狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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長らくお待たせしました! 第14話、ようやく一区切りです。

今回は完全にオリジナル回。
かつての三重連太陽系が機界昇華されるまで……
そして狂わなかったZマスターことシオンの秘密など、もう隠さなくても良い部分を完全にさらけ出し、物語の核心に迫ります。

原作ファンの皆様には、伏してお詫びを……恐らく原作崩壊事案です。


第14話 根源は斯く語りき

 この日、ビッグオーダールームは沈黙に包まれた。

 

 勿論これはただの偶然ではない……私があの時、星の彼方から訪れた奇跡に遭遇したあの日を境に、確実に起こると確定された事象であった。

 ……であるならば、もう私が秘密を隠し通す必要など何処にも無い……私は自身の全てを解き放とうと思う……それが今後において、彼らの一助となるならば……

 

──────────

 

 GGGのメインスタッフ全員がビッグオーダールームに集まるのは、氷竜と炎竜の一件以来だ……大河長官と火麻参謀を初めに、チーフオペレーターの猿頭寺さんと牛山さん、機動部隊オペレーターの命さんとスワンさん……GGGの頭脳である麗雄博士、機動部隊の凱さんに氷竜と炎竜……そして護くん。

 

「さて、稀星くん……折り入って話したい事とは、何なのかな?」

 

 大河長官はいつもと変わらぬ声色で私にこの集まりの理由を聞いてきた……この数ヶ月間、私こと稀星シオンは……地球外変異生命体「ゾンダー」に対抗し得る唯一の組織、このGGGに籍を置かせて貰った。

 それは何も、当初の単なる自己保身ではなく……この世界の未来を憂い、私に出来る事をしようと決心した結果である。

 

『……はい、皆さんには今一度……ゾンダーの根源や目的について、私なりに調査し判明した事実を周知して頂きたいと思いまして……』

 

「何か思い出したり、気付いた事があったのかね?」

 

 本来の私を最も理解しているのは……科学者である麗雄博士と、同居させて貰ってるスワンさんだ。

 この2人だけには「現状、伏せるべき事」以外の隠し事はしていない。

 麗雄博士の知識は、私の現状を把握するのにとても重要だし、単純にガオガイガー関連の知識・技術面の話は興味が尽きないし……スワンさんの存在は、天涯孤独である私の保護者的な役割を買って出たり、時折孤独に潰されそうな不安を親身になって心配してくれた。

 

『……というよりは、皆さんの混乱を防ぐ為と……私自身の身勝手な保身故に隠していた情報です。

 今更こんな事を言われても、困惑するばかりでしょうが……以前の私は決して争わず、互いに極力不干渉の立場を貫き、ただこの日々を送る事だけを考えてきました……』

 

「……シオン……さん?」

 

 こんな言い回しは小学生には理解しにくい事など分かりきっていたが、簡単に言えば私は今までずっと逃げて来たのだ……自分の立場から、力を持つ者の責任から……そして同胞だった者達の暴挙を知らせ、警鐘を鳴らすという行為から……

 

「……薄々は気付いとった、確証はなかったがな……シオン、お前さんは……」

 

『……はい、私は……私の正体はゾンダーの、その根源とも言える存在……オリジナル……つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です』

 

 一度決意した事がキッカケだったのか、以前ならあれ程言うのを憚った言葉すらスラリと口から出た。

 

「ち、ちょっと待ってくれ……ならシオンは、2年前に地球に落下し、俺を事故に遭わせ、今も起きてるこの混乱の……全ての元凶だって言うのか?!」

 

『……正確には【私】を元に産み出された【マスタープログラム】が、自らの存在理由と目的を曲解して暴走……故郷だった星達を滅ぼし、知的生命体の排除……いえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を目的として活動しているからです』

 

「「「「「……ッ?!?!」」」」」

 

