狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
満身創痍ながら、力強く佇む勇者達……
全てを見守るのは、漆黒の空に光る月と人々のみ……
……さぁ、今こそ決着を付けよう。
厚い雲に覆われた空が、緑の光の柱によって掻き消され……空からは月光が降り注ぐ。
既に時刻は夜半を超え、未明に入っていた。
「………………」
その光景を見た全員が息を呑む……
弾丸Xの封が開き、その中から現れた勇者達は……その全身を緑に光輝かせながら立っていた。
『出力は最低でも、通常の6000倍以上……最高出力は恐らく、計測不能でしょうね……』
呟く様なグラヴィスの声……彼には今の勇者達がどれだけの力を持っているのか、ある程度ではあるものの把握できていた。
膠着は時間にして凡そ10秒。パスダーは再びフルエネルギーの放出を行うも、フィールドそのものが勇者達まで届かない……勇者達から溢れるGストーンのエネルギーと反発し、押し留められているのだ。
都市のライフラインを味方に付けたパスダーを相手に、その余剰出力の放出だけで張り合っている……圧倒的なそのエネルギー量に、誰もが目を疑った。
「……! 往くぞォォォッ!!」
月夜に轟く凱の声に合わせ、緑の勇者達が動き出す……先手は勿論ガオガイガー。
突撃と同時に【ブロウクンマグナム】を起動……そのままバリアへと殴り掛かり、右腕が赤熱化と同時に高速回転を始める。
「でぇやぁぁぁッ!!」
元々【ブロウクンマグナム】は、これまで何度もゾンダーバリアを余裕で貫いて来たのだ。当然、エネルギー量の不利が無くなれば……
『ぬぅあぁぁぁッ?!』
これまでの攻防がまるで嘘の様に呆気なくバリアを突き破り、本体表面に張られたもう一枚のバリアへと辿り着く……本来ならここで更にエネルギーを削られる。
だがその前に、ビッグバンボルフォッグが【メルティングサイレン】を起動し、一枚目と同様呆気なく消し飛ばした。
勿論、パスダーはガオガイガーの突撃を止める事が出来ず、直撃を受けざるを得ない……赤き弾丸と化した拳は左胸を深々と抉り、ガオガイガーの纏う緑の光がその傷から体内にまで影響を及ぼし、パスダーの体を焼き焦がす。
予想を遥かに超えた結果と、それをもたらした攻撃……そして自らを焼く想定外のダメージで、苦悶に喘ぐパスダー……しかもダメージは目の前だけでなく、足元からも加えられていた。
『どぉりゃぁぁぁっ!!』
『はあぁぁぁッ!!』
ゴルディーマーグの【全力タックル】、超竜神も【ダブルトンファー】でパスダーの下半身を滅多打ちにしており、更にビッグバンボルフォッグの新技【超絶・分身殺法】による追撃で更にダメージは重なり、パスダーは更なる苦しみに喘いだ。
「こ、コレが……“弾丸X”の力なのか……?!」
モニターに写る光景に、息を呑むメインオーダールームの面々……大河は辛うじてこの言葉を絞り出す。
「……反エネルギー同士がぶつかれば、お互いに消し合うのみ。しかし、出力が上であれば……最後に残るのは……!」
麗雄は息子の、勇者達の無事を祈る様に願いを込めながら……唯一の希望、逆転の詳細を口にする。
その頃……民間人を狙ったパスダーの衝撃波を防いだ
『……グゥ……ォォォ……ァ……』
『……ぁ……っく……ぎ……ぁッ……』
2人を襲う想定外……それはGストーンに隠された連動性能により、ストラトスライガーに内蔵されたGストーンへも“弾丸X”の効果が及び、データの相互共有など運用面から高い連動性を確保されている「Zコア・ドライヴ」へ想定外のエネルギー逆流現象が起きていたのだ。
本来ならこの時点でGストーンの連動機能は未覚醒、または未発揮状態の筈なのだが、ストラトスライガーのGSライドはZコア・ドライヴと実験的ながら直接接続されており、ダブルドライヴの仕様でGストーンとZコアのデータを相互受信、その調整もビッグバンボルフォッグの運用情報から抽出される連動データを用いて随時リアルタイムで調整される様になっている。
……その為、ビッグバンボルフォッグが“弾丸X”に入り、ピスケガレオン経由で送られた調整用データが“弾丸X”のデータを送った事で、ストラトスライガーのGストーンもエネルギー飽和状態へ突入。更に連動が前提であるZコアにもエネルギー飽和が波及し、その運用情報を統括するマスターコア……つまりシオンへもフィードバックされ、この様な事態に陥っていた。
間近で見る彼女の苦悶の表情……先程の防御でダメージを負った、と勘違いこそしてはいたが、結維は空中からライガーの側に落下し苦しむシオンへと駆け寄り、あるであろう傷を探りながら声を掛け、何とかしようと知恵を振り絞る……
(傷は……え、無い?! それに、明らかに胸を抑えて苦しんでる……今ので心臓に負荷が掛かった? でも、今の攻撃はちゃんと防ぎきってたし、苦しみだしたのは防御し終えてバリアを解除してからだ……それに、直接防御してたのはあのライオンみたいなメカだし……)
独特な印象を見る者に与えるGGGの制服……その上から両手を心臓を掻き毟る様に苦しむシオン。想像を絶する痛みを想像し、結維は「この人が死んでしまうかもしれない」という不安感に駆られそうになっていた。
(……何処だ?! コイツのコアは?!)
