狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
今回は前話の時間軸的な穴埋めの1つです……
シオンによるガオガイガーの突貫修理が進行中、突如として地震が発生……
本来日常でなら余程酷くない限りスルーされる地震だが、今回は状況が状況だけに、不測の事態の前触れである可能性を鑑み、GGGはすぐに動けるマイクに偵察を出す。
……だが凱は己の胸騒ぎが止まらない事に不安を募らせ、メンテナンスを中断し単身で強行偵察を始めたのであった。
《……凱!? 何やってるの!! まだメンテナンスの途中なんだから、戻って……》
「そんな悠長に構えて、護が危険な目に遇ってたらどうする?!」
凱は続けて「護もシオンと同じ様に、我が身を省みず俺達の為に動いてくれたんだ……本来は俺達GGGが護を助ける側だろ? ここで動かなきゃ、勇者の名が泣くぜ!」と訴えた。
その時、上空を偵察していたマイクがタワー跡地上空に張られたバリアーに接触して墜落。揺らぐ境界面が見えた事で凱もその存在に気付く……
「マイク、大丈夫か?! あのバリアーは……」
ガオォォォンッ!!
直後、遅れて飛来したギャレオンも咆哮と共にバリアーへ突っ込む。
勿論、バリアーは侵入を阻むべく抵抗しギャレオンを押し留めるが、ギャレオンは口腔から特殊なエネルギー振動波を放射してバリアーを分解し、地下へと続く縦穴に突入……
「ギャレオン……護は彼処に居るのか? なら俺も!」
ギャレオンに続いて凱も縦穴へと飛び込み、凱が通り過ぎた直後にバリアーは復活……
「ガイ隊長……」
……周囲を微かに漂う良くない気配を感じ、心配そうな声を発しながらマイクは凱を見送るのであった。
「……東京タワーの地下が、こんな風になってるとは……!」
縦穴を降下する凱は、東京タワーの地下だった筈の場所が劇的に変化している事に驚きつつも降下していく……ギャレオンは既に最深部へと到着しており、反応がほとんど動いてない。
護の周囲にはもう1つ巨大なエネルギー反応が感知できた為、凱は急いで降りようとするが……
「……待っていたぞ、サイボーグ……!」
「ピッツァ?! 生きていたのか……!」
既にボロボロのピッツァと、ある程度メンテナンスを受けて回復している凱が対峙する……しかしピッツァの闘志は全く衰えておらず、対する凱は護を気にして焦っていた。
「お前に関わっている暇は無い!!」
「……ならば、この私を倒して進むが良いッ!!」
言うが早いか両手の爪を振りかざし、凱へと飛び掛かるピッツァ……凱も左腕のガオーブレスから『ウィルナイフ』を取り出して迎撃。しかし圧倒的な速度差により凱は劣勢に追い込まれ、ピッツァはほくそ笑む。
「どうした? その程度の速さでは、私に勝つなど不可能だぞ?」
「ほざくなッ!!」
焦りから冷静さを欠く凱はピッツァの挑発に乗って“ハイパーモード”を発動……しかしピッツァは冷静に猛攻を凌いでいく。
「……そうだ、そうでなければ手応えが無い!!」
「ちぃ……ッ!?」
時間制限のある“ハイパーモード”で更に焦りを禁じ得ない凱へ、ピッツァは冷静に手数で対抗する……先の直接対決で凱の“ハイパーモード”には時間制限が存在する事はピッツァも承知していた。だからこそ敢えてこの猛攻を凌ぎ、時間切れを誘って決着を付けるつもりなのだ。
「とあぁぁぁッ!! ぐぅ……ッ!?」
「デヤァァァッ!! がは……ッ?!」
しかし、時間がない事に焦りながらも凱は勝機を探し続けていた……空中で交差する凱とピッツァ、凱のウィルナイフがピッツァの爪を捉え斬り裂く……が同時にピッツァのカウンター蹴りが凱の胴体に入っており、圧し負けて壁へと叩き付けられる凱。
そこへ空かさずピッツァは急接近……容赦なく拳のラッシュを浴びせ、凱の身体を覆うアーマーを砕いていく。
「らららららッ!! とあぁぁぁッ!!」
……だが、ラッシュに負けじと凱は己の身体と闘志を奮い起たせ、叫んだ。
「……俺は……負ける訳には……行かないんだァァァッ!!」
叫びと共に無我夢中で振るわれる凱の左腕……ガオーブレスから放たれたプロジェクションビームの光がピッツァを視界を奪い一瞬だけ怯ませる。凱はその僅かな隙を見逃さずそのまま左ストレートをピッツァの右頬へと叩き込む……が、しかしピッツァも負けじと“ハイパーモード”の時間制限が来てしまった凱の腹へ左手の爪を突き込み、アーマーの装甲を貫通させ凱に大ダメージを与えた。
「がは……ッ!? グッ!!」
致命傷ではないとはいえ、ボディを貫通された凱はダメージに喘いでナイフを落とすも、再び闘志を燃え上がらせ、咄嗟に両腕でピッツァの身体をホールドする。
(ッ?! 翼が開かん!!)
