狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
批判覚悟で自身の正体も晒したが、今までの行動から悪意がない事を認められ、暖かく迎え入れられた。
それから数週間が経ち……
ついに本格的な協力体制の下……とある装備が完成する。
各種センサーや外的要因の観測情報を表示するディスプレイを内蔵したグラスモニター……それを別に造ったヘッドセットと繋ぎ、接続部分や開閉機構の可動をチェックする。
このパーツは分子構造から透明度、さらに強度にも拘り、万が一に破損した時でも微粒子が目に入らないよう苦心した特別製のバイザーだ。
PCのモニターから私に視線を移した猿頭寺さんもサムズアップ……システムのインストールも無事に完了した事を報せてくれた。
最後に私は可動部分を手動で動かし、余計な干渉が無いか、可動に不備が無いかをチェック……どうやら問題は無さそうだ。
『……完成、です……!』
一息吐きながら私は額の汗を袖で拭う……この装備、原作ではさほど戦局を左右する程の物では無かったが、私が持つ原作知識で、当時からの問題点と利便性を最初から考慮して開発に関与……問題点やら利便性の改善にかなりの時間を要したが、原作同様の時期に間に合ってくれた。
その使い道こそアレだが、その外観や性能は大きく進化している……これが在れば、未発見状態のゾンダー探知を容易に行えるハズだ。
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「……コレが、Zセンサーかね?」
大河長官と火麻参謀が、テーブルに置かれた装置を興味深く覗き込んでいる。
「ウム……稀星くんの全面協力もあり、ゾンダーの特性……主に潜伏や擬態性能は我々が考えていた想定より遥かに高い事が分かっておる……
現状では護くんと彼女しか、ゾンダーの居場所を察知できる能力を持つ者は居らん……じゃがゾンダーは、活動の際に地上では観測されない特殊な素粒子を常時放出している事が判明した」
麗雄博士の解説に合わせ、スワンさんがメインスクリーンの画像を切り替えてデータを表示……その間に私はオーダールームに持ち込んだケースから更に数個、同じ物を取り出してテーブルに並べ……説明を引き継ぐ。
『それを「素粒子“
『「Zセンサー(じゃ)デース!」』
最後に麗雄博士やスワンさんまで声を合わせて来たのにチョット吹きそうになったが、私は澄まし顔で博士達にセンサーを手渡す。
「稀星くんの技術協力や、新素材の開発により当初よりも高性能化を実現、利便性まで大幅にアップしておるぞぃ!」
形状は左右どちらの耳にも対応している側頭部装着式、バンドは硬質ゴム製で、フィット部分を痛めにくい低反発素材をコーティングしており、折り畳めばポケットにも入る。
バイザーは特殊素材を使用し、基部から粒子を展開してモノクル型ディスプレイを形成するという(FINALでルネのイークイップバイザーにも使われた)技術を採用……勿論、このディスプレイは
(ついでに暇と予算が付けば、凱さんのイークイップアーマーにも同様のシステムを更に簡易化して追加する予定)
待ち焦がれた完成品に、麗雄博士のテンションはさっきからずっとダダ上がりして……あっ、ジェットブーツで飛んだ。
「ほぉん、コイツがねぇ……?」
さてさて、一番興味無さそうな雰囲気を出している火麻参謀だが……その内心はきっと。
……あれから私は博士や長官に許可を取り、火麻参謀の動向をこっそりチェックしている。
何故かって? それは勿論【原作シナリオ】の為だ。
(原作通り、参謀はアレを使ってゾンダーを捜索するハズ……)
原作では技術的に小型化が間に合わず、携帯性を犠牲にした試作物を無断借用し、独自捜査で目星を付けたゾンダーの素体と思しき容疑者を尾行していた……
原作と同じく、牛山さんやスワンさんが同行してたのに当初は驚いたが、スワンさんの性格上「面白そうだから」という理由で来てるのだろう……反対に牛山さんは試作機を壊されない様にって考えてると思う。
詳細はどうあれ……実際に3人は探索に出てるし、原作では火麻参謀のカンは外れたものの、Zセンサーの有効性はある程度証明されていた。
……ぶっちゃけ「役に立ったか?」と問われたら首を捻るしかないのだけど。
(……でも、今回は違う……アレならほぼ確実に、擬態したゾンダーなら探し出せる)
