狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
いよいよクライマックス……?
TVシリーズのラスボス機界新種の先に待っているのはいったい何なのか……
そして、シオンが導いた地球の運命は──
全ての答えは、この先にある。
勇者王if、TV版シナリオファイナルエピソード開演!!
正体不明の敵“機界新種”を退け、多くの謎を残しながらもGGGは地球圏へと帰還する……
度重なる戦いに、ほぼ全戦力が満身創痍となったものの、アーマロイド隊とシオン以外は特に犠牲もなく、GGGはオービットベースに到着した。
(シオン。見ていてくれ……俺達はこの世界を何としても守り抜く!)
原作と違い、サイボーグ体のまま機界新種を退ける事に成功した獅子王凱は、彼女の遺志を胸に地球圏へと帰還したのだった。
……だが、そんな彼らを待っていたのは──
「……な、なんですと……?!」
「この決定に変更はない。非常に残念だが……」
「待って下さい! この決定はあまりに薄情過ぎます! 彼女達は……」
「私個人としても、彼女のこれまでの功績は認識しているし、咎めるつもりもない……だがこれは国連決議の結果なのだよ。分かっておくれ、幸太郎坊や……」
国連事務総長を務める女傑、ロゼ・アプロヴァールの悲しげな言葉に、大河は絶句するしか無かった。
国連決議によって可決された内容……それは──
“稀星シオン、及びその統括下にあるアーマロイド達の地球圏追放”という、あまりにも身勝手な裁決であった。
「……追放処分、ですか……事務総長さんは、どうにかしようと手を回してくれていらっしゃったのでしょうね……」
大河から全てを聞いたリュシオは、裏で手を回したであろうロゼの心境を感じ取り、神妙な面持ちでそう返した。
『なのにこんな決議が……!?』
『ええ、私達が彼らと共に戦った事実を全く考慮していません。私もこの決定には異議を唱えたい……!』
炎竜と氷竜を始め、GGG勇者ロボ軍団は全員納得しなかった。
命を賭して共に戦ったシオンと彼らアーマロイド達を、地球圏から追放する……その決定は彼らの心情を完全に蔑ろにしていた。
『……ケッ、結局は蚊帳の外の奴らが勝手にアイツらの事を変に疑ってやがるのが理由だろ? そんな決定に従う必要はねーな』
『マイク、シオン達が地球に帰れないなんて……Very very悲しいもんねー』
いつもは傍若無人な物言いをするゴルディーマーグも、今回ばかりはさすがに腹に据えかねている様子。マイクもこの決定はあんまりだと抗議したい様だ。
「……俺だって反対したいさ。だがコレは国連決議……人類の未来と危険を天秤にかけた上での決定なんだ。俺達の個人的な感情を、地球に住む人々全員の総意と言い換える事は出来ない」
この決定を聞いて、本当なら最も納得していない人物──GGG機動部隊隊長でもある獅子王凱の言葉に、全員が言葉を詰まらせる。
国連決議という重要性は全員理解している……理解しているからこそ納得できない。
凱も内心では憤慨したい……だが、全人類の存亡に関わる事を自分達の独断で決定するには、相応の理由が必要なのだ。
これまでは“ゾンダーの討滅”という共通の目的があった……
しかし、そのゾンダーの脅威が去った今。次に脅威となり得るのは……シオンやアーマロイド達──
そう考えるのも無理はない。
そもそもシオンやアーマロイド達は友好的であるが、元を正せばゾンダーと同じ源流を持った近似種──
コレもまた事実であるが故に、この決定が導き出されたのも必然であった。
事実だからこそ、氷竜達は憤るし、己も受け入れ難い。
(すまない……人類は、俺達は……君たちを完全に受け入れるには、まだまだ時間が足りない様だ……)
そんな凱は、心の中でシオン達に謝罪するしかなかったのだった──
何の前触れもなく何処かへ消えたハズのシオンは、何故か再び意識だけとなって虚空に漂っていた。