 この言葉に含まれたあまりの情報量に、一同は理解を超越した衝撃を受けただろう。

 ……当たり前だ、この混乱を招いた全ての元凶と同じ存在……本来の私は、そう呼べる存在なのだから。

 

「……稀星くん、私にはとても悪い冗談にしか聞こえないのだがね……?」

 

 多少は焦りがあるのだろう、大河長官の声は少しだけ上擦っている……でも、この中で1人だけ……この暴露に動揺せず、納得の表情をしている人物が声を上げた。

 

「イヤ、彼女は真実を語っとるよ……長官。

 

 彼女は今まで我々の気持ちを考え、要らぬ苦労を掛けぬよう語り、行動し……ボクの個人的感覚ではあるが、恐らく妥協点を探しながらも惜しみ無い協力をしてくれた……

 

 単に彼女は、我々地球人類と争わずに生きる為の道を、手探りで探していただけなのじゃろう……これで全て合点がいったよ」

 

 この世界で最も真実に一番近いのは、やはり麗雄博士だった……

 

「シオンの言った事、ワタシには……嘘には聞こえませン、それに……本当にジョーダンなら、いつもシオンは目を逸らしてマス」

 

 自分でも抜けない癖……嘘を吐く時、相手の目から視線を逸らしてしまう癖を見抜いたスワンさんの言葉もあり、長官や皆も、コレが真実だと分かった。

 

「……じゃあテメーは俺達に甘い事を並べ立て、自分は元凶の癖して保身に走る、身勝手な異星人って訳かよ、なぁ?!」

 

 しかし、そうなれば逆にそこへ噛み付く人も出る……火麻参謀だ。

 

「止めないか火麻君! ……稀星くん、我々には腑に落ちない点が幾つもある……しかしまず聞いておきたい事が一つ……今までの君の行動に()()()()()()()()()()()()()()、そして()()()()()()()()()()()()……それだけは今、この場で改めて聞いておきたい」

 

 その怒りは尤もだが、無遠慮にぶつけてくる火麻参謀の怒声に対し、長官が声を上げて制する……参謀は自身の不愉快さを私に表す様に「ケッ……」と視線を切った。

 そのまま長官は、GGGの総司令官……組織を纏める長として、私が取った今までの行動が『何の為か』と聞いてきた。

 

 ……敵対? 貶める? 馬鹿言わないでよ……私はただ……

 

『もちろん、敵対の意思などありません! 貶めるつもりなど、断じて……!』

 

 これから話すのは、私が知り……今彼等に知っておいて貰いたい『ゾンダー』の全て。

 

『……だから、今この場で私の知る限り、ゾンダーの真実……かつての私が生み出され、今の私となった真実……この世界がやがてどうなるのか、ゾンダーに負けた星達が辿る道……その全てをお話しします』

 

 

 それから語った情報は、主に物語中盤から後半に掛けて……原作ならば、ある程度原種戦を経た後でようやく知り得る情報の数々。

 ゾンダーが地球を狙う目的、ゾンダーの持つ基本能力と対処法……そして上位存在である「原種」と、その統率体である「Zマスター」について。

 

 本来なら知る由もなく、苦戦を強いられただろうが、今この場には『私』が居る……恐らく、もうこの時点で原作とは違う世界となってしまった筈だ……決意と共に、ある種の開き直りもあった私は、実にアッサリと全てを公開し、投げ掛けられた質問には全て答え、後顧の憂いを完全に断つ事にした。

 

 尤も、あまりに濃厚かつ複雑に絡まった情報なので、基礎部分……ゾンダー本来の目的から再度周知する事になったのは当然、()()()()()()()()()()()()も語る事になった……

 

『……それから……システム開発者(エンジニア)達の最後の力で故郷の星を脱出させられた私は、単身次元転移を繰り返しつつゾンダーから逃亡の日々を送り……約2年ほど前に地球へ到達し、原因不明の病で渡米し治療を受けていた少女の下へ……』

 

「それが、本来の稀星くん……という事かね?」

 

