狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
ついに東京大決戦終幕の時……!
白を基調とした軽量装甲……動きを制限しないという事は、それだけ防御力は低いという事。
しかし、この【獅子座】ストラトスライガーにとって重たい装甲は却って邪魔であり、本来の性能と本能を縛る事は、最大の持ち味を殺す……意味の無い事に直結する。
グゥルルル……! グオォォォンッ!!
名前からも分かる通り、ストラトスライガーの素体は今から約40年も前に登場し、今なお根強い人気を誇る某戦闘機械獣から着想を得た物……
基本モデルは無論、百獣の王と呼ばれるライオンで、その生物的挙動を寸分違わず再現可能な特殊フレームに人工筋肉と圧力式サスペンションのハイブリッド駆動システムを搭載し、流体力学を応用して計算尽くの空力特化型のエアロテックデバイスアーマーを一次装甲として採用。
その上に二次装甲として状況に合わせ自在に換装可能な追加武装&増加装甲であるチェンジマイズ・アームド・システム……通称「CAS」を纏うのである。
『そんな獣一匹でどう変わる……ッ!?』
パスダーは腕を振り、衝撃波を飛ばす……が、ライガーは身体を捻ってひらりと避け、反撃開始とばかりに疾走を再開。胸部……前肢の間に固定された基本武装である「AZ-330 三連装ショックカノン」をパスダーへ向けて一斉射した。
『その程度……ヌッ?!』
パスダーはバリアで弾かれる、と考えていた様だが、生憎とそうはならなかった。ショックカノンの砲弾は実弾でもエネルギー弾でもない……高圧縮された ただの空気だ。しかもこの空気弾にはコア・ドライヴの進化によって高純度のGパワーを内包している為、ガオガイガー等と同等の対ゾンダー破壊能力を持たせる事に成功したのである。
『何故だ?! 貴様達は我等と源流を同じくする存在の筈……!?』
たっぷりとGパワーを内包した砲弾を浴び、更に爪等の攻撃も喰らいながらパスダーは驚愕と共に叫ぶ。その言葉に私は、ようやく叶った本命の言葉を聞かせてやるのだった。
「……“進化”したのよ。アンタ達とは全く違う方向性にね!」
麗雄はついにシオンが“実現した結果”を、他のクルー等と共に驚愕と共に目にした。
源流はGパワーと相反するゾンダーエネルギーの大元……それが多様な生物の遺伝子を取り込み、暴走する事なく、共生可能な存在へと進化を果たしたのだから……
「アーマロイドが……Gストーンのパワーを……?!」
「こりゃあ、アイツ等……完全にゾンダーとは違う奴等になっちまったって事じゃねーか?」
「そうじゃな……稀星くんの支配下にあるアーマロイド、あの【獅子座】には……実験的にコア・ドライヴとGSライドを同時に搭載している。ピスケガレオンから得られた連動データを検証するため、本来なら決戦に間に合う筈では無かったのだが……」
そう言って麗雄はシオンから提供されている各アーマロイドの設計データをモニターへ出し、獅子座……ストラトスライガーの設計データをピックアップさせる。
分かりやすく図解されている動力システムの接続仕様情報……そこには、コア・ドライヴに直接繋がれる形でGSライドが書き込まれていた。
「……机上の空論。彼女もそう言っておった……じゃが、ついに“アレ”で実現しおったんじゃ。恐らく
麗雄の言葉に、しばらくの沈黙……だがそれを破ったのは、我等が勇者王の声だった。
《長官、チャンスはシオン達が奴を止めてくれている今しかない! 目には目を……エネルギーにはエネルギーだ!》
「……ッ?! “
麗雄は息子である凱の言葉に、不安交じりの声で答えを出す……弾丸Xとは、Gストーンに内包されている高密度エネルギー集積体を解放させ、爆発的なエネルギーを生み出すシステムである。しかし、その代償はあまりにも大きく……下手をすればGストーンのエネルギー全てを使いきる事になりかねない。それはまさしく凱にとって、己の生死を賭けた選択であった。
「……ッ……!」
《頼む、長官! ココで奴を倒すにはもうそれしかないんだ!!》
それを使ってしまえば、凱や超竜神含め勇者達全員が死ぬ可能性の高い……最悪の結末を迎える危険性がある。だが、現状最も勝算の高い方法は他に残されていなかった。
渋る大河に、懇願する凱……メインオーダールームの誰もが、この選択の先に起きるであろう結果を思い、その口を閉ざしていた。
「……長官。凱の思う通りにさせてやってくれ……」
沈黙を破ったのは、父親としての麗雄の……今生の頼みだった。
「今思えば、凱が今まで生きてきた中で……僕は何一つ父親らしい事をしてやれなかった。……それなのに凱は笑って、僕を“父さん”と慕ってくれている。僕はあの時、凱が生き伸びてくれた事で、今度こそは、息子の為に全てを擲ってでも手を差し伸べてやろうと誓った……僕からも頼む!」
麗雄の言葉が終わり、メインオーダールームは再び沈黙に包まれる……
「……分かった。弾丸Xの使用を許可する……ッ!」
《……! ありがとう、長官!!》
それは苦渋の決断……そして己が死ぬかも知れない選択……しかし我等が勇者王は笑ってその命令を受け、通信を切った。
「……よし、今こそ封印を解く……!」
麗雄の座る座席……GGGスーパーバイザーのコンソールには、近代的な外観には似つかわしくない……ガムテープで封じられた画面が2つある。それこそが弾丸Xの封印……麗雄はそれを全て剥がし、画面のロックを解除……モニターには、達筆な文字で“弾丸X”と表示され、更に封印解除を示す表示が現れた。
「……各部問題なし。GSブースター、起動確認!」
「座標軸合わせ、首都圏方面……軌道修正完了!」
(……凱……生きて戻ってくれ……っ!)
