狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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命の危険を回避すべく、都市部から離れ1人夜の帳の中を彷徨う少女……
そこに1人の少年と、彼を追いかける多数の大人達が現れる。

理不尽極まりない状況に、少女は少年へ手を差し伸べるが
多勢に無勢となり、少年は大人達に捕まってしまう。

大人達への憤りと、少年の恐怖の感情に掻き立てられ
少女は自身の力の片鱗を開放……
直後に発せられた少年の力が、自身の存在を脅かすものだと思い知ってしまう。

そして、現れた死神……
白いメカライオンに連れられて少年は去り
自身もまた大人達に不意を突かれて気絶……
連行されるのであった


第3話 機械を操る少女(後編)

- Gアイランドシティ GGG本部施設 -

 

「……うぅむ、こりゃ凄いわい……!」

 

 眼前に並べられた多数のモニター、それを一つ一つ注意深く確認しながら部屋の主……獅子王麗雄は呟く。

 

 モニターに映っているのは、敵ロボのコアを人間に戻す力を持つ「件の少年」……

 その保護作戦の折に少年を庇い抵抗した少女の身体データだった。

 

 その内容は「世界十大頭脳」に数えられる彼の知る限り……荒唐無稽かつ筆舌し難いものばかりであった。

 

「……スワン君、彼女は2年前に大病を患っていた……間違いないかね?」

 

「Yes、ワタシがアメリカ支部に居た頃に知り合いましタ……闘病の為に渡米した時ニ、通訳がテロの被害者となって途方に暮れてたのを、ワタシが代わりを務めたのがきっかけデス」

 

 2年前といえば、地球外文明の産物である「ギャレオン」の発見や「謎の流星雨現象」……そして「獅子王 凱」をサイボーグ化するキッカケとなった「件のシャトル事故」の時期とも一致している。

 もしかしたら、彼女も2年前に何らかの出来事によってこうなったのではないか……麗雄はそう推論を立てていた。

 

「シオン……彼女は、今後……どうなるデスカ?」

 

 助手であるスワン・ホワイトに難しい質問を投げ掛けられ、麗雄の表情が複雑に歪む。

 

「彼女はおそらく地球外生命……その本人か、もしくは彼らによって何らかの改造を受けた被検体だ」

 

 その先を言わずとも、スワンの顔には軽く絶望の表情が見て取れる……

 

「彼女は近々、生命科学研究所の方へ移送する事になる……なにせ二度とお目に掛かれないであろう貴重なサンプル……しかも人間と見分けが付かん程完璧な擬態能力を持っておる。

 その上、彼女から得られるであろう情報は、ボクが見ただけでも()()()()()()()()()()()()()()()()()()程じゃからの」

 

 麗雄の言葉に、絶望の色を深めるスワン……だがしかし、麗雄の次の言葉は、科学者としての彼より、1人の人間としての言葉であった。

 

「だが、ボクは彼奴等(あいつら)に彼女は渡すべきではないと思っとる……曲がりなりにも、ボクの助手の知人だからね?」

 

 人道的配慮……それも身内の知人ならば、獅子王麗雄は「まず彼女が()()()()()()()()()を見極める必要がある」と思うのであった。

 

──────────

 

 その後、保護された謎の少年こと「天海 護」のボディチェックが終了した頃、GGGの監視システムが暴走機関車を捉え警報を鳴らす……

 その警報音に触発されたのか、別に運び込まれた少女もまた……意識を取り戻した。

 

──────────

 

(はぁ……不意打ちで気絶させられたのはまぁ、しょうがないとはいえ……この雰囲気、間違いなくここはGアイランドシティ、GGG本部施設内かぁ……)

 

 意識は覚醒したが、無用な混乱は避けたい……シオンはバイタルデータ検出の為に繋がれた医療機器を操り、非覚醒時のデータとすり替えながら現状把握に努めた。

 

(……研究部第1検査室、セキュリティレベルが高くてシステムクラックは無理ね……なら、素直に時を待つしか……ん?)

