狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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さて、前話で無事にブラックホールから脱出してきたシオンちゃん。
……その頃、護くんが何をしていたのか……

フラグ的なヤツがあるかもしれませんなぁ……見てみて下さい。
なおタイトルの関連性とか、原作通りだとかその辺りは意図的です。



……次回予告作るのを(すっかり忘れて)めんどくさがった訳ではない、決して。



第34話 滅ぶべき右腕・乖(その頃、護くん達は?他)

 ガオガイガーがグランドノヴァから脱出してくる少し前……護はボルフォッグと共に、グランドノヴァを作り出しているゾンダー核の捜索に出発していた。

 

 東京の地下には、洪水や大雨による浸水被害を軽減する為の……巨大な地下空洞が整備されている……護は己のGパワーセンスにより、その地下空洞にゾンダーが潜んでいる事を突き止め……ボルフォッグの護衛の下、慎重を喫して捜索しているのである。

 

『……では、あのグランドノヴァを作り出しているゾンダーの核だけが、この地下に潜んでいると?』

 

「うん……反応は2つあるけど、多分あのグランドノヴァのコントロールで手一杯なんだと思う」

 

 2つの反応……ボルフォッグは前回取り逃がしたハッキングゾンダーの件を思い出し、納得する。が、ボルフォッグはゾンダー核が2つとも動かない事に疑問を感じていた。

 

(いくらグランドノヴァの制御で手一杯だとしても、コア2つをその様に利用する必要性は無い筈……何らかの罠を張っている可能性がありますね)

 

 慎重に歩みを進める2人……その時、ボルフォッグは空間的な揺らぎを感知する……揺らぎ自体はすぐに収まったが、ボルフォッグは直後のデータに驚愕せざるを得なかった。

 

『こ、コレは?! GPSデータを書き換え……いや、この反応は……』

 

 ボルフォッグのGPS位置情報が、揺らぎの観測前後で明らかに違っていたのだ。それもただ移動しただけで……しかし、ボルフォッグは勇者ロボ。Gストーンを動力とする為、直接的に得ているデータを改竄するなどほぼ不可能であり、仮にゾンダーが接近していたのであれば護少年が警鐘を鳴らす筈である。

 慎重に護をその手に抱え直し、ボルフォッグは再び元来た道を歩いて戻る……

 

 すると先程関知した揺らぎを再び感じ、GPS位置情報が書き換えられる……いや、書き換えられたのではなく、数値的にズレた位置を補正する様な変化を起こしていた。

 

「ど、どうしたの? ボルフォッグ……?」

 

 物理的な接触もなく、特定の場所をただ移動するだけでズレる様に位置情報が変わったのなら……考えられる事は1つ。

 

(どうやら、この地下空洞の通路は空間ごと入れ替えられて……迷路と化している。しかも区切りを越える度に、毎回違う場所へと転移させられる様ですね……)

 

『護隊員、私から離れないで下さい……此所は既に、敵の罠の中の様です』

 

──────────

 

 それから40分以上が経過。ボルフォッグと護の地下捜索は難航を極めていた……それもその筈、何者かの干渉により地下空洞の通路は迷宮と化しており、行けども戻れども違う場所へと飛ばされ、脱出すらも儘ならない状態なのだ。

 

 慎重に歩を進めるボルフォッグの頭に浮かんだのは、いつぞやかに姿を見た……水兵の様な外見のゾンダリアン。ヴァルナーの件に遭遇したシオンからも奴の目撃報告が上がっており、ボルフォッグ自身も、護の護衛の際に遠目から何度か目撃していた……

 

(転移先の法則性も掴めない、流石ですね……この罠を張ったのは、恐らくあの時のゾンダリアンでしょう……何か、攻略の糸口は……ッ?!)

 

 ヴォォンッ! ギュルル!