あれほど強靭であった精神のほとんどをすり減らし、世界の乱れと人類の身勝手に呑まれながらも仲間を信じ、GGGと共に世界を救うべく奔走した少女──
──現状、シオンの精神は最悪の状態……端的に言えば、“虚無”っていた。
無理もない──これまで盲目的と言っても良いほど地球圏の為に人類へ貢献し、GGGと共にゾンダー大戦を潜り抜け、ようやく一区切り付いたところへ国連による“追放”である。
……虚無ってしまうのも当然と言えた。
「はぁ……私、何か間違ってたのかな……」
そう独りごちるシオン、誰にも聞こえないからこそ口を衝いて出るため息……だがその直後、唐突に響いた声にシオンは驚きを隠せなかった。
『……ママは何も間違ってないよ〜』
突然頭に響く声、そして意識を覆い隠す様な存在感……だが敵意も殺意もなく、逆に包み込んで安心感を与えてくる様な人懐っこい衝動が感じられた。
(この感覚、まるで大型犬みたい……)
やがて自分の感覚が捉えたのは──半透明で色の無い感じに変わってはいるが、“ザ・パワー”によって長大で無敵な素敵ボディを手に入れたシオンの禁じ手にして切り札……蛇遣い座『アビストレイデス』だった。
『ようやく見つけたよぉ……ボク、宇宙中を探し回ったんだから〜』
そんな間延びした言葉を投げかけてくる大き過ぎる従者は、ようやく探し出せた親に甘えるように頭を擦り付けてきた。
「宇宙中を……って、ココ何処ぉ?! というかアビスあなた半透明だし……どうなってるの?!」
ようやく事態を飲み込めたのか、シオンは次から次へと湧いてくる疑問をアビスへと尋ねた。
『んとね〜、ココは宇宙の中心……何だったかなぁ……あ、そうそう、“アトラス・コア”。その中だよ? 確か、“管理者”さん達が
間延びした声とは裏腹に、トンデモナイ情報の数々が洪水の様に叩きつけられる。アトラス・コア? 意識だけ? 管理者? 身体がボドボド? もはや何がどうなってるのかサッパリだった。
「ハァ……そのまま伝えてもダメだと言いましたのに」
そうため息交じりの言葉と共に現れたのは、以前にも見た光の人型──“管理者見習い”と称する女性的な見た目をした存在だ。
「直接会うのは初めてになりますね……ココはアナタ方の流儀に倣って、“アトラス”と名乗りましょう」
アトラス……そう名乗る光の人型。生命体なのかも怪しい見た目だが、勇者シリーズではよくある事なので半ば無視するシオン。
『ありがとうアトラスさん、ママ見つかったよ〜』
人懐っこい大型犬の如く、感謝の意を込めてアトラスに頭を擦り付けるクソデカ蛇……
すさまじくデカい見た目のアビスだが、その言動や口調は大人しく幼い印象だ……アトラスもその仕草を受け入れ、優しく頭を撫でてあげている。
「……アトラス。貴女……いえ、あなた達は……」
『はい、地球で言うところの“宇宙人”ではありますけど、それぞれ固有の出自があります。我々“アトラス”は、この多次元宇宙に数ある数多の銀河を調査・監視する、いわゆる諜報組織になりますね。多数の異星文明出身が所属していますので、貴女もよく知るブレイブ星人をはじめ、100種以上もの異星文明出身者が居ますよ』
アトラス──それは多次元宇宙を調査・監視する超法規的諜報機関。宇宙の平和を望む数多の知的生命体が集い、その多様さと団結を以て宇宙を平和に導く為の組織なのだという。
「私達でもある程度の実力行使は可能ですが、最終的には宇宙警察機構やM-78などの別組織に依頼し、問題解決を促す立場でもあります。有り体に言えば“裏方”ですね」
『……そんな組織なら、ゾンダーに何も対処してないのは何故なんですか?』
シオンがぶつけたのは最もな疑問だ。アトラスが実力行使も可能な諜報組織なら、何故発覚した時点でゾンダーの暴走を止めなかったのか……何故、三重連太陽系の惨劇を静観したのか……当事者ではなくとも、シオンはその事にある種の怒りを覚えていた。
だが、アトラスの返答は……
「我々が乗り出すのは、基本的に
アトラスは他種族との揉め事には介入するが、同じ宇宙や同種との事象には基本的に介入出来ないのだという……
