狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回までのお話は……

目の前でガオガイガーの合体シーン見せられて、希望どころか絶望を突き付けられました……
とりあえず、ランナウェイッ!(脱兎)



第2話 機械を操る少女(前編)

 その日の夜……私は今までの生活から完全に脱却しなくてはならない為、備わった能力を駆使して対策を練る。

 まず外見は絶対に変更しないとダメだ……ゾンダーには通じないが、少なくとも人間から目を逸らすには1番手っ取り早い!

 

 ……てな訳で、20代の若々しい女医から見た目を『少女』へと()()、戸籍データの情報なども併せて修正する。

 

 私の名前は『稀星(まれほし)シオン』……先に触れた例の難病治療の為に外国へと渡っていたが、すったもんだあって完治……この度、晴れて日本に帰って来ました現年齢14歳の元・地球人です。

 

 昨日までの女医は(中身が14歳の子供である私には)少し難しかったが、やり甲斐もあり楽しかった。

 ……だが、昨日の『あの光景』……私は初めて『自分の置かれた状況』に足が震えた。

 

 このまま東京を離れようかと思ったが……元の子供ならあまり怪しまれないし、さすがに都会から離れると、今まで稼いだ給料とか下ろせない可能性もある。

 ……幸い持ち株とか諸々で稼ぎだけは困らないので、孤児院か施設に拾って貰おうと思う。

 

 とりあえず、今日は……ってしまったぁ!!

 今変えたらさっき予約したホテルとかもう入れないじゃん!? 折角いろんな改竄とかサクッと全部済ませたのに、このままじゃ寝床に困る!!

 

 また戻せば良いだろって? 今情報まとめて書き換えたんだからもうデータの欠片も何も残って無いわよ!?

 いくら人外化してもキッチリと痕跡を消しつつウィルス対策プログラムなんかも騙しながら同時並行でのデータ改竄は物凄く疲れるし下手をすればトラップやら逆ハックなんかに捕まって余計なリソース消費しちゃう上にそうなったら身体にも影響出て周囲から不審がられて通報からの拘束そしてあれよという間に正体もバレて実験台エンドまっしぐら……

 

 そんな結末、辿ってなるものですかッ!!

 

「……あぁぁぁぁぁぁ、どうしよ……」

 

 頭を抱えながら、アタフタと歩き回る私……もう夜としては少し遅い時間帯、こんな時間に中学生レベルの少女が夜の街を彷徨っているのは少年法的にもヤバい。

 

 だが、そこに響いた女性の声……

 

「こんな時間に、何してるデスカ?」

 

 声に気付いて振り返ると、そこに立っていたのは……物凄く見覚えのある、金髪ウェーブの女性だった。

 

──────────

 

「こっちの荷物は何処に?」

 

「アッチにRefrigerator(冷蔵庫)アリマス、他は向こうの棚に……」

 

「はーい」

 

 頭を抱えて途方に暮れていた私に声を掛けた金髪ウェーブの女性……それは渡米した時に知り合った「スワンさん」だった。

 あの場所は高級タワーマンションの駐車場のすぐ近くだったらしく、そのマンションに住む彼女が私の姿を見付けて声を掛けたと言う訳だ……

 

 彼女との出逢いは、闘病の為に渡米した時……当時、まだ英語に慣れてなかった私に宛がわれた通訳の方が、ロボットを使った空港テロに巻き込まれて負傷……GGGアメリカと地元警察の合同作戦でテロ事件は解決したものの、通訳を失った私の通訳代行として彼女が代わりを勤めてくれたのがきっかけだった……

 当時はGGGと聞いても記憶は戻らなかったが、彼女と過ごした数日間は今でもしっかりと覚えている……2年前とはいえ、彼女も私を覚えていてくれたのは不幸中の幸いだ……

 

 ……彼女がGGGの重要メンバーでなければ。

 

「シオンがもう日本に戻ってたとは驚きデシタ、あの病気は……」

 

