狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
謎の白き戦艦ロボが去り、残されたのは再起不能状態にまで大きな損傷を受けたガオガイガーだけ……
ストラトスライガーとクーゲルザウターには、この状態のガオガイガーを輸送する手立てが無い為、2機は揃って頭を垂れた。
『……ごめんなさい。ここまで損傷が酷いと、私達では……』
《グルゥゥゥ……》
「いや、そんな事はどうでも良い……問題は奴等がまたいつ来るのか分からない事の方だ。ガオガイガーがこの状態じゃ、俺は戦えない……お前達(アーマロイド)に頼るしか……」
凱は己が戦えない事に悔しさを滲ませるも、事実として受け入れる。だがその右手は悔しさを表すかのように強く握り締められている……
「……凱兄ちゃん……」
この少し前……荒れた道路をガオガイガー目掛けて進んでいた護。
原作同様に護の両親が車で突撃してきたまでは原作通りだったが、その様子をストラトスライガーが何時の間にか近くに来てジッと見ていたので護の両親は“北極ライオン”と盛大に勘違い……
護が誤解を解いた為その場は納まったものの、当分ストラトスライガーには慣れないだろう。
だがそこへ、重厚な駆動音の混じった飛翔音が聞こえ、周囲が影になる……全員が気付いて見上げるとそこには「黄色い装甲を持つ、超巨大な飛行物体」が頭上に浮いていた。
「お久しぶりです、勇さんに愛さん」
「……え……? 稀星……さん?」
頭上を飛んでいた船が付近に降り立つ。呆気に取られる天海夫妻と護くん……そんな事は露知らず、船から降りた私は、前と同じ様に天海夫妻へと挨拶を発した。
「はい。GGG医療特務官、稀星シオンです……申し訳ありませんが、あまり時間が無いのでよく聞いてください。少しの間、彼を……護くんの身柄を、我々の方で預かっても宜しいでしょうか?」
私の突然の申し出に、言葉を発せないご両親……当然ながら、こんな事を言われて普通で居られる筈はない。
地球の存亡に関わるとはいえ、急に“お子さんは宇宙の存亡に関わる存在なんです”とバカ正直に話しても、更に混乱するのは必至だし、そもそも信じて貰えないだろう。
「現状では、詳細までお話はできません……ですが、護くんの存在が、今の我々にはどうしても必要となっています。……勿論、彼の身の安全は保証しますし、事が済み次第、必ずお二人の元へお送りします。……こんな事を言うのは何ですが……私個人としても、護くんの存在は、私の心の支えにもなっていますので……お願い致します」
最後のは“もしもの時”の保険だ。今後私の存在がGGGの皆にとって……地球にとっての脅威となるなら、私は彼等に抵抗せず討ち取られる覚悟をした。……我儘かもしれないが、どうせ敵に回って消えるのなら、他ならぬ護くんの手で浄解されたいからね。
護くんのご両親……特に父親である勇さんは、私の隠している本音に気付いているだろう。私も、小さい頃は母よりも父に懐いていた記憶が今も朧気に残っている。かと言って母と不仲ではなかったが、どちらかといえば父と何かをしていた事が多い……
それが理由なのか……父親という存在に対して、私は無意識に無防備になりがちだ。今でもさ、麗雄博士とか大河長官にも……何かこう……ね。
「……。……分かりました。私達の息子が、あなた達の役に立つのなら」
「パパ?!」
当然、母親として愛さんは反対したい……それも理解できる。子供を慈しみ守るのが親の役目。
……父が子を支えるならば、子を守るのは母だもの。
「大丈夫さ。彼女は今までも、嘘や出来ない事は言わなかったし、護も彼女に懐いている……それにGGGなら、何よりも人命第一、不可能すら可能にするとまで言われる有名所だ。出来ない約束はしないだろう。それにほら……」
そう言って勇さんは当の本人……護くんの顔を母に見せる。その顔には“反対されても絶対に行く!”と言わんばかりの顔をしていた。
「本人がその気なんだ……子供のやりたい事を、大人が邪魔しちゃいけない」
