狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回からの続き……

地球圏追放を言い渡されたリュシオ達。
そして今回の件の元凶を知らされ憤慨するシオン。

だが時は無情にも進む……
真の敵も、次なる手を打ってくるだろう。
それまでに何としてもリュシオ達と合流し
手を打たねばならない。

果たして“王手”に手を掛けるのは、どちらなのか……?!



第121話 語られない物語(2)

 地球圏からの追放を言い渡されたリュシオ達……

 

 GGGの面々は総じて納得行かなかったが、リュシオ達が甘んじて受け入れた事もあり、現在は落ち着いている。

 

 オービットベースではリュシオ達を見送る準備も着々と進んでおり、旅立ちまでの残り僅かな時間を大切に過ごしていた。

 

「……明日で君達と別れる事になるとはな」

 

「……いえ、私達は稀有な幸運に恵まれました。あなた方GGGと出逢い協力関係を結び、こうして今を迎えられた事そのものが私達にとっての奇跡だったと私は思います」

 

 未だ悔しさの滲む大河の言葉に、リュシオは“この上ない幸運だった”と振り返り、GGGとの出逢いや協力関係を最良であったと評した。

 

「そこまで言ってくれるとは……私達も嬉しい限りだよ」

 

 そんな風にオービットベースの展望デッキで話す2人だったが、そこへ2人が駆け込んできた。

 

「リュシオ! あぁ……どうしてこんな事に……!」

 

「リュシオ、お前はこんなに頑張ったのに……どうして……」

 

 駆け込んで来るや否や、リュシオに縋りつきながら泣き始めたのはかつてゾンタリアンとなり、先の東京大決戦にてシオンに浄解されて元の姿を取り戻したリュシオの両親──ゼーヴとメティスだった。

 

 大戦後、浄解されて元に戻った2人は当初GGGの監視下で地上にて一般的な生活を送っていたが、シオンとリュシオが分離した事を切っ掛けにGGGへ協力を申し出ており、現在はオービットベースで生活していた。

 なお、今では複数の言語でも翻訳機無しで会話が成り立ち、文化的にも十分に馴染んでいるため、近々特別永住権を得る事が決まったばかりであった。

 

 当然、2人はリュシオにも同じ様に永住権が与えられると思っていたのだが、危険性の高い特異能力を持たない2人と違い、リュシオはシオンの眷属らと同等の能力者と見做され、地球圏追放を言い渡されたと聞き付け、こうして駆け込んできたのである。

 

「私も……寂しいですが……地球の人達に、危害を加える可能性が……無い訳では、無いですから……っ」

 

 2人の泣く姿に、さすがのリュシオも貰い泣きし始めてしまう。本当ならかつての姿を取り戻した2人と共に、平和を取り戻した地球圏でひっそりと暮らすのだろうとリュシオも思っていた。

 

 だが世間の闇は3人を放っておく筈もなく……特に外見がかつて*1のシオンに近く、そのまま成長したように見えるリュシオの姿は、地球上では時折議論の的となっていた。

 当時の体験者や事情を知る者達は“くだらない雑音”として片付けるだろうが、今のリュシオは“件の戦いを扇動した元凶”──そんな奇妙な噂が、ネット上で巻き起こっていたのだった。

 

──────────

 

『……積荷の搬入、終わりました』

 

『ありがとう、風龍……』

 

『……やはり、私は承服できません。影ながらとはいえ、ゾンダー大戦の功労者である貴女達を、地球圏から追い出すというのは……』

 

 逆らう事こそしなくとも、風龍をはじめ勇者ロボ軍団らの心はやはり国連の決定に異議を唱えたかった。だが当の本人達がそれに待ったを掛けたため、やりきれない思いを抱えたままになっている。

 

 五体満足で生き残った魚座『ピスケガレオン』も、マイクやボルフォッグとの別れの挨拶を交わした後自ら輸送艇に乗り込む姿に、GGGスタッフ達はある種のモヤモヤを抱えたまま見送るしかない。

 

『そうカリカリすんなって。オレ達はこうしてGGGの一助になれて、地球が平和になっただけで満足だってばよ! オレ達は元々その為の存在だからな』

 

 あっけらかんとそう言い放つピスケスだが、何処か物寂しさが言葉の裏に聞こえていた。

 

『……再び会える時は……戦いなどの目的ではなく、互いに良き友人として会いたいものです』

 

『私モ同意見ダ』

 

 火星付近まで輸送船を曳航してくれる事になった為停泊しているジェイアーク……管制するトモロも、ボルフォッグの“友人として”という旨に同意する。

 ボルフォッグはジェイキャリアー修復の折にトモロと知己を得ており、同じタイミングで奔放ながら核心を突くピスケガレオンとも親睦を深めていた。

 

