狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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原作乖離待ったナシ!!
キングジェイダー対アーマロイド【牡羊座】。

互いに譲れぬものがあるから、ヒトは戦う。
たとえそれが、共通の目的(宇宙の平和と人類の勝利のため)であったとしても……



第67話 過去と罪を償う為に

『ならば、今度は俺の相手をして貰おう……羊光霊機、この牡羊座のな!』

 

 牡羊座は自身に秘められた異能により“多様な幻想”を現実へと引き出し、その身に宿して戦う……とグラヴィスから聞いている。

 最初は何が何だか分からなかったが、今……それがようやく解った。

 

 牡羊座が両腕をクロスさせたその瞬間、激しい光と共に空間が歪み、異なる世界を繋ぐ門が開口。同時にその門から牡羊座の本体が引き出され、本人と重なる事で実体化していく……

 どことなく、入院中に見ていた特撮番組の変身ヒーローが巨大化していく描写にも似ていて、強く印象に残る光景だった。

 

 そうして姿を変えた牡羊座は……青と白のツートンカラーに、丸い翡翠の宝玉を埋め込んだ装甲で身体を覆い、巻き角の様な冠を被った軽装鎧の戦士と化した。

 その手に武器は無く、得物は鎧の両肘から伸びる(ブレード)のみ……

 

 拳打や足技を以て相手を制する……所謂、格闘家をロボットにしたらこんな感じなのだろう。

 体格もかなり良いが、さすがに100m級のキングジェイダーとはまだ大きな差がある……戦闘モードとなった牡羊座の全高は、凡そ40m……といったところか。

 

『いざ、尋常に……勝負ッ!!』

 

 ゆらゆらと流れる様な構えから一転、電撃の如き俊足の踏み込みでキングジェイダーの懐に潜り込む牡羊座。

 キングジェイダーも、サイズ差を逆手に取られた事に一瞬反応が遅れるが、そこは歴戦のカンというヤツか……肘打ち、裏拳、正拳突きという神速の3連撃を紙一重で連続防御。

 

 しかし、牡羊座も防御された事に動じず、一瞬の溜めから両掌を獣の口の様にして重ね、防御の反動で無防備となった下半身へ圧縮されたエネルギー弾(?)を撃ち込んだ。

 

『破ァッ!!』

 

『ぐ……ッ?!』

 

 普通ならば、キングジェイダーのジェネレイティングアーマーが作動し、ダメージなど発生しない……のだが、何の手品か。攻撃を受けたキングジェイダーの装甲部分には小さいながらもポッカリと穴が空き、周囲に焦げ跡や凹み、そして幾つか罅も入っていた……明らかに物理的ダメージが入っている。

 

「Jッ!?」

 

《何だ、今の攻撃は? ジェネレイティングアーマーが機能していない。ダメージは見た目ほど高くないが、奴は此方の防御を抜ける……であれば、巨体では不利。此方も速度で対抗するしか無いぞ?》

 

 さすがにジェイアークのメインコンピューターは分析が早い……トモロの言う通り、キングジェイダーの状態ではサイズ差を逆手に小回りの効く牡羊座の方が優位。それをJも直ぐ様理解し、分離してジェイダーとなった。

 

 サイズ差も逆転し、今度は牡羊座の方が大きくなる……

 

『さっきの様な手はもう通じんぞ?』

 

『……あの程度で、俺の底を知ったつもりか』

 

 牡羊座はどことなく口が悪い……いや、悪気は無いんだろうけど表現が刺々しいんだ。今のは多分「今のは序の口、ここからが本番だ」という感じだと思う……私も、牡羊座と長時間話した事無いから当たってるかは分かんないけど。

 

『プラズマソードッ!』

 

『この切っ先……触れれば切れるぞ!』

 

 次はジェイダーの先攻……音を置き去りにする程の神速を以てプラズマソードで斬り掛かるが、牡羊座は肘に付いたブレードで対抗し、圧倒的なジェイダーの速度に初手から反応している。