愛さんは母親として、護くんを危険な目に合わせたくない。でも、我が子の未来を閉ざす行為もしたくない……どちらかを妥協しなくてはならないなら、子のためを思うのが親の務めと理解している。
「……分かったわ。……護ちゃん……必ず、無事に帰ってくるのよ?」
未練はある。でも、我が子のためを想い、帰れる様にと願う愛さんは、愛しい我が子を抱き締めて涙ながらの言葉に想いを託す。
「……うん。行ってきます、お母さん」
護くんも、愛さんの背に手を回して抱き返し、溢れる愛情に素直に応えるのだった。
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シオン達を乗せた巨大な黄色い船……新生GGG所属、全域双胴補修艦アマテラスはゆっくりと浮上し、宇宙へ向けて飛翔する。
揃って空を見上げる天海夫妻の後ろには、何時の間にかもう一組の夫婦が佇んでおり、天海夫妻と同じ様に我が子を憂う想いを胸に秘めながら、天へと登る船を見上げていた。
『……大丈夫?』
私は船の窓から地球を見下ろす護くんに声を掛けた。なんだか寂しそうな雰囲気をしてたし、さっきの事もあるから……
「……はい。大丈夫です……ゴメンナサイ。お母さん、心配性だから」
『我が子の事だもん、あれくらいは当然だと思うよ……況してや、危険な事に巻き込まれる可能性があると分かってるのならね』
「……シオンさんも、ご両親に会いたいって思う事はありますか?」
護くんには伝えてない……私の生みの親は2人とも既に他界しており、護くん位の歳から私は天涯孤独に育った。確かにZオリジンとしての私なら、生みの親は
(……私の両親は……もう……)
稀星シオンの戸籍上の両親……父の正樹と母の琉音は、今から約10年ほど前の結婚記念日に旅行先で事故に遭い、未だに行方知れずのままだ。
当然ながら10年も前の事故である為、日本からの捜索隊派遣は引き上げており、現地でも既に未帰還者リストから死亡扱いで外されている……シオン自身も既に他界したと割り切っている為、遠縁である桐生一馬らも黙認しているのである。
『……会えるものなら、もう一度くらいは会いたいわね』
「……ぇ……?」
『それよりも、せっかく宇宙に来てるんだから、今しか見れないかもしれないこの光景を目に焼き付けておかなくて良いの?』
あまり辛気臭い雰囲気のまま居たくはない……その一心で露骨に話題を変える。護くんも私の心境に配慮してくれたのか、気付かないフリして応えてくれたのだった。
GGGオービットベース……数年前から建造中であった国際宇宙ステーション『アイランドⅠ』を地球防衛に転用した、衛星軌道に浮かぶ国連所属の防衛拠点である。
EI-01撃退の顛末は、宇宙から来る恐るべき脅威をありありと示し、国連総会に地球防衛組織の設立を急がせた……その時短のために以前からゾンダーの存在を認識し人知れず対抗しているGGGを筆頭に、世界各国から技術者を集結させ、計画途中であった第2国際宇宙ステーションを大規模改修し、本部施設兼最前線基地としたのである。
……最も、急な計画変更により、アイランドⅠ建設に従事する技術者達は苦言を呈したが、シオンを引き連れた国連事務総長直々の技術提供と疲労軽減策を引っ提げての視察……それと偶然と不可抗力が重なった一幕により、建設者達はある種の「凶走状態」となり、計画変更後の進捗は数ヶ月の前倒し……
今回の「原種襲来」で危機感も高まった事により、完成まであと僅か……という所に漕ぎ着けたのである。
なお、最大のキッカケとなったのは「不可抗力」なのだが、何が起きたのかはシオンの名誉のために当事者だけの極秘扱いとされている……
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「……うわぁ……!!」
あまりの巨大さに言葉を失う護くん。あの後、護くんは凱さんの応急処置が終わったので一度そちらへ向かった……己の不甲斐なさに自傷しかねないほど苛立っていた凱さんだが、護くんの執り成しにより表面上は平静に戻っている。
(……私は全部知ってるからだけど……ちょっと気の毒過ぎるかな?)
