狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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この話に対する次回予告が無いのは演出の都合です。



第42話 狂わされたものと、狂わなかったもの

 音波攻撃ゾンダーロボとの戦闘後、ボルフォッグからシオンの現状を聞かされたGGGは直ちにシオンを三式空中研究所へと収容。

 突如として機能を停止した原因を探るべく、徹底的な調査が行われていた……

 

「……父さん、シオンは何でこんな事に……?」

 

「原因については未だ不明としか言えん……だが、以前彼女は原因不明の頭痛に苛まれていた。それが何を意味するのかまでは掴めなかったが、まさか……こんな事態を引き起こす事になるとは……」

 

「……頭痛……?」

 

 稀星シオン……地球外生命(紫の文明)が生み出した機械生命体「プロトタイプZマスター」と、死を待つしかなかった地球人の少女との融合により誕生した、未知の新生命……

 

 本人すら知らぬ、謎に包まれた彼女の秘密が……今、明かされようとしている。

 

──────────

 

 数日後……シオンの眷属であるアーマロイド「グラヴィスコルード」から、獅子王麗雄にメールが届いた。その内容は、自らの生みの親であるシオンを助けて欲しいという懇願であった……

 

「これまで我々は、苦渋の決断をした彼女によってゾンダーの脅威を知り、対抗する術を手にし、我が身すら顧みない程の献身によって今日まで生き抜いてきた……そして今、彼女を救って欲しいと懇願する者達が現れた……無論私はこの事態を黙認せず、全力を以てこの事態に対処したいと思っている」(大河)

 

 シオンは自身の変貌当初、身の危険を伴う「GGGへの協力」は選択肢から外していた……だが、運命の悪戯か「天海 護」との出会いによって運命は流転し、現在に至る……

 それまでに彼女がGGGへと貢献した数々の成果は、一組織だけでなく地球人類の繁栄にも少なからず繋がったといっても過言ではなかった。

 

「……僕も同意見だ。異星文明の存在と接触し、数奇な運命を辿りながらも、彼女は我々に対して深い慈愛を示し、近縁種の脅威という危機を伝え、また対処において献身的に尽くしてくれた。僕は彼女に対して、最大限の恩義を感じている……そしてその恩を必ず返したいともな」(麗雄)

 

 中でも科学文明……材料工学分野は極めて大きな発展を示し、GGGを介して世界に様々な用途に特化した特殊素材を提供した。

 耐熱性・対燃性に優れた超耐熱繊維や、経年劣化しない柔金属や軟質素材、凄まじい対衝撃吸収能力を保有する軽量プラスチックに始まり……拒絶反応の極めて少ない人工臓器、ガン細胞を捕食するナノマシン治療法の確立……宇宙開発公団とGGGの各所に設置したマイナス思考除去システムも、鬱治療に極めて効果的であるとして一般でも有効活用されており、医療分野においても大きな波を起こしていた。

 

「ワタシ達が出来る事は少ないデスガ、やらないという選択肢は無いデス」(スワン)

 

 それまで女性専用マンションで独り暮らしであったスワンも、妹とも呼べる存在が出来た事で私生活が一変……家族と別居という孤独なプライベートは解消され、充実した日々を送れていた。

 

「私も彼女に色々と気を使って貰いましたからね……私の分野で恩を返せるなら、何でもやりますよ」(猿頭寺)

 

 原作では仕事に忙殺され、本部施設で寝泊まりする事がほとんどだった彼も……日々のケア方法や実質の手伝いなど手厚く援助され、随分と変わっていた。

 

「僕も彼女には随分と救われました。仕事(GGG)でも、プライベート(兄弟達の事)でも……」(牛山)

 

 彼も仕事だけでなく、私生活で弟達に振り回される事が多かったが……彼女と関わる様になり、その身に掛かるストレスはほぼ解消されている。列挙こそあまりないが、一番彼がストレス解消効果は高かっただろう。

 

「シオンちゃん、本当はまだ中学生(14歳)なんですよね……でも、大人でも躊躇う事をやり遂げて、皆の信頼を勝ち取って……私も勇気を貰えました」(命)

 

 年齢も近く、後輩も同然なシオンの存在は、命にとっても掛け替えの無い存在となりつつあった……彼女の存在は少なからず命にとっても好転的な影響を及ぼしており、特に凱とのプライベートな時間が増えた事が最大の変化であろう。

 

 

 そして、彼女の献身的な協力と惜しまぬ助力により、これまで幾多の戦いを征する事ができたGGG首脳達はこの懇願を受け、総力を挙げてシオンを再び目覚めさせるべく……あらゆる分野から専門家を呼び寄せ、調査と研究を開始する……

 しかし……どんな手段を講じようとも、あらゆる手を尽くしても……彼女は一切の反応を見せず、ただ静かに眠っているのであった。

 

