狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
声の主はフィールドの外……しかしその境目のすぐ近くに現れ、4つの影を引き連れていた。
「あれは……?!」
「まさか……!」
「……ボルフォッグ……!」
ボルフォッグの傍にはガンドーベルとガングルーが同じく佇み……その周囲を、ついに中空をも遊泳可能となったピスケガレオンの2体が回遊している。
《オレ達も一緒だぜ! もうテメーの好きにはさせねぇってばよ!!》
《私達が一緒なら、アナタなんかに負けはしません!!》
回遊を止め、パスダーへ向かって啖呵を切るピスケガレオン達……その後、ガンドーベルとガングルーは高く跳躍……ピスケガレオン達も揃ってその場を離れ、最後にボルフォッグが飛び上がり、高らかに声を上げた。
『五獣纏身ッ!!』
ボルフォッグの掛け声と共に、ガンマシンとピスケガレオンがそれぞれ変形を開始。
ガンマシンとボルフォッグは通常の合体と同様にそのまま左右の腕と胴体を形成し、サメ型が右膝、イルカ型が左膝へと接近……それぞれ左右対称に位置取り、ピスケガレオンの胴体が縦に分割され、ボルフォッグの方に向いた内側が尾先のパーツごと上へ分離してボルフォッグの腕部接続位置を起点に背中側へ回り込んで挟まり、外側半分は拡張された脚部の外側から足裏までを強化するパーツへと変わる。
残った頭部も変形して膝の上部装甲へと接合され、全てのパーツがボルフォッグへと接合完了。
足裏にパーツが追加された事で、肩幅が増した分の釣り合いが取れる程度に足の長さも変わり、推進器と特殊機構が追加で加わる脚部……背中に回り込んだ尾先のパーツから、銀と紫色の布の様なものが展開され、展開と共にボルフォッグは激しく数回ほど回転……鏡面の如き銀色の表と深淵の様な紫色の裏側で構成された長布は輪を描く様に追従し、回転を止めて腕を組むいつものポーズを取ると布はマフラーの様に首を起点に風に靡き始める。
その後、両肩にそれぞれ猟犬と隼の意匠が新たに刻まれ、最後に頭部の形状がモーフィングの様に変化し、忍の鉢金を付けた狼の頭を模した物へと変化した。
『ビッグバン……ボルフォォォッグッ!!』
木・火・土・金・水……所謂“五行”と呼ばれ、陰陽道にも通ずる『五つの力』をその身に宿せし新たなる姿……その全てに置いて『三位一体』を上回る忍者ロボ……
……その名は、ビッグバンボルフォッグ!
『マジかよ……カッコいいじゃねーか……!』
『ピスケガレオンとボルフォッグが……本当に、合体した……!』
ピスケガレオン等とボルフォッグの5体合体という想定外に、ゴルディーマーグと超竜神の……ビッグバンボルフォッグの勇姿を見ての感想であった。
合体によりサイズこそ一回り大きくなり、手足が少し長くなったものの、強化された脚部はなんと無音*1走行や重力を無視した壁面・天井立ちをも可能にし、最高速度も約550km/h……瞬間最大速度に至ってはマッハ1にまで上昇。重量はピスケガレオンの合体による増加分しか無い筈なのに、ピスケガレオン側の武装である複数の大型火器や浮遊機雷、トラップや特殊なエネルギーネットまで内蔵武装扱い……更にマフラーの如く靡く二本の長布『ミラージュディバイダー』は最大で100m*2(幅も同様)まで伸縮自在の他、簡易的な空間転移機能を持っており、紫色に見える内側は対面側と空間を繋げる事で空間的に全てを素通りさせ、銀色の外側は衝撃やエネルギーを空間ごと反転させて遮断し弾き返す能力を持っている。
……ペンチノンを下した多次元諜報潜水艦の自爆に捲き込まれながらも無傷だったのは、このマフラーの機能のお陰であった。
『おおォォォッ!!』
ゾンダーメタルの純エネルギーに満ちた空間をモノともせず、その俊足でパスダーに迫るビッグバンボルフォッグ……パスダーはその身に纏う強大なゾンダーバリアを纏った右腕で突撃を弾き返さんと意識を傾けるが、ビッグバンボルフォッグは腕の接触直前に掻き消え、僅か数秒でパスダーの首筋に到達していた。
《消えたぁ?!》
《いや、接触の直前に地面を潜り抜けて後方へ回り込んだのだ!》
『ムラサメソードッ!!』
パスダーの首筋に取り付き、ムラサメソードで瞬く間にパスダーの全身を切り刻む。だがパスダー自身のバリアでダメージはさほど通らず、更に再生能力により瞬く間に回復されダメージを稼ぐ事が出来ない……
『……やはり、この程度では駄目ですか……! ならばッ!!』
