狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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ゾンダリアンの司令塔であるパスダーと対峙し、脱出を試みる凱と護少年……
しかし、大地が不気味に鳴動する最中……地獄の底から這い上がって来たのは、巨大な物体……

果たしてGGGは、パスダーの野望を食い止める事が出来るのであろうか……?



第53話 機界指令 vs. 勇者ロボ軍団(3)

 完全に停止してはいるものの、不気味な雰囲気を醸し出すゾンダーメタルプラントからようやく救助され、平静を取り戻しつつあった一般市民から再び悲鳴が上がる……

 

 鳴り止まぬ大地の鳴動の最中……まるで地獄の釜の様に空いた穴から、巨大な構造物がせり上がってくる……それは塔の様に聳え立ち、その威容の全貌を晒し……やがてその高さは300mを超え、もと在った東京タワー並にまで天に伸び……巨大な翼を擁する上半身を形成した。

 

「……魔王……サタン……?」

 

「し、信じられません……高さ300m以上はあります! それにこのエネルギー反応は……!」

 

「……覚えておるかね長官。2年前に確認された地球外知性体、認定ナンバー1号を」

 

「……忘れる訳がない。奴が起こした数々の被害で、多くの人々が亡くなったのだから」

 

「私の両親も……あの時の事故で……!」

 

「そう……そして今、あの塔から確認されたのは、2年前のあの時と同じエネルギー反応。つまり奴こそ……」

 

地球外知性体(エクストラ・インテリジェンス)認定ナンバー1号……EI-01か!」

 

「あれが、EI-01……パスダーの本当の姿……!」

 

 シオンはゾンダーの驚異を明確にした頃からパスダー(黒幕)の存在を明示し、地球における悲劇の元凶だと明言していた。詳細については根本問題からかあまり深掘りこそできなかったものの、シオンの鬼気迫る語り口ともたらされる情報から、恐るべき存在である事は最初から明確であった……

 

「奴は2年前の事故を引き起こした後、何処かへと去った……だが、奴は地下へと潜伏して時を待ち……人知れずあそこまで成長し続けていたという事だ」

 

「……アレが……全ての元凶……!」

 

「EI-01。発電所からの電力供給網を利用して、内部に膨大な電力を蓄積中」

 

「奴はこの場にあるエネルギーをかき集めて、宇宙へと逃走するつもりだ! もし今、奴を逃せば地球は再びゾンダーの驚異に晒されるぞ?!」

 

「……今動ける戦力は手元に無く、アーマロイド達も護くんの捜索でこの場を離れている。我々は、ただ指を咥えて待っている事しか出来ないのか……?!」

 

 大河の言葉に、メインオーダールームの誰もが歯痒い思いでモニターに映る光景を見ているしか出来ない……しかし、最後の希望はまだ絶たれていなかった。

 

《……聞こえるか? メインオーダールーム! 応答してくれ、命ッ!!》

 

 誰の耳にもハッキリと聞こえた、希望を携えし者の声……決して諦めない熱き感情(ハート)を持つ、我等が最強勇者の声が。

 

「「「「「凱ッ?!」」」」」

 

《俺と護……それにボルフォッグも、ピスケガレオンのお陰で無事だ。心配掛けたな……命!」

 

(やはり生きていてくれたか、ボルフォッグ……!)

 

 凱の生存報告に湧くメインオーダールーム。勿論、原作でも同様に生還こそしているが、護以外は満身創痍という状態だった……しかし、今回は凱の負傷のみで収まっている為、予断は許さないがだいぶマシな方である。

 

《……長官! 外の状況はピスケガレオン達から教えて貰った。ガオーマシンを直ちに発進させてくれ!》

 

「凱?! もうボロボロなんだから無理しないで……」

 

《行かせてくれ、命! 奴を倒せるチャンスは今しかない……此処で奴を取り逃がせば、また振り出しに戻っちまうんだ!》

 

「……護君、凱のアジャストを頼む。卯都木君は整備班から、非常用のアンプルを受け取って持って行ってやってくれ」

 

「……っ……はい……」

 

「牛山くん、各機の修理状況は?」

 

「氷竜と炎竜の応急処置は完了しています。ガオーマシン各機、グラヴィスコルードから提供された制御プログラムの搭載と、量子金属素子の定着作業終了! 全機、いつでも発進可能です!」

 

 牛山からの報告を聞き、大河幸太郎は声を整えた後通信を併用して全員に通達を始めた。

 

「分かった。……諸君。これより我々は敵ゾンダリアンの首魁、EI-01との最終決戦に挑む。今この場に居る一人一人が地球の希望だという事を忘れるな? GGGの全戦力を投入せよ! 何としてもEI-01(ヤツ)を宇宙へ逃してはならない! 各員の奮闘を期待する……この未曾有の驚異から脱する為に、我々に残された道は……勝利しかない……!!

