狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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いよいよ物語も1つの山場を迎えます……
ついに始まる、ゾンダリアン達の一大作戦。

その後に待ち構える絶望……
そして全てが終わり、最後に残るのは……?



第43話 大東京消滅の危機(前編)

 4人のゾンダリアン達が直接、動いた……

 

 彼らは自ら東京を占拠し、その身を持って巨大なゾンダーメタルプラントを生成しようと企んだのである……そう、東京都民約一千万人を人質として。

 

「首都高と環状線に、強大なエネルギー反応を確認! コレは……!!」

 

「No!? 空間歪曲反応、増大! 極めて高出力なエネルギーバリアが発生していマス!」

 

「何が起こっているというのだ……!?」

 

 首都高と環状線を境界として、凄まじいエネルギーの防壁が東京を囲む……そして内部からの情報は一切断たれてしまった。

 

──────────

 

「諸君! GGG始まって以来の非常事態……あの光の壁の向こう側には、一千万人の人間が閉じ込められている」

 

 GGG創設以来、数々の災害やテロ事件……そして近年増加してきたゾンダー被害に対処し続けているGGGだったが、前代未聞の状況に大河長官も焦りを隠せないでいる。

 

「地上、空中、地下。あらゆる交通網が寸断され、首都圏はまさに陸の孤島状態だ……あの光の壁を突破できなければ、中に閉じ込められた人々の救出も不可能だろう」

 

「分析の結果ですが、最も可能性の高いゾンダー反応……つまり、素粒子Z0の反応は一切見受けられませんでした……」

 

「じゃあ、ゾンダーの仕業じゃねぇって事なのか?」

 

「不明です……ですがこんな現象を、ゾンダー以外に引き起こせる筈がありません」

 

 火麻の問いに牛山は不明と応えるが、そもそもこれ程の異常現象をゾンダー以外が引き起こせる筈がない……だが、決定打となる素粒子Z0反応が全く確認されていないが故に、確定情報として捉える事が出来ない。

 

「……シオンなら、すぐに見分けが付くと思うんだがな……」

 

 凱はシオンならば……と溢すが、その顔は苦々しい。

 

「でも、シオンちゃんはアレ以来……ずっと休眠状態のまま。私達の呼び掛けにも、一切応じてくれないんです……」

 

「代行者たる【双子座(ジェミニ)】も応答無しじゃからのぅ……」

 

 命と麗雄の言葉に、意気消沈する凱……

 

「護からも、ゾンダー反応の連絡は無かったのか?」

 

 ならばと火麻は護少年からの連絡があったのかを問い質すが……

 

「それが……今日は社会科見学で、東京タワーへ行く予定になってて……」

 

「それじゃあ、護もあの中に居るって事なのか?!」

 

 命はついさっき入手した、護の学校行事予定を答える……東京タワーは環状線や首都高の内側に建っている。それはまさしく、最悪の事態を予期させるものだった。

 

「護衛に付いていたボルフォッグとの連絡は?」

 

「現在位置は、東京湾沿岸……報告では、ゾンダリアンの策に嵌まって引き離されたとの事です」

 

「ゾンダリアンだと?!」

 

 ボルフォッグは諜報部として護少年の護衛任務に付いていたのだが、ペンチノンによって地下へと誘い込まれ……まんまと罠に嵌まり、東京湾へと流されて引き離されたのである。

 

 ……しかし、意趣返しとしてペンチノンも現場付近から引き剥がされ、痛み分けの様な状態になった。

 

「ボルフォッグから、自衛隊の対応を撮影した動画が転送されて来ています」

 

 その後、ボルフォッグは自衛隊が光の壁にどう対処したかを映像に収め、帰還よりも先に転送していた。

 映像を食い入る様に見つめる全員……映された映像には、航空自衛隊の戦闘機2機が光の壁へ接近していき……超高速ですれ違った「何か」に撃破された様子が残されていた。

 

「何だ!? 今のは……?!」

 

「拡大してハイパースロー化します」

 

 大河の驚きに猿頭寺が反応し、解析機能を併用し映像をスローにして繰り返す。

 

「……デカい鳥みてぇなヤツだな……」

 

 的を射た様な火麻の言葉……猿頭寺は画像に更なる手を加え、解析結果を映し出す。言葉と共に解析結果をモニターに出し、一部の拡大画像を合わせて表示させた。

 

「解析の結果、極めて強力な衝撃波を纏って飛行する大型の戦闘機らしき物体の様です……」

 

「……ッ!? 間違いない、機界四天王ピッツァ……!!」

 

 解析結果の拡大画像に、凱はピッツァの面影を見つけ……確信する。

 