 真面目と奔放、真逆なのにウマが合うピスケスとボルフォッグ、そしてトモロ……理解し難いが、彼ら同士の仲は悪くなかった様だ。

 

『ええ、私達も……そんな関係でありたいです。できればこれからも……ずっと……』

 

『大丈夫だってばよ! コレが今生の別れじゃねェんだし、次は宇宙の何処かでバッタリ逢うかもしれねぇだろ? 地球には来れねぇけど、宇宙で会うには関係ねぇってばよ!』

 

 現状、地球圏を離れるリュシオ達に行く宛はない……

 

 しかしそれは裏を返せば、何者にも縛られずに宇宙を旅する事になる──常に危険と隣り合わせではあるが、宇宙を自由に旅する事はリュシオの夢でもあった。

 

『こんな形で──とは思いませんでしたが、小さな頃の夢が実現するなんて……ね』

 

 再会できた両親と再び離れてしまう事にはなるが、火星辺りまで近付けば、シオン謹製の量子通信ネットワークによる遠隔通信を使えば、低遅延での通信も可能……その為、二度と会えない訳では無い事が一つの救いであった。

 

《「また遊びに……は来れないか……」「この場合は私達が大人になったら会いに行く方よね?」》

 

 通信越しとはいえ、シオンとも親交が深かった護の友人達も見送りに参加している。彼らの純粋な心による発言は、リュシオの寂しさを和らげてくれていた。

 

『……そろそろ、時間ですね』

 

 生き残りのアーマロイド……魚座「ピスケガレオン」と、乙女座「アストライザー」を搭載した大型輸送艇「セレスティアⅠ」が、オービットベースの拡張ドックからゆっくりと離れていく。

 

『……皆さん、これまで……本当にありがとうございました……!』

 

 目を潤ませ涙を堪えながらも、リュシオはシオンのぶんまで生きる事を誓い、彼女に代わってGGGの面々に深々と頭を下げた。

 

「……此方こそ、君達には随分と助けて貰った。地球に住む全ての人々を代表して、礼を言うよ。本当にありがとう!」

 

 大河の返答に勇者ロボ軍団をはじめ、見送りに来たGGGのスタッフ全員が頷く──この場に来れないスタッフも、GGG関係者であればこの思いは共通していた。

 

 名残惜しいが、あまりこの場で足踏みもしていられない……遠巻きとはいえ、国連所属の簡易量産型マイクシリーズが2機。

 GGGやアーマロイド達の動向を伺っているのだから……

 

 本来ならば現時点での開発が間に合わなかったハズの簡易量産型マイクシリーズ……だが三重連太陽系やその他の世界を知るシオンによって齎された数々の超技術ダウングレード版によって、現時点で既に“8機”の量産が完了している。

 

『……それでは』

 

「あぁ……気を付けてな」

 

『皆さんも……これまでありがとうございました!』

 

『元気でな!』

 

『何かあったら“GGGダイヤル”、忘れるなよ?』

 

『宇宙の果てでも駆け付けますからね』

 

『……あばよ、お前ら!』

 

『マイク、寂しいけど皆の為だもんねー! Goodbye and thank you!』

 

「………………」

 

「……どうしたんだ、命?」

 

「……何か……分からないけど、物凄く嫌な予感がするの……」

 

「命も、デスカ? ワタシもデース……」

 

 皆がリュシオ達に別れの言葉を掛ける中、命とスワンの2人は何か嫌な予感をヒシヒシと感じ取っていた──

 

 前者はゾンダー化から解放された反動や、シオンの直接介入という特殊な事例による半超人化から来る影響……後者は純粋な“女の勘”であった。

 

「何かは分からないけど……このままあの子達を行かせると、ダメな気がするの……」

 

 超常的な反応なら護が居れば裏付けも取れるのだが、生憎と護は両親の元に戻っているタイミング……リュシオと護は直接的面識も乏しい為か、リュシオ自身が、護を両親と過ごせるよう配慮した為だ。

 

──────────

 

(……ッ?! この感じは……まさか……?!)

 

「凱兄ちゃん?! 命姉ちゃん?!」

 

 実家で寛ぎつつ、夜空を眺めてオービットベースの様子を思い浮かべていた護は、自身の超常的感知能力が指し示す凄まじい脅威の予感を感じ、オービットベースがあるだろう方向を見上げる。

 

 その更に向こう……宇宙の彼方では、人類に迫る原作乖離の脅威が刻一刻と迫ってきているのだった──

 

 

 

 

 

 

To be continued...

*1
対EI-01戦




お待たせしましたが、まだまだ本作は終わりません。
コレから激ヤバな脅威が迫ります……

次回もお楽しみに♪

次回、主に起きる事は……?

  • シオンとアトラスの反抗作戦
  • 超・異常事態
  • シオン達が追放された理由
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