狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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前回の投稿後になんとUA10万回を突破しました。
達成自体は2作目だけど、やっぱり嬉しいものですね……

これも応援して下さる皆さまのお陰です!
毎回の誤字報告&感想ありがとうございます!!


第51話 機界指令 vs. 勇者ロボ軍団(1)

 GGGとシオン達がゾンダリアン達と巨大メタルプラントを阻止していたその頃……護少年もまた、運命に導かれる様に東京タワーの地下へと潜入していた。

 

(……この奥から、感じる……物凄く、悪い予感……でも、行かなきゃ行けない気がする)

 

 運命の悪戯か、はたまた必然か……護は何かに導かれるまま、暗闇の奥を目指す……周囲からは鼓動の様な音や、機械の唸る音……そしてガスの噴出音などが重なり、不気味なコーラスを奏でていた。

 

(……ッ?! 何……だ……これ……?!)

 

 最深部に辿り着いた護は、暗がりに映し出された顔の様な映像を発見した……そしてその映像から、底冷えするような不気味な声が響き始める……

 

《……ついに此処まで辿り着いたか、カインの作りし“破壊マシン”よ……!》

 

「?! “カイン”? “破壊”? “マシン”?!」

 

 その顔こそゾンダリアン達に指令を下し、地球を機界昇華しようと企む存在“機界指令パスダー”だった。

 

 護が動揺している隙を突き、エネルギー膜で護を封じ込め捕える……突然の事に、状況が飲み込めない護。パスダーは護を封じ込めた球体を宙に浮かばせ、忌々しき思いを乗せて言葉を発した。

 

《直接手を下す事が叶わぬのは口惜しいが、対消滅で無駄なエネルギーを使う訳には行かぬ……だが封じるだけであれば造作もない》

 

「……ッ……!」

 

(……た、確かコイツ……シオンさんが……!)

 

 数奇な運命に翻弄される幼き少年であった護だが、護は数々の教えに従い息を吐き、己の精神を整える……原作と違い護はシオンやGGGの皆から、自分を取り巻く現状と自身の運命……そして立ち向かう為の方法を自ら願い、その教えを乞うていた。

 

(確かコイツ、シオンさんが言っていたゾンダリアン達の司令塔……パスダーだ!)

 

───────────

 

 その少し前……三段飛行甲板空母と水陸両用整備装甲車で補給と整備を受けていた勇者達だったが、民間人救出部隊から『護少年が行方不明となっている』事を知らされ、シオンは動けるアーマロイド達に捜索を命じた。本来なら凱が単身でいの一番に捜索へ飛び出るのだが、シオンによって半ば強制的に止められ、メンテナンスを受けさせられていた。

 

(……シオンのアーマロイド達なら護も知ってるし、必ず捜し出してくれる筈だ……だが、何か嫌な予感がする……)

 

 凱には何故か、言い知れぬ予感がしていた……シオンならば必ず有言実行、間違いなく護を見つけ出し助けてくれる筈だ。しかし、彼女は以前にも本人の予期せぬタイミングで不調をきたし、活動を制限されてしまった過去がある。

 肝心な不調の原因は結局のところ不明とされた事もあり、凱の胸中には拭いきれぬ不安感が再び忍び寄って来ていた。

 

 

《……主よ、何かおかしくは無いか?》

 

『……急に何よ? 藪から棒に。……珍しいわね、貴方の方から話して来るなんて』

 

 両腕を組んだまま、倒壊したビルの上で捜索隊の情報提供や報告を耳にしながら、シオンは珍しく自分から声を掛けてきたダイキャンサーに返答する。

 

《いや……先程から胸騒ぎが止まらぬのだ。あの少年は“緑の星の末裔”……まだ年端も行かぬ幼き者とはいえ、我等が主と同じく“力を受け継ぐ者”。そうそう潰れぬとは思うが……》

 

 ダイキャンサーをはじめアーマロイド各機に搭載された「Zコア・ドライヴ」は、先の闘争において“第2覚醒”を果たし……それぞれに固有の人格が定着している。

 「ピスケガレオン」には、“個性的な兄妹”、「クーゲルザウター」には“前世が◯なランナー系健康少女”、「グラヴィスコルード」にはなんと“主至上主義の自称悪魔”……そして当のダイキャンサーには、“武人”の如き雄々しさと、身を賭してでも尊き命を守る“漢”の精神が宿っている。

 

『……そう……ね、確かに心配だわ……』

 

(原作の流れをぶった斬って、凱さんにメンテ受けさせちゃってるもんなぁ……まさか素直に応じるとは思わなかったもん。不可抗力よね……でも、こうなるとホントに護くんが心配だわ……)

 

 これまでの苦労が報われ獲得できた“GGGから寄せられる信頼”効果……ではあるのだが、奇しくもこの流れはその()()で起きたという事実に頭を抱えた。このままではパスダー出現まで時を稼がれ、原作で行われるボルフォッグの(復帰)合流イベントすらもすっ飛ばしてしまう……何か手を打たねば、と焦るシオン。

 

《クーゲルの話では、隊長は鳥のゾンダリアンと激戦を繰り広げ、少なくないダメージを負ったと聞く……ならば、乗っていた機体(ガオガイガー)も相応のダメージを負ったであろうな……》

 

 ダイキャンサーは戦友として、純粋にガオガイガーと凱さんの心配をしている……が、私はその話を聞いて妙案が浮かんだ。

 

『……そうか、ガオガイガーがダメージを負ってるから、中の凱さんは……ならギャレオンも!』

 

 思い立ったが吉日……私は知略担当としても優秀なグラヴィスコルードを呼び出す。

 