「うわぁっ?!」

 

 何とかして迷路の攻略法を読み解こうとし始めたその時、地上で凄まじい重力異常が観測され……ボルフォッグは護を保護する為に両手足のタイヤを接地、いつぞやでも使用した高速移動でその場を離脱……直後に天井の一部が崩壊し、九死に一生を得た。

 

(この重力異常……地上で何かあったのかもしれません)

 

『……大丈夫でしたか? 護隊員』

 

「う、うん……ボルフォッグは?」

 

『私は問題ありません……ですが、この先が通れなくなりました。ルートを見直す必要があります……』

 

「う~ん、ゾンダーは近いと思うんだけど……何だか遠くにも感じるんだよね……」

 

『……どういう事ですか?』

 

「1つは移動する度に場所がちょくちょく変わってるんだ……すぐ近くに感じるのに辿り着いてる気がしない……でも、もう1つは感じ方が遠いけど、匂いみたいに気配が漂って来てるんだ……多分、迷路になってる事と何か関係があるかもしれない」

 

 常に変動する迷路を攻略するには、何かしらの指標が必要になる……護はゾンダー核の反応の1つが、匂いの様に漂って来ると感じていた。ならばいっそ、その気配を辿る方が良いのかもしれない。

 

『……成る程、では一度……試してみるとしましょう。護隊員、漂って来る方の指示をお願いします』

 

「うん、この先からだよ!」

 

 複雑に入り汲んだ迷路……しかし、護はゾンダー核の気配の先を追い始め、順調に道を進むボルフォッグ……すると護達の前に、2つの黒い何かが飛び出してきた。

 

『……ムッ?!』キキィッ!

 

 キュックルゥゥゥ! シャアァァァ!!

 

「え……ヴァルナー? でも、背中にあんなのは……」

 

『彼等は、ピスケガレオン……稀星隊員が従えている自律稼働型のメカです。そう言えば、あのタイプは物理的な障害を無視して移動できる能力が有りましたね』

 

 天井をすり抜け、能力で水面に見立てた床から顔を出すピスケガレオン2体……停止したボルフォッグから降りた護は、そのそっくりな外見にヴァルナーと見間違えてしまった。

 

「……もしかして、あの時助けてくれた……?」

 

 ピスケガレオンの名に聞き覚えのあった護は、過去に深海へと連れ去られた時の事を思い出した。イルカ型がその言葉に反応し、護の体に顔を擦り寄せてきた。

 

「うわっは~♪ やっぱりそうだったんだ! あの時はありがとう」

 

 シャアァァッ! キュイィィッ!

 

 サメ型の声に呼ばれてイルカ型は護から離れ、2体は揃ってボルフォッグの前の壁に飛び込み、再び顔を出す。その壁面は波打つ水面の様に揺らいでおり、イルカ型が呼び込む様にボルフォッグを見ていた。

 

「……もしかして、ゾンダーの所に案内して(ショートカットさせて)くれるのかな?」

 

『その様ですね……彼等の能力を借りれるならば、この迷路の攻略も容易になりそうです』

 

 護はビークル形態となったボルフォッグに乗り、シートベルトを確認したボルフォッグも発進……ピスケガレオンの造り出した波打つ壁面へと突入し、迷宮をショートカット。

 ピスケガレオンもボルフォッグの動きに合わせ、護の感知能力が示す先の壁を次々に揺らぎ波打つ壁面へと変えていくのだった……

 

──────────

 

「ウィィ? この反応……迷路を強引にショートカットしている、あの紫のロボットにはそんな芸当など出来ない筈」

 

「ポロネズの報告にあった裏切り者のメカか……確か、サメとイルカは地形を無視して移動してくると……ムッ!?」

 

 

『前方にバリアー確認、分解します……《メルティングサイレン》!』

 

 ファンファンファン……!

 

 ボルフォッグには、様々な状況に対応するべく、特殊な機能が多数内蔵されている……

 この【メルティングサイレン】は、ギャレオンの持つ咆哮でゾンダーバリアを分解する機能を参考に開発されており、特殊な波長の音波とエネルギー振動波でゾンダーのバリアーを分解し一時的に無効化できるのである。

 

『ウィィィィ! やはり現れたな、紫のロボット』

 

『ゾンダリアン?! 護隊員、ピスケガレオンの方へ!』

 

『あの子供も一緒か、ならば飛んで火に入る何とやら……!』

 

 ペンチノンの思わせ振りな台詞に、一瞬気を取られるボルフォッグ。その一瞬の隙を突いてピッツァが物陰から飛び出し、護を狙う……だが、護の側には()()()()()()が居た。

 

『貰ったァッ!!』

 

 ガキィンッ!!

 

『ック……貴様等……!』

 

 キシャアァァァ!!

 

「うわっは~♪」

 

 サメ型のピスケガレオンはピッツァの動きを読み切り、爪の攻撃を強靭な自身の尾で叩いて阻止……護の回りを泳ぎ回りながら威嚇の声を上げた。

 

『ピッツァの攻撃をああも簡単にいなすとは……』

 

『隙あり、です! ダブル・ブーメランッ!!』

 

『ウィィィィ?!』

 

 キシャアァァァ!!