「このまま……地の底まで、付き合って貰うぞ……ピッツァ!!」
「ぬおぉぉぉ……ッ?!」
「うおぉぉぉーーッ!!」
左腕のGストーンが眩く輝き、溢れ出るパワーを纏う凱はピッツァに対して飯綱落としをするが如く、揃って最深部の地面へと激突……大爆発を起こす。
爆発の中からゆっくりと歩いてきた凱。一連の経緯はパスダーも感知しており、護は途中から聞こえてきた戦闘音に気付いて振り向いた矢先の大爆発……
満身創痍ながらも現れた凱に安堵する護と、ピッツァの敗北に少しだけ動揺するパスダー。
「お前は……?!」
「凱兄ちゃん!!」
護を封じ込め、中に浮かせたエネルギー膜の球体と、奥に見えるヴィジョンに同種のエネルギー波長を感知した凱は、相手を確認すべく
「……お前はパスダー! 裏で四天王に指示を与えていた、ゾンダリアンのボスか!?」
《フフフ……答える義務は無い……!》
パスダーは凱の言葉を一蹴し、大量の触手で凱の身体を雁字搦めに拘束した……先に来ていた筈のギャレオンも同様に絡め取られており、次に行われるであろうパスダーの暴挙を止めようと今も足掻いているが、一向に逃れる事が出来ないでいた。
「ぐ……っ、しまった……ピッツァとの戦いで、もうエネルギーが……ッ?!」
《フフフ……愚か者よ。そのまま潔く死ぬが良いッ!!》
触手を束にしてドリルを形成し、凱へと突き立てようと伸ばすパスダー……しかし、その攻撃は予想外の相手に止められたのだった。
「……ぐ……がはッ!?」
「……ッ!? ピッツァ?!」
《フン、この私に逆らうとは……所詮は心弱き者の宿命か》
苦悶の表情のまま腹を貫通したドリル触手を払い退けた後、膝を付くピッツァ……凱が彼の肩に手を添えると、ピッツァは精一杯の笑みで振り返り「お前のお陰で大切な事を思い出す事が出来た……礼を言う」と、伝えるとヨロヨロと立ち上がり、反逆の意思を滾らせた瞳でパスダーを睨み付けた。
《……?! 何をする気だピッツァ……!》
「私はピッツァではないッ!! 私の名は……ッ!!」
「……ッ!? ピッツァぁぁぁッ!!」
何かを口走った後、ピッツァは全身に深紅の閃光を纏い、パスダーの幻影に特攻を仕掛ける……大爆発を起こし、紅き光は縦穴を抜けて大空へ……そしてパスダーの幻影が消え去ると同時に護を封じ込めたエネルギー膜の球体も消え失せ、落ちる護は一瞬慌てたがすぐに凱がキャッチして事なきを得た。
……だがその僅かな間の後に地響きが鳴り響き、凱と護は言い知れない不安に心を掻き乱されそうになる。
《フフフハハハ……心弱き者共よ。汝等の招き寄せた恐怖……とくと味わうが良い……!!》
パスダーの捨て台詞に、動揺を隠せない護……凱も表情にこそ出していないが、内心は不安でしょうがなかった。しかし、さすがにこの場から脱出しなければ勝機すら見えない。
暗がりの続く通路を戻ろうとした直後、高い天井から取り込まれた乗用車が1台……凱と護の直上に迫る。
「「……っ?!」」
『……ッ!!』
しかし、乗用車が凱に直撃する僅か数メートル前で乗用車は何かに弾き飛ばされ……更に凱達の姿もその場から無くなっていた。
そこから数メートル移動した場所に、見慣れた姿のロボットが虚空から姿を現し……凱と護を足元に降ろす……
「……?! ボルフォッグ!? 無事だったんだな!!」
『はい。先のゾンダリアン戦で、合体まで出来る様になった彼等のお陰で……』
《……いやぁ、さすがにアレはヤバかったってばよ……》
《全く……アナタがノリノリで彼を焚き付けたんですから自業自得です! 危うく私まで……》
「お前達は……ピスケガレオンか? お前達がボルフォッグを助けてくれてたんだな!」
ボルフォッグの足元の地面から揃って顔を出すサメとイルカ……コア・ドライヴの成長により進化した身体を得た、GGGの頼もしき協力者……【魚座】のアーマロイド「双魚機獣 ピスケガレオン」だった。
「うわっは~♪ 前よりもカッコ良くなってる!」
以前よりも生物的かつ流麗なデザインとなってメカメカしさが抑えられ、火器類はパワーアップしつつも完全に内蔵型へと変わって身軽に。更に身体の一部はボルフォッグに寄せてお揃いの意匠となっており、合体した際の一体感を損なわない様になっていた。
ガオォォォンッ!!
再会を喜ぶのは良いが、まだやるべき事は終わってないぞ! そういう風なギャレオンの
《では、私達が先導します!》
《こんな辛気臭い場所……さっさとオサラバだってばよ!》
『2人とも私に乗って下さい。彼等の能力を使って、最速ルートで脱出します!』
「うわっは~♪」
「頼むぜ、ボルフォッグ!」
ピスケガレオンの能力で壁をすり抜け、一行は脱出を謀るのだった。
えー、ピッツァとのやり取りやらボルフォッグの合流シーンを削りたくなかったので、新型はまたお預けです。
……ゴメンナサイ(-人-;)
その代わり、ボルフォッグの“超”合体が見れるかもしれませんよ……?