狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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お待たせ致しました!
ゲーム版で描かれた重要シナリオ……それをifオリジナル風味に改修した超重要回の始まりです!
※ 07/24追記 修正前を読まれた方へ……
  設定を一部変更し、原作同様に少し軌道修正してます。



GGG本部を襲撃したゾンダー迎撃の折に、ゾンダリアンの1人『ペンチノン』を見掛けたシオンだったが……襲撃とは関係ない奇妙な行動を発見しつつも対応に追われ、見失ってしまう……

翌日、護少年は命から貰った『鴨川シーワールド』のフリーパスを使い、気分転換へと乗り出し……

シオンもまた、ペンチノンの行方を追い掛けるのであった。



第24話 海のヴァルナー(1)

 千葉県鴨川市にある水族館、鴨川シーワールド……

 日本で唯一であるシャチのショーが観られるこの水族館は、隣接するオフィシャルホテルや種族毎に変わる大規模な展示施設が特徴の海洋総合レジャーランドだ。

 中でもココで産まれ、人馴れしたシャチ達によるパフォーマンスショーは海外から態々足を運ぶ観光客も居るほど大人気であり、最大の目玉と言っても過言ではなかった……

 

 ……あの『世界的ウイルスパンデミック』さえなければ。

 

──────────

 

「……ねぇ、ヴァルナー……何でゴハン食べてくれないの?」

 

 …………。

 

 無言を貫く黒い塊……身体に白い大きな斑模様を持つ、体長6~8mの海洋哺乳類。

 オスのシャチである彼はココ、鴨川シーワールドで最も人気の個体……名をヴァルナーと言った。

 

 現在の彼は絶不調……重症でこそ無いものの、摂食不良や命令無視が目立ってきていた……獣医によれば、明らかに“ストレス障害による不調”と診断されるのだが、昨今騒がれているウイルス災害の影響で重篤な生き物の治療が優先されており、ヴァルナーは症状的にまだ軽いとされてしまい、未だ詳細な診断は行われていなかった。

 

 そもそも、海洋哺乳類のシャチは知能が高い……更に言えばヴァルナーは人工保育で育ったシャチなので、人間の指示には余程の事がない限り素直に従うし、不満や好き嫌いには明確な意思を持った行動で示していた……

 

 それ故か、ヴァルナーが無言を貫き一切の行動を起こさない事に不安を覚える飼育員も少なくなかった……だがしかし、少なくないウイルス災害の影響で不調を訴える生き物は数多く……施設側も獣医を増やして対応してくれているが、人間と違って話せないが故の難しさもあって、重篤生物の治療の手を緩める事は出来なかったのである。

 

「……アナタが何も言ってくれないのは、私も悲しいよ……」

 

 ヴァルナーを担当する飼育員の風祭スミレも、彼の不調に頭を抱えていた。

 

(好き嫌いや興味のある事は凄く分かりやすいのに、なんで何も言ってくれないの?)

 

「……ヴァルナー……」

 

 ……………………。

 

 相変わらずの無言だが、スミレに撫でられるのを嫌がらないヴァルナー……嫌われてないのはすぐに理解できたが、不調の原因についてはサッパリだった。

 

 

 昨今騒がれた世界的なウイルスパンデミックだったが、この世界では既にほぼ駆逐されており、人間の目で言えば感染拡大は終息、撲滅に成功したと言えた……

 だがそれは人間の観点から見たものであり、人に近い生活圏を持つ生き物達からすれば、事後の影響は未だに深刻である……

 

 直接の感染こそしないものの、パンデミックによって変わった環境の変化に追い付けずストレスを抱えたり、極稀に消毒等の影響を受けたり……原因は様々だが、環境の変化に敏感な生き物達からすれば、まだまだ完全解決に至っていないのが現状である。

 

──────────

 

『……ペンチノンが向かっていた方角……コッチだったわよね……ん? あれは……』

 

 昨日の事件の折に目撃していたペンチノンの行方を追って、シオンは千葉県へと足を踏み入れていた……その道中、道路を走る車の車列に、護達小学生組が乗っている天海夫妻の車を発見したのであった。

 

(そっか……この先にあるのが鴨川シーワールドだっけ……私も休憩がてら覗いてみようかなぁ)

 

 