 

『なかなか良い反応だ!』

 

『フン、貴様の速度はその程度か?』

 

『舐めるなッ!!』

 

 更に鋭く、速度を増すジェイダーの連撃。既にその連撃数は100を超え、速度も初手からなんと5倍以上に増している……しかし、両肘の刃を使い始めた程度で牡羊座は涼しい顔をしており、ただの一撃すらマトモに入っていない。

 

『……俺はこのまま続けても構わんが、貴様はどうだ? 速度を上げるだけで、俺が根負けするとは思わん事だ。……いずれ貴様の体力の方が先に尽きる』

 

「……ど、どういう事ですか?」

 

「牡羊座の方が圧倒的に不利なのに。何故、あれ程の余裕を……」

 

 牛山と猿頭寺は揃って不可解を口にする……それに対し、シオンはこう語った。

 

『……そこが、私達との決定的な差。最初から人工生命として創造されたアーマロイドと、あなた方との差でもあります』

 

『いつまでも防戦一方だと思わん事だ……舞朱雀(ツーシェ・フレア)ッ!』

 

『……チッ、予想よりも速い……!』

 

「?! そうか、アーマロイドとは“生物に似せて造られた”人工生命……いうなれば生きた機械だ。活動に必要なエネルギーさえ十全なら疲労もせず、損傷も自らで治せる。生命体を核として必要とする下級のゾンダーをはじめ、我々や彼ら異星文明の戦士にも存在する活動限界の概念も……彼らアーマロイド達には適応されないという事か!」

 

 麗雄博士の説明で、全員がアーマロイド達が持つ“優位性”を知る……

 低級のゾンダーには、由来や様々な関連性の問題から残されたままである“活動限界の概念”……だがアーマロイド達や、ゾンダーの上位存在である原種やZマスターには、そんな概念など存在しない。

 

 喩えどれだけ強い生命体だとしても、年単位ほどの時間ずっと絶え間ない攻撃はできないし、動けば疲労……戦えば破損する。でも、最初から人工生命としてデザインされ、最初から整えられた能力・性能を有する原種や、アーマロイド達には最初からないのだ。

 

 ……無論、その反面としての()()()()()のだが。

 

『想像してみて下さい……このアーマロイド達を超えるかもしれない強さを持つ31体。それがもし、地球全土で同時に活動を開始したら? 今でこそ残り27体とはいえ、私達は後手に回って一つ一つ対処するのが関の山なのに、全世界同時複数箇所で暴れ始めたら……? 原種はたった1体でも、惑星1つを機械昇華するのにさほど時間を掛けません……ガン細胞のようにその侵蝕速度は圧倒的です。それなのに、一丸として纏まらない我々が果たして勝てるでしょうか?』

 

 原作でも序盤は囮作戦が如く、原種の攻勢はGGGの限界ギリギリを狙ったかの様な展開の連続だったし、“最強7原種”に至っては「同時侵攻」も行っている。

 当時は物語として見ていた事もあり、シナリオ的な都合やら何やらで思考にフィルターが掛かっていたが、もしこの攻勢の変化が最初から仕組まれた罠であり、都合よく計算された運命だとしたら……?

 

 ギュイィィィ……!『受けろ……玄武剛弾(シェンヴ・インパクト)ッ!』

 

 ガギィンッ!『チィッ……反中間子砲ッ!』

 

『“それ”は既に見切った! 青龍鱗(ランセー・シェル)ッ!』

 

 バシュゥゥゥ……ドパァンッ!!

 

(仮に原作から乖離したとして、私や他の何かを要因に運命的な流れが破綻し、今度の変遷が変わる……もし、残りの原種が一斉に蜂起でもして来たら、今のGGGと私達では絶対に対処が遅れるし、何より連携しきれずに各個撃破される可能性が高い。……ただでさえ、キングジェイダーは原種に対して加減しなくてはいけない状況なのに……!)