「……私も良く分かんないんだけど、気が付いたら完治してたの」

 

「Oh……そうだったんデスカ、それは良かったデス♪」

 

 あまり突っ込んで欲しくないので、取り敢えず有耶無耶にして誤魔化す……宿無しという事情を話して家にお邪魔する……スワンさんは料理が苦手なので、私が夕食を作る事になった。

 元から天涯孤独なのはスワンさんも知っていたので、このまま家に居て良いと言われたが……今の実情からGGGにかなり近い彼女の厄介になるのは、崖っぷちに立たされた気分なので丁重にお断り……しようとしたのだが……

 

「シオンは……ワタシと居るのは、嫌デスカ……?」

 

 ……っ……そんな顔しないで下さいよぉ……

 

 私だって、こんな運命じゃなきゃ()()()()に飛び付いてますよ?!

 苦手なスワンさんの代わりに料理するのも嫌いじゃないし、前世のままだったらこの(つて)でGGGに入る事も考えましたよ! ええ、今の状態じゃなければ絶対にね!!

 

「……ごめんなさい、スワンさん」

 

──────────

 

 翌日、仕事に出るスワンさんを見送った後……一宿一飯の恩義を返すべく、私は普段手を出せそうにない場所をメインに部屋を掃除し、最近良く見られる自動調理器を使った簡単な料理のレシピをノートに書き留め、心配されないように服を幾つか買い揃えてマンションに戻り……彼女の帰りを待つ傍ら、原作2話目を思い出していた。

 

(確か、プロレスの悪役レスラーがゾンダー化させられるんだっけ……名前は……)

 

 そう思いながら、掃除中に偶然見つけたプロレスの屋外試合の案内チラシを見る……そして、その名前を見つけてしまった。

 

「……ッ……ボンバー死神……やっぱり、運命からは逃げられないのかな……」

 

 会場はさほど遠くない市街エリアの一角……ゾンダーの感覚なら、十分感知できる範囲内だ。

 

(何も言わないで出ていってごめんなさい……また会ったら、ちゃんと謝るから……)

 

 最後に、レンジで温め直して食べられる食事を作り置き……出ていく旨を書いた書き置きを置いて部屋を出ていく……昨今は「女性専用マンション」などセキュリティの厳しい物が多いが、()()()()には、何の障害にもならない。

 

 私は急いで中心街から離れる……だが、この先に待っていた「ある展開」が……私の運命を決定付けるとは、夢にも思っていなかった。

 

 

 その日の夜、プロレスの野外試合の最中……ボンバー死神が原作通りゾンダー化し、これをガオガイガーが撃破……その時に受けたダメージで獅子王凱は再起不能寸前の深刻なダメージを受けてしまう。

 それも原作通りの展開……だがこの時、私は海の見える風力発電所エリアでぼーっと夜の海を見ていた。

 

「……そろそろ、終わった頃かな……酷いね、私……人間であることを捨ててその気になれば、ゾンダーを全て支配下に置いて地球侵略を止められるのに……」

 

 ゾンダーを支配下に置く……私が人であることを辞めてしまえば、奴らを手懐けるのは容易い……しかし、私は機械生命体であると同時に、地球人でもある……どうしても、その一歩が踏み出せない、それは()()()()()()()()……ヒトである故に、私は恐怖心に駆られて「逃げる」という選択肢を取ってしまっていた。

 

(……しょうがないじゃない……怖いものは怖いよ……!)

 

 鬱憤を晴らすかのように海の方へと小石を投げ放つ……その直後、大地と空に無数の金属反応をキャッチ……さらにその数を上回る生体反応……そして、大人数の大人に追いかけ回される少年を見つけてしまった。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 見ず知らずの少年……そして、彼を追い掛ける大人たち……こんな時間にこんな場所を彷徨っている私が言うのも何だが、非常識すぎるわねどっちも!!