確かにゾンダー大戦のきっかけは、紫の星が開発したストレスエネルギー変換プログラムが狂った結果であり、外部から齎された問題では無い。平和を求めるアトラスであっても、管轄外の事には手を出せないジレンマがある様だ。
「他のアトラス達がどう思うかまでは分かりかねますが、私個人としては歯痒い思いでした。……しかし、あの惨劇が無ければ、地球という文明も貴女達も、存在し得なかった……そう考えると、仕方の無い事なのかもしれません……」
彼女はアトラスとしての立場と、個人的な想いの間で揺れていた──
そして、地球という新たな星と文明が花開く為には、三重連太陽系の犠牲も止むを得ない……という考えに至ったのだという。
『……やっぱり、三重連太陽系は……』
「……はい。次元観測線上の推定位置は、地球のある太陽系とほぼ同じ座標にあります。つまりは気の遠くなる程の時間を経て、失われた三重連太陽系と同じ座標に新たな太陽系が生まれ、それが人類の故郷となったのです」
シオンの問い──地球と三重連太陽系の関係性について、アトラスは観測者の視点から見た事実を語った。
しかし、ココで1つ疑問が残る。
『でもそれじゃ、護君たちが地球に来る事は……?』
「本来ならばあり得ません……ですが、その“鍵”はギャレオリア彗星にあります。あの星は次元の壁に沿いながら数多の可能性を吸い寄せる──言わば“特異点”。あの子達は、自身の可能性と潜在能力に呼応したギャレオリア彗星によって時空の壁を越えさせられ、地球へ辿り着いたのです」
要約すると、ギャレオリア彗星は高い潜在能力や特殊な能力者を過去や未来へと飛ばし、宇宙を維持する“調整役”なのだという。
「かくいう貴女も、ギャレオリア彗星によってこの時間へと連れて来られた貴女と、この時間の貴女が融合した存在……“彼”も“その可能性”を狙ったのでしょう。貴女を脅かしはしても手までは下さなかった……いえ、
それからアトラスは“彼”──この世界のあらゆる存在を使って思い通りにしようとする、1人の元アトラスの事を語り始めた。
簡単に言えば、拗らせた原作厨……
物語としての“この世界”に感銘を受けた彼は、晴れてアトラスとしての最終試験としてこの世界のコピーを観測する任を任されたは良いが、どういう訳か思い通りの結果にならない世界に苛立ちを募らせ、共同で試験を受けていた彼女の静止を振り切り、勝手に改変を行うシオンの邪魔をし始めたのだった。
「私は彼の事を上に報告したわ……でも上は“研修上の出来事”というだけで修了後に処分を下すだけに留まり、事の重大さを認識しなかった。彼の暴走を食い止めないと、他の世界にまで影響が及ぶのは確実なのに……」
『……? それって、どういう事なの? この世界はコピーだから本来は他の世界に影響は起きないんじゃ……』
「それは貴女が居なかった場合の事よ……貴女がこの世界に転生してしまった事で、この世界はコピーじゃなく……正史と同じ多次元世界の一部になったの──Another World of GAOGUYGAR……本来の正史には無い“ifの勇者王”世界にね」
本来は、正史よりコピーされた世界は一定期間で次元ごと消滅する。しかし“彼”の反乱とシオンの“転生”という『偶然』が重なり、しかも正史とは異なる歴史を歩み始めた事でコピー世界は本来の歴史から逸脱、更に世界の修正力という抗えない力と、ギャレオリア彗星の影響でこの世界”へと変貌してしまったというのだ。
「貴女はもうこの世界の一部になってしまった……図らずもギャレオリア彗星の影響は、本来なら異物であるハズの貴女すらも物語に取り込んでしまっている。もうリセットも効かない、この世界は私達の管理から逸脱してしまってるのよ」
『……一体、何のために……?』
「……恐らくは……オウス・オーバー・オメガに備える為……」
またしても“認識出来ない単語”が出る……しかもアトラスには理解できている様に話す為気づいていない。そしてシオンも
(どうして……私には認識出来ないの……?)