 

 ボルフォッグに隙を突かれ、ピスケガレオンとの即席連携攻撃でダメージを負うペンチノン……しかし、そこはさすがにゾンダリアン。すぐに体勢を立て直しダメージも回復される……そして更に……

 

『今度は付いて来られまい!?』

 

 キュルル?! キュイィィッ!!

 

「うわぁぁぁぁっ?!」

 

 イルカ型もやらせまいと必死に喰らい付こうとするが、先程よりも更に加速し音すら置き去りにするピッツァの速度にはさすがに対応しきれず、護の至近距離に接近を許してしまう。

 

『?! 止めろピッツァ! その子供は……!?』

 

 キィィィン ぶわっ……!

 

 護のすぐ近くまで迫ったピッツァの攻撃に、防衛本能から咄嗟にGパワーを開放……緑色の衝撃波が空間を伝播し、ピッツァを吹き飛ばす。更に……

 

『ぐあぁっ!? こ、この光は……?!』

 

「……っ?! ……、……」

 

『……何という事だ……これでは作戦の意味すら、ウリュゥゥゥ!』

 

『仕方あるまい、出直すぞ……!』

 

 悔しさを滲ませる捨て台詞と共に撤退するペンチノンとピッツァ……一瞬だけとはいえ、護を殺せると錯覚してしまった……が、実際は護の防衛本能から発せられたGパワーによる手痛い反撃を受け、襲った側である筈のピッツァの方が片腕を消し飛ばされ、撤退を余儀なくされてしまう結果となったのであった。

 

──────────

 

 ブラックホールからの脱出劇に半ば思考停止していたGGGだったが、プライヤーズの到着により全員回復……残されたグランドノヴァを消滅させるべく作戦が始まった。

 

『あれは、Gツール……!(ふぅ……大事なイベントには間に合った訳ね)』

 

 プライヤーズによって空輸されてきたGツールを見て、シオンは内心……物凄く安堵した。

 

──────────

 

 やはりこのGツールでなければ、グランドノヴァと……内部にあるゾンダーメタルプラントを何とかする事は出来ない。大河長官もそれを理解しての承認だろう……だが、せっかく整備を済ませた訳だし、凱さんに余計なダメージを与えたくはない……ここは私の出番だろう。ダイキャンサーの腕なら、想定外とはいえ耐えられる筈だ。

 

 そう思い、私は機能停止寸前のダイキャンサーに触れ、再起動を試みる……勿論、博打や根性論ではなく、ちゃんとした仕様による回復手段。私と直接接触している間、アーマロイド達の回復力は劇的に引き上げられ、コア以外が破片と化していようとも……2分もあれば完全回復だ。

 全身に細かな損傷や駆動系の機能不全が目立つ状態だったが、幸い中枢機能自体は無傷……無茶をした反動による駆動系のダメージや外部の損傷はものの数秒で回復しきり、エネルギーもコアの活性化で回復の目処も立った。

 

『凱さん、ダイキャンサーの腕を使って下さい……多分、そのままGツールを使うと……また整備班の皆さんを泣かせる事になりそうなので』

 

『……え? あぁ、うん……そんなにか?』

 

『そんなに、です! あの人達にまた3徹や4徹させる訳には行きませんから……!』

 

 何だか釈然としない様子の凱さんに、ダメ押しの如く理由を追加する……実際、初戦後のガオガイガーの補修やらでも整備班の皆さんは2~3徹していたらしく、私がメンタル含め身体のケアを始めるまでは彼等全員、取れない目の隈で奇妙な統一感すらあった程だ。

 

『あ~、うん……分かった』

 

 なお、整備班の連徹というリアルな情報を聞かせた直後……凱さんは何とも言えない表情で理解してくれた。防衛組織なのに労基に訴えられるのはシュール過ぎるからね……

 

──────────

 

 ギガンティック・アームズを装着して、ガオガイガーはGツール……ゴルディオンハンマーを握る。

 

 ゴルディオンハンマー……正式名称、グラビティ(重力)ショックウェーブ(衝撃波)ジェネレーティング(発生)ツール(装置)。発生させた重力場の中で空間振動波……つまり、物体を貫通する重力衝撃波を生み出し、対象の分子構造そのものを空間ごと超振動させて組成崩壊へと導きつつ、エネルギーや物質そのものを光の粒子へと変換してしまう恐るべき発明である……