《オレ達の出番だってばよォ!!》
《アナタの好きにはさせません!》
『超絶ッ! 分身殺法ッ!!』
ビッグバンボルフォッグの全身が銀色に光輝き、ミラーコーティングが展開される……その中ではあらゆる攻撃やエネルギーが反射・拡散され、誰にも邪魔する事は出来ない。
その状態を維持しながらビッグバンボルフォッグは、ボルフォッグ、ガンドーベル、ガングルー、ピスケガレオン2体へと分離……ミラーコーティングの塊からそれぞれが飛び上がりパスダーの全身を先程よりも5倍の速度で傷付けていく。
『……ぬぅ……鬱陶しい!!』
バリアでダメージはほぼ抑えられるし、即修復可能とはいえ、さすがに鬱陶しいとパスダーは腕を振り払う……が、ボルフォッグ等の影すらも捉える事は出来ず、肉薄する5体の連携を止める事は叶わなかった。
《ゾンダーエネルギー。出力の増幅は停止していますが、放出レベルとフィールド自体は依然として変化なしです》
《ボルフォッグのお陰でエネルギーを戦闘に回さなければならない分、ゾンダーエネルギーの放出が抑えられた形じゃな……》
《首の皮1枚繋がった形だが、このままではガオガイガーでも勝機は……!》
《ガオガイガー及び超竜神、ゴルディマーグのGSライド出力……27%前後で停滞中。生命維持の限界値まで、後僅かですからね……》
凱の生命維持に必要なサイボーグ体のGSライド出力は、平常ならば定格出力の3%もあれば十分なのだが……戦闘時、特にファイナルフュージョン中は最低でも15%以上を維持してないと、生命維持に深刻な影響を及ぼす為、後僅かでも低下していたら凱の生命維持機能も危険になる処であった。
《だが何故、あの形態のボルフォッグは“敵のフィールド”の影響を受けてないのかね?》
《……恐らく、ピスケガレオンとの合体でGストーン自体がエネルギーフィールドの効果を直接受けない様になっている。もしくは
いずれにせよあの形態のボルフォッグは現状で唯一、
ビッグボルフォッグの時よりも更に速く、5体ぶんの破壊力をパスダーに与え続けるビッグバンボルフォッグ……しかし、圧倒的過ぎるパスダーの再生能力の前には、いくら何でも多勢に無勢であった。だが……
『義によって、助太刀する…… チェェェストォォォッ!! 』
ダイキャンサーの咆哮とほぼ同時にパスダーの左腕が肘から切断され、また瞬時に再生される……しかし、その一撃だけで終わりではない。
『
クーゲルザウターが大型ボウガン2丁を変形・合体させて放つ光の帯が、空からパスダーの脇腹を盛大に抉る。
『……貴方の存在は、この宇宙から消え去るべきです!』
大地を割って現れたグラヴィスコルードの尾先……そこから放たれるもう1つの光の帯が、地上からパスダーの下半身を焼き焦がしていく……
『……貴様達か。フフフ……無駄な足掻きを』
付けられた傷を即座に再生させながら、パスダーは何故か不敵な笑みを崩さない……
《奴は……
火麻はパスダーの言葉に激高し、持っていた通信機を握り潰す。確かに
《それは……ゾンダーメタルとZコア・ドライヴ、その性質故の類似点の所為だ。ゾンダーメタルは性質上、ストレスをエネルギー発生に用いる。Zコアも、構造こそ違うが生物的要素を持つ生体動力源だ。そのエネルギーの性質にも一定の類似性があるのだろう……
そう、アーマロイドの有するエネルギーは「Zコア・ドライヴ」から発生する……凶悪かつ無差別的な侵食性こそ完全に失ってはいるが、ゾンダーメタルと一定の類似性を持つ半生体動力システムなのだ。そこから発生するエネルギーなのだから、それほどの違いはないだろう。
……しかし、正しき心を持つ彼等はそんな戯言に惑わされる事などなかった。
『たとえ無駄であろうとも、共に肩を並べ戦う
身の丈を超える巨剣を振り上げ、その手を一切緩めず……巨蟹の鎧武者は吠える。
『そうですっ! 私達がこうするだけでも!』
黒き甲冑を纏う女性騎士が、華麗な舞と共に中空から無数の光槍を撃ち放つ。
『たとえ僅かでも……彼等の一助となるなら、行う意味は有る!』
ビルの隙間を縫うように走る蒼き蠍が、大量の放火を上向きに撃ち放つ……そしてその巨大な背部にビッグバンボルフォッグが降り立ち、振り向いて言い放つ。
『そして、我々は前に進むのです。アナタという驚異を討ち倒し……平和を掴むために!!』
『……だが、この私を倒せるのか? 今の貴様達の力で?』
