狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
東大を目標に重力子爆弾で狙撃する為、江東区の埋め立て地に突如出現した迫撃砲ゾンダー。
ディバイディングドライバーを使う為ガオガイガーは構える……が、シオンが敵ゾンダーの移動手段がネット回線を利用したものであると気付き、フィールドを作る前に移動されたら予測地点の選定からやり直す事になる為、此処で仕留めなければ逃げられた場合最悪、次が間に合わなくなる。と指摘……
幸い避難誘導は短時間で終わった為、ガオガイガーと超竜神は何としてもこの場で重力子爆弾の発射を阻止する為、已む無く戦闘フィールド形成無しで攻撃を慣行した。
『隊長! 今ですッ!!』
超竜神が射撃を続けながらゾンダーの動きを鈍らせる……超竜神の攻撃そのものはゾンダーバリアに弾かれてはいるものの、何もしていない時よりはゾンダーの挙動を確実に鈍らせている。
フォンフォンフォッ……ギュルルルル!!
『うぉぉぉぉッ! 《ブロウクン・マグナム》ッ!!』
ズドォッ! ギュルルルル…… ゴシャァンッ!! ……ュルルルルガシュンッ!!
赤熱化したエネルギーを纏う己の右腕……高速回転する肘から先を敵目掛けて射出し、敵ゾンダーのバリアシステムごと横からボディを貫いたガオガイガー。
Gストーンから得られる莫大なエネルギーで右腕を覆い、ロケットパンチを繰り出す『ブロウクンマグナム』。
その威力はゾンダーのバリアシステムごとボディを撃ち貫く破壊力を持っている……のだが。
ぞるるるっ ずりゅりゅりゅっ ギュウンッ
『なにっ?!』
《迫撃砲ゾンダーの再生速度は、これまでの比じゃありません?!》
ブロウクンマグナムによりバリアシステム諸とも破壊された筈のボディ構造が、ものの数秒で完全再生を終えた……これまでも高い再生能力を持つゾンダーは何度も相手にしたが、ブロウクンマグナムで貫かれた痕を5秒以内*1で再生する敵は今まで居なかった。
『クソッ、ならば中枢を……!』
大砲ゾンダーの正面へと水平移動するガオガイガー、だがその足元が不意に歪み始める。
『ッ?! ガオガイガー! 足元ですっ?!』
シオンの警告も僅かに遅く……地面から何本もの黒い触手の様なモノが蠢きながら生え、地上から飛び上がった直後のガオガイガーの足に絡まったのだ。
『?! コレは……ぐぁぁぁぁッ!?』
『隊長ぉッ?!』
大砲ゾンダーは自身の土台部分……半埋没した基部と繋がったケーブルを操り地上へと放出、ガオガイガーを絡め取り更に電撃攻撃で苦しめる。
《恐らくあれはインフラ用に敷かれた高圧電流のケーブルじゃ……奴め、周囲のインフラからも電力をかき集めておるのか!》
『クソッ、隊長を放せぇ!!』
『ぐぅッ……うぉぉぉぉぁぁぁあッ!!』
超竜神の援護射撃を貰いつつ、電撃に苦しみながらもガオガイガーは、スラスターと脚部の反動で全身を振り回し、ケーブルの拘束から脱出……ようやく大砲ゾンダーの正面上空へと移動。
ヴォンヴォン ヴォンヴォン……
《重力子弾頭は既に装填済みの模様! 発射まであと20秒切りましたッ!!》
刻一刻と迫る
『……こうなったら、一か八かだ……ッ! シオン!!』
『はいっ! 黄道より我が下へ……来たれ、
満を持して搭載された「Zコア・ドライヴ」により、転送用のエネルギーまでも自前で確保できる様になったダイキャンサー……遂にアーマロイドとして完全な稼働を実現し、召喚に応じて自ら虚空に転送陣を描き、指定座標へと空間転移してくる。
『アーズド・ツール、《ギガンティック・アームズ》ッ!!』
バシュッ ガゴォン ヴォンッ……ガシュンッガシュンッ!