 人の目があるため、ゾンダリアンに見られてない大人モードでシーワールドへ入ったシオンは、護達の側にある奇妙な生体反応が気になり移動してみる……

 

 するとそこには……護達と遊んでいるシャチと、それを見守っている1人の飼育員が居た。

 

 普通なら子供とシャチを近付ける飼育員など居ないのだが、どうやら護達とあのシャチ……そしてこの飼育員は一昨年ほど前からの付き合いらしく、あのシャチは人を襲う事など無い非常に頭が良く大人しい個体で、前からそうやって護達と遊んでいたのだとか……

 

「……はぁ……」

 

 護達との間柄を説明し終えた飼育員……風祭スミレは、護達がシャチと遊んでいる光景を見て何故かため息を吐いた。

 

『なるほど、何をしてるかと思ったら友達のシャチと遊んでたのね……って、貴女……何か心配事でもあるの? 随分なため息だけど』

 

「……あっ、すみません! ヴァルナー……あのシャチなんですけど、最近担当の私の指示も聞かなくて……」

 

『ふぅん……そう言えば、そのヴァルナーも何だか元気が無いわね……?』

 

「……やっぱり、そう見えますか? ココ最近、ヴァルナーはゴハンもあまり食べてくれないんです……そりゃココにも獣医は居ますけど、パンデミックの影響が酷くて、重傷の子や他の子から手が離せないので原因も分からなくて……」

 

『そう……ってそうだ……私、専門じゃないけど、良かったら診ましょうか?』

 

「え……?!」

 

 なんか無性に気になって、私はお節介を焼き始める……獣医じゃないけど、前に関わった患者さんのペットの話やら、ついでに診た事もあるし、最低でも不調の原因くらいは掴めると思う。

 

「あの、一応ご専門を伺っても……?」

 

『そう言えば、私の自己紹介してなかったわね……GGG技術開発部所属、元・精神科医の稀星シオンです。……獣医じゃないけど、ペットのメンタルケアも経験ありますし、最低でも原因の判別くらいは出来ると思うわ』

 

「精神科医、稀星……え……前に雑誌に乗ってた、()()?!」

 

(ぐはっ、またしても()()()()の影響が……マジで恨むぞあの記者! 医者時代にちょっとばかし好奇心に負けて受けた取材で聞いた奴を誇張しやがって~)

 

 唐突にスミレから放たれた精神的ダメージをノーガードで受けたものの、それに耐えながら必死に笑顔を顔に貼り付けて過去の(ダメージ)原因を作った人物を恨むシオン……

 一方のスミレは、突然現れた美人さんが一時的とはいえ雑誌に載った有名人である事に驚いている様だった。

 

 

 気を取り直してシオンはスミレから現状と患者(ヴァルナー)のこれまでを詳細に聞き取り、予測が当たった事に安堵する……それはまさに、自分が診るのに相応しい案件だったから。

 

(食欲減退に指示の無視、そして無為の呆然……パンデミック時に多くのペット達が訴えていたのと同じ症状だわ、間違いなく精神的ストレスが原因ね)

 

 自身の患者としたヴァルナーの不調の原因を探り当てたシオンは、スミレに最近の環境の変化を問い質した。

 

「ヴァルナーの不調はパンデミック終息宣言の直前くらいからです。

 それまではシャチショー自体も人気絶頂で、ヴァルナーも張り切ってました……でも、数ヶ月前のパンデミックからショーは中止に追い込まれて……」

 

 世界的なウイルスパンデミックは、この鴨川シーワールドにも大きな爪痕を残した訳か……

 感染防止でショーの中止は当然だけど、当のシャチ達……特にヴァルナーにとっては、大きなショックだったんでしょうね。

 

「先週やっと終息宣言も出たので、来月にはショーも再開されるんですが……でも、花形を務めるヴァルナーの不調が長引いてて……」

 

『なるほど……やっぱり原因はパンデミックだった訳か……』

 

「え……?」

 

『名前を聞いてちょっと思い出したのよ……確かこの子、人工保育で育った子よね? その分、人馴れしてるけど……逆に慣れすぎてるのが原因かもしれない。

 ほら、パンデミックの影響で観客数も激減したでしょ? その上、頑張ってたショーも中止になっちゃって……やりがいある仕事や楽しみまで奪われちゃったら、誰だってストレスを感じるものよ』

 