「ゾンダリアンが直接作戦行動を取るとは……油断ならない事態だ!」

 

「あの光の壁を解析した所、過去にゾンダーが起こした現象に酷似した4層構造の多重バリアである事が判明しました。

 便宜上ですが、この防壁をその構造から多重複合防壁(コントラフォール)と呼称します」

 

 牛山の報告に合わせ、猿頭寺はモニターの映像を切り替える……映されたのは、コントラフォールの多重構造を簡単に示した物だ。

 

「第1層は超強力な電磁場領域。粒子加速器イゾルデにおいて、機動部隊を苦しめた電磁バリア……そのエネルギー量が桁外れにパワーアップしたものです」

 

『イゾルデと言えば、ゾンダリアンとの初遭遇……』

 

『忘れもしないぜ、あの奇妙な奴等……!』

 

 氷竜と炎竜はイゾルデの事を思い出し、その時に現れたゾンダリアン……プリマーダとポロネズの事を頭に思い浮かべた。

 

「第2層は濃縮酸素を蓄えた変質大気層……何時ぞやの雲ゾンダーの内部と同じ物か」

 

 麗雄はコントラフォール第2層のデータから、その正体にすぐ気付く。

 

『するってーと……攻撃したら大爆発、って事か……』

 

「そういう事です。迂闊に手は出せません……」

 

 ゴルディマーグが呟き、それに猿頭寺も同意する。

 

「第3層ハ、大阪でガオガイガーを閉じ込めた超次元ポッドと同じものデス」

 

「あの時のアレか……あの攻略には苦労したぜ。プライヤーズが居なきゃ、どう足掻いても外へ出られなかったんだからな」

 

「もう一度、彼らに頑張って貰うしかないですね……」

 

 第3層の解説はスワンが行い、凱は渋い顔でその時を思い出す……あの時はプライヤーズが居なければ完全に絶体絶命だったから。牛山は彼等の活躍を再び期待しつつ、解説を続ける。

 

「そして第4層は、地上の太陽……グランドノヴァと同じエネルギー反応が検出されています」

 

「じゃあ、内部にいる人達や護は……?!」

 

 グランドノヴァと聞き凱は驚くが、猿頭寺は内部の状態が以前と違う事を指摘する。

 

「それが……内部の温度は、極めて常温に近い状態に保たれている様です」

 

 桁外れの各種バリアに守られ、その内部が常温に保たれているのなら……考えられる内部の状況は……

 

「やはり、奴等は中でゾンダーメタルプラントを造っておるようだな……!」

 

「一千万人の都民を、残らずゾンダー化するつもりか……!!」

 

 麗雄の推測に、火麻は結論として最悪の推移を口にする。もし、そうなれば……地球は間違いなく、機界昇華されるだろう。

 

「兎に角! あの防壁を突破し、中に閉じ込められた一千万人の救出が目下最大の目標として動く他ない! 実働部隊は総員直ちに現場ヘ急行! 三段飛行甲板空母、水陸両用整備装甲車も順次発進せよ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

 事態は急を要する……総力戦の様相。大河長官の号令により、GGGは動き出すのであった。

 

──────────

 

 シオンは再び休眠状態にある……場所は三式空中研究所の内部区画にある特別室。最初の緊急時に運び込まれた部屋だった。

 各種センサーにより生体活動を監視するモニター機器が繋がれ、一見すれば生命の危機に瀕した重症患者に見えなくもない状態で眠っているシオン……

 

 そこへ、半透明の人影が虚空から現れる……

 

 薄い黄色のワンピースを身に付けた、短めの茶髪の女性。今にも消えてしまいそうな状態で憂いを秘めた緑色の瞳でシオンの様子を伺っていた。

 

《………………》

 

 言葉を発する事なく、幽霊の様な女性はシオンをただ見つめる……が、やがて何かに気付いて驚愕の顔を浮かべ、虚空へと消えていく……

 完全に消えた直後、シオンの寝ているベッドの下の床に黒よりも黒い影がシミの様に現れ……その大きさを徐々に広げていくのだった。

 




シオンへの言及とボルフォッグの会議不在が原作との相違点。
やはりシオンの存在は作戦立案にも大きく影響を与えますね……頼られてます。
ちなみに原作では作戦立案が済んで出動していましたが、今回は緊急時という事を考慮し、出動準備と平行作業で立案する……という流れになっています。
単なる描写不足ではない事をお間違いなきよう……(´▽`;)ゞ

そのシオンの元に現れた、憂いを秘めた瞳の謎の女性。
そしてヤバそうな黒い影……
これからの物語にどんな影響を与えるのでしょうか?

次回は少し時間が進んで、コントラフォール攻略作戦開始から……
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