『ゾディアーツ・コネクト!!』
調整と完成に併せ、拡張性の確保に応じ改めて設定されたコマンドワードを叫び、ガオガイガーの両腕がギガンティックアームズへと入れ替わる。
《発射まであと10秒!》
『ヘルッ! アンド・ヘヴンッ!!』
《9、8、7……》
ギガンティックアームズを装着し更に変形させ、シザーズ・H&Hの体勢を取るガオガイガー。その間にも無情にカウントダウンは続く……
『ゲム、ギル、ガン、ゴー、グフォ……』
《6、5、4……》
『ハァァァァァァッ!!』
『ガォォォォォンッ!!』
凱とギャレオンの咆哮が重なり、大砲ゾンダーへと突き刺さる……その直前、護くんが何かに気付いた様に叫んだ。
「ッ?! ダメだ凱兄ちゃん! ソイツのコアは……ッ!?」
《3、2、1……!》
ボフッ……ドゥオォォォンッ!!
僅かな無音の時間、そのすぐ後に大爆発が発生し、眩いばかりの巨大な光球に包まれたガオガイガー……遠巻きに戦況を見守っていた一般人の誰もがゾンダー撃破を確信し、歓喜の声を上げる中……小さな気配が1つ、密かにその場を離れていくのだった。
東京の某地下部……そこにはパスダーと幹部ゾンダリアン4人が勢揃いしていた。
「如何にあの黒いロボット、ガオガイガーが強くとも……裏切り者が我々の想定を超えようとも……この作戦で生み出したゾンダーロボが造り上げる二重の罠を破る事は、決して容易ではありません」
最初に語り出したポロネズ……その言葉に続くようにプリマーダが付け加える。
「あの裏切り者は奇妙なほど我々に近い……しかし彼奴の想定を超えたこの罠に嵌めてしまえば、対処も困難を極めるでしょう」
ペンチノンの目が怪しく光り、更に続ける。
「ウリィィィィイ! ガオガイガーとあの小娘、如何に奴等が我々の予想を超えようとも……太陽やブラックホールに匹敵する強大な力には敵う訳がありません」
最後にピッツァが繋ぎを締める。
「そして奴らの戦力の中核と、我々の想定を超えてくるあのイレギュラーさえ居なくなれば……後は我々の手でゆっくりと、機界昇華を進めるだけです」
《フフフッ、よくやったぞ四天王よ。カインの遺産、そしてあの裏切り者を同時に下す事が出来れば……正に今こそ、我々の勝利の時……期待しておるぞ》
薄暗い地下の狭間に、パスダーの合成音声が木霊する様に響くのだった。
そして戦闘現場……決死の覚悟で「シザーズ・
《……変です、これは……ただの爆発ではありません! 素粒子Z0、そして未知の放射線を観測……これは……!?》
《何ぃッ?! まさか……!!》
《ガオガイガーは……?!》
『ま、まさか……コレって……?!』
本部からの通信に、私はガオガイガーの方へ各種センサーを向ける……その直後に得られたデータに、私は驚愕するしかなかった。
『未知の放射線は
それこそ、原作で超竜神を限界ギリギリまで疲弊させ、已む無くゴルディオンハンマーを使うしか無かった敵の策略。膨大なエネルギーによる太陽の如き光と熱量の檻……通称「グランドノヴァ」と呼ばれる現象が起きていたからだ。
《……スペクトル分析完了、内部温度は6000度超えています》
《博士、あのグランドノヴァは……?!》
《
恐らく敵の目的は、ガオガイガーを倒すだけでは無い筈じゃ……!》
あれだけ攻撃しても反撃がケーブル拘束からの電撃程度しかして来なかったのは……この為の布石だった訳だ。砲撃そのものに利用する膨大なエネルギー蓄積反応を隠れ蓑にして、私やガオガイガーのセンサーをグランドノヴァの下準備から逸らす……完全にしてやられた形である。
『待って……じゃあ、あの重力子爆弾は……?!』
《Oh no?! 戦闘エリアから、高速で離脱していく物体を確認……?!》
《重力子爆弾、予定の弾道から外れて……落着予定地点は……こ、皇居付近ですッ?!》
コレはさすがに不味すぎる! 皇居周辺といえば
『ダメだ……そんな事になったら、
居ても立っても居られず、私はすぐさまスティレットを展開……戦闘エリアから飛び去っていく重力子爆弾に追い縋る……
安全に処理するには上空にある今の内に破壊するしかない為、射程内に捉えてすぐ60mmガトリングガンやハンドミサイルを全力でばら蒔く。
《No!! シオン近すぎデス! 重力半径から離レテ!!》
『コレでも射程距離ギリギリなの! それにこのスティレットじゃないと追いつけない……!』
空中での速力は、スティレットと他の「
現状で最高火力を出せる轟雷は飛行不可能だし、次点のゼルフィカールでも加速力不足で追い付けない……今現在最も高い飛翔能力を持ち、唯一この速度と距離を維持できるスティレットで何とかするしかない。
『あと少し、あと少しなのに……!』
だが、重力子爆弾を臨界突破に導ける火力をスティレットでは出せない……現状装備されているガトリングやミサイルには、爆弾の内部にまで影響を与える程の攻撃力は無いのだ。
(こうなったら……ッ!)