 ヴァルナーの記事は前に目を通したから覚えていた。

 海洋哺乳類は育成から難問が多く、幼体の人工保育に成功した例は極めて少ない……その為、鴨川シーワールドで産まれ、人の手でココまで大きく育ったヴァルナーの事は、医者生活の中で読むようになった外国のサイエンス誌でも結構話題になっていたのだ。

 

「……ヴァルナー」

 

 ヴァルナーの不調の原因がストレスだと分かり、スミレはある種ホッとした様子……原因不明よりかは遥かにマシだし、人間との関わりを求めているのなら改善の余地は大いにある。

 

 話が一区切りした頃、護達は遊び疲れたのか……近くの日陰で休んでいた。

 ヴァルナーも……護達が離れるとまた意気消沈、といった感じでプールにポツンと浮いている……

 

 私は診察の為にスミレさんに頼み、ヴァルナーの名前を呼んで側に来て貰う。

 

『……アナタ、人間は好き?』

 

 この子が理解できるかは分からないけど……無性に言葉を掛けたくなった私は、プールの側に寄って来てくれたヴァルナーにしゃがんでそっと触れ、一言だけ声を掛けた。

 

 ………………!

 

 触れた瞬間、微かだが何かが私に伝わったのを感じる……そのままヴァルナーの頭を撫で、スミレさんの様子を見ながら、精神科医の時に何度も行っていた()()()()を久しぶりに使おうとした。

 

 だが、その時……

 

『ウリィィィィィィ! 感じるぞ……その生き物が抱えるストレス、極上のモノだ……これは良い素材になる』

 

 後方から響いてきた聞き覚えのある声……しまった!?

 

『護くん、スミレさんと一緒に逃げて!』

 

「え……ッ?! ぞ、ゾンダリアン……!!」

 

『ウリィィィィィィ!!』

 

 ガキィンッ!!

 

『何してるの早くッ!!』

 

 …………!! …………?!

 

 護達を呼び起こし、スミレと一緒に逃げる様に促しながら、シオンはアーマー展開終了と同時に左足に装備されたコンバットナイフを掴んでペンチノンへと投擲する……が、それは簡単に防がれてしまい、少しも動きを止められなかった。

 

 すぐさま右肩にある無反動砲の照準を合わせようとするが、シオンは直前のペンチノンの言葉を思い出し……

 

(その生き物……極上のストレス……まずい!? ペンチノンの目的は!!)

 

「スミレ姉ちゃん?!(まさか、ゾンダリアンは……?!)」

「『……逃げてッ、ヴァルナー!!』」

 

 護がスミレの様子に気付き、ペンチノンの目的が自分でない事を察した直後、ほぼ同時にシオンとスミレが咄嗟に振り向いて叫ぶも時すでに遅し……紫色の怪しい光が視界を覆い尽くし、護とシオンの全身が危険信号(アラート)を鳴らす。

 

(……ック……!?)

 

 護達とスミレは走って建造物の影に隠れ、シオンも巻き込まれない様に転進して跳躍……そのまま急いで場を離れる……だが、シオンの胸中は不安と焦燥で混乱しそうだった。

 人間がゾンダー化したとしても、護の浄解能力があれば元に戻せる……だが、()()()()()()()()()()()()()()()のか? ゾンダー化しても()()()()()()()のか?

 

(そんな事象なんて、私は知らない!! 考え得る最大の最悪を軽く超えてる、非常に不味い事態だわ……!)




以上が、出会いからゾンダー化までの流れでした。

前は既知者としてなかったですが、加筆修正しました。
やはり護くんとヴァルナーの交遊関係は捨てがたいので……
(。>д<) やや強引ですが。

次回、ゾンダー化したヴァルナーとの戦闘

奇跡というのは、起こるべくして起きるのか……?

感想、お待ちしてます。

「奇跡」と聞いて、思い浮かんだ名言キャラは?

  • 葛城ミサト(新世紀エヴァンゲリオン)
  • ロージェノム(天元突破グレンラガン)
  • ムウ・ラ・フラガ(ガンダムSEED)
  • フル・フロンタル(ガンダムUC)
  • 高嶺清麿(金色のガッシュベル!!)
  • 蛭魔妖一(アイシールド21)
  • 黒崎一護(BLEACH)
  • 佐倉杏子(魔法少女まどか☆マギカ)
  • その他・または思い浮かばなかった
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