今回は完成品……しかも長官の指示もあって最初から量産性を考慮し、捜索隊員にも実際に渡す事になっている予定の代物(の初期ロット)だ。
通信機能や利便性を求めたのも、この事態を敢えて起こさせる為……勿論、今は私だけが追跡中だが、凱さん達機動部隊は何時でも応援に駆け付けられる様に離れた場所で待機して貰っている。
参謀達だけ何も知らないのは少々心苦しいけど……長官曰く「日頃から独走が目立つ」との事で、何かお灸を据えてやりたかった様だった。
(渡りに舟、にしてはチョット危険過ぎな希ガス……)
そんな事を頭の隅で考えながら、私は展開させたゾディアートメイルの一部を身体から分離させ……頭の中に
アーマーはイメージを正確にトレースして膨張・変形し……徐々に別の形を成していく。
(原作通りなら素体はバイクになっていた……なら、追い付くにも速さが必要不可欠)
相手はルール無用の大暴走を平然と行って来るだろうが、コチラは市街地や幹線道路を堂々と爆走する訳には行かず、正攻法での追跡は困難を極める……なら、こっちも相手の思惑を超えれば良い。
『ゾディアート・アーマロイド【ピスケス】……かな?』
完成したのは人が跨がる大型バイク位のサイズのサメ型マシン。
暗い蒼と金色のラインが目を引く上部と、白や灰色といったモノトーンの下部に色分けされており、機体と地面が接触している部分はまるで水の様に波打っている……
(イメージトレースによる僚機生成は一応成功……だと思う)
この機体は私の能力を能動的に外部へ反映させる方法の一環として「ゾディアートメイル」の拡張機能を利用したサポートマシン……機体デザインは海洋生物と潜水艇、そして水上バイク等を参考にしており、速度や戦闘力といった要素を追加しつつ、水棲生物の特性を特殊能力として展開する事を目的に作成している。
『……これからヨロシクね、ピスケガレオン』
シャアァァァァ……!!
イメージ元の生物に合わせた思考を持つ人工知能を標準搭載しており、この子……ピスケガレオンは人と遊ぶ事が好きなイルカや知能の高いシャチなどの思考パターンをモデルにしている。
使い手の意図を読み取って自律的に行動してくれるし、音声での指示も聞いてくれる……とても優秀で便利なサポーターになってくれるだろう。
……さながらショーで人を乗せて泳ぐイルカの如く、私を乗せたピスケガレオンは内蔵センサーを頼りに最短距離で火麻参謀達の後を尾行し始めた。
……それからの展開はしばらく原作通り。
参謀が目星を付けていたバイクマニア、暴走族のリーダー……そして白バイ警官、とアテが外れ続けた所に件の暴走ゾンダーバイクが出現し、ピンチの所を凱さんが救った辺りまでは変わらなかった……
『参謀、お待たせ!』
「凱?! 氷竜に炎竜まで……お前ら何で此処に!?」
『シオンが教えてくれたんですよ、参謀が夜にまたムチャな事やるって……』
「……アイツか……余計な真似を……!」
私は凱さん達より少し離れた場所で、件の暴走バイクを見ていた……
(……原作よりも速度が速い……もしかして、原作よりも少し進化してる?)
一度は氷竜と炎竜に叩き落とされ破損したが、隙をみて超速再生しこの場を離脱……近所で開催予定だったモーターショーの会場に侵入し、内部に展示されていたマシンを全て平らげ……巨大なゾンダーロボへと成長した。
『くッ、巨大化か……氷竜、炎竜、足留めを頼む! 参謀やシオン達は民間人を!!』
トンファーで果敢に挑む氷竜と炎竜だが、巨体の癖に軽快な速度で2人を翻弄するゾンダーロボ……あっという間にチューブ状の触手で動きを封じられ、オモチャの様に振り回され叩き付けられてしまう。
『……ッ、しまっ……ぐあぁぁぁッ?!』
『炎竜?! うわっ?!』
『氷竜! 炎竜! ちぃッ、ギャレオーンッ!!』
ギャレオンを呼び、更にファイナルフュージョンする凱さんだが、相手はガオガイガーをも超える程の体格差に加え、速度まで上回るゾンダーロボ……
序盤こそ猛攻を加えて大きく破損させたが、ゾンダーロボは破損して脱落した部分を分身として再生させてどんどん数を増やし、ガオガイガーは徐々に劣勢へと追い込まれてしまう。
『クソッ、破損した部分を分身として使うとは……!』
それからゾンダーロボはガオガイガーをワイヤーで
『あのままじゃ凱さんが……ピスケガレオン、お願い!!』
キシャアァァァァッ!!