 

 警報音が鳴り響く……シオンは周辺の医療機器から現在時刻のデータを拝借し、状況を理解する。

 

(なるほど、あれからまだ数時間も経ってない……という事はこの警報、暴走機関車の奴ね……)

 

 少し騒ぎを起こせば、逃亡は十分可能だろう……しかし、それをやってしまえば、その後一生をGGGに追われる羽目になる……ココは大人しく、相手と何らかの取引をして放逐して貰う他無い……幸い、私がZマスターと同類だとバレる心配は今の所無さそうだし、人畜無害だと信じて貰えれば可能性はある。

 

(……スワンさん)

 

 ふと頭に浮かんだのは、今現在ココに勤めているであろう数少ない知人の存在……もし、可能なら彼女を通じて身の潔白を証言すれば、可能性は広がると思う。

 

 まぁ、信じて貰えるかは可能性次第なんだけどね……

 

 

 警報発令からそれほど間を置かずして、そう遠くない場所で「Gの力」を感じた……恐らく原作通り、護くんの能力による「Gストーンによる浄化と自己調整(のアジャスト)」が行われたのだろう。

 微弱だったサイボーグ……獅子王 凱の生体反応が目に見えて増幅し、ほぼ完全な状態にまで復活したのが感じられた。

 

(確か、この戦闘じゃコアの浄化が出来ないまま結局逃亡されちゃうんだっけ……?)

 

 原作を思い出しながら、状況整理と今後の予定を思案する……

 原作だと、市街地や住民の被害を抑える為に開発されたツール「ディバイディングドライバー」の初使用……そのままゾンダーの撃破には成功するけど、護くんの同行なしで撃破した為にゾンダーは逃亡……現場に同行できなかった彼は酷く落ち込むはず……可能なら、私がフォローしてあげれると良いんだけど。

 

 しかし、正体不明の存在……しかも現代科学を軽く超越した超科学文明「紫の星」で生まれ、同種体の暴走から逃れて地球へと落ち延び、現地人に紛れたという経緯……

 

(転生者だった私と、暴走を避けて落ち延びたZマスターが融合して今の私になったって話……荒唐無稽過ぎて誰も信じないわよね?)

 

 何かもう少し信じられる背景の昔話をでっち上げないと、友好関係で居られる筈がない……恐らく、私が人類とは違う存在だというのは既にバレているはず……

 

(……どう言ったら、信じて貰えるのかなぁ……?)

 

 私は結局、バイタルデータを偽装しながら気付かれないようにあらゆる機材を騙しつつ情報を少しづつ得ていくしかなかった……

 

 その僅かな偽装が、もう既にバレているとは知らないまま……

 

──────────

 

 それからの推移はもちろん原作通り……

 

 護くんのお陰で復活した凱は、ガオガイガーで暴走機関車ゾンダーと激戦を繰り広げる……だが、敵の攻撃を防御した際、僅かに逸れた流れ弾が市街地へ飛んでしまい、街はパニックに陥ってしまう。

 

 安全を確保しつつゾンダーを倒すべく、数日前に完成していた空間湾曲ツール「ディバイディングドライバー」の使用によって、戦闘フィールドの形成に成功……気兼ねなく戦える様になったガオガイガーは、暴走機関車ゾンダーの撃破に成功した……

 

 だが……護くんの能力による浄化が即時行われなかった為、コアは生物的な姿に変わり逃亡……

 敵は撃破したものの、敵ロボの発生原因を突き止める事は出来なかったのである。

 

 

「……さて、お前さんの身体は粗方調べさせて貰ったが……なぁに、別に変な事はしとらんよ

 少しばかり内部スキャンと血液、皮膚組織などのサンプルを幾つか取らせて貰っただけじゃて」

 

 私の目の前に座り、軽い口調でそう話すのは「世界十大頭脳」の1人にして、GGG研究開発の総元締め……そしてサイボーグ「獅子王 凱」の産みの親、獅子王麗雄博士だ。

 

「……じゃあ私がどういう存在なのか、もう知ってらっしゃるんですよね」

 

「うむ、確証は得てないがの……だが君の身体をスキャンしただけでも、人類とは比べ物にならん程の高度な科学力を用いて造り出されている事は分かっておる」

 

「……造られたんじゃなくて、変わったんですけどね」

 

「何じゃと?!」

 