「ぬあぁぁぁぁぁぁッ!!」
息子への万感の思いを込め……麗雄は弾丸Xのモニターを兼ねていた画面を己が拳で殴り付ける。……1枚目、そして2枚目。
すると2つの画面が切り替わり、起動完了した「GSブースターシステム」を内包する分離施設セクションの1つ「弾丸X」が、正に拳銃から放たれる“弾丸”の如く本部から切り離され、海を飛び出して凱達の下へと飛び立った……
ストラトスライガーの攻撃に思わぬダメージを負い、困惑するパスダー……他のアーマロイド達も止めていた手を再び動かし、“塵も積もれば……”の精神で苛烈な攻撃を加えていく。シオンは砲台の如く地上から猛攻を加えるグラヴィスの頭に移動し、本部の様子を聞き取っていた。
(やっぱり、弾丸Xを使わざるを得ない……か。なら、陽動と撹乱は私達がやるべきね……!)
本部のやり取りから「弾丸X」の使用に踏み切った事を察知し、より確実に成功へと導くために自身らが手を打つ必要があると感じる。
だが、行動に移そうとした直前……パスダーから思わぬ言葉が告げられた。
『……何故だ? 貴様は我々と同質の存在。それが存在意義を捨て、この私に敵対する……その代償が如何なものか、知らぬ訳ではあるまい?』
パスダーはそう言うと都市圏全てのネットワークをハッキングし、あっという間に掌握……そして、ピッツァがGGG本部に潜入した折に盗み出させていたデータを漏出させていく。
《……ッ?! こ、コレは……?!》
《そ、そんな馬鹿な……?!》
《Oh my god……?!》
《そんな……いつの間にこのデータを?!》
通信先で驚くオーダールームの面々、それもその筈……流されていたデータは、GGGで極秘裏に扱っていた筈のシオンに関する情報。
その最重要機密としていた筈の「元・マスタープログラムであり、母星消滅の際に脱出して逃れ着いた」事……そして「極秘裏にGGGへと接触し、協力関係を築いた」という事実が克明に記録されたファイルであった。
《長官……!?》
《な……なんという事だ……ッ!?》
麗雄の声に、大河は事の重大さに息を呑んだ。
本来ならば部外秘の秘匿情報……その漏出という失態だけでなく、その中身は混乱を制する為に隠し通す筈だったシオンの秘密。
『…………え……っ……??』
これには流石にシオン自身も困惑するしかなかった……
一般人が知れば、誰もが混乱するであろう情報……「稀星シオン」と呼ばれる人物は、
世に新技術の数々をもたらし、繁栄の一助を担い、未来を照らしてくれるであろう人物が……
本年度最後の更新に、大暴露されてしまった秘匿情報。
本当なら、GGGの一部職員だけが墓の下まで持っていく筈だった事実……
パスダーが行った情報テロに、果たして世の答えは……?
次回予告
君達に最新情報を公開しよう!
EI-01の情報テロにより、大混乱に陥る人類。
稀代の天才女史と謳われた「稀星シオン」は
疑心暗鬼が漂い、更なる混乱を助長し
ありもしない情報が人々の悪意を曝け出す……
このまま彼女は敵として扱われ、
断罪を余儀なくされてしまうのか……?!
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第56話『世界の答え』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
……来年も良いお年を。
アナタの思う「世界の答え」とは?
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噂よりも実績で評価し、彼女を受け入れる
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噂が疑心暗鬼を煽り悪意が排斥を加速させる
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“ある人物”の「言葉」で疑心暗鬼が解ける