私の願いを聞いたピスケガレオンは、勇ましい咆哮と同時に僚機であるもう片割れを召喚……2機はすぐさま阿吽の呼吸の如く連携し、原作と同じ様に縛られていたガオガイガーの周囲を取り囲んでいる分身を攻撃し始め、同時にガオガイガーを縛っているワイヤーも断ち切ったのである。
『コイツらは……一体……?』
『凱さん! その子達が援護します、今の内に本体を探して!』
「それなら僕に任せて! ……居た、あそこだ!」
タイミング良く護くんがゾンダーロボの本体を探し出して報せる……一拍遅れでブロウクン・マグナムが放たれるも、分身して小型化したゾンダーロボの本体は再びバイク形態で逃走を再開したが……
「……今だ、氷竜ゥ!」
『ペンシルランチャー、発射ッ!』
なんと、Zセンサーを頼りに参謀が逃走ルートを予測……氷竜のペンシルランチャーから放たれた超硬ワイヤーネットが本体を捕縛したのである。
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それからはもうほぼ定期……ヘルアンドヘヴンでコアを摘出し、護くんが浄解。
コアにされたのはなんと、今流行りの「U◯er Eats」に所属している配達員のお姉さんでした……
今回コアにされたお姉さんはバイク好きの大学生で、自分のバイクを買おうと配達員になったは良いものの……世間の荒波か、利用者の心無い扱いに泣いていたらしい……
そしてその理不尽な目にあった事に漬け込まれて、ゾンダー化させられた模様。
因みに犯人はプリマーダさんです(原作通り?)w
【TIPS】ゾディアート・アーマロイド『ピスケス』
機体名称:双魚機獣ピスケガレオン
ゾディアートメイルの拡張機能を発展、進化させたサメ型の独立思考制御サポートマシン。
イメージは水族館ショーの人気者イルカやシャチ。
水上バイクの様なハンドルと座席を背部に有しており、高い機動性と索敵能力を持つ。
なお「双魚」の名の通り別にイルカ型が存在し、性能・武装は共通しているがそれぞれ性格が違う。
機体周囲に存在している
また、壁ならば滝に突っ込む感じですり抜ける事も出来る為、普通のコンクリート壁の様な遮蔽物は全くといって良いほど障害にならない。
その他にも海洋生物の能力を多数保有している。
【基本性能】
機体サイズ 全長:3.75m 全幅:1.29m
全高:1.24m 重量:1.27t
移動速度:最高時速150km/h(水中時約80ノット)
潜航能力:約2500m/最大4時間
(対水圧フィールド展開中は深度無限)
跳躍高度:約200m(垂直跳躍時・助走含まず)
跳躍距離:約40m(水平跳躍・1ジャンプ最大距離)
武装・機能
■頭部バルカン砲×2
■側面部展開式3連装魚雷発射装置×2
■折り畳み式ロングレンジバスターキャノン×2
■底部樽型ロケットミサイル発射機構『スパイラルランチャー』
■電磁ネット射出機構(捕縛・拘束用)
■水中機雷敷設装置
■対水圧防御フィールド発生器
■潜望鏡付属式水中投光システム
ゾディアート・アーマロイドは今後も追加予定。
次のマシンはどんな姿になるのかな? 乞うご期待!
君達に最新情報を公開しよう!
深海調査船がゾンダーに乗っ取られた?!
最新鋭の深海調査船を乗っ取り
深海でゾンダー核を量産しようと企むゾンダー。
さしものガオガイガーも、深海10000mの水圧には耐えられない……
果たしてGGGは、逃げられる前にゾンダーを撃破出来るのか?
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第16話『光届かぬ世界』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
コレが(16話の)勝利の鍵だ!!
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深海調査船「ガンダイバー」
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護くん(浄解モード)
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双魚機獣ピスケガレオン