エネルギー量による不利が無くなったとはいえ、コアを浄解または破壊しなければ、ゾンダーはほぼ不死身だ。それ故確実にコアを破壊するべく、凱はコアの正確な位置を探る……その時、凱はふと思い出す。
東京タワーの地下でピッツァと競り合った時、【ウィルナイフ】を落としていた事を……
「ウィルナイフッ!!」
それは一種の執念にも近い……しかし、人類の存亡を掛けて戦う凱の熱き思いに応え、Gストーンは遠隔で【ウィルナイフ】へとエネルギーを送る。【ウィルナイフ】は持ち主の意思に呼応して性能が変わる短剣……刃はこの荒れ狂うエネルギーの渦の中、正確に主へと自らの存在を知らせる。
「そこかぁッ!! ゴルディーマーグッ!!」
『おぅよッ!!』
【ウィルナイフ】の反応がある場所。それは間違いなく、パスダーの元居た場所……つまり、コアがある場所に近い。【ウィルナイフ】を辿り、強烈なエネルギーの発生源……パスダーのコアを察知した凱は即座にゴルディーマーグを呼び、ハンマーコネクト……
「ゴルディオンッ! ハンマァァァァァァッ!!」
『……ッ?! ぬぅあぁぁぁ!!』
必殺の体勢。黄金の破壊鎚を手にガオガイガーはパスダーの上へ陣取り、そこから右腕を勢い良く振り下ろす……無論、パスダーも黙って殺られはしない。此方も自身の右腕を突き出し、ありったけのエネルギーを込めたバリアで相殺を図る。
GとZ。相反する2つのエネルギーが凄まじい反発を生み、発生する衝撃波と反発エネルギーで双方が想像以上の抵抗を受ける……が、無論その程度では2人とも止まらず、双方が更に押し込もうと力を込める。
激しい押し合いの最中、少しずつ……ゴルディオンハンマーに亀裂が入り、広がる度にパスダーの圧力が増していく。
『……フフフ……。……ッ?!』
だが、それも束の間……何がきっかけか。パスダーのエネルギーが急激に減退していき、パスダー本人が“それ”に反応した直後、一気に釣り合いが乱れパスダーの右腕が光の粒子へと変換され始める……
「EI-01! 光になれえぇぇぇェェェッ!!」
脳裏には、全ての始まりとなった接触事故から今までの思い出が走馬灯の様にフラッシュバックし……凱は万感の想いを込めて叫んだ。コレが自分なりのケジメ……まだ全て終わりではないが、ようやく一つの“区切り”を付けられる。
コアの側に刺さった【ウィルナイフ】が緑色に光輝きながら、周囲を包む閃光に消えていく……
全高300mを超える巨体、その全てを光にし終えた後……罅の入った巨鎚を持ち上げて柄の先を大地に突き立てる。それと同時に大量の光の粒子がガオガイガーが背を向けている大地に空いた穴から噴出、同時に空が白んでゆき……長かった夜がようやく明け始めた。
『……あ…………が……はッ…………はぁ……はぁ……』
EI-01の消滅を確認した直後、エネルギーの暴走により動力系に掛かっていた過負荷もようやく収まり、尾を引く様な深刻なダメージによる痛みだけが残る……弾丸Xの効力が切れたのならば、勇者達は死に等しい状態だろう。だがシオンも、己の受けたダメージのせいで状況把握すらままならず……辛うじて繋ぎ止めた意識の中、己の身に起きた想定外の原因を特定するのも億劫になっていた。
『主?! 主よ!! 大事無いか?!』
『何で、動力系に異常負荷が……大丈夫なの?!』
『……これは?! ……成る程、想定外は起こるもの……という事ですか……』
話には聞いていたものの、ここまで圧倒されるとは思わなかった激戦の一部始終……その全てが終わるまでダイキャンサーとクーゲルザウター、グラヴィスコルードは微動だに出来なかった。
その後ようやくシオンの異変に気付き、大慌てで駆け寄り声を掛ける……
(……大丈夫……大丈夫よ……まさか“弾丸X”のデータまで事細かに拾うとは思わなかったわ……)
覗き込んでくる顔ぶれにピスケガレオンが居ない事で、シオンはこの想定外の原因がGストーン由来の現象から来るものであったと納得、何故起きたのかという想定にもおおよその見当が付いた。だがまだ意識は朦朧としており、負荷の掛かり過ぎたコア周辺の動力回路や神経回路はまだダメージが酷く、自己修復こそ始まっているものの完全な回復にはそれなりの時間を要するだろう。
『……グルルゥゥゥ……』
過負荷のダメージでまだふらついてはいるものの、ライガーはヨロヨロと立ち上がり心配そうに喉を鳴らしながらシオンの顔を覗き込んできた。自身も相当な負荷でダメージを受けただろうに、己の事などそっちのけで主を心配する……言葉こそ話さないがその行動は眷属の鏡であろう。