Gアイランドシティが壊滅状態に追い込まれた時、GGGベイタワー基地そのものも直接攻撃を受け、大河長官をはじめとするメインスタッフ達は基地施設ごと消滅した……と、凱さんは思っている。
実際攻撃は受けたが、ベイタワー基地の中央司令センター兼脱出機構である「ヘキサゴン」と、それに搭載された新開発の「ウルテクエンジン」により、ギリギリながら大気圏外まで脱出に成功しており、全員無事である。
ただし、原作と同じ様に敵の目を欺く事に繋がる為、敢えて公表せず、国連主導の情報操作によりGアイランドシティ壊滅の件は詳細を伏せられている。その為、誰一人としてGGG関係者の生還を語らない故に凱さんの精神は少し不安定だった。
……後ですぐ回復するとはいえ、この状況を敢えて見逃すのは「精神科医」として失格だろう。でも、この流れは敢えてそのままにしておく方が、
《こちら、GGGオービットベース。アマテラス、応答願います》
私にとっては聞き慣れた……そして凱さんと護くんにとっては、最も聞きたい人物の声が通信越しに艦内へ伝わってくる。だがオービットベースではまだ量子通信機器が本格稼働していない事もあり、既存の電波通信のため僅かながらノイズ混じり……その為、凱さんも誰かまでは特定できていない。
『こちらアマテラス。第23通常ルートより慣性航行にて接近中。天海護と獅子王凱、両名を保護を完了。長官へ連絡願います』
本作戦のアマテラス全権委任者。同乗していたスタリオンさんが通信に答えていく……その時、始めて見るオービットベースに圧倒されていた護くんへのサプライズとして、私はコンソールを操作し、壁面の一部をアップ画像で映し出させた。
そこには、輝く緑色に塗装された3つの「G」……GGGのエンブレムが画面中央に大きく映っていた。
「……! あのマークは!」
護くんの声に、目を背けていた凱さんも通信ウィンドウやオービットベースが映るメインモニターへと視線を向けた。
もちろん凱さんも映像に映るGGGエンブレムに気付き、驚きと困惑の入り混じった表情……そして、相対距離の接近とノイズキャンセリングにより、それまで映像を不鮮明にしていた通信ノイズが完全に解消され、通信相手が映像に映る。
「……命……?! 生きてたんだな!? ……でも、あの状況でなんで……?」
驚愕と困惑から一気に笑顔へと転じていく凱さん、通信越しに涙目で微笑む命さんは、謝罪と共にあの時の顛末を語り始めた。
《……騙す様な形になっちゃってごめんなさい。あの時、私達もギリギリでヘキサゴンを使って宇宙へ脱出できたの……その後、此処に収容されたんだけど。国連から情報封鎖の通達があって……今まで連絡を取れなかったの》
原作でも、ヘキサゴンの脱出は本当にギリギリの状況であったとされている……私はヘキサゴンに搭載さてているカメラを通して事の状況確認をしたが、アレは本当にヤバかった。
もう数秒ほど遅れていたら、ヘキサゴンは基地施設の爆発に巻き込まれて諸共大爆発……間違いなく、全員全滅だったのだから。
「……そうだったのか……いや、そんな事はどうでも良いんだ。生きててくれたんだからな……!」
特大サプライズ成功……! 黙ってる私からしたら、メチャクチャもどかしかったけど、何とか成功したわ……。
はい、アマテラスによるお迎えは私でした。
ちゃんとスタリオンさんも乗ってるけどねw
さて、感動の再会で一旦区切り……
後半はバトルメインの展開。
アンケート結果反映のため、だいぶ原作と違う事になりますのでまたお時間が掛かります。ご了承下さいね……
(´・ω・`)ゴメンネー