 

 総員! EI-01殲滅作戦を開始せよッ!!」

 

「「「「「了解ッ!!」」」」」

 

 ……斯くして、EI-01こと機界指令パスダーの殲滅作戦がスタートしたのである。

 

──────────

 

 三段飛行甲板空母から修復を終えた氷竜と炎竜が発進……近海に乗り付けた強襲揚陸補給船からはプライヤーズ、現地に来ている水陸両用整備装甲車からはゴルディータンクがそれぞれ出撃。ガオーマシンの修復作業も終了しており、順次発進シークエンスを開始している。

 

 凱は応急処置として護にGストーンの自己調整(アジャスト)を行って貰い、破損したアーマーも即時交換可能な部位のみながら取り替え、()()()としてシオンが用意していたアンプル剤を投与して貰う……

 このアンプルには治療向けの精神安定剤の他、ナノマシン治療を応用した自己治癒能力の促進効果とサイボーグボディの緊急修復措置を可能にした所謂ゲームの蘇生回復薬のような物だ。とはいえ配合されたナノマシンの効果は一時的だし、効果を失ったナノマシンも無害化して体内に吸収されるまでには一定の時間を要する。副作用も可能な限り抑えてはあるものの、皆無ではない為乱用は禁物……と言われている物だった。

 

 それらを大急ぎで処置して貰い、凱は戦線に復帰すべくギャレオンにフュージョン……目前に迫る戦いの準備を行う。

 

(凱兄ちゃん。皆……無事に帰って来て……!)

 

 護の想いは煌めくGストーンを通じて、全員に届く筈だ……

 

 理不尽に立ち向かい、もがき足掻く命の力を体現する『Gストーン』……他者と繋がり、共鳴する隠された能力は、原作FINALにおいて初めて観測されている。しかし護はこの時から無意識ながら、その存在を感じ始めるのであった。

 

 

『フフフ……心弱き者共よ、我が力……その身に知らしめてやろう』

 

「そっちこそ、2年前の借りを纏めて返してやるッ!!」

 

 ゾンダーは漏れなくバリアシステムを有する為、手始めにガオガイガーは【ブロウクンマグナム】を発射……しかし凄まじいバリアのエネルギー量により易々と弾かれる、当然これでは【メルティングサイレン】による分解すら通じない事も明白であろう。

 

『フハハハ……愚かな者共よ!』

 

 ゆっくりと左腕を持ち上げた後、少しだけ速く斜めに振り下ろす……たったそれだけの動きなのに、凄まじい圧力に襲われ……ガオガイガー達は揃って足場ごと吹き飛ばされた。

 

《や、野郎……腕の一振りで……?!》

 

《勇者達を弾き飛ばしたというのか……!?》

 

 なす術なく吹き飛ばされるガオガイガー達に、火麻と大河は呆然とする……しかし、こんな事で諦める者はGGGには居ない。直ぐ様次なる手を打つべく、大河は指示を飛ばす。

 

《卯都木くん、プラチナ・フォーメーションだ!》

 

《了解! 凱、皆! フォーメーション変更よ!》

 

 プラチナ・フォーメーションとは、【メルティングサイレン】や【ブロウクンマグナム】でも突破できないバリアシステムを想定して編み出された対バリア対策……空間修復ツールである『ディメンジョンプライヤー』を活用する裏技の1つでもあり、左右から挟撃して敵の注意を惹き付け……隙の出来た中央をディメンジョンプライヤーで強行突破し、敵の防御機構を空間ごと引き剥がす戦術である。

 

『オラオラオラオラァ!!』

 

『ダブルガン、バースト射撃ッ!』

 

《……今だ、中心を狙え!》

 

「おおぉぉぉッ!! ディメンジョンプライヤーッ!!」

 

 ゴルディタンクと超竜神が挟撃し、鬱陶し気にパスダーは左右に気を向ける……その隙を突いて、ディメンジョンプライヤーとコネクトしたガオガイガーは突撃……だが、EI-01のバリアはびくともせず、逆にディメンジョンプライヤーの歪曲空間を跳ね返しつつ反転させてガオガイガーを歪曲空間に閉じ込め……反発の圧力を増幅させ弾き飛ばしたのである。

 

「ぐっ……がぁぁぁッ?!」

 

《なん……だと……?!》

 