パスダーの言葉は正論だった……たとえアーマロイド達がいくら協力しても、現状の戦力ではEI-01は到底破壊できない。
《……そうね。確かに“今の状態”じゃ無理だわ……でもさ、前にも言ったよね? アンタの好きにはさせないって!!》
そこへ割り込まれる通信、それはこの世界の例外たる者の声……
私は手にした光の術式陣を掲げ、変わりつつある
『効かないのなら、効くようにすれば良いだけの話……博士、ありがとうございます。お陰さまで攻略の糸口を見つけました』
《……ん? 何かは知らんが、お前さんの役に立ったんなら良いわい》
G-USB経由で麗雄博士にお礼を言い、私は意識を術式の最終工程に集中する。
『(早口)エナジーチャンバーの
ぶっつけ本番……テストも何もなし、出たとこ勝負の大一番。しかし、この子ならやれると確信している。だから信じて送り出す……あれから“更なる進化”を果たしたコア・ドライヴを持つ、
『空間転送ポート固定、カタパルト解放……往きなさい、アーマロイド【
私の声に応じて、最大解放された水色の転送ポートから飛び出し、瓦礫の大地を疾駆する獣……それは強靭な四肢を使い大地を駆け、鋭い爪と牙、そして眼光を持つ純白の獣。
機械的な内部フレームだが、その複雑な連動がおよそ機械とは思えない生物的な挙動を完全に再現している……それがこの、白き鎧を纏う機械仕掛けの獅子の特徴だ。
一定距離を走り抜けてから止まり、ガオガイガーと同じオレンジ色の眼光で周囲を見渡し、ガンメタルの尾をゆらゆらと揺らしながら、敵と味方の識別を済ませる……そしてパスダーを敵と認識して睨み付け、最大音量の咆哮を響かせた。
『グオォォォォォォンッ!』
TIPS:ビッグバンボルフォッグ
諜報用ビークルロボという目的故、敢えて低めになっているビッグボルフォッグの戦闘能力を補いつつ、先を見据えた新機能の追加を目的に採用された新しい合体形態。
基本的にビッグボルフォッグ側へは合体に必要な最低限の改造しか施されていない為、ビッグボルフォッグが可能な事はビッグバンボルフォッグも全て行える。
Zコア・ドライヴの補助による出力の劇的な向上をはじめ、全体的な性能アップや特殊機能の追加が顕著になっており、違う事なく忍者そのものの挙動をトレース可能。新たに追加された特殊機能の数々と、ピスケガレオン由来の内蔵火器により、更なる隠密性の向上に加え、高汎用・重武装化まで成立させた。
また、ピスケガレオンの固有能力『空間位相潜航』がGストーンのエネルギーにより強化発展した物体透過・固着システム『
なお、合体中のみ作動する相互補完型複合動力システム『五行器』を元に全身のエネルギー経路が見直された結果……それぞれ「ボルフォッグ(土・信)」「ガンドーベル(金・義)」「ガングルー(火・礼)」「ピスケガレオン・サメ(木・仁)」「ピスケガレオン・イルカ(水・智)」と、相互に補完や作用を発する“属性”を獲得……そこから来る“太極”や“八卦”、“風水”などの派生識から来る“超常現象”なども理論上では行使可能となっている。
武装・機能(ビッグボルフォッグへの追加ぶんのみ)
■相互補完型複合動力システム『五行器』(GSライド×3、Zコア・ドライヴ×2)
■捕縛・拘束用電磁ネット
■全領域浮遊機雷(ステルス機能あり)
■対水圧防御フィールド発生器
■3連装魚雷発射装置(胸部両端・脚部側面)
■背部展開式ロングレンジバスターキャノン×2
■拡張空間制御纏布『ミラージュヴァイザー』
■物体透過・固着システム『
■特殊消音機構(全身)
■超絶・分身殺法(5体バージョン)
■必殺・大回転轟破弾(断)
この獅子座の咆哮……最も近いSEはどれだと思った?
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エクスカイザーのやつ
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ライジンオーのやつ
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レオンカイザーのやつ
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ライガー系(ゾイド)のやつ
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待って、ビッグバンボルフォッグてwww