狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
緑色の炎を切り裂いて現れたロボット……ボルフォッグの基調色である紫を引き継ぎながらも、各所に色とりどりの変化が現れ、一回り大きくなったビッグボルフォッグ。
「ウィィィ?! なんだその姿は……データにないぞ?!」
『当然です、私もこの姿は初めてなのですから……』
《当然、私たちがフォローします!》
《遠慮すんな、ガンガンいこうぜってばよ!》
『了解、行きます!!』
「ウィィィ!!」
先制砲撃とばかりにペンチノンは大型砲を放つ……が、その僅かな間にボルフォッグはペンチノンの背後へと移動し、狙いを付けていない砲塔を切り裂く。カウンター気味にペンチノンの腕部がボルフォッグを襲うが、その姿は虚空へと消え……今度は前方の真下から地面をすり抜けて出現し、ムラサメソードで攻撃する。
「ウィィィ?!」
『ハァァァッ!!』
先程まで5体がかりで行っていた連携を、更に上回る速度での連続攻撃……それをたった1体でやっている今のボルフォッグ。
目に見えてその移動速度は際立っており、攻撃自体も相変わらず正確無比……更に一撃の威力もかなり上昇しており、斬撃一つで砲塔そのものが1つ消し飛んだり、以前よりも回復に時間の掛かるダメージをこれでもかという程に叩き出していた。
「ウリュウゥゥゥ?! 何なのだその速度とパワーは?!」
(凄まじい速度と威力だ……Gストーンから得られるエネルギーだけでは到底考えられない。ピスケガレオンに搭載された“例の動力源”が、コレを実現しているのか?)
猿頭寺は見違えて強力な力を発揮するボルフォッグの姿に、ピスケガレオンの性能の影響ではないかと考察を巡らせる。
『ここで終わりにしましょう、ゾンダリアン!!』
ムラサメソードを構え、再び突撃を開始するボルフォッグ……
「……それは此方の台詞だ、紫のロボット!!」
ペンチノンの返答と共に、2人を中心とした周囲一体に凄まじいエネルギーが駆け巡った。
ボルフォッグ達が変化を起こす、その少し前……超竜神は単独でプリマーダとポロネズを相手取り、傷だらけになりながらも止めようと必死で追い縋っていた。
『……クッ……今すぐ奴等を止めなければ、ゾンダーメタルプラントが……完成してしまう……!』
しかし、満身創痍の状態……かつ、ここまでの無理が祟りエネルギーも残り少ない。次に阻止失敗すれば、行動不能に陥る危険性すらあった……
『だが、私は屈しない……最後まで抗い続ける!!』
その時、超竜神のセンサーが生体反応を捉える。それはプラント内の植物擬きに捕らえられた動きではない、現在進行系で逃げている移動パターンだった。
『い、いかん!!』
人命救助を第一に考える超竜神は、咄嗟にその民間人の反応へと急ぐ……そのタイミングで、プリマーダとポロネズもその反応に気付いてしまった。
「おや、こんな所に
『うおぉぉぉ間に合えぇぇぇッ!?』
「フフフハハハ……ッ!!」
『ク……ッ、奴に……奴に追い付けさえすれば……!』
《“一瞬でも良い……あの動きさえ止められれば……!”》
此方を嘲笑うように縦横無尽に飛び回っているピッツァ……対するガオガイガーとクーゲルザウターは、どちらも残りエネルギーが少なくなってきていた。
『なぁ、クーゲル……アレに追い付けるか?』
《“え? えぇ……追い付けはしますが、こっちの弾はすぐに避けられちゃって……”》
『いや、近付けさえすればそれで良い……やれるか?』
《“……はい、やってみせます! 私の「脚」で……ッ!!”》
クーゲルザウターの瞳に、何故か燃える炎を幻視した凱……その時、先のピスケガレオンと同じくクーゲルにも謎のメールと共に制御システムが更新され、カメラアイの色が緑からオレンジへと変化する。
『システム・チェェェンジッ!!』
眼の変化が現れた直後、クーゲルザウターは掛け声と共に急速上昇……両手の武器を格納し、肩と腰のアーマーを除いた各部の鎧を全てパージした後、胴体は首を残して縦に3分割。
