狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
宇宙の果て──銀河の中心。
そのいずれかと呼んでも差し支えない何処か……
“ソイツ”は発生した。
怨嗟、怨念、狂気……
そのどれでもあり、どれでもない異様な力の坩堝。その中から現れたのは……“黒”。
あらゆる光を通さず、何も映さない黒い塊。
“それ”は風船のごとく徐々に、徐々に膨らんでいく。
時間を追うごとにその大きさは惑星一つ……恒星一つを超え始め、際限なく膨らんでいく──
“それ”が何なのか、どんな存在なのか──
それは誰にも分からない。
……だが、これだけは確実に言えた。
“それ”を放置してはならない。
わかる者には分かった──“それ”は
“それ”が触れた“もの”は例外なく取り込まれ、その“全て”が無くなってしまう──
《……クッ、遅かったか……!》
1つの光球──青白い輝きを放つ“彼”は、自責の念に駆られつつもそれを振り払い、虚空へ“一筋の輝き”を放つ。
《こちら ! 全宇宙の危機が迫っている! 私のこの声が届いたのならば──全宇宙の未来の為に、どうか力を貸してくれ!!》
虚空へと放たれた“光”は何かの“文字”を描き、幾重もの光へと拡散して消えていく──
宇宙の片隅で起きた“異常事態”──
それは静かに、しかし確実に世界を蝕み始めたのだった。
──シオン達が木星へと遠征した翌日。
定期の国連議会の場で、“ある国”の外交官がこう提言した──
“稀星シオン及び彼女の麾下にある戦力は、来たるべき未来における最大の障害である”──と。
「……どういう事だ? 彼女は世界全体の技術推進を大きく進めた功労者だろう?」
「確かに……彼女とその所属組織の支援により、世界全体で餓死や孤独死なども大幅に減り、紛争の長く続いている地域でも死者が確実に減っています」
世界全体の平和を掲げ、活動する多種多様な組織の中にいる者ならば、“稀星シオン”の名と、彼女の上げた*1功績は各地に轟いている。
そんな多大な恩義ある彼女を批難するなど、持ち合わせた良心が許すはずもない……紛争地域で育ち、彼女の優しさに触れ、その恩を返すべく努力を重ねた末、今の国連大使となった者達にとって、その一言は筆舌し難いものだった。
“何を考えているのだ、あの恩知らずは?”
全員が一斉にそう思った。
彼女の恩恵を受けたのは、何も弱小国だけではない。むしろ大国の方が受ける利益や恩恵は大きい。
医療問題、エネルギー問題、食料問題……技術で解決できうるほぼ全ての問題を、シオンの齎した技術は悉く解決してみせ、たとえそうでなくともほぼ確実な光明を見出だせている。
……だがそれにより、本来ならば勝ち取れる利益を失った者も少なからず居た。
それは国同士の結び付きを確実に変えたのだ。大半はより友好的なものへ、そして恒久的なものへ変わっている……
しかし中には、少し厳しい方向へと変わったものも少なくはない。
その中に、件の発言をした国はあった。
「……個人的にであれば、彼女の事も好ましく思っているのだがね。だが国益を鑑みた結果、彼女の行動は我が国に不利益を撒いた事も事実……そしてどういう経緯であろうと、彼女の存在が件の“ゾンダー”と同種或いは近似種である限り、同じ事が起きないとも限らない。よって我が国は本会議にて、彼女に対する“地球圏からの永久退去”を提言させて貰う」
──会議の場は騒然となった。
無理もない……彼女の関わりによって開発された数々の技術は、それまで順当に発展していった人類よりも遥か数世紀先を行く程のレベルとなり、それによって変革した様々な事柄は、半ば強制的にこの世界の有り様を変えてしまったのである。
この事象はその揺り戻し──俗に言う“バタフライエフェクト”の様なものだった。
リュシオ達を乗せた輸送船「セレスティアⅠ」を見送ったGGGに、突如として凶報が舞い込んできた。
《凱兄ちゃん! 長官さん! 宇宙が……宇宙が“何か”に塗り潰されてる!!》
己が感じた“形容し難い脅威”……言い知れぬ恐怖心を抑え込みながら、護はG-USBの直接通信でオービットベースのメンバー達にそう告げた。
「どういう事なんだ? ゾンダーは完全に停止したんだろう?」
……そう、宇宙に存在するであろう全てのゾンダーの完全停止は、元中枢であり近似種であったリュシオにより確実に感知され、その事象ごと完璧に保証されている。
その為、本来ならばこの宇宙に迫る大きな脅威は拭われていたと言っても良い。*2
だが、シオンの介入と世界改変──そして、本来とも違う結末の結果、新たな脅威は既に喉元まで迫って来ていたのである。
「護くん、その“何か”とは何なのか分かるかね?」
《そこまでは分かりませんが……放ってたら、とてつもなく恐ろしい事が起きる事だけは分かります!》
雷牙と猿頭寺は護からの一報に注意を注ぎながらも各種センサーや観測器をフル動員し、銀河中心の方向に“僅かな異常”を発見した。
「何だ……コレは……? 通常では観測されない電磁波波形と……重力振……?」
「博士、該当宙域よりも向こう側の観測が出来ません……というより、コレは……何も無くなっている……?」
本来ならば光や電磁波、その他様々な観測手段により、宇宙そのものは何かに遮られる事など、ほとんどの場合あり得ない。
だがそれが“何か”によって遮られている……
猿頭寺が「観測出来ない」と形容したのは、
確たる証拠がない為“遮られているだけ”なのか、本当に“何もなくなっている”のか定かではないが、確実に
「銀河中心の方向の観測データに異常が見られとる。ある一定の距離よりも遠方の観測データが“皆無”になっている様だ……」
センサー類が取得したデータからコンピューターが推測を出し、受け取った雷牙は続ける。
「考えられる可能性は2つ……1つは“何か”によってあらゆるモノが遮られ、観測困難になっている。……そしてもう1つは、“何か”が
提示された2つの可能性……そのどちらにせよ、放置してはおけない事態──地球圏国際防衛組織、GGGの長官である大河幸太郎は決断を迫られていた。
「……雷牙博士。この事態が最終的に地球圏へ及ぼす影響は、どんなものか分かりますか?」
「皆目見当も付かんわい……だが、確実に良くない事だけは護くんが感じた。──であれば、動かん訳にも行かんじゃろ?」
雷牙も、このまま座して待つのは愚策であると確信。護の感知能力を信用し、これまで同様GGGとして対処すべきだと提言した。
「──分かりました。ではこれより、GGGは銀河系中心付近で発生した謎の現象の調査、対策を開始する!!」
続けて大河は各ディビジョン艦に詳細を指示──
スサノオは地球へ降りて護を迎えに。アマテラスとイザナギはありったけの装備や予備資材、補給物資等を積み込んで先行。火星宙域にて合流予定とし、木星遠征からあまり間を置かず2度目の系外遠征となるのであった。
えー、ホントにココからは原作にないシナリオなので
どうなるかは分かりません。
筆とノリと勢いに任せる次第です。
願わくば、読者の皆様も納得のいく大団円になるように……
アレをやるべきか……やらざるべきか……?
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良ければやるべし
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シナリオ次第
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まだだ、まだ慌てる時間じゃない