 

「君! こっちへ!!」

 

 深く考える間もなく、私は咄嗟に少年へと声をかけてしまった……当然、大人たちの視線もこちらに向く。

 

 何をやっているんだろうね、私は……他人の奇異の目から逃れる、ゾンダーから逃れる、死の危険から逃れる為に孤独を選んだのに……でも、見てしまった……理不尽な状況に憤ってしまった……声を掛けてしまった手前、もう後戻りなど出来ない。

 

「……お、お姉さん?!」

 

 特徴的な髪型の少年を庇いながら、私は機会を伺う……大人たちが手に持っている銃……能力を使えば、混乱に陥れるのは容易い……しかし、この少年にエゲツない光景を披露する羽目になる為、それは避けたかった。

 

(……これ、声かけたの間違いだったかなぁ……)

 

 ジリジリと詰め寄られ、大人たちの包囲網が徐々に狭まっていく……「何も心配はいらないよ」「私達は怪しい者じゃない」とか言ってるけど、この状況でそんな言動が子供に通用すると思ってるの?

 

 よっぽどその立場に自信があのだろうが……私から言わせれば「大馬鹿者の集団」としか思えない。

 

(こんな状況で怪しくない発言自体が怪しさ爆発です……墓穴も良い処ね……っ!?)

 

 その思考によって出来た一瞬の隙を突かれ……私は背後から羽交い締めにされてしまい、少年も大人たちに捕まってしまう。

 

「やだぁぁぁぁぁ!? お姉さん!! 怖いよぉ!!」

 

「ちょ……大の大人が寄って集って子供に乱暴する?! 普通じゃないわねアンタ達、離しなさいよ!!」

 

「助けてぇ!! お父さん!! お母さん!!」

 

 少年の悲痛な叫び……次の瞬間、少年の声と共に発せられたエネルギーの波動が、私の恐怖と防衛本能に突き動かし、大の大人数人をまとめて弾き飛ばすのだった。

 

「嫌だァァァァァァァ!!!」(キュィィィィン!)

 

「離せってぇの!!」(ブォォン!)

 

 私を押さえ付ける5人のうち、大人3人をまとめて背負投げの要領で投げ飛ばし……呆気に取られた残りの2人を、衝撃波を纏った両腕で薙ぎ払う。

 

 直後、少年の額に浮かぶ()()を見てしまい、私の背後に死の恐怖が舞い降りた。

 

ズゥゥゥゥゥゥン……!!

 

 地響き……背後、それも直近に降りてきた「恐怖の根源」……私に引導を渡すべく飛来したのは、先日あの都庁を襲った馬頭ロボに果敢にも立ち向かっていた、あの白いライオン……

 

 ガオガイガーの中核となるメカライオン……ギャレオンだ。

 

 そして、私が大人たちの非道から救おうとしていた少年こそ……私に死を(もたら)す元凶にして死神……Gストーンの使者、天海護だったのだ。

 

 またしても予想外……いや、これは完全に私の凡ミスかな……

 

 良く見ればこの子は他に類を見ない特徴的な髪型だし、こんな時間に一人で出歩く、況してやレスラーが変貌した敵とガオガイガーが戦った()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()といえば……彼以外にありえない。

 

「……ったく、これで大人しくなれよ!!」

 

「……?! しまっ、あがぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 公務執行妨害と判断されたのだろう、突然の死神の登場に呆けていた私は、大人たちにスタンガンを当てられてしまい……咄嗟の事で防御できずに意識を完全に飛ばされてしまった。

 少年……天海護が私の声に気付き何か言ってた様だが、ギャレオンに連れて行かれてしまう……気絶した私も、彼と別ルートでGGGの基地へと連行されるのだった。




良く見ると、原作の2~3話って同日内なんですよね……

なので、まとめる為にこちらも前後編に分けました。
次回予告と勝利の鍵アンケートは(前後編の場合)ありません!
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