『……ハイ、正確には「私となる前の」私……半身のようなものです』

 

「どう言う事だ? 今のシオンとは、何が違うんだい?」

 

『結論から言えば、当時の彼女とZマスターの原型となった存在の精神構造……性格や思考、そのほとんどと、僅かな外見の差以外は完全に一致……言うなれば、極めて近い存在(ドッペルゲンガー)の様なものでした……』

 

 これは当時から湧いていた疑問でもあった……しかし、今ならば理解できる。

 

「地球外生命体に創造物として生み出されたシオンと、地球で産まれたシオン……それがまるで鏡合わせの様に同じだった、か……俄には信じられないぜ」

 

『ですが、それが元で……双方の意識や記憶は全て統合され、今の私となったのです……』

 

 これは『転生』の弊害として生まれたイレギュラーだろう……

 本来なら多分、転生した私の意識は……地球で死ぬ筈だったシオンではなく、Zマスターの雛型となったシオンに宿る筈だったのだ。

 

 その際に記憶は消去され、高度な知能だけがコピーされたZマスターは暴走し……原作へと続く筈だった……でも、転生先がZマスターから地球の少女へと変更され、しかも転生する前の少女と私の人格が意図的に摩り替えられた事で記憶消去が双方に行われず、前世の記憶を全て持ったまま入れ替わり、結果、Zマスターは計画の都合で人格を消したコピーが造られ暴走……雛型は人道的配慮から脱出させられ、地球で本来の身体に宿った転生者の私と更なる統合が引き起こされて今に至ったのではないか……と。

 

「既に故郷と呼べる星が無い以上、過去を調べる事は不可能じゃ……よって、詳しい経緯は不明としか言えん……じゃが、今の稀星くんの人格がその『元・Zマスター』でなければ、我々は何の情報も得られないまま、いずれ敗北しておったかもしれんのぅ」

 

「……じゃあ、シオンさんが今ココに居るって事が『1つの奇跡』って事だね、うわっは~♪」

 

 奇跡、か……確かにそうかもしれない……或いは()()()()()がそうさせたのかもしれないけど……

 

「兎に角だ、稀星くんは今後も我々と敵対はしない……そうだね?」

 

『勿論です、今後は今まで以上の協力も出来るはずです……何より、一番の問題……後顧の憂いを、この場で断てたのですから……』

 

 大河長官の再確認に、私は改めて協力という意思表示……こんな私を「仲間」として受け入れてくれた心の広さに、何とか感謝の言葉を探した。

 

「シオンがたとえどんな姿、生まれだとしても……今はワタシ達の仲間で、ワタシと命の妹みたいなもの……美味しいご飯を作ってくれマース♪」

 

「「「「……はぁ……」」」」

 

 そこへ唐突なスワンさんの「妹」発言に、ついさっきまで怒り心頭だった火麻参謀すら毒気を抜かれ、深刻な表情の麗雄博士や長官、凱さんまでもが少々呆れ顔に……当のスワンさんだけが、自慢しているかの様な表情。

 

 命さんと護くんは、スワンさんらしいなぁ……と笑うのであった。




語られたゾンダー関連の情報そのものは原作とほぼ同様なので割愛……
シオンの来歴も、結局は調べようがないので憶測となっています。

さて、次回は原作に戻り……ついに完成するゾンダー探知機の話題をば。

次回予告


君達に最新情報を公開しよう!

ついに完成した、ゾンダー探知機……
その名も『Zセンサー』!

護かシオンの2人に頼らざるを得なかった
ゾンダー探知を実現するこの画期的な発明。

そのセンサーを使い、GGGは奇妙な事件を捜査する。


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第15話『素粒子 Z0(ゼットゼロ)

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

コレが(15話の)勝利の鍵だ!

  • 原作以上に高性能化したZセンサー
  • 護のGパワーセンス(超感覚)
  • 原作知識を用いたシオンの策略
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