左右は腰を軸に後方へと移動し、肩アーマーごと背中と腰の後ろを挟み込むように接合され、腕部も変形……同時に脚部も腕部と同様の形状へと代わり、外れていた鎧が再び接続されていく……
最後にクーゲルの顔部分へ、鎧パーツの一部が変形した別の頭部が接続され……その姿はまさに黒き鎧を纏う戦馬へと変形したのであった。
『クーゲルザウター、
変形完了後、ある程度ガオガイガーの周囲を周ってから、その隣へと漆黒の軍馬が降り立つ……その4脚は空を掴み、踏み締めており、クーゲルはまるで駆ける様に宙を滑っていた。
『クーゲル、お前……』
『さぁ、私に乗って下さい! すぐに追い付いてやりますから!!』
馬の胴体からパーツが伸びて足掛けとなり、顔の側面からビームの紐まで展開……軍馬に跨がるガオガイガーという姿は非常にシュールではあるが、手段があるのだったらやるだけだ。
『……よし、行くぞぉッ!!』
勇者王をその背に乗せ、若き軍馬は騎馬として大空を駆け出す……物理法則
赤と青のエネルギーが交差する……突如現れた民間人を、プリマーダとポロネズの突撃から救助すべくその身を以て庇う超竜神。
『間に合えぇぇぇぇぇぇッ!!』
「………ッ?!」
身体の芯にまで響く衝撃、エネルギーに身を焼かれる感覚、そして間を置いて吹き込む強烈な風……眼前に迫ろうとする死の危機を感じ、身を竦めてしまう少女……超竜神はその小さな身体を庇い、サッカーのゴールキーパーの如くプリマーダとポロネズの攻撃をその身体で受け止める……筈だった。
『……ッ……!? この腕は……?!』
「「な……なにぃッ?!」」
超竜神の手前……虚空から生えた一対の鋏を持つ、その青い腕。虚空の穴は徐々に拡大していき、繋がった胴体が半分ほど現れる。
『“やれやれ……こんな罪もない、無抵抗の民間人まで襲うとは。やはり、アナタ達の存在は……この宇宙から消し去るべき……ですかね?”』
ワームホールから半身だけ身を乗り出し、ポロネズとプリマーダの突撃を軽々と受け止めるグラヴィスコルード。その頭部カバーが開き、中から1人の人影が出てくる。
『《そんな物騒な事言わないで……でも、ギリギリだったわね》』
人間態……GGGの制服姿に謎のオーラを纏ってはいるが、その人影は間違いなく……稀星シオンだった。
「どうして?! 私達の全力をこんな簡単に……!?」
「な、何なのだそのロボットは……! 我々の攻撃がまるで……」
グラヴィスコルードは腕の重力制御機構で空間を歪ませて慣性制御を行い、その鋏でポロネズとプリマーダを軽々と挟み、ガッチリと抑え込む。空間ごと対象を捕えて離さないその鋏は、その気になれば確実に対象を圧壊させるのだが、敢えてそれはしなかった……いや、シオンの感情に引き摺られ出来なかったのだ。
『《その顔……その声……!? ま、まさか……貴方達は……》』
事の一連の流れを、東京タワーから見ていた小学生ズ……しかし、護だけは地下から漂う気配に言い知れぬ悪い予感を感じてしまい、皆から離れて1人地下へと迷い込む。
(……何だろう……物凄く悪い予感がする……GGGの皆は大丈夫そうだけど……この悪寒の正体は、何故か……確かめなくちゃいけない気がする)
照明も全て落ちた真っ暗な東京タワーの地下部。その底へ続く階段を、ゆっくり時間を掛けて降りていく護……その先に、特大の絶望という運命が待っている事など知る由もなく。
《……フフフ……心弱き者達よ。貴様達自身が招いた厄災、存分に堪能するが良い……!》
テンション爆上げタ~イム……はそろそろおしまいかもです。
その落差に怯えろ!竦めッ!!
次回、特大の絶望が世界とシオンちゃんを貫きます……
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待って、その前に味変(閑話)を!!
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……このまま進め!!(ムスカ風)
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勝利の鍵は……何処? ……ココ?