙を見抜かれていたのか……?!』
「あの動きは、攻撃の全てを知っているかのようなカウンターだった……やはり彼女なのか……!」
『悠長にしている場合ではないな。間合いに入るまでに反撃されるならば、もはや手段は選んでられん!!』
『何をする気だ、Jっ?!』
『知れた事! メガッ! フュージョンッ!!』
ジェイダーは一度戦域を離脱してジェイキャリアーに接近し、合体して舞い戻る。
『キングッ、ジェイッ、ダァァァッ!!』
『待てJッ!?』
『あの女の思いを無駄にするな! 貴様達に求められているのは、明日を勝ち取る為の勝利だろうッ!!』
ココまで秘匿していたJの、シオンに対する本当の気持ちを彼はココで打ち明けた。Jは完全に理解していたのだ。
彼女は本当に地球のため、身を投げ出すように粉骨砕身している事を……
彼女は自分がGGGや地球の敵になるなら、迷わず“死”を選ぶ事を……
Jも彼女を“戦士”として認めていたのだ。
「J……お前……」
『……アルマ。私とて地球と、あの女に対して何も感じなかった訳ではない。確かめたかったのだ……アイツの真意、そしてその理由を』
「J……」
『そして私は理解した。あの女も我々と同じ、消えた星を故郷に持つ一介の戦士だった事を』
攻撃の合間を縫うタイミングの告白……Jは不器用なりに彼女……シオンの事を考え、理解しようとしていた。
そして隠された真意へと、一番に辿り着いた。
『あの女は心の底から地球の事を憂いている。自分が敵になるならば、あの女は迷わず消える事を選ぶ……今の我々のようにな』
『Jッ!!』
『サイボーグ! 貴様もあの女の事を憂うなら、その迷いを捨てろ! あの女……
Jの発破に、凱はハッとなる。
シオンは以前から語っていた──地球の未来を造る事こそ、地球外知性体へと変質しても叶えられる自分の夢だと。
その為に、一番の障害といえるゾンダー打倒は、GGGと共に成し遂げるのだと。
『そうだ……俺は知っていたじゃないか! シオンは絶対に俺達の敵にはなりなくない筈だ。それでも変えられない運命なら……俺がやるべき事は……ッ!!』
迷いを断ち切るかのように拳を握り締め、スターガオガイガーに再び構えを取らせる。
『これ以上厄介になる前に倒し切る! ジェイクォースッ!!』
キングジェイダーの右腕から赤熱化した弓状のパーツが外れ、意志を持つ火の鳥と化した必殺の一撃がピンク色の生命体──シオンへと飛び掛かる。
『…………………』
まるでそれを受け入れるかのように何もリアクションを起こさず、シオンはジェイクォースの直撃を受け、足場としていたアマテラスから足が離れた。
為す術なく吹き飛ばされながらも、敢えて何もしないシオン……無防備に攻撃を受けている姿勢から、その真意は見え隠れしていた。
Jと凱のやりとりを聞き、GGGスタッフらや勇者ロボ軍団の面々はその明かされた真意にそれぞれ感情を爆発させていた。
「……彼女を犠牲にしなければ、明日を掴めないなど……ッ!」
「……兄ちゃん。彼女は立派な科学者だよ……どうか叶うなら、彼女に安らかな時を与えてくれ」
「そんな……シオン……悲しすぎマス……」
「稀星くん。君は……そこまで私達を……」
『先生……貴女という人は……!』
『敵わねぇなぁ……全く』
『稀星隊員……貴女は……!』
『マイク、Very悲しいもんねー……』
『ケッ……なんて女だよ……アイツは……』
『……シオン……俺は……ッ!!』
悲しみを振り切るかのように頭を振り、涙を堪えながら凱は例の構えを取る。
(キミは本当に凄かった……俺達を支え、ココまで見守ってくれた。今度は俺達が、君の憂いを絶ってみせる!!)
『ヘル! アンド・ヘブンッ!!』
ジェイクォースに押されたままスターガオガイガーの前に飛んで来るシオン……
凱はシオンの憂いを晴らすべく、涙を呑んで必殺の呪文を唱える。
『……ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……!』
凱の脳裏には、これまでのシオンとの会話の光景が浮かんでは消えていく……
(私は何があっても、GGGと共に戦うわ……)
(シオン……! 俺は……ッ!!)
『はぁぁぁぁぁぁ……ッ!!』
極限まで高められたエネルギーをその両腕に収束させ、攻撃と防御、相反する2つの力を強制的に融合。荒れ狂う暴風の如く発生した緑色の竜巻が、ジェイクォースによって吹き飛んでくるシオンを直撃する。
『………………!?』
この時初めて、ピンク色の人型生命体は異変を察知した。この攻撃は“受けてはダメ”だと……確実に自身を脅かすモノだと。
しかし、何故かその身体は言うことを聞かない……
『!! ?! !! ッ!!』
藻掻けば藻掻くほど、荒れ狂うエネルギーの波動は自身の防壁を削り取り、無防備に素体を晒す。
「ガオォォォンッ!!」
『オォォォ……ッ!!』
ギャレオンの悲しげな咆哮に重ねるように、凱は万感の思いを叫びに乗せて突撃。ジェイクォースごと突っ込んできたシオンの身体からその全てを奪い、丸ごと破砕、浄化し、消し飛ばす。
『……あぁ、コレで……』
声にならない声……誰にも届かない小さな声で、ピンク色生命体はただ一言そう呟き、虚空に消えていく。
全てが終わった後、残されたのは異質な機械的模様の入ったコアのみ……
『……コレは……』
スターガオガイガーの手のひらに遺された唯一の塊……駆け付けた護は一縷の望みを掛けて、浄解の呪文を唱える。
「クーラティオー! テネリタース、セプティオー、サルース、コクトゥーラ!!」
不気味な塊に緑の浄解波動が当てられ、バラバラに解けていく……
(……大丈夫だよね……シオンお姉さん!!)
しかし、護の思いも虚しく……中から現れたのはシオンではなく、本来の機界新種の素体になる存在、卯都木命であった──
……はい。
少し強引ですがこういう流れになりました。
今後の事も考えると「機界新種」のコアから出てくるのは命さんでないと厄介な事になりますので……
ですがちょっとしたカラクリはあります。
何故、機界新種がこのタイミングで活動を開始したのか……
何故、能力の大元であるシオンがコアではないのか……
その辺りはもう少し後に語られますので
次回をお楽しみに!!
次回予告
君達に、最新情報を公開しよう!
機界新種を退け、最大の危機を脱したGGG。
しかし、本来ならばあの敵のコアはシオンのはず……
不気味な沈黙を残したまま、GGGは地球へと帰還。
そこで待っていたのは
予想だにしない現実であった……!?
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第120話『語られない物語』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
シオンの運命や如何に……?!
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このままエネルギー生命体となる
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どうにかして再び肉体を得る
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このまま黙って消え去る