《No!? 歪曲空間ごと弾き返してマス!?》

 

《空間をも歪める程の膨大なエネルギーだ! 奴め、もうそこまで……》

 

 吹き飛ばされ、叩き付けられたガオガイガーを一瞥した後……EI-01は更に両腕を天高く掲げ、光る何かを大量に浮かせ始める。

 

『……目眩ましのつもりか?! 生憎だがそうは行かん!』

 

 超竜神は光る断片を無視し、苛烈な砲撃を再開……しかし、【ブロウクンマグナム】ですら易々と弾き返すバリアは砲撃を全く通さない。そしてEI-01の額にエネルギーが集束され、ガオガイガーのセンサーが高出力のレーザー反応を捉えた。

 

「レーザー反応……?! ならばッ!!」

 

 エネルギー攻撃ならば【プロテクトシェード】でカウンターに利用してやると意気込み、凱は左腕を構えた……が、EI-01の放ったレーザーはガオガイガーを直接狙わず、周囲に煌めいていた断片に当たると、まるで跳弾する弾丸の如く軌道を急激に変化させていき、左足のキャタピラ……右肩の装甲……頭部アンテナの左側……と連続で瞬く間に損壊させたのである。

 

《レーザーが……曲がったァ?!》

 

《あの光は、ガラス片か!?》

 

《浮かせたガラス片にアルミニウムを瞬間蒸着させ、反射板として利用している様です》

 

《信じられん……あれだけの数の反射板の軌道計算を一瞬で……?!》

 

 接近戦では桁違いの圧力で薙ぎ払われ、距離を取れば回避不能の反射レーザー……全く隙の無い攻撃手段に、桁違いのエネルギー量による強大なバリア……なす術が無い勇者達を前に、EI-01は不適な笑みを浮かべる……

 

『フフフハハハ……!』

 

 ……そしてEI-01を中心に、観測史上最高レベルの素粒子Z0反応と謎のエネルギーが観測され始める。

 

──────────

 

「信じられない規模のエネルギー反応です! EI-01を中心に、半径数十キロまで拡大……これは……?!」

 

《……な、んだ……身体に力が入らねぇ……?》

 

《ぐ……っ、何故だ……パワーが上がらない?!》

 

《な、んだ……?! GSライドのエネルギー出力が……低下している……!?》

 

 通信から聞こえてくる、困惑の色濃いゴルディマーグの声……続けて超竜神やガオガイガーからも同様の困惑に染まった声が伝わってきた。

 

 モニター越しに見えるのは、空間そのものを色付けするレベルのエネルギー放出……そして不敵な笑みを絶やさないパスダー。麗雄博士がその意図に気付いたのと同じタイミングで通信ウィンドウがもう1枚開かれ、映し出されたシオンと麗雄は同時に叫んだ。

 

「《(アレは)ゾンダーメタルの純粋固有(フル)エネルギーだ(です)! あのエネルギーフィールドの中では、Gストーンのパワーが減衰してしまうぞ(います)!!》」

 

 2人の声が重なり、更に麗雄から驚愕の真実が明かされる……

 

「ゾンダーメタルとGストーンは、相反するエネルギー同士……双方がお互いを消し合う関係じゃ!」

 

「でしたら、敵も同じ条件の筈では?!」

 

 牛山は疑問を口にするが、麗雄は即座に比較の条件を追加する。

 

「馬鹿を言っちゃイカン!! EI-01()は都市のライフライン……東京を支える膨大なエネルギーを味方に付けておる! 相反するエネルギー同士の相殺で、残るのは出力で上回る方だけじゃ!!」

 

「各機のGSライドの出力、48%に低下!!」

 

「?! それじゃ……Gストーンで生きている凱は……?!」

 

 命は、Gストーンのエネルギーで活動している唯一無二の……己の最愛の存在と言える凱に、訪れるであろうこの後の末路を想像してしまう。

 

 突き付けられてしまう特大の絶望……目の前にまで迫った、勇者達の敗北という結末……しかし。

 

《……そうはさせませんッ!!》

 

 通信から響いたのは……GGGの誰もが聞き覚えのある、予想外の希望の声であった。




取り敢えずここまでで一旦切ります。

なんかさ……この辺りは簡単に書いちゃダメな気がしてね。
筆が動くんですよ……絶望をもっと描くんだって……

ウチは早よ獅子座を書きたいのに……
年末までに出せるかなぁ?

ラストシーンの声、誰だと思う?

  • 護を捜索してたアーマロイドの誰か
  • 出番待ち(お座り)中の獅子座
  • 何故か姿が見えない“あの”忍者ロボ
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