(彼女の生命活動そのものは止まっておらん……むしろ身体機能の一部は活性化の一途を辿っておる。しかし、一体彼女に何が起きているのか……)

 

 麗雄を始めとする、GGG研究開発部署員達の不眠不休の努力を嘲笑うかのように……徒に時は過ぎていく……そしてそれは、終焉の始まりも近付いている証拠でもあった。

 

──────────

 

《機界四天王よ……例の計画はどうなっている?》

 

「ご心配には及びませんパスダー様。私とプリマーダがこの身を以て行う本作戦……既に準備も残る一手のみ……例の裏切り者にピッツァが接触し、仕掛けを施す事で全ての準備は整います」

 

「あの小娘が我々の想像通りの者ならば、否応なく従わざるを得ません……仕掛けさえ済めば、後は我々の意のままに」

 

《フフフ……だがカインの遺産や、あの破壊マシンに嗅ぎ付けられぬよう十分に気を付けよ。彼奴らの力は我々の対極……思わぬ障害になり得る可能性は十分にある》

 

「「はっ、仰せのままに……!」」

 

──────────

 

 後にGGGが、亜空間を自由に往来する水上戦闘機ゾンダーに対処するため出撃する前……ピッツァはGGGベイタワー基地の地上部分、宇宙開発公団ビルへと潜入していた。

 

(人間の姿を取っていれば、奴らの基地に潜入するなど簡単な事……さて、あの裏切り者は確か……むっ?)

 

 人間体の状態で潜入したピッツァ……シオンを探している様だが、その時に奇妙な情報を入手する……

 

「………………? ……………………。」

 

「………………?! …………、………………」

 

(……奴が不調、だと? あり得ん。完全な生機融合体ならば、不調など起きる筈が無い……奴は生機融合体ではないと言うのか……? いや、それこそあり得ん。我々を相手にあれ程の邪魔をやってのけた相手なのだ……)

 

 ピッツァは休憩中だった職員達の会話から、標的の人物……つまりシオンがココの職員だとすぐに理解したが、今は不調で来ていないと職員間で語られていた。しかし、ピッツァはシオンが自分達と同レベルの生機融合体だと知っている為、あり得ないと考えている。

 本来、ゾンダリアンと同等の生機融合体ならば人間の尺度でいう身体的疲労など感じる事もなく、聞いた話に語られた様な不調など起こり得る筈もない……だがしかし、実際にシオンは不調によって倒れている。

 

(仕方がない……奴の反応は……むっ?)

 

 シオンの反応はゾンダリアン達には分かるらしく、すぐに位置は掴めたが移動している事が分かった。外を確認すると、ちょうど三式空中研究所が出撃し……原作通りにゾンダー対応へと出向いていたのである。

 

(チッ、やはり奴はあの中か……隙を見て入り込むしかあるまい)

 

 後を追うべく飛翔するピッツァ……遠ざかるその姿を、街の中から1人の少年が見ていた。

 

──────────

 

 今回のゾンダーロボは、亜空間を自由に往来する戦闘機ゾンダー……その神出鬼没な行動に対抗するべく、亜空間の調査に三式空中研究所が呼ばれたのである。

 

※ 今回の戦闘は完全に原作通りの推移の為、丸々カットさせて頂きます。

 

 

 帰還中の三式空中研究所に潜入したピッツァ……程なくしてシオンが収容されている区画を発見したが、ピッツァはシオンを一目見てこの状況を理解してしまった。

 

(馬鹿な……?! コイツは……いや、この方は……!! だとしたら、我々の行動は一体……いや、我々とこの方の系統は違う様だな……)

 

「休眠……? いや、コレは更なる進化の為の準備期間か。眠っているのは、性能向上から来る身体的負荷を受け流す自己防衛措置だろうな……だが、その時には自律防衛プログラムが働く筈……」

 

 ピッツァはシオンの更なる進化を感じ取り、驚きと共に不可解さに気付く……彼のいう、自律防衛プログラムとは……?

 

「?! 誰か、そこに居るのデスカ?」

 

(チッ、間の悪い……だが、この様子なら……ヌッ?!)

 

 スワンの声に、ピッツァだけだなく眠っている筈のシオンまで反応し、突然開眼……その瞳は虹色に輝いており、ピッツァを確認すると念動力でペンを操り一瞬で組成変換、医療用のメスを生成してピッツァに投擲してきたのである。

 

 ヒュ……ガガガッ!! ガシャァンッ!!