《これはこれは……如何致しましたか?》

 

『グラヴィス、ガオガイガーを“例の合金”でなら修復出来る?』

 

《可能/不可能を問われるのならば、“可能”です。……修復後に、統括制御回路のプログラムを変更して“Gファイバー”に担当させ、制御権を彼方に渡す必要はありますが……》

 

『よっし、ならプログラムをすぐに準備して! 作業員と“合金”はこっちで何とかするわ』

 

《は? 主様、一体どういう……》

 

『このままじゃ護くんが危ないの! それに凱さん以外が行くとフラグが折れ(話が余計に拗れ)るわ! 何とか修正しないと……』

 

《……事情は分かりませんが、御命令は承りました。ですが制御プログラムの変更はさほど時間は掛かりません、作業員の確保と“上の許可”を急ぐのが懸命かと》

 

『頼むわね! さぁて……待っててよ、護くんにボルフォッグ……!』

 

 何故か立った“ガオガイガー修復&強化フラグ”……それはこの後に、どう作用するのか。

 

──────────

 

 結論からいうと、ガオガイガー修復作業はあれよと言う間に事が運び……作業中に凱さんが飛び出し、僅かに遅れて作業完了と同時にギャレオンも後を追って出撃。作業中に起きた揺れで、東京タワーがあった場所に大穴が開き、凱さんとギャレオンはその大穴へと突入……私はギャレオンを見送った直後に一瞬だけ意識が飛び掛けたが、“パスダーに啖呵を切った時の反動”だろうと考え、グラヴィスに観測を任せて休息を取る事にした。

 

 

……だが、次に眼を覚ました私が見た光景は、

あまりにもショッキング過ぎるものだった。

 

──────────

 

 

心弱き者達よ……我が力を授けましょう

 

 最初に見えたのは、暗雲立ち込める空……しかし視界は己の制御を受け付けず、徐々に視界を下へと落とす。

 

 

 

  そこに見えたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無理矢理縦に引き裂かれ、全身の装甲にもヒビが入り、両腕のトンファーも無惨にひしゃげ……此方に手を伸ばしたまま倒れ伏す超竜神。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 四肢をもぎ取られ、頭部のGストーンを破壊するついでに突き立てられた槍で……張り付けの如くビルに打ち付けられたビッグボルフォッグ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目立つ色の装甲が見るも無惨に剥げ落ち、更に残った装甲も大部分が融解しかかったマーグハンドと、取り落としたゴルディオンハンマーも同じ状態……更にギャレオンの顔まで破壊され、胸に大穴の空いたガオガイガー。

 

 ふと、右腕に動いた視線……その手にしていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まとめて握り潰された直後であろう……ボディを粉砕され、辛うじて右腕と頭が残っている獅子王 凱と……彼の右腕に埋め込まれていたGストーンに手を振れようとしたまま血の海に倒れ伏す、護られるべき少年だった天海 護の死体だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……何故、私は見ているだけなのか……

 

 

 

 なんで皆が……倒れ伏す姿を見ているのか……

 

 

 

 どうしてこんな事になっているのか……

 

 

 

 認めたくない光景……心音は煩い程に高鳴り、呼吸が乱れる……

 

 

 

 あってはならない光景、否定したい未来。

 

 

 

 認めたくない……その一心で自由にならない身体を必死で動かそうとする。

 

 

 

 ダメだ……こんな未来を見てはいけない……私が止めなくては……

 

 

 

 私が……私は……!!

 

 

──────────

 

『あぁぁぁッ?!!!』

 

 曇り空が窓から覗く、水陸両用整備装甲車に設けられた仮眠室の中で私は自分の声と雷鳴に驚いたのか飛び起きた。

 何故か全身汗まみれだし、手の震えも止まらず、過呼吸になりかかっている……

 

 呼吸を無理矢理整え、周囲を見渡し、時計を発見……仮眠を取らされ、この部屋に押し込められてからそれほど経ってない事を確認する。

 窓の外を見ると、東京タワーのあった跡地に空いていた不気味な穴は消え去り……悪魔の如き巨人、機界指令パスダーの本体が姿を現していた。

 

『……時間がない。まだ未完成だけど……やるしかない!』

 

 状況は最悪の一歩手前だろう……私は両手を開き、術式を描く……ダイキャンサーを呼び出す召喚術式ではない、違う機体……中央に描かれたマークは【獅子座】を表す星座の紋章。

 

(全体の完成度は72%。素体のシステム調整は完了してるけど、装甲の4割はまだ組んだだけで未調整だし……換装ぶんも半分しか組めてない……でも……)

 

『……やれるわね?』

 

《ガオォォォンッ!!》

 

 陣を通して室内に響く“任せろ”と力強い声……ギャレオンの咆哮(こえ)とは違う、機械的に再現された合成音のような獅子の咆哮。

 敵は此方の出方も想定して策を練り、時間を空けた……なら、今までの対策は全て封じられていると考えて良い。なら、此方も新たな対策を講じなければ対抗は出来ない。

 

 その切欠になれば、と用意した新しいアーマロイド……【獅子座】の大型機。

 

 陣を開いたまま、私は通路へと飛び出し……勢いそのままに外へ出た後、ありったけのエネルギーを注いで陣を拡大させ、声を張り上げた。




途中にある筈の、パスダー出現までの経緯は次回に持ち越し。

ちょいと繋がりは悪いけど、シーン的な演出重視で!

次回、初登場となる【獅子座】にやらせたい事(優先度)は?

  • 装甲換装(完成ぶん)のお試し
  • 素体の『本能』のままに戦わせる
  • 勇者ロボ&追加戦力との共闘
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