(もう大丈夫だよ……ゴメンね……心配掛けて……)
ダメージの影響か、シオンは声を出そうとするが声にならず……口パクのままだったが構わず語り掛ける。その姿を見て結維は涙ながらに叫んだ。
「こんな事になってまで、私達を……何故なんですか?! なんで何も言わないんですか?! 貴女が体を張ってこんなに傷付いて私達を救っても、貴女を良く思わない人は大勢居るのに……!!」
結維の涙と言葉に、近くまで来ていた他の一般人達は申し訳なさそうに目を伏せる……結維はもちろん違うが、この場のほとんどの大人達はむしろ彼女を敵であるゾンダーと同じく排除の対象だと考えていた者が圧倒的多数だった……
だが身を呈してEI-01からの攻撃を防ぎ、何かしらの影響で死ぬ程酷いダメージを受けながらも、恨み言一つ言わず自分達を死守しきったシオン……更にそこへ突き刺さる結維の怒りと呆れの混ざった指摘に、彼等は最早反論の余地すら皆無となっていた。
「……! やっぱり、稀星のねーちゃんだ!」
「酷く煤けてますわね、どうしたんですの?」
「もしかしてさっきの攻撃から、僕たちを守ってくれたんじゃ……」
「シオンお姉さん……大丈夫?」
そんな時、声と共に大人達の間をかき分けて現れたのは、護のクラスメイト達……シオンはまだ声が出せないが、彼等に怪我一つ無い事に安堵し薄汚れた顔のまま笑顔を浮かべた。
純粋にシオンを心配する小学生達や結維を見ていた大人達は、最早人生最大の罰ゲームの如き心境……もはや誰一人として動く事が出来ない。
EI-01の扇動によって排斥ムードに染まり、自ら善悪の判断をせず、流されるままに滅亡の道を歩かされていた自分達は、ただ純粋に彼女を案じているあの子供達と同じ態度など取れない……
そんな厚顔無恥な行動を取れば、それこそ後の世間から大バッシングを受けるだろう……
そしてそんな大人達を尻目に、ただ一言「みんな、無事で良かった……」とだけ残し、シオンは子供達に見守られながら意識を手放すのだった……
勿論この直後に勇者達は原作通り仮死状態となり、護の涙パワーで復活。ただし、描写そのものは原作と変わらないので無念のカット……
シオンも気絶しましたが、毎度の如く数日で復帰するのでご安心を。
まぁ、この一連は歴としたフラグ建設の下地でもあるので予定調和……
そもそも、実は一般人の大多数はついでに守られただけであり、シオン自身は結維や小学生達が居たから行動を起こしただけ……世の有名な英雄的行動も、実情やら真実はだいたいこんなもの。
……ま、結果的に全員無事だったからオールオッケー♪(暴論)
……実はついこの前まで、コロナで思考が半分おかしかったんですよね。
でもちゃんと復帰しました。
感想・評価もヨロシクぅ♪
次回予告
ついにEI-01を打倒したGGG……
だが事はまだ、始まりに過ぎない。
シオンのかつての忠告通り、唐突に襲来する“原種”……
修復が間に合わず、絶体絶命に陥るガオガイガー。
アーマロイド達も“謎の不調”で全力が出せない……
そんな中、ついに現れる“白い戦艦”……
“原種”と“アーマロイド”に対し、白い戦艦はどう動くのか?
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第59話『原種、襲来!』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
※ 第59話の前に、以前アンケートで採択された『ドラマ撮影風のNGシーン集』を投稿予定!
範囲はTVシリーズ1期(閑話含む)。
もちろん2期バージョンも本編終了後に執筆予定なので、どうぞお楽しみに♪
オリキャラに声優(情報)は必要?
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可能な限り全員アテて!
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よくしゃべる子のみで良い
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普通にシオンちゃんだけ
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不要(自分でアテるから)