『……だから、ソイツはママの身体が必要なんだ……(ハイライトオフ)』
「そういう事です。シオン……貴女の身体は、私達……いえ、“彼”にとっては喉から手が出る程渇望する『神の肉体』と化した……異世界から来た魂と現地人の肉体が、奇跡の様に折り重なっている。それは“神”にすら成し得ない奇跡……」
いつの間にか話はシオンの身体の事に変わっており、トンデモナイ事をアトラスは言い放った。
なんと現在のシオンの肉体は、リュシオとの繋がりを保ったままシオン本来の魂が肉体の主導権を握った為、所謂『神の器』と化したのだという。
そして“彼”の最終目的とは、シオンの肉体を手に入れ、成り代わって世界の結末を我が物にしようとする事なのだと──
『……っ……?!』
言いようのない悪寒に襲われるシオン……
(アレは間違いなく、複雑な感情が混じっていた……じゃあアレは、本当の“敵”が“私”を初めて見たという事なの……?)
少しずつ──絡まった糸が解かれ、謎が明らかになっていく。この世界の成り立ち、倒すべき真の“敵”、そしてその目的……
そしてアトラスは懇願する様に言い放った。
「……どうかお願い。貴女の力で、
世界を思い通りに出来ず、暴走する元アトラス──神にすら等しい力を持つ“彼”を打倒しなければ、この世界にもシオン達にも、平和は訪れないのだ。
『ボクはママに従うよぉ? やるなら徹底的にやるけど……』
『……だから……コレだから“神”って気取る奴は……!』
無理難題を吹っかけたアトラスも、シオンのこの発言には同情するしかない……もはやどうにもならない世界の命運を、たった1人の少女に託す。この理不尽さとやるせなさを何処にぶつければ良いのか……
「わ、私も可能な限りは支援しますから……!」
見かねたアトラスは、ついそう言ってしまう……だがその一言を、シオンは聞き逃さなかった。
『ん? 今、何でもするって言ったわよね?(増圧)』
「え……あの……私の出来る範囲なら……」
ハイライトの無い目でガン見されれば、さしものアトラスもトーンダウンしてしまう。
だが、次元管理者アトラスをも引き入れた「元アトラス対抗連合」を強引に結成したシオン。
果たしてシオン達は、“彼”の次のアクションをどう対処するのか──
シオンが“神の器”と化した経緯
1、転生した病弱少女シオンと、マスタープログラム(始祖)のリュシオが合体。ハイパワー少女シオン爆誕!
2、元アトラスの精神選り分けにより、半端な形でシオンとリュシオが分離。
3、辛うじて保持した繋がりを辿り、シオンが一次的にリュシオへ肉体の主導権を譲渡。
4、リュシオの奮闘の最中、シオンは裏で“ザ・パワー”に接触。
転生者特有の“魂”が持つ「精神防壁」により、“ザ・パワー”の影響を完全克服。更にその機能を完コピ内包する眷属「アビストレイデス」を構築する。
5、4の間でシオンの肉体が“ザ・パワー”によって激しく損傷と修復を繰り返し、その反動と克服によって“神の器”と化した。(←イマココ
もう(原作)シナリオなんて知ったことか! こうなったらアイツに成り代わって自由に改変してやる!!
そんな敵の次の手に、シオン達はどう対処するのか……
そして、地球を追放されそうになっているリュシオ達とどう連携を取り抗うのか……
次回は地球側からスタートです。
お楽しみに!!
さて……そろそろ自由にしていい?
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やれっ! やれー!!
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ほどほどに……ね?
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メチャクチャに破綻しないように