 

『原種には、僅かな綻びさえ見られてはならないのです! ……赤の星は、彼ら最強の戦士たちが集う大艦隊を擁しても、勝てなかった……!』

 

 赤の星は、ジェイアーク級を主戦力とするアーク艦隊を擁しても……メインコンピュータであるトモロをゾンダー化されて無力化された。

 

 アーク艦隊は、トモロタイプの生体コンピュータによる大規模な連携が最大の強みだった……だが生体コンピュータであるという事は、ゾンダー化もできるという事。

 原種は、生体コンピュータ・トモロが最新鋭艦に搭載される直前を奇襲し、ゾンダー化された戦艦は味方を撃ち始め、乱戦の混乱に乗じてアルマやソルダートまでゾンダー化させていき……最強の艦隊は、その殆どを討たなければならない敵にされてしまい、赤の星は為す術なく陥落したのである。

 

『……そこまで知っている貴様は……やはり、あの星の……奴らと同じ……!』

 

『……そうです、私は……私は“Zオリジン”。三重連太陽系を滅亡させた張本人……その同類です……!』

 

 ゴォウ……ッ!!

 

『シオン! 下がれっ!!』

 

 ハッキリと、シオンはJ達に己の正体を打ち明けた。その直後、ジェイダーはプラズマウィングを起動……その神速を以てシオンへと迫る。

 ガオガイガーもシオンに迫る危機に踏み出そうと動く、がそれよりも早く牡羊座が反応……全身を白いオーラで包み、一足の踏み込みでジェイダーへと急接近。

 

『やらせんッ! リミット解除……“ファイナル・アタック(コード:麒麟)”ッ!!』

 

 主を守るべく牡羊座はジェイダーに追いつき、機体のフルスペックを発揮させた最大の大技を放つ。この僅かな間とはいえ、自身と同等の速度で動く牡羊座に、ジェイダーは僅かながら動揺し、防御が間に合ったとはいえ、牡羊座の怒涛の攻勢に大きく吹き飛ばされた。

 

『ぐ……ッ……貴様は何故、この星を機械昇華せず、(あまつさ)え守っている!? アレから更に狂ったか!?』

 

『……そうですね。狂っているのでしょう……アレ等も。そして私も……』

 

 赤の星の戦士であるJからすれば、シオンは故郷を奪い、戦士としての矜持さえも奪った怨敵の同類……しかし自身が怒りをぶつけるシオン(その相手)は殊勝な態度を崩さず、抵抗する素振りさえも見せずに真摯に言葉を返してくる。

 

 あまりにも想定外の態度に「狂ったか?!」と断じるJ……しかし。

 

『バカを言うなシオン! 君は狂ってなんかいない!!』

 

『そうです! 先生が本当に狂っているのなら、私達と共に、ゾンダーの脅威に立ち向かう事などしていない筈です!』

 

『先生は何度も、俺達が為すべき事や……“勇者とはどういう者か”を教えてくれた! そんな貴女が狂ってるなんて、どう考えてもおかしいぜ!!』

 

『我々と共に、この星を守りたいと……そう心から願う貴女が、自分の故郷を滅ぼした原種と同じ様に狂っているなど、断じてありませんッ!!』

 

「我々地球人類は、彼女によって多くの苦難と危機を乗り越え、共に歩む力を身につける事ができた……その多くは、彼女が自身すら顧みない純粋な献身から来たもの。彼女が敵と同類である事は百も承知! しかし、彼女は奴らとは違う!! 我々GGGの仲間であり、地球人類の良き隣人なのだ!!」

 

 本来ならば蹂躙されている側の……地球人類からの猛反発。

 

『……ッ……』

 

 一瞬、何故だと疑問を浮かべるJ……しかし、戒道少年から聞いていた事を思い出し、合点がいくと同時に彼女の真意……

 