 

「チィッ! 今ので自律防衛プログラムが覚醒するとは……やむを得ん!!」

 

「What?! 誰デスカ?! きゃっ?!」

 

 スワンの隣をすり抜け、超高速で三式空中研究所から脱出していったピッツァ……

 

「……今のハ……?!」

 

《……逃げましたカ……アレはゾンダリアン、いエ……赤の戦士(かの眷属)の成れの果てですカ……。喩え何処の誰であろうト、我等が主の身体に危害を加える事ハ、何人たりとも許しませン》

 

 機械の合成音声のような、奇妙な響きのある別人の声でそう語ったシオン……いや、シオンの身体の自律防衛プログラムは、ピッツァの去った方向をキツい目付きで睨み続けていた。

 

──────────

 

 その後、三式空中研究所はベイタワー基地へと接合……スワンの案内で、シオンの身体を動かす謎の存在はビッグオーダールームへと通された。

 

『稀星先生?! もう平気……違う、何者だ!? 先生を何処へやった!?』

『稀星先生?! 目を覚ま……いえ、貴女は先生ではない……誰ですか!?』

 

 氷竜と炎竜が真っ先に気付くも、シオンではない事に違和感を感じ取り「お前は誰だ!」と厳しい追及を始めた。

 他の勇者ロボも同じく違和感に気付いて厳しい目を向けるが、凱や命達メインクルーは勇者ロボ達の急変した態度に困惑している……

 

《……その困惑は当然、順を追って説明すル。まずは誤解無きよウ……我は【双子座】(ジェミニ)、今はこノ……我等が主の身体を代わって守護すル、主の影なるモノ……》

 

【双子座】(ジェミニ)? ……という事は、君はアーマロイドなのかね?」

 

《肯定。しかシ、此度の我は姿を……象る形を持たヌ。此度の我は主の影にして盾故ニ》

 

 大河の問い掛けに「肯定」と返し、己の存在を示す【双子座】……彼女の心情を示す今のシオンの顔は、無表情……一切の感情を表さない。ただ機械的に言葉を語るのみだった……

 

《我等が主ハ、次なる運命に立ち向かう為……己を新たな存在へと昇華し始めタ。故に我は主の身体を護る義務を果たス……何人たりとも、我等が主の道を妨げる事能わズ》

 

「準備中だから邪魔するな、って事か? 生憎だが、俺達はお前らに付き合う程暇じゃねぇんだぞ……!」

 

「火麻参謀、喧嘩腰は良くないですよ? ……教えてくれ、シオンはどうすれば目覚めてくれるんだ?」

 

《……何人たりとモ、主の眠りを妨げる事能わズ……たダ、目覚めの時を待つのミ……緑の力を受け継ぐ者ヨ、己が運命を乗り越えヨ……さすれば希望は南より(いず)ル。

 

 赤き戦士の方舟、その訪れを待テ……》

 

 予言めいた言葉を残し、黄金に輝く瞳を閉じる【双子座】(ジェミニ)……用意されていた椅子へと座ると、再び眠りについた。

 

「己が、運命……」

 

「南より出る、方舟……か」

 

 謎多き眠りに揺蕩う主を護る、新たなアーマロイド……「南から来る方舟」という予言、そして凱を指して「己が運命を乗り越えよ」という言葉。

 

 その翌日、我々は謎を抱えたまま……決戦の時を迎えるのであった。

 

──────────

 

 変わらぬ日常を謳歌する地上の人々……それを駅のターミナルの上から眺めるポロネズ。

 

「フフフ……さぁ、人類最後の幕開けです……出発進行!」

 

 

 高速道路の標識の上で、車の流れを見て楽しむプリマーダ。

 

「この星の最後、絶望に向かって……発車、オーライ~♪」

 

 

 空港施設の最上部、管制塔の上から離着陸する飛行機達を眺め……薄ら笑みを浮かべるピッツァ。

 

「いざ、終焉の始まりへ……離陸、開始!」

 

 

 レインボーブリッジの上から、行き交う船を眺めるペンチノン。

 

「我々が、終わり無き混沌の海へと誘おう……出港の時は来た! ウリィィィ!!」

 

 斯くして、終焉の序曲が始まる……




中二病患者なら分かると思う【双子座】の言動……
でもこの予言、そのままだとこの後のパスダー戦やらとシオンは無関係……?

次回はついに始まる、ゾンダリアン達との決戦!
感想お待ちしてます。

次回予告


君達に最新情報を公開しよう!

ついに、ゾンダリアン達の最終作戦が始まった。

首都高と環状線を利用し、巨大なバリアーと
エネルギーを造り出すポロネズとプリマーダ……
空と海を自ら守るペンチノンとピッツァ。

東京都民約一千万人を人質にした
巨大プラントの生成を阻止するべく
GGGは総力を結集して決戦に挑む!


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第43話『大東京消滅の危機』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

そろそろTVシリーズ後半に向けて、シリアスムードが全開になりますが……息抜きでやるとしたら?

  • TVシリーズ前半のボツ案集
  • ドラマ撮影仕立てのNG集
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