 どうせ地球外の存在という部分も知ってるんだし、大元的な奴は濁して伝えるのも良いかと思い、私は打ち明けることにした。

 

「地球外生命体……多分、私は知らない内に身体を改造されてたんでしょうね……まぁ、ある程度の能力は把握してるんで、今更支障はないですけど……」

 

「シオン、貴女……それは本当デスカ?」

 

「記憶としては全く身に覚えないんだけど……

 経緯としてそう考えでもしなきゃ、現状にも説明が付かないし……一番違和感がなくて、私自身が納得できるから」

 

 尋問に同席しているスワンさん、麗雄博士も複雑な表情で考え込む。

 

 少々強引な手だが……地球外生命体の存在を知り、尚且(なおかつ)そういう存在の技術に触れた経験のある彼らだからこそ、有り得るという結論に行きやすい筈だ。

 

「疑問は幾つか残るが、その説以外に考えうる経緯はとんと浮かばん……一先ず経緯は考えんほうが良いじゃろて」

 

 ……第1関門は無事クリア……残るは私の立ち位置と、今後についてだ。

 

「……結局、私は今後どうなるんですか?」

 

「うむ、簡単な心理テストと身体機能のチェック……それと面談を受けて貰う。

 まぁ詳しくはその内容と結果次第……という訳じゃ」

 

 うぇぇ……やっぱりそうなるのね。

 

──────────

 

 その後、ゾンダー捜索が続けられている中……

 私は本部施設で身体機能のテストをさせられていた。

 

『まずは身体機能のテストじゃ……腕力、脚力、動体視力、反射速度、その他幾つかの項目別にテストを実施するぞい』

 

 目の前にあるのはゴテゴテに強化されたパンチングマシン……この形って確か2話でサイボーグ化した凱さんが殴ってた奴と同型かな?

 

「……、……フ~……ッ!!」

 

 ドムッ!!

 

 

 次に出てきたのはランニングマシン、これもさっきと同じ凱さんが……(以下略)

 

「…………♪~」

 

 タタタタタタタタタッ!!

 

 

 3つ目はバラエティ番組で出てきそうな複数の穴からピンポン玉が飛んで来るような奴だった。

 

「……ッ! よっ?! っとと…… わっ!?」

 

 

 その後も幾つかのテストが行われ、最後に出されたのは……

 

「……? コレって……」

 

『うむ、そのトランプを使ってピラミッドを作ってみてくれぃ』

 

(コレって、何のテストなんだろ……? まぁ、兎に角言われた通りにやるしかないか……)

 

 と、作業開始からものの10分ほどで8段くらいを組み上げてしまい、周囲からどよめきが起きる……

 

「この短時間で8段も組み上げるなんて……」

 

「凄い集中力と器用さだな……まるでロボットみたいだ」

 

 彼らにとっては何気ない一言だけど、今の私にはその言葉がズキッと来た。

 ……「ロボットみたい」……そうだ、今の私は半分がロボットなのだ……転生者とZマスターのハイブリッドヒューマン……世界を滅ぼしかねない存在を内包する私は、この先何をどうすれば良いのだろうか……?

 

 なお、このテスト中……原作通り護くんがゾンダーを見つけたものの逃げられ、彼も気絶……ほぼ原作通りに事が進み、結局ゾンダーの居場所は掴めないまま数日が経つ事になる。

 

 ちなみに私も、麗雄博士とスワンさんの監視下に置かれる事になり……結局寝泊まりもスワンさんの家に戻って来たのであった。

 

「シオンの手料理、また食べられるの嬉しいデス♪」

 

 監視下に置かれてる……んだよね?(;・ω・)




次回予告


君達に最新情報を公開しよう!

ゾンダーロボを撃破したものの、コアであるゾンダーは逃亡……
必死の捜索にも関わらず一向にその消息は掴めない。

だが、たった1人……ゾンダーの逃亡先を知り得る彼女は、
原作知識と知られる事なく居場所を伝えるべく奮闘する。

果たして、次なる戦いはどうなってしまうのか……?


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第4話『逃亡者ゾンダー』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

コレが(4話の)勝利の鍵だ!!

  • 上位種として探知能力を使い潜伏先を特定
  • 護くんの探知能力をフォローして援護する
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