 この地球(ほし)を、人々の生きるこの世界を守りたい……

 かつての過ちで滅んだ三重連太陽系(己の故郷)と、同じ道を辿らせない……あの惨劇は、二度と繰り返させない。

 

 ……心からそう願う存在として、初めてシオンを認識できた。

 

『……。……それが貴様の選んだ道か……』

 

 それまでの剣呑な雰囲気から一転……ジェイダーはゆっくりと構えを解き、後ろを向く。

 

「……ピッツァ……いや、ソルダートJ……」

 

《……J、アルマ。彼女の態度からは、人間特有の不合理さと感情が感じられる。そして彼女の予測……原種が連携をする事で、我々が不利になる可能性は確かに捨てきれない。本当の意味で、我々と敵対しないというのならば……私は彼女の提案を、受け入れても良いと思う》

 

『……トモロ。お前がそこまで言うとはな』

 

 生体コンピューターとして、トモロはシオンの真摯な言葉と態度をそう評価した……ゾンダーではなく、ヒトとしての想い。トモロはシオンの全てに“自分はヒトである事を辞めてない”という事を感じていたのである。

 

「僅かな間だけど、僕も彼女の事を知る機会はあった……僕も、彼女を信じても良いと思う」

 

 護の周囲にシオンが居り、共に動いている事で、護の近くに居た戒道幾巳もまた……直にシオンを見て、知り得た事で、彼女の想いは本物であると感じている。

 

 仲間である2人から、意外な答えが返ってきた事に少し驚くJ……しかし彼が信頼を寄せる2人が、“信頼しても良い”と評するシオンを受け入れるには、いま暫くの時間を必要としていた。

 

『……私は、貴様を信じきれん……だが、貴様がそいつ等と共に、原種と戦うというその意気は買ってやる』

 

 そう言い残してジェイダーを飛翔させ、ジェイバードに変形。そのまま上空で待機していたジェイキャリアーと合体し、ジェイアークとなって極北の空に赤い軌跡を残しながら飛び去っていった……

 

『……アイツは、シオンを認めてくれた……のだろうか?』

 

 飛び去ったジェイアークの軌跡を眺めながら、ガオガイガーは呟く。

 

《それは分からん……しかし、彼らが稀星くんを悪と断じるのを止めた事だけは確かのようだ》

 

 麗雄は息子の呟きにそう返しながら、勇者たちを映し出すモニターを見続けるのだった。

 

 完全に認められた訳ではないだろう……しかし彼らにとっても、GGGと共闘する事で大きなメリットはある筈だ。

 

(とりあえずは……丸く収まった……のかな?)

 

 内心鳥肌モノ(ルート的にも、命の危機的な意味でも)だった状況は脱し、仮にとはいえ赤の星の戦士に“敵対しない”事を認めさせたシオン……

 

 信頼を勝ち取る為には、まだ多くの理解と時間が必要なのだと思い……この場は“コレでよし”と考えるのだった。




もう少しシオンに対する理解が進まないと、味方としては見られない……Jからすればそんな感じ。
でも、とりあえず敵ではないし、敵対もしないという事は分かってくれたと思う……ちと強引だけど。

さて、次回は原作展開に戻り……
ついに出演する新型ビークルロボ。
中国で生まれた第二の兄弟が登場します!

お楽しみに!!

― 次回予告 ―


君達に、最新情報を公開しよう!

中国で造られた、新たなる勇者……
戦闘用ビークルロボ、風龍と雷龍。

その実践稼働テストに招かれたGGGの面々は、
彼らの人格に大きな問題を感じる。
シオンも原作通りの展開を予想していた……

そこに原種も現れ、原作通りの展開を想起させるが
イレギュラーにより、事態は予想外の展開を迎える事となった。


次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第68話『疾風迅雷』

次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!

コレが(次回の)勝利の鍵だ!!

  • 原作と違う原種の戦略
  • アーマロイド達の存在
  • シオンと楊博士の関係
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