飛翔する弾頭を一度追い抜き、反転して「スティレット」から「ゼルフィカール」へと換装……全砲門を弾頭へ向け、一斉射撃の準備をする。
《イカン!? 稀星くん、僅かでもタイミングを逃せば離脱出来なくなるぞ……! 止めるんじゃ?!》
(事前に爆発のタイミングさえ掴めれば、ゼルフィカールの速度でも離脱くらいはできる筈……!)
重力縮退反応に最大限の気を付けつつ、トリガーに指を掛ける……直径500mの痕跡を遺すブラックホールなら、重力半径も相応に小さい筈だ。
だが、一斉射撃のトリガーを引くと同時に……私の背後に凄まじく嫌な気配がした。
(ッ!? 後ろ?! しまっ……!?)
横槍に気付いて振り向いたタイミングと、私の攻撃による重力縮退反応の臨界点突破が悪い偶然の如く完全一致……ゼルフィカールの全速を以てしても離脱の叶わない距離で、空間に漆黒の穴が穿たれる。
《Oh my God……シオン、そんな……ッ?!》
《な……何と言う事だ……!》
《クソッ、あのバカ娘……ッ!!》
《まさか、こんな事になるなんて……》
《……凱……、稀星くん……!》
《……嘘よね、凱……シオンも……嫌ァァァァッ!!》
《凱兄ちゃん……シオンさん……!!》
時間にして僅か10秒弱……空間に穿たれた漆黒のソレは、私の意識ごと
ギィィィッ!! ドォォォンッ!!
寸での処で消え去る直前の黒い穴に両の鋏を翳し、その身を満たす莫大なエネルギーを注ぎ込むエメラルドグリーンの巨体……
《アレは、いつの間に……!?》
総重量700トンオーバーの筈の巨体が突然中空に現れ、
《博士! 何故あんな事が……》
《……理論上だが、ブラックホールに投入される質量が適切であれば消滅する事無く、重力半径の維持ができるとされておる。
恐らくダイキャンサーは自身のエネルギーを質量に変換してこの奇跡のバランスを確保し、自身の空間制御能力を以て事象の地平面に干渉、あの人工ブラックホール現象が消滅しない様に維持しておるんじゃ……
しかし、一度ブラックホールに引き込まれたものは……喩え光の速度を以てしても、脱出不可能のはず……》
グランドノヴァに飲み込まれたガオガイガー、そして人工ブラックホール現象に飲み込まれたシオン……
絶体絶命の2人を救出する方法は……果たしてあるのだろうか?
グランドノヴァの件は強引ですが、ちゃんとハンマー活躍をやらせたいので慣行……
なお、シオンの方は
……って、こんな終わり方ある訳無いでしょ! 続きますよ?!
「黄道十二星座以外の星座」もアーマロイド(扱い)で良い?
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良い。そして活躍も期待
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悪い。しかし活躍は期待
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良い。しかし活躍は控えて
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悪い。つまり活躍もしない