 

 繰り出されるその圧倒的破壊力は、試算の段階で物理的な妨害はほぼ意味を成さない究極の攻撃……故に厳重な封印が施されており、その解除には内閣総理大臣の承認が必要。手続きの簡略化や必要時の緊急性を考慮し、渡されていた承認キーを大河長官が懐から取り出した。

 

「ゴルディオンハンマーァァ! 起動ォ! 承認ッ!!」

 

 黄金に輝く封印解除キーを機構に挿入し、解除キーを回す……2重の機構ロックの1つ目が外され、ガオガイガーのメインオペレーターである命の座るコンソールが一部変形……内部機構により、専用アクセスモニターとカードスリットが姿を現した。

 

「了解! ゴルディオンハンマー……封印機構(セーフティデバイス)解放(リリーヴ)ッ!!」

 

 コンソールの変形終了を確認し、命もカードキーを上着の内ポケットから取り出し、変形で出現したモニター脇のカードスリットに、黄金に輝く封印カードキーを台詞に合わせて通す。

 

 ピンポン♪

 

 一見不釣り合いな効果音が流れるが、この音はカードキー認証と声紋が一致したからであり、この音……実は鳴らなければいけない超重要な効果音なのである。

 

 その音を皮切りに画面が目まぐるしく切り替わり、封印状態を表示していたモニターの映像がひび割れたグラフィックと共に割れ……封印解除と、ハンマー機構の発動状態を示す画像へと切り替わった。

 

──────────

 

『よし……プライヤーズ、離れてくれ』

 

 ゴルディオンハンマーをプライヤーズから受け取り、元の腕より少し大きい右腕(ギガンティックアームズ)でハンマーを掴む。ガオガイガー専用に造られたこのツール……ゴルディオンハンマーは正真正銘、獅子王麗雄博士とGGGの研究スタッフが造り上げた地球製技術最強のツールであり、その力は原作でもあらゆる敵が警戒、または逆利用しようとする程に強力であった。

 オリジナルはジェネシックの五指【ゴルディオンネイル】であるが、麗雄博士達はその機構を純粋な地球の科学力で完全再現……サイズこそ大幅に巨大化してしまったが、それによって破壊力では模倣元を遥かに上回る物を創造したのである。

 

『……ゴルディオン、ハンマーァァァ!!』

 

 空中でハンマーを構え、振り下ろす動きを始めると同時にスラスターを全開……グランドノヴァの最上部へと突撃するガオガイガー。

 

『うおぉぉぉぉぉ……!!』

 

 あらゆる障害を消し飛ばし、対象を光の粒子と化す究極の絶対破壊ツール……ゴルディオンハンマーが、グランドノヴァと……その中心で育ちきろうとしていたゾンダーメタルプラントを同時に消滅させていく。

 

《……此方、ボルフォッグ……護隊員によるゾンダーコア2個の浄解を確認。護隊員と私、途中合流したピスケガレオン2機……これより要救助者を連れて帰還します……》

 

 僅かに遅れてボルフォッグから、ゾンダーコアの浄解成功の報告が入り……グランドノヴァの完全消滅を以て、今回の作戦は完全終了となったのであった。




ようやく終了です……
ちなみに、ボルフォッグは護くんと捜索任務に出る前にちゃんと連絡を入れています。
分かりにくいですが、前話の大河長官の台詞にありますよ。

さて、次話は完全オリジナル回の閑話を挟み、いよいよゴルディマーグが初登場します。
教頭先生がゾンダー化するシナリオは、よく考えたら安直な策だし……ボツ?
シオンの援助にて、どんな風に魔改造が施されているのか……お楽しみに♪

次回予告


君達に、最新情報を公開しよう!

稀星シオン……
GGG最年少の医療特務官である。

大概的な彼女は医療現場に突如として現れた新星……
その経歴を買われGGGに招聘されたとなっているが、
実際に働く彼女には、様々な顔があった。


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第35話『稀星シオン(超越者)の憂鬱』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

次回、シオンちゃんの日常回……主にどのシーンが見たい?

  • 医療特務官としての業務
  • GGG勇者達とのふれあい
  • 護くんとの奇妙な繋がり
  • 彼女自身の㊙な私